エネルギー需給システムにおける水素の位置づけ
レポートID | 1006578 |
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作成日 | 2016-01-22 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガスレビュー 2 |
分野 | エネルギー一般技術 |
著者 | |
著者直接入力 | 石本 祐樹 |
年度 | 2016 |
Vol | 50 |
No | 1 |
ページ数 | |
抽出データ | JOGMECK YMC(一財)エネルギー総合工学研究所プロジェクト試験研究部 主任研究員石本 祐樹エネルギー需給システムにおける水素の位置づけはじめに この数年、水素に対する関心は家庭用の燃料電池コージェネレーション(cogeneration)であるエネファーム(ENE・FARM)の普及*1や燃料電池自動車の市販開始*2*3、2020年東京オリンピックでの水素エネルギーの利用*4等により、メディアで取り上げられる機会も増え、急速に盛り上がってきている。この水素・燃料電池への関心の盛り上がりは、水素・燃料電池技術のうち、特に需要技術である燃料電池自動車の発売や家庭用燃料電池の普及、また、燃料電池自動車へ水素を供給する商業水素ステーションが次々に整備されるなど、これらの技術がユーザーの目に触れる機会が増えたことによると思われる。これは、企業・大学・政府などの水素・燃料電池に関する技術開発および政策支援によるところが大きい。 メディアで取り上げられる機会が増えたことにより、水素エネルギーや水素社会という言葉とともに夢のある世界が語られることもある。水素社会、水素エネルギー社会とは「水素または、水素を含む化合物を熱や電力を得るためのエネルギー媒体として用いるシステム(水素エネルギーシステム)がさまざまな場面で使われる社会」を指していると考えられる。その際の疑問は、水素エネルギーや水素社会は、いつ、どのようにビジネスや生活に影響するのかということであろう。また、過去にも燃料電池・水素が一種ブームのようになったことがあり、今回はそれが普及するのかどうかという疑問を持たれることもあるだろう。これらの疑問への明確な回答は非常に難しい。なぜなら筆者は、水素社会の導入・実現時期、利用される機器や水素需要量(すなわちエネルギー消費に占める水素の割合)は、シナリオを描く主体によりさまざまであり、多様な水素社会があり得ると考えているからだ。 水素社会の概念は、近年次第に具体的な内容が伴って述べられるようになってきたが、その内容は依然定性的なことが多く、定量的な見通しを伴う水素社会の概念は当研究所における活動*5など緒に就いたばかりである。検討の例として、筆者を含む当研究所の研究者による定量的な情報を含む水素社会の一断面を図14に示しているので、参照されたい。将来の水素社会の姿は多様であるが、これを地理的なスケールで分けた類型を表1に示す。 その一つ目はローカルであり、人口密度が低く、これに対応してエネルギー需要も低い地域において、その地域の豊富な再生可能エネルギーを用いて水素を製造・利用する場合である。利用が主に当該地域表1水素社会の類型の例特徴・人口密度の比較的低い地域において、地域の豊富な再生可能エネルギーを用いて水素を製造・利用・輸送は短距離・貯蔵のためにエネルギーキャリアを用いる場合も・地産地消、コンビナート、離島、PowertoGas等・人口密度の高い都市においてエネルギーマネジメントシステムを用いて熱・電力の融通などエネルギー需給の制御のなかに、水素製造・利用機器が組み込まれる・輸送は比較的短距離・未利用の化石資源や量的に恵まれた再生可能エネルギーを用いて大量に水素を製造・エネルギーキャリアに変換し、グローバルな長距離輸送・LNG供給チェーンのイメージ類型名ローカルスマートシティグローバル出所:筆者作成53石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 532016/01/12 17:24:27アナリシスOGMECK YMC内で行われるため、輸送は短距離であることが多い。また、貯蔵のためにその特性に合ったエネルギーキャリアを用いる場合もある。地域、コンビナート、離島、小規模なPowertoGas(後述)などが考えられる。二つ目は、人口密度とエネルギー需要の高い都市においては地域のエネルギーマネジメントシステムを用いて熱・電力の融通などエネルギー需給の制御システムのなかに、水素製造・利用機器も組み込まれる。一般に都市部はエネルギー需要密度が高く、地域外へのエネルギーの輸送は起こりにくいため、輸送は比較的短距離である。三つ目は、グローバルであり、未利用の化石資源や量的に恵まれた再生可能エネルギーを用いて大量に水素を製造、エネルギーキャリアに変換し、グローバルな長距離輸送を行い、輸入元(多くの場合は日本)において利用するもので、現在のLNG供給チェーンに似ている。もちろん、これらのみが水素社会の類型ではなく、ダブりや必ずしもあてはまらない場合もあろう。 多くの読者がご存じのように、水素は石炭や天然ガスのような1次エネルギーではなく、2次エネルギーである。本稿では、水素エネルギーシステムの特徴を述べ、エネルギーシステム全体における位置づけを考察したい。 一般に「水素」は、元素としての水素、水素原子、水素分子、化合物の構成原子としての水素原子が考えられるが、エネルギー利用を想定する場合、「気体または液体の水素分子、化合物」として取り扱うことが多いため、本稿において水素という場合は、上記のいずれかを指しているものとする。1. 水素エネルギーシステム物や分子であるので、貯蔵や輸送が可能であり、さらに電力よりも貯蔵・輸送が容易である。これら第2、第3の特徴が、水素と電力を相互に補完する特徴と言える。第4の特徴は、利用する際にCO2の排出が全くないことで、これも電力と全く同じである。続く節では、これら水素エネルギーシステムの特徴を詳しく述べる。エネルギー安全保障水素の特徴(1)多様な1次エネルギーから生成可能再エネ導入推進水素の特徴(2)電力と相互変換が可能(電力貯蔵)CO2削減水素の特徴(3)利用時に二酸化炭素の発生なし(1)水素エネルギーシステムの特徴 水素利用やその歴史に、既に優れた文献がある(例えば「水素・燃料電池ハンドブック」オーム社〈2006〉)ため、ここでは、水素エネルギーシステムの特徴について述べる。図1に水素の製造から利用までの水素エネルギーシステムの概念図を示す。図1の左側には、1次エネルギー源である化石燃料、廃棄物、再生可能エネルギー(太陽、水力、風力、地熱、海洋、バイオ)、原子力が示され、これらから水素が製造される。 図1の右側に示す利用では、燃料電池、水素エンジン、水素タービン、直接燃焼等の技術が示されている。水素製造、輸送・貯蔵利用から成る水素エネルギーシステムには、四つの特徴がある。 第1の特徴は、多様な1次エネルギーから製造可能な点であり、これは電力の特徴と同じである。第2の特徴は、エネルギー効率の課題はあるが、電力と相互変換が可能ということである。第3の特徴は、水素は化合化石燃料廃棄物エネルギー源太水風地海バイオマス原子力陽力力熱洋熱、動力水蒸気改質部分酸化ガス化H2H2高圧水素ガス液体水素有機水素化物金属水素化物電力発電水電解光分解微生物ガス化水素製造高圧水素ガス液体水素有機水素化物金属水素化物H2H2H2電力動力熱・燃料電池・水素エンジン・水素タービン・直接燃焼(混焼・専焼)省エネ水素の特徴(4)利用技術が高効率出所:後藤信之他「わが国ならびに各国の水素ロードマップレビュー」『実装可能なエネルギー技術で築く未来-骨太のエネルギーロードマップ2-』(2010)輸送と貯蔵利 用図1水素エネルギーシステムの概念図54アナリシス_石本.indd 542016/01/12 17:24:272016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMC(2)多様な1次エネルギーから製造可能 水素は、石炭、石油、天然ガス等の化石資源、水力、風力、太陽光等の再生可能エネルギーからの電力を用いた電気分解(水電解)、発酵等による生物学的な水素製造、集光型の太陽熱や高温ガス炉という方式の原子炉からの熱を用いた熱化学法、光触媒を用いて水を分解するなどさまざまな1次エネルギーから製造可能である。 現在、大部分の水素は、石油精製や化学等の産業で製造、消費されている。全世界で年間4,000万トン(約4,500億N?)の水素が製造され、化学産業と石油精製でそれぞれその40%が利用されている。製造原料は、2003年の全世界の水素需要の48%は天然ガス、30%は石油および石油化学プロセスのオフガス(製造の過程において不純物等と一緒に分離された出荷されず自家消費または焼却されるガス)、18%は石炭、4%が水電気分解である*6。図2に日本国内のバランスを示す。外販分は全製造量の表2水素製造技術の技術成熟度評価要素技術資源・プロセス・工程石油随伴ガス石炭化石燃料天然ガスLPG・ナフサ重質油COG石油化学副生ガス苛(か)性ソーダ製造副生水素風力発電+水電解(海外&国内)風況測定水素の製造再エネ(再生可能エネルギー)脱水(褐炭)ガス化COシフト反応H2-PSA(水素製造)システム改質水素製造膜分離ガス化圧縮・ガス精製・PSACOG中水素増幅圧縮・ガス精製・PSA水分除去・圧縮風車水電解現状レベル実用化時期(年)実用化済み実用化済み実用化済み実用化済み実用化済み実用化済み実用化済み開発研究実用化済み実用化済み開発研究実用化済み実用化済み実用化済み開発研究開発研究2020202020202025課題 ?効率向上効率向上 国産技術の確立 ?効率向上 コストダウン ?性能向上効率向上 コストダウン ?触媒開発 プロセス開発 ? ?正確な風況測定耐強風風車設計高効率 耐入力変動効率向上 コストダウン効率向上 コストダウン600?700nm作動光触媒の開発分離膜の特定と調製法の開発太陽光光触媒(国内&国外)再生可能エネルギー発電+水電解水電解水素製造(海外)実用化済み水電解水素製造(国内)実用化済み光触媒水素分離技術反応器システム基礎研究基礎研究基礎研究基礎研究2030203020302030出所:CO2フリー水素チェーン実現に向けたアクションプラン研究成果報告書(平成25年度)製造能力製造能力185億Nm318518542億Nm331億Nm386億Nm3苛性ソーダ12億Nm31.7億Nm34.2億Nm32.3億Nm34億Nm3約356億Nm3/年約291億Nm3/年出所:岩谷産業(株)第2回AP研究会資料(2012.11.1)、IAE加筆(2014.3.24)図2現状の国内の水素需給の概要*555石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 552016/01/12 17:24:27エネルギー需給システムにおける水素の位置づけゥ1%ほどであり、ほとんどが自家消費である。石油精製ではナフサ等、アンモニア製造では、石炭やペトロコークス、廃プラスチックなどが水素源として用いられているが、海外では天然ガスからの水素製造が一般的である。鉄鋼では、製鉄の複数の過程で水素を含むガスが副生するが、水素の濃度が最も高いものは石炭を乾留してコークスを製造する際に生じるコークス炉ガス(COG:Cokeovengas)であり、約半分が水素である。苛性ソーダ製造のための食塩の電気分解反応では、目的生産物の苛性ソーダの他、水素と塩素ガスが副生する。 水素の純度は製造方法に依存し、また、需要側の設備により水素純度や不純物の種類や濃度が異なるため、必要に応じて圧力スイング吸着法などにより生成され、需要家に出荷される。 表2にさまざまな水素製造技術の現状評価の例を示す。これは、当研究所で実施したCO2フリー水素の実用化に向けたアクションプラン研究会で検討されたものである。水素製造技術は、事業化されているものから基礎研究段階にあるものまで多岐にわたる。個々の技術の成熟度を6段階(アイデア・基礎研究・開発研究・実証研究・実用化・経済性成立=事業化)に分け、技術成熟度の年次評価・事業化時期の可能性を評価した。製造に関しては、光触媒を用いた水素製造以外はほぼ実用化済みの技術であるが、低コスト化や効率向上などが課題である。 水素製造には多様な手法があり、コスト評価の事例もある*7*8。また、嘉藤は、調査対象地域の再生可能エネルギーや化石燃料の賦存量、価格、稼働率等の条件から風力発電由来の電力を用いた水電解で26.1~64.1円/N?、CCS(CarbondioxideCaptureandStorage〈二酸化炭素の回収・貯留〉)を用いた化石燃料由来の水素製造法で8.87~18.3円/N?と試算している*9。条件の詳細やコストの内訳については、参考文献を参照されたい。 一般に水素製造コストは、原材料費、設備費、ユーティリティ費などから構成され、手法によって支配的なコスト要素は異なる。既に減価償却が済んでいる既設の設備を用いる場合と新設の場合で設備費は大きく異なるし、製造地域や製造規模でも諸条件は、大きく影響を受ける。また、輸送距離や輸送方法によっても需要家における水素価格は、大きく変化する。したがって、水素のコストについて他の検討例と比較する場合には、前提条件が整合しているかを確認することが重要である。(3)電力との相互変換が可能 図1に示したように、水素は電力との相互変換が可能な特性を持っている。また、電力よりも長期保存が可能JOGMECK YMCという特性は、電力と補完する関係にあると言える。 ここで、後で述べる水素を用いたエネルギー貯蔵で使用される水電解技術について述べる。図3に一例として固体高分子型の水電解の概要を示す。電解槽は、イオンを電導する固体高分子電解質膜の両側に電極が接合されており、メッシュ状の給電体が電力の供給と、気体と液体の流路を兼ねる構造になっている。電極間に1.8V程度の電圧を加えると陽極、陰極にそれぞれ酸素と水素が発生する。製造された水素はドライヤーで水分が除去され、99%以上の純度で次の工程に送られる。必要に応じてさらに高純度化の処理を行う。 図4に水電解装置の水素製造原単位およびシステムコストの見通しを示す。データは、文献調査、DOE(米国エネルギー省)のレポート、メーカーのカタログ、独自に調査した内容が含まれる。現状は、特に原単位が悪化するほうのばらつきが大きいが、中央値はアルカリ型で現状54kWh/kgから2030年に50kWh/kg、と劇的な改善は見込まれていない。PEM型では、現状57kWh/kgから2030年に47kWh/kgと現状はアルカリ型よりも原単位が高いものの、将来的にはアルカリ型を超える性能があると見込まれる。図4に示すようにコストは、減少傾向であるとはいえ、2020年以降は大きなコスト低下はないと考えているメーカー等が多い。 再生可能エネルギーの導入の進んだ欧州の一部の地域H2O2H+複極板給電体(メッシュ状)純水アノード(陽極)カソード(陰極)固体高分子電解質膜(陽極) H2O → 2H+ + 1/2 O2 (↑) + 2e-(陰極) 2H+ + 2e- → H2(↑)出所:竹中啓恭『水素利用技術集成Vol.3第2編5.4水電解による水素製造技術』(2007)図3固体高分子型水電解装置の概略図56アナリシス_石本.indd 562016/01/12 17:24:272016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMCシステムコスト(万円/kW)PEM 中央値アルカリ中央値現状2015202020252030年35302520151050原単位(KWh/Nm3)PEM 中央値アルカリ中央値現状2015202020252030年012345678(注)破線はそれぞれ上限、下限を示す。システムコストは1ユーロ130円で換算した。出所:DevelopmentofWaterElectrolysisintheEuropeanUnionFinalReport(2014)図4水電解装置の水素製造原単位(左)およびシステムコストの見通し*10再生可能エネルギー電力グリッド燃料電池または水素エンジン水素ステーション電力グリッドPJ内利用(CHP)バッテリー水電解水素貯蔵ガスパイプライン網メタネーション他の炭化水素出所:G.Gahleitner,InternationalJournalofHydrogenEnergy,38(2013)pp.2039-2061.を改変。http://dx.doi.org/10.1016/j.ijhydene.2012.12.010図5Power to Gasの概念図では、電力取引市場で負の価格となることも報告されている。この再生可能エネルギーの変動を吸収する手法の一つとして、水電解装置で水素を製造し、さまざまな用途で利用するPowertoGasと呼ばれる実証プロジェクトがヨーロッパ諸国特にドイツで数多く進められている。図5にPowertoGasの概念図を示す。一般の発電所に比べて制御性の劣る風力や太陽光によって変動する電力の弱点を水素が補完する事例である。 一般論としては、再生可能エネルギーの導入を進めることによって、エネルギーシステムの脱炭素化、地域のエネルギー自立や国のエネルギー自給率の向上が図れるなどよい点が多い。しかし、各論では、実証プロジェクトで事業化への課題の明確化とその解決方策を模索しているケースも多いのではないかと思われる。例えばPowertoGasでは、水素製造は水電解で行い、その電力はいわゆる低コストの余剰電力が想定されていることが多い。水電解による水素製造を議論する場合は、一般的に製造コストの大半を占める電力コストの低減のため、原単位の低下や電力単価の低減を志向することが多いが、PowertoGasの場合、余剰の発生による設備利用率の低さに起因する設備費の上昇が課題となる。 このことから、余剰電力ではなく、再生可能エネルギー由来の電力でも安定して出力が得られる範囲の電力を用いて、水電解装置の稼働率を上げることを示唆する研究事例もある*11。また、長期間のエネルギー貯蔵を目的とする場合は、貯蔵設備の回転率が高くなりにくいため、貯蔵コストが上昇する。このように地域に適合した最適な水素製造量やそのパターンと需要先を組み合わせることが普及にとって重要と考えられる。 水素を電力から製造した後に、水素を貯蔵・輸送する技術は、図1に示したように、高圧水素ガス、液化水素、有機水素化物、金属水素化物である。代表的な貯蔵方法の特性を図6に示す。図の左上は、体積密度が比較的大きく定性的には重い材料である。図の右下は、重量エネ57石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 572016/01/12 17:24:28エネルギー需給システムにおける水素の位置づけOGMECK YMC石油製品の輸送と大きな差はないため、実用化済みの評価となっていると考えられる。 水素を長距離にわたって輸送する技術も開発されている。川崎重工業や千代田化工建設が水素を長距離輸送に適した状態や化合物にして輸送するための技術開発や実証事業を行っている。川崎重工業は、CO2フリー水素チェーンと呼ぶ液体水素によるエネルギーチェーンを提案している。独自の研究開発に加え、NEDO(新エネル5,000MgH2LaNi5H6デカリン-ナフタレン系シクロヘキサン-ベンゼン系メチルシクロヘキサン-トルエン系液化水素圧縮水素(35MPa)電池10,00020,00030,000重量エネルギー密度Wh/kg40,00050,000出所:太田健一郎『再生可能エネルギーと大規模電力貯蔵』(2012)表6-11から作成水素キャリアの重量エネルギー密度と体積エネルギー密度の関係Wh/?ガソリンアンモニアメタノール009,0008,0004,0003,0007,0006,0002,0001,000図610,000体積エネルギー密度かさルギー密度が大きく、定性的に嵩の高い材料であると言える。定置用などの場合は、スペースに制約があり、重量密度が高いほうが好まれる。輸送用の場合は、スペースにも制約があるため、重量密度、体積密度ともに高いバランスのとれた材料が求められる。 例として、タンクローリー1台あたりで輸送できる水素の量を見よう。45MPaの高圧ガストレーラーの場合、1台あたりの水素輸送量は260kgである。20k?の液体水素ローリーの場合は、ローリーあたりの水素輸送量は約1,400kg、メチルシクロヘキサン(MCH)の場合は、ローリーあたりの水素輸送量は約960kgである。高圧ガスは圧力差で移送するため、積載量の全てが利用できるわけではなく、液化水素もローリーから貯槽への移送時に蒸発によりロスが生じる。また、メチルシクロヘキサンは、脱水素反応の収率や後段の設備で精製が必要な場合はその分のロスがある。よって、実際に利用できる水素量は条件にもよるが上記よりもやや小さくなる。 表3に水素の国内配送における要素技術の現状レベル・実用化時期・課題の例を示す。水素の輸送は、液化水素の一部の方式を除いて産業ガスとしての実績があり、実用化済みという評価となっている。また、有機ハイドライドについては、表3水素の国内配送の技術成熟度評価要素技術国内配送圧縮水素液化水素国内配送パイプライン有機ハイドライド課題 ? ? ? ? ? ? ?水素専用船の開発方式現状レベル 実用化時期(年)実用化済みシリンダー実用化済みカードルトレーラー実用化済み移動式水素ステーション 実用化済み実用化済みコンテナ実用化済みローリー鉄道貨車コンテナ同等内航船(コンテナ積載) コンテナ同等開発研究内航船(専用船)実用化済み天然ガス混合実証研究純水素実用化済みコンテナ実用化済みローリー鉄道貨車実用化済み内航船(コンテナ積載) 実用化済み内航船(専用船)実用化済み2020 ? ? ? ?(2020) ?(2050) 耐水素脆(ぜい)化材料開発出所:CO2フリー水素チェーン実現に向けたアクションプラン研究成果報告書(平成25年度)58アナリシス_石本.indd 582016/01/12 17:24:282016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMC低圧タンク圧縮機蓄圧器ディスペンサー(含むプレクール)自動車小型水素製造装置(a)(b)集中水素製造ローリー等出所:筆者作成図7水素ステーションの方式:(a)オンサイト方式、(b)オフサイト方式ギー・産業技術総合開発機構)委託事業として2010年度から2011年度半ばまで実施された「低品位炭起源の炭素フリー燃料による将来エネルギーシステム(水素チェーンモデル)の実現可能性に関する調査研究*12」において、CO2フリー水素チェーンの商用FS(フィージビリティースタディー)を実施した。 具体的には、豪州で褐炭をガス化し、ガス化ガス中のCO2は豪州のカーボンネットでCCS処理をし、製造したCO2フリー水素を液化し、商用の専用液化水素船(大型LNG船と同じ16万?相当)で、2030年頃日本に輸入する計画である。FSの結果、日本の港着のCO2フリー水素価格(CIF〈運賃・保険料込み〉価格)は、29.8円/N?-H2と試算されている。液体水素はロケット燃料や高純度の水素ガスを必要とする産業で既に用いられているが、極低温の液化水素をエネルギー用途として大量に取り扱う大型設備のための技術開発(液化機、輸送船、貯蔵タンク、ローディングアームやポンプ類)の開発が必要である。 千代田化工建設は、有機ハイドライドをキャリアとした水素サプライチェーン構想のグローバル展開を推進している。この方式では、CCSを備えた天然ガス改質や再生可能エネルギー由来の電力を用いた水電解によって水素を製造し、水素とトルエンを反応させてメチルシクロへキサンに転換し、MCHをケミカルタンカーで海上輸送して日本に輸入し、MCHを脱水素反応によって水素を取り出す。トルエンやMCHは常温常圧で液体であり、取り扱いが容易な特徴がある。一方、MCHの脱水素反応は吸熱反応であり、低コストの熱の確保が必要となる。 当研究所では、平成21年にNEDOからの委託事業として「再生可能エネルギーの大陸間輸送技術に関する調査」で海外の再生可能エネルギー由来の電力を大陸間輸送する手段として、直流高圧送電と化学媒体(液化水素、トルエン/メチルシクロヘキサン系の有機ハイドライド)のコスト比較を行った。その結果、3,000~4,000㎞以上の距離では直流高圧送電よりも化学媒体による輸送のほうがコスト的に有利であることが分かった*13。 燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーション概念図を図7に示す。水素供給は水素を需要地で製造するオンサイト型と、需要地から離れた場所で製造し需要地まで水素を輸送するオフサイト型の二つに分けることができる。オンサイト型では天然ガスや石油などを原料に水素ステーション内で水蒸気改質等により水素を製造し、PSA(PressureSwingAdsorption)設備により不純物を取り除く工程を経て製品水素とする。その後圧縮機により圧縮されて蓄圧器に貯蔵され、ディスペンサーを用いて燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バスへ充てんされる。 オフサイト型では、化石燃料の水蒸気改質や、水電解等からの大規模設備により水素を製造し、水素ステーションまで水素を輸送する。水素の輸送技術は、高圧ガス、液体水素、有機ハイドライド、パイプラインがある。オフサイト型の水素ステーションには、水素製造設備はなく、水素を輸送するキャリアによって後段の設備が異なる。高圧ガスによって水素が供給される水素ステーションでは、トレーラーで運ばれた水素が圧縮機の低圧側に供給される。液体水素を供給する水素ステーションでは、貯槽、蒸発器を経て、圧縮機に水素が供給されるが、液化水素を昇圧してから蒸発させる方式の設備もあるので、ガス圧縮機に比べて動力を大幅に低減できる。有機ハイドライドを受け入れる水素ステーションでは、有機ハイドライドは貯槽に貯蔵され、精製設備を備えた脱水素反応器で水素が分離される。後段は高圧水素供給ステーションと同一である。 図8に現状の水素ステーションのコスト内訳を示す。これは、水素ステーション建設の補助金制度である平成25年度水素供給設備整備補助金の申請額の平均値である。59石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 592016/01/12 17:24:28エネルギー需給システムにおける水素の位置づけOGMECK YMC体高分子形燃料電池)の市場投入が開始され、家庭用の電力需要を精査した結果、現行製品では電気出力が700~750Wとなっている。SOFC(固体酸化物形燃料電池)型は、平成24年3月に大阪ガスが市場投入した後、ガス事業者等で取り扱いを行っている。都市ガスまたはLPガスが脱硫された後、燃料改質装置で水素とCO2に変換され、燃料電池で発電が行われる。未反応のオフガスは、燃料改質装置のバーナーに供給され、改質のための熱源の一部として消費される。発電の際の熱は、熱交換器を介して貯湯タンクに貯蔵される。パナソニック製のPEFC型エネファームの発電出力は0.2~0.75kW、熱出力は、0.21~1.08kWである。LHV基準では発電効率39.0%、熱回収効率56.0%と総合効率で95%となっ005販売価格(万円)350113,12982,97421049,443165149300250200150100図8水素ステーションの建設コスト累積販売台数(台)30329826024,92611,4664,9970平成21平成22平成23平成24平成25平成26年度(注)平成26年度は、12月まで。平成14年度~平成16年度の実証事業45台、平成17年~平成20年度の大規模実証3,307台の導入台数は含まない。出所:水素・燃料電池戦略ロードマップ、(一財)コージェネレーション・エネルギー高度利用センターの資料から作成図9エネファームの販売台数と価格推移60平成25年度水素供給設備整備補助金申請額の平均値(億円)0.70.60.50.6土木工事費機器工事費その他各種配管ディスペンサープレクール蓄圧機圧縮機0.3合計4.6億円出所:水素・燃料電池戦略ロードマップ(4)利用時のCO2排出がない 水素は、利用時はCO2を排出しないが、水素を製造、輸送、貯蔵する際に利用する資源によってはCO2が排出される。具体的には、水素を化石燃料から製造するとCO2が排出される。この際のCO2はCCSで大部分を回収し、大気に放出せずに帯水層や排ガス田への貯蔵が可能である。また、水素を輸送する際の燃料が化石燃料であれば、CO2が排出される。CO2排出削減を志向する場合には、製造から利用するライフサイクルにわたっての評価が必要である。 水素エネルギーシステムのLCA(LifeCycleAssessment:製品・サービスに対する環境影響評価)は国内外で実施されている*14*15。またJHFC(JapanHydrogen&FuelCellDemonstrationProject:水素・燃料電池実証プロジェクト)において、WelltoWheelのCO2排出量評価が実施されている*16。燃料電池自動車は、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車よりもWelltoWheelのCO2排出量が少なく、水素製造にCCSや電解の場合は炭素原単位の低い電源を利用することでさらにCO2排出量を減らすことができるとしている。 NEDOのプロジェクトである水素利用等先導研究開発事業でも長距離輸送を想定したエネルギーキャリアのLCAが現在進行中であり、その評価が待たれる*17。CO2フリー水素の導入については当研究所の研究会が詳細な検討を行っているので、報告書を参照されたい*18。また、最近では、環境性、経済性、社会性の評価を統合した水素エネルギーシステムの持続可能性の評価も提案されている*19。100,000120,000140,00060,00040,00020,00080,0000.51.4(5)利用時の技術が高効率①家庭用燃料電池 家庭用の燃料電池は、エネファームの名称で2009年に発電出力1,000W/機のPEFC(固アナリシス_石本.indd 602016/01/12 17:24:282016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMC(現行機)となるが、蓄電池の残量がなくなると燃料電池からの電力供給のみとなる。 現行機では、アイシン精機、東芝燃料電池システム、パナソニックの製品がオプション機能で自立コンセント方式に対応している。自立コンセント方式は、停電時には家庭用燃料電池は分電盤から切り離され、自立コンセントへ電力を供給する。製品により、標準仕様で定格700Wの半分の350Wが最大出力(オプション製品の追加により、700Wの出力が可能)となる製品と標準仕様で500Wとなる製品がある。計画停電など前もって時刻が分かる場合や、台風などで停電の恐れがある場合は、あらかじめ停止しないように設定することで、停電時に家庭用燃料電池が停止し、起動できないといった事態を回避できる。事故による停電など、予期しない停電時に家庭用燃料電池が停止している状態では、起動に外部電源が必要となる。自立コンセント方式は、低頻度の停電時にある程度の電力を供給することを目的としており、低頻度の事態への対応策であるため、可能な限り低コストにするという方針で開発されている。 蓄電池方式と自立コンセント方式を比較した場合、蓄電池方式のほうが費用は高くなるが、停電時に自動的に切り替わる、停電の際にも起動可能であるなどより多くの場合に対応することができる。コストや対応範囲に違いがあり、需要家の選好に合わせて選択されていくものと考えられる。②燃料電池自動車 平成26年12月15日にトヨタ自動車から量産型の燃料スタック燃料改質装置熱交換・水処理系インバータ、他電気系給湯ユニットその他費用(組み立て等)21%12%9%20%15%19%10%26%27%ている。 エネファームの販売台数と価格推移を図9に示す。平成21年の発売当初は300万円を超えていた価格が、徐々に低下している。例えば東京ガスが平成27年4月に発売した機種の場合、定価は160万円(税別)であるが、平成26年度の補助金制度を利用するとユーザーの負担額は、約130万円と設置工事費となる。 図10に家庭用燃料電池コージェネ(cogeneration)のコスト構造を示す。現状は、システム全体で100万円のコストのうち、スタック(燃料電池の単セルを積み重ねたもの)、燃料改質装置のコストは30%程度であり、残りの7割は熱交換・水処理、インバーター他電気系、給湯ユニット、その他の燃料電池以外のコストが占めている。NEDOの補機プロジェクト(家庭用燃料電池システムの周辺機器の技術開発、平成17~21年度)で補機のコストダウンが図られているが、今後の市場化に向けて、システム全体のさらなるコスト低減が求められている。 東日本大震災の際に実施された計画停電の際に、エネファームやエコウィルが停電時に停止し、利用できないことが報道等により広く知られるようになり、機器を販売しているガス会社等にユーザーから「停電で発電機が使えないのはおかしい」などの問い合わせが相次いだ。これを受けて各社はこれまで台風、豪雨、落雷等による停電を想定したエネファームの停電時対応機能の研究開発を加速させた。表4に燃料電池の停電対応機能を示す。 エネファームの停電対応機能は、蓄電池方式と自立コンセント方式に大別される。現行機で蓄電池に対応している製品は、東京ガス等パナソニック製の家庭用燃料電池を取り扱っている企業から販売されている。家庭用燃料電池は、起動時に水を循環させるポンプや空気を供給するブロアなどのための電力を必要とすることに加え、発電は系統電力の電圧や周波数を基準に行うため、系統電力の供給を受ける必要がある。そのため、停電によって系統電力が供給停止した場合には、自立機能のない家庭用燃料電池は運転を停止する。これに対し、蓄電池方式の場合、家庭用燃料電池が停止している場合も、蓄電池から電力が供給され起動することができる。蓄電池を併用することで、燃料電池と蓄電池を合わせ最大出力は、1.15kW10%23%8%現状見込み(現行NEDOプロジェクト成果等を含む)システム全体 約100万円技術革新見込みシステム全体 約50万~70万円出所:NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ2010図10家庭用燃料電池コージェネのコスト構造*2061石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 612016/01/12 17:24:28エネルギー需給システムにおける水素の位置づけOGMECK YMC表4燃料電池の停電対応機能項目蓄電池方式蓄電池の分、標準構成よりは高い費用可能停電時の自立燃料と水道水が供給される限り発電・給湯可能(数日間)燃料と水道水が供給される限り発電・給湯可能(数日間)自立継続時間常用・非常兼用のコンセントに電力供給自動で電力を供給可能停電時の起動出所:各社仕様から筆者作成非常時専用のコンセントに差し替える必要あり外部電源がなければ起動しない自立コンセント方式蓄電池に比べ安い可能表5燃料電池自動車の性能諸元(トヨタ ミライ)*214,890mm、1,815mm、1,535mm1,850kg4名固体高分子型3.1kW/?114kW(155PS)70MPa(約700気圧)5.7wt%122.4?(前方60.0?/後方62.4?)ニッケル水素650㎞種類体積出力密度最高出力公称使用圧力貯蔵性能タンク内容積種類全長、全幅、全高車両重量乗車定員FCスタック高圧水素タンク駆動用バッテリー連続走行距離出所:トヨタ自動車ホームページ電池自動車、ミライが発売された。その諸元を表5に示す。消費税込で723万6,000円であるが、国のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(202万円/台、平成26年度)や地方自治体の支援制度(東京都の例:101万円、平成26年度補正)で、実質的には400万~500万円程度での購入が可能な地域もある。SAE規格(J2601)に基づく充てんプロトコルにより3分で充てんが可能、約5kgの水素を搭載し、JC08モードで650㎞の走行が可能と、ガソリン車とそん色のない運用が可能となっている。また、燃料電池バスについては、日野自動車が平成28年に発売予定があり、東京都の導入支援等によりオリンピックに向けた普及が見込まれている。③発電設備 後述するように、水素・燃料電池戦略ロードマップでは、大規模な事業用の水素発電の導入が述べられている。水素は、燃料電池における利用の他、タービンやエンジン、ボイラーでの利用も行われている。水素100%で稼働しているガスタービン発電所は、イタリア電力会社Enelの12MW(隣接する石炭火力発電所への排熱供給も含めて計16MW)の水素発電所がある。水素を高濃度で含有するガスを燃料としている設備は、副生ガスまたはぎゃっかガス化炉で製造された合成ガスを用いていることが多く、さまざまな水素濃度の合成ガス、COG、オフガスを燃料とし数十万時間以上の運転実績がある*22。 水素を燃料として稼働する発電設備の一例として、表6に平成15年6月30日から運転を開始したJX日鉱日石エネルギー根岸製油所の残渣油IGCC(ガス化複合発電)の諸元を示す。このように高濃度水素燃料を対象としたガスタービンは、既に商業化されている。さらなる高濃度水素燃料や水素専焼によって、高効率の設備を実現するには、水素の燃焼特性に起因する技術課題がある。水素火(燃料の噴出速度よりも燃焼速度は燃焼速度が速く逆が速くなり、火炎がバーナー内に戻ること)しやすい、また、可燃範囲が広く着火しやすい、断熱火炎温度が高くNOxが増加するといった特性がある。したがってこれに対応するバーナーや燃焼器の構造最適化が必要になる。燃焼器には、拡散燃焼器と予混合燃焼器があり、水素が高濃度で含まれる燃料については拡散燃焼器の実績しかない。 これは、水素含有燃料の特性である、逆火のしやすさによるが、拡散燃焼は、燃焼ガス中に局所的な高温部分が生じNOxの発生が多くなるため、窒素や水蒸気の希釈材を用いて燃焼ガスの温度を下げるためプラント効率62アナリシス_石本.indd 622016/01/12 17:24:282016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMC表6JX日鉱日石エネルギー根岸製油所の残渣油IGCCの諸元*24ガス化方式燃料燃料消費量発電方式主燃料燃焼温度 排ガス温度 蒸気圧力34.2万kW(効率36%)部分酸化法残渣油(アスファルト)5万トン/月一軸型コンバインドサイクル合成ガス(主成分:CO、H2)1,350℃級(一段静翼入口)570℃9.8(高圧)/2.9(中圧)/0.7MPaG(低圧)の3系統蒸気タービン出所:JX日鉱日石エネルギー発表資料送電能力ガス化設備ガスタービン複合発電設備が低下する欠点がある。予混合燃焼器は、希薄燃焼によりNOx発生を抑制でき、希釈材を使わないためプラント効率を高められるが逆火リスクがある。 NEDOプロジェクト「革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電プロジェクト/石炭ガス化発電用高水素濃度対応低NOx技術開発」において、小型・大型ガスタービン用のマルチクラスタ燃焼器が開発され、小型用は実機での試験を終了している。100%水素燃料への対応については、このマルチクラスタ燃焼器の延長線上にあり、燃焼速度が速いため燃焼器への火炎の付着を防ぐことが必要になるとしている*23。 川崎重工業では、希釈材を用いないドライ型の中型ガスタービン向けの燃焼器を開発し、30MWのガスタービンコージェネを市場投入するとしている*25。また、NEDOプロジェクト「大規模水素エネルギー利用技術開発」では三菱日立パワーシステムズが、天然ガスと水素の混焼ができる燃焼器の試験を平成27年度から開始している*26。さらに、平成5年からのWE-NETプロジェクトでは、水素利用の究極的な姿の一つとして低位発熱量基準の発電端効率70%の閉サイクル型純水素純酸素燃焼タービンの開発が行われた*27。(6)水素の安全性について 水素に限らず、技術の普及には安全性の確保が前提となる。また、産業部門で訓練された要員が取り扱う場合と、一般市民が燃料として利用する場合の対策のあり方にも違いはあろう。水素は既に産業部門で広く用いられており、取り扱うための法令や基準も整備されている。一般に水素を取り扱う場合、高圧であること、水素の燃焼特性(最小着火エネルギーが低い、燃焼速度が速いなど)に起因する対策をとることが多いが、その利用特性に合わせた対策が必要である。水素をエネルギー用途として用いる場合、新たに水素を用いる場面が出てくることが考えられる。そのための法令や関係基準等の整備が意欲的に進められている。 当研究所では、平成21年にNEDOの事業の一環で「水素の有効利用ガイドブック」の編集を行った。冊子として関係各所に配布したほか、電子版が(一社)日本産業ガス・医療ガス協会のホームページで公開されている*28。水素の安全に関する内容だけではなく、水素の物性値も含んだ、水素の有効利用のための資料となっている。2. わが国および世界の取り組みと政策(1)日本 日本の水素・燃料電池の研究開発は、サンシャイン計画から本格的に開始され、現在に至っている。日本の水素・燃料電池関連の予算は、経済産業省とその外局の資源エネルギー庁、文部科学省、環境省、国土交通省がそれぞれ所管している。総額が最も大きく、主導的な役割を果たしているのは資源エネルギー庁の燃料電池推進室であり、その予算総額は、平成27年度予算ベースで、300億円を超える。 日本のエネルギー政策の基本的な文書であるエネルギー基本計画の現行の版は、平成26年4月11日閣議決定された。ここには、「“水素社会”の実現に向けた取組の加速」が書き込まれている。水素社会という用語は、前の版のエネルギー基本計画にも盛り込まれていたが、今回は、「水素の本格的な利活用に向けた水素発電等の新たな技術の実現」「水素の安定的な供給に向けた製造、貯蔵・輸送技術の開発の推進」によって、水素による大規模な発電、エネルギーキャリア(液化水素、メチルシクロヘキサン、アンモニア)に初めて言及し、これまでの燃料電池自動車と家庭用燃料電池の導入に将来的な水63石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 632016/01/12 17:24:29エネルギー需給システムにおける水素の位置づけOGMECK YMC2010フェーズ1:水素利用の飛躍的増大2009年 家庭用燃料電池 市場投入2020東京オリンピックで水素の可能性を世界に発信203020402015年 燃料電池自動車 市場投入2020年頃 ハイブリッド自動車の燃料代と同等以下の水素価格フェーズ2:水素発電の本格導入/大規模な水素供給システムの確立開発・実証の加速化水素供給国との協力関係構築安価な水素価格実現2020年代半ば 海外からのプラント引き渡し水素価格 30円/N?商業ベースでの効率的な水素の国内流通網拡大2030年頃 海外での未利用エネ由来水素の製造、輸送、貯蔵の本格化発電事業用水素発電 本格導入フェーズ3:トータルでのCO2フリー水素供給システムの確立2040年頃 CCSや国内外の再エネ活用との組み合わせによるCO2フリー水素の製造、輸送、貯蔵の本格化出所:水素・燃料電池戦略ロードマップ概要版図11水素燃料電池戦略ロードマップの概要表7燃料電池・水素関連の主な支援制度補助対象燃料電池コージェネレーション補助金名称平成26年度民生用燃料電池導入支援事業(国)*29燃料電池自動車購入費用平成27年度クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費(国)*30燃料電池自動車購入補助制度燃料電池自動車各種税金水素ステーション建設費水素ステーション運営費燃料電池自動車の導入促進事業(東京都)*31エコカー減税(国、地方自治体)*32グリーン化特例(地方自治体)燃料電池自動車用水素供給設備 設置補助事業*30燃料電池自動車新規需要創出補助事業(国)*30水素ステーション運営費燃料電池自動車新規需要創出活動助成事業(自動車メーカーによる基金)*33水素ステーション設備等導入促進(東京都)水素ステーション運営費出所:各団体のホームページ概要1台あたり最大30万~40万円(平成27年度)。金額は燃料電池の形式、新築・既築で異なる。機器の費用(税抜き)から従来型の給湯機の機器費(23万円)を引いた額の半分と工事費の半額が補助対象。1台あたり最大202万円税抜き価格から基準車の費用と一定年数のランニングコストを差し引いた差額の一定割合が補助対象。国の制度の1/2を補助。同様の制度が他の地自体にもある。自動車重量税免税(次回車検まで)、自動車取得税免税(購入時)自動車税減税(2年目)供給規模、方式等により補助上限、補助率が異なる。例:300N?/h以上のオフサイト方式(パッケージ型)2.5億円(定額)300N?/h以上のオフサイト方式(パッケージを含まないもの)2.5億円(上限、補助率1/2)補助対象経費(人件費、修繕費、保険費等)の2/3を補助。方式により補助上限が異なる。例:オンサイト方式1カ所、1年あたり2,200万円HySUT会員企業の運営する水素ステーションの補助対象経費(必要な人件費、修繕費、保険費等のうち、水素を供給していなかった時間帯の比率分)の1/3を補助。方式により補助上限が異なる。例:オンサイト方式1カ所、1年あたり1,100万円水素ステーションの運営費を補助。土地代の半分に加え、500万円(大企業)、1,000万円(中小企業)素利用の拡大が示された。また、「“水素社会”の実現に向けたロードマップの策定」に対応し、「水素・燃料電池戦略ロードマップ」が資源エネルギー庁の「水素・燃料電池戦略協議会」(座長:柏木孝夫東工大特命教授)、同ワーキンググループの議論を経て完成し、平成26年6月24日公開された。図11にロードマップの概略図を示す。 フェーズ1では、定置用燃料電池や燃料電池自動車の活用を大きく広げ、わが国が世界に先行する水素・燃料電池分野の世界市場を獲得する。フェーズ2では、水素需要をさらに拡大しつつ、水素源を未利用エネルギーに広げ、従来の「電気・熱」に「水素」を加え新たな2次エネルギー構造を確立する。フェーズ3では、水素製造にCCSを組み合わせ、または再生可能エネルギー由来水素を活用し、トータルでのCO2フリー水素供給システムを確立するとしている。 さまざまな技術開発の支援政策と並行し、市場投入された機器については、普及を直接的に支援する補助金等の支援制度がある。表7に燃料電池・水素関連の主な支援制度を示す。燃料電池自動車は、国からの補助、地方自治体からの補助、いわゆるエコカー減税、水素ステーアナリシス_石本.indd 642016/01/12 17:24:29642016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMCションには、建設費用、運営費用の補助がある。(2)米国 米国の燃料電池・水素技術開発は、エネルギー省(DOE)のエネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)の予算規模が最も大きく、中心的な役割を担っている。その他のDOEの部署(基礎研究、化石局、ARPA-E)でも水素関連の予算が計上されている。表8に米国の燃料電池水素関連予算の推移を示す。ブッシュ大統領(当時)の水素燃料イニシアチブの期間は年あたり3億ドルを超えたが、徐々に減少し2016年は、水素燃料イニシアチブ以前と同程度の額となっている。 水素の製造、輸送、利用技術について全方位的に研究・開発を実施しているが、主に利用が想定されるのは、運輸部門(自動車以外にもフォークリフトなどの移動体)と定置部門(例:携帯電話基地局のバックアップ電源としての利用)である。これは、燃料電池・水素の技術開発の主要な目的の一つが輸入原油の削減によるエネルギーセキュリティの向上であったことによる。 また、米国は、上記のDOEの研究開発プログラムの他、表8米国の水素関連予算推移エネルギー効率・再生可能エネルギー局化石エネルギー局原子力エネルギー局科学室144,881166,722153,451189,511206,241195,865170,29795,847101,08795,84589,5184,87916,51821,03621,51314,89120,15113,97011,3940006,2018,68224,05718,8559,6687,3405,0002,8000000.029,18332,50036,38836,48338,28438,05334,61127,46625,76919,922予算年度FY2004FY2005FY2006FY2007FY2008FY2009FY2010FY2011FY2012FY2013FY2014(注)FY(FiscalYear):財政年度出所:DOEホームページ千ドル合計155,961221,105231,044266,267267,283261,640227,320144,652128,553121,614109,440出所:SaraDillich,DOE2014AnnualMeritReviewProceedings図12米国DOEの水素製造技術別目標ロードマップ65石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 652016/01/12 17:24:29エネルギー需給システムにおける水素の位置づけOGMECK YMC廃棄・リサイクル、教育、安全 2.5高圧水素ガス輸送トレーラー 2水素ステーション水素ステーション大規模実証大規模実証 39.5 39.5百万ユーロ燃料電池の低コスト化、燃料電池の低コスト化、長寿命化、応用長寿命化、応用 25 25電解、FC製造電解、FC製造2020MW級定置用MW級定置用燃料電池燃料電池 34 34出所:FCH2JU公募資料図13FCH2 JU の予算配分(2015年公募時)表9ドイツ、イギリスの水素ステーション導入数ドイツ2015年1002020年4002030年1,0002015~2020年2020~2025年2025~2030年イギリス出所:水素エネルギー白書(ドイツ)とH2MobilityUK報告書(イギリス)より1,15065330第2段階として主要都市を結ぶ高速道路上に設置、第3段階で中小都市への展開を予定している。 イギリスでは官民協力でのUKH2Mobilityプロジェクトが実施されている。本プロジェクトでは同国にとっての燃料電池自動車の普及のメリットについて分析し、燃料電池自動車と水素ステーションの普及のためのロードマップを作成する。第1フェーズは終了し、第2フェーズで具体的なビジネスモデルについて検討、第3フェーズで実施計画、第4フェーズで実施となっている。現在は第1フェーズの報告書が公開されている。官民でFCV普及ための水素ステーション整備の障害を乗り越えるためのH2USAが組織されている。また、H2USAを技術的に支援する国立研究所(サンディア国立研究所、国立再生可能エネルギー研究所)の枠組みであるH2Firstの取り組みが開始された。 図12に米国の水素製造技術のロードマップを示す。これによれば、技術と水素製造規模に応じて達成時期が設定されている。米国の水素源は、自国資源を利用することが前提となっており、また、CO2削減も技術開発の目的となっていることから、化石燃料を利用する場合は、CCSの利用が前提となっている。ディスペンサーで水素がFCVに供給されるまでの費用も含めて2020年までに4ドル/kgを目標値としている。(3)欧州 欧州では、各国の予算による研究開発プログラムが実施されるほか、欧州連合(EU)の研究開発プログラムで燃料電池・水素技術開発が実施されている。EUの燃料電池・水素研究プログラムは、2014年からHORIZON2020の枠組みで実施されている。HORIZON2020の燃料電池・水素の技術開発は、FCH2JU(FuelcellHydrogen2JointUndertaking)という官民パートナーシップで実施している。2014年から2020年の7年間で政府・民間それぞれが半分を拠出し、総額13億3,000万ユーロの研究開発投資を見込んでいる。 図13に示すように、2015年の予算は1億2,300万ユーロであり、燃料電池の低コスト化・長寿命化・応用、電解・燃料電池製造、MW級定置用燃料電池、水素ステーション大規模実証等が大きな比率を占めている。 水素ステーションの導入は、ドイツ、イギリスがそれぞれH2Mobility、H2MobilityUKとして実施し、表9のような数値を公表している。ドイツでは現在稼働中の15カ所の水素ステーションに加えて、2015年までに50カ所の水素ステーションを整備する計画である。水素ステーション設置にはNOW(ドイツ水素燃料電池機構)から事業者に対し50%の補助が支給される。水素ステーションは第1段階として特定の大都市に集中して設置し、3. CO2フリー水素の導入に関する検討例 当研究所では、2011年から、CO2フリー水素の導入に関する自主研究を継続して行っている。現行のエネルギー基本計画の一つ前の版が閣議決定された2010年6月当時、民間企業・団体・政府等により将来の水素エネ66アナリシス_石本.indd 662016/01/12 17:24:292016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMC出所:CO2フリー水素チェーン実現に向けたアクションプラン研究成果報告書(平成25年度)図14 CO2フリー水素チェーンの絵姿水素需要量(世界)1次エネルギー源別水素製造量(世界)Mtoe1,2001,000800600400200年0水力太陽光風力低品位炭天然ガス201020152020202520302035204020452050年運輸部門純水素燃料電池コージェネ水素ガスエンジンコージェネ水素ガスタービンコージェネ直接燃焼利用発電部門Mtoe1,2001,0008006004002000200020102020203020402050出所:Y.Ishimotoetal.,AnalysisofGlobalHydrogenEnergySystemfromLowCarbonResourcestoward2050,WorldHydrogenEnergyConference2014,2014June,Gwanjiu,Korea図15世界の水素需要量と1次エネルギー源ごとの水素製造量の評価結果67石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 672016/01/12 17:24:29エネルギー需給システムにおける水素の位置づけOGMECK YMCルギー社会実現に向けて、積極的な取り組みがなされていた。しかし、当研究所は当時、CO2フリー水素がわが国に具体的にどう貢献し得るのか明確でない、また、供給側の技術開発は着実に進んではいるが、水素の大規模需要については必ずしも見通しがはっきりしていない、といった認識を有していた。 こうした背景の下、当研究所は、自主研究会「CO2フリー水素チェーン実現に向けた構想研究会」(以下、「構想研究会」)を平成23年3月から平成23年度までに計4回実施し、平成24年度からは「CO2フリー水素チェーン実現に向けたアクションプラン研究会」(以下、「アクションプラン研究会」)、さらに平成27年度より「CO2フリー水素普及シナリオ研究会」(シナリオ研究会)を主催・実施中である。 構想研究会およびアクションプラン研究会では、CO2フリーチェーン実現のための多様な取り組みを行っている。主な実施内容は、CO2フリー水素チェーンの定義、CO2フリー水素チェーンの技術成熟度評価、CO2フリー水素の許容コストの評価、統合評価モデルGRAPEを用いた世界水素需要の試算、CO2フリー水素導入の絵姿の明確化、CO2フリー水素チェーンのための技術開発プランの策定、研究成果に基づく政府への提言などである。図14にCO2フリー水素チェーンの絵姿を示す。ここでは、研究会での検討に基づき、水素エネルギーシステムで用いられる資源、技術、数量が示されている。 また、研究会の活動の一環として統合評価モデルGRAPEのエネルギーシステム分析モジュールを用いたエネルギー需給システムにおける水素需給の分析を行った。このモデルは世界を15地域に分割し、地域間のエネルギー資源の貿易を含む各地域のエネルギーシステムを取り扱い、資源量やCO2排出量の制約の下、世界全体のエネルギー需給システムをコストの観点から最適化するモデルである。このモデルに2020年からCO2フリー水素が世界で利用できるという改良を行い、2050年までの水素の需給分析を行った。世界の水素需要量と1次エネルギー源ごとの水素製造量の評価結果を図15に示す。世界全体では2020年から利用が開始され運輸部門でその多くが消費される。2050年では、コージェネや大規模発電でも用いられるという結果を得た。また、水素は、天然ガス、低品位炭、風力、水力から製造され、特に水素製造量の半分弱をCCSを備えた低品位炭のガス化が占め、風力や水力による水電解がそれに続いている。まとめ 水素エネルギーシステムは、多様な1次エネルギーの利用、電力との相互変換可能性、輸送・貯蔵性、利用する際にCO2排出がないなど電力を補完しうる2次エネルギーシステムである。エネルギー需給システムにおける役割はさまざまであるが、上記の特徴から、エネルギー効率向上、CO2削減、再生可能エネルギー導入促進、レジリエンス向上などに貢献できる。しかし、当然ながら技術ごとにその成熟度には差があり、それぞれの課題に適した技術・政策により普及の課題を乗り越える必要がある。 また、市場投入の段階にある技術も水素ならではの用途でなければ、熱・電力を供給する競合技術は多数ある。したがって、競合技術よりも水素がエネルギー・環境面等における重要課題の解決に資すると認識される場合に水素エネルギーシステムは、需要家から求められて大規模に普及するのではないか。重要課題が解決できるかどうかは、水素自身の内部要因だけでなく、水素には対処できない外部要因にも依存している。内部要因は、水素・燃料電池の技術開発による効率向上や低コスト化、受容性の向上などが考えられる。外部要因は、CO2排出規制やエネルギー資源価格の動向、競合技術のブレークスルーなどがある。気候変動対策については、本稿は国連の第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)を2015年11月末に控え、各国が自主的に決定する約束草案(INDCs:IntendedNationallyDeterminedContributions)のとりまとめレポートがUNFCCC*34から出されるなど、エネルギー・環境をめぐる外部環境の将来的な展望が見えつつある時期に執筆した。水素の普及については、これら内部・外部要因の不確実性を考慮した導入シナリオを描く必要があるだろう。アナリシス_石本.indd 682016/01/12 17:24:29682016.1 Vol.50 No.1アナリシスOGMECK YMC<注・解説>*1:*2:*3:*4:*5:エネファームパートナーズホームページトヨタ自動車株式会社 2014年11月18日プレスリリース本田技研工業株式会社 2015年10月28日プレスリリース東京都ホームページ(一財)エネルギー総合工学研究所「CO2フリー水素の実用化に向けたアクションプラン研究成果報告書(平成25年度)」(2013)IEA,ProspectsforHydrogenandFuelCells(2005)IEA,EnergyTechnologyPerspectives2012,(2012)IEA,TechnologyRoadMapHydrogenTechnologies(2015)嘉藤徹「再生可能エネルギーからの水素製造の可能性」日本エネルギー学会誌、vol.94(2015)pp.7~18.*6:*7:*8:*9:*10:FCH-JU,DevelopmentofWaterElectrolysisintheEuropeanUnionFinalReport(2014)*11:柴田善朗「再生可能エネルギーからの水素製造の経済性に関する分析」IEEJ(2015)*12:川崎重工業株式会社「低品位炭起源の炭素フリー燃料による将来エネルギーシステム(水素チェーンモデル)の実現可能性に関する調査研究」(2012)*13:(一財)エネルギー総合工学研究所「再生可能エネルギー由来の電力(グリーン電力)の大陸間輸送技術の調査研究」(2009)*14:電源開発株式会社、平成10年報告書WE-NET サブタスク3「全体システム概念設計」(1999)*15:GREETmodel,https://greet.es.anl.gov/*16:(財)日本自動車研究所「JHFC総合効率とGHG排出の分析」(2011)*17:産業技術総合研究所「トータルシステム導入シナリオ調査研究平成27年度NEDO新エネルギー成果報告会(燃料電池・水素分野)」2015年8月31日*18:(一財)エネルギー総合工学研究所「CO2フリー水素チェーン実現に向けた構想研究成果報告書」および「CO2フリー水素の実用化に向けたアクションプラン研究会報告書」(2012~2015年)*19:IEA「水素実施協定タスク36、ライフサイクル持続可能性評価」(2015~2017年〈予定〉)*20:NEDO「燃料電池・水素技術開発ロードマップ」(2010)*21:トヨタ自動車ホームページ*22:小森豊明、潮崎成弘、山上展由「ガスタービンの燃料多様化によるCO2削減対策」三菱重工技報Vol.44,No.1(2007)*23:日立製作所株式会社「革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電プロジェクト/石炭ガス化発電用高水素濃度対応低NOx技術開発報告書」(2012)*24:JX日鉱日石エネルギーホームページ*25:川崎重工業株式会社、プレスリリース2014年2月20日*26:NEDOニュースリリース、2015年6月9日(1997年)*27:(財)電力中央研究所「WE-NETサブタスク8水素燃焼タービンの開発最適システムの評価報告書」(1997年)*28:(一社)日本産業ガス・医療ガス協会ホームページ*29:(一社)燃料電池普及促進協会ホームページ *30:(一社)次世代自動車振興センターホームページ*31:東京都ホームページ*32:国土交通省ホームページ*33:HySUTホームページ*34:UNFCCC,Synthesisreportontheaggregateeffectoftheintendednationallydeterminedcontributions(2015)69石油・天然ガスレビューアナリシス_石本.indd 692016/01/12 17:24:30エネルギー需給システムにおける水素の位置づけOGMECK YMC執筆者紹介石本 祐樹(いしもと ゆうき)一般財団法人エネルギー総合工学研究所 主任研究員2003年、筑波大学大学院物理学研究科修了。博士(理学)同年、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構) 博士研究員2006年より(一財)エネルギー総合工学研究所プロジェクト試験研究部で低炭素の水素エネルギーシステムのシナリオ、コスト構造、技術評価に関する研究に従事。アナリシス_石本.indd 702016/01/12 17:24:30702016.1 Vol.50 No.1アナリシス |
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