ページ番号1006584 更新日 平成30年2月16日

メキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響

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レポートID 1006584
作成日 2016-03-22 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 基礎情報探鉱開発
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2016
Vol 50
No 2
ページ数
抽出データ JOGMEC調査部伊原 賢メキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響サマリー 1938年より80年近く国家が独占してきたメキシコの石油・天然ガス等のエネルギー開発に、民間資本を参入させるためのエネルギー改革。それがEnrique Pena Nieto(エンリケ・ペーニャ・ニエト)大統領率いる現政権が2012年12月の発足以来、取り組んできた抜本的な構造改革の一つである。 近年のメキシコにとって最大の課題であったエネルギー改革に向けた憲法の部分改正(エネルギー改革法)は、2013年12月20日、Pena Nieto大統領によって公布され、同国の石油開発事業への外資の参入機会が開かれることとなった。外資を導入するための具体策として、炭化水素法やPemex(メキシコ石油公社Petroleos Mexicanos。付録参照)法を含む2次法制は、2014年8月11日に原案どおり、メキシコ議会において成立した。同年8月13日には、Pemexが引き続き開発を行う鉱区(ラウンドゼロ)と一般競争入札(ラウンドワン)の対象予定鉱区が明らかになった。同年10月31日には、2次法制関連の25の規程の公布が続いた。 ラウンドワンの第1弾となった「浅海探鉱」は2015年7月15日に入札となり、外資の参入機会が具体化した。本稿では、2014年半ばからの原油価格下落傾向のなかで、関係者の見方も交えながら、2016年2月末時点での進捗状況を解説する。 2016年2月末時点でのラウンドワン(一般競争入札)の結果と予定の概要は以下のとおり。①浅海域(探鉱)の入札 2014年12月11日(情報公開)~2015年7月15日(入札日) Veracruz, Tabasco, Campecheの各州沿岸の浅海域14鉱区、生産物分与契約(PSC:Product Sharing Contract)(付録に用語説明) 事前資格審査(PQ:Pre-Qualification)完了企業25社(7グループ/18社)が入札の参加資格、14鉱区の内2鉱区のみ落札、27億ドルの投資が期待②浅海域(生産)の入札 2015年2月27日(情報公開)~9月30日(入札日) Tabasco, Campeche両州沖浅海の9フィールド(5エリア)、PSC、5エリアのなか2エリアが落札、30億ドルの投資と日量9万バレルが期待③陸上油田(生産)の入札 2015年5月12日(情報公開)~12月15日(入札日) 北部のNuevo Leon、Tamaulipas、東部のVeracruz、南西部のTabascoそして南部のChiapasの5州の25鉱区、9社がデータルームにアクセス、ライセンス契約(付録に用語説明)、25鉱区全てが落札、11億ドルの投資と日量7万7,000バレルが期待17石油・天然ガスレビューアナリシスC大水深(探鉱)の入札 2015年12月17日(情報公開)~2016年12月5日(入札日) Perdido地域の4鉱区とメキシコ湾南部(Cuenca Salina)の6鉱区、ライセンス契約、PQ手続き開始9社(Chevron、Shell、Total、Hess、Statoil、Atlantic Rim、ExxonMobil、BP、BHP Billiton)⑤重質油と非在来型資源 スケジュールは未定  詳細不明⑥Pemexの鉱区ファームアウト スケジュールは未定 ラウンドゼロによって、Pemexが取り置いた12プロジェクト(成熟油田、洋上超重質油田、大水深油ガス田) エネルギー省(Secretaria de Energia。以下「SENER」)発表の探鉱・採掘の5カ年計画(2015~2019年〈2015年10月22日〉)に定められた探鉱採掘事業の入札ラウンドを行い、可能な限り多くの潜在的な投資家を誘致し、原油生産の増量とそれに連動した雇用の創出がメキシコ政府の目標である。SENER、大蔵公債省(Secretaria de Hacienda y Credito Publico。以下「SHCP」)、国家炭化水素委員会(Comision Nacional de Hidrocarburos。以下「CNH」)の主導により、入札手続きは進められている。 メキシコの資源エネルギー事業の改革は、石油・天然ガスの探鉱・採掘事業など上流プロジェクトの民間企業への開放にとどまらず、中下流のプロジェクト並びに電力事業を含むエネルギー産業全般の民間セクターへの開放を意味する。 ラウンドワンは第3次入札(陸上油田)まで終了した。今後の入札を通じて、メキシコの石油・天然ガス開発プロジェクトに投資する機会が創出される見込みである。5カ年計画(2015~2019年)では、さらに、ラウンドツー、ラウンドスリー、ラウンドフォーと3件の入札ラウンドが計画されている。 経済(油価下落)・治安(麻薬取引)に不安を抱えつつも、事態の好転を目指し、メキシコ政府および国営石油会社Pemexの取り組みは慎重に進行中と推察される。1. 油田開発の課題とエネルギー改革への道(1)油田開発の課題 メキシコは膨大な石油と天然ガス資源を有し、その残存確認可採埋蔵量は原油換算で139億バレルと世界17位を誇った(2014年初。図1)。 2014年3月21日にPemexは引き続き開発を行う鉱区をラウンドゼロとして、SENERに申請した。同国の2P(確認+推定)埋蔵量262億バレルの83%にあたる217億バレルと想定資源量1,148億バレルの31%相当の356億バレルが申請対象であった。技術力や資金力の不足が見込まれる大水深油ガス資源(水深500m以深)やシェール資源については、将来の外資との共同操業(2.(2)「Pemexの鉱区ファームアウト」で詳述)を前提として申請した。 メキシコでは油田の国有化が始まった1938年3月18日から1970年代までは陸上油田からの生産が主であったが、1980年代から現在までの原油生産は洋上油田が主となり、生産量を伸ばし、累計原油生産量は400億バレルに到達している(天然ガスも含む原油換算では550億バレル)。しかし、原油生産のピッチは2003年のピーク、日量340万バレルから2008年には同280万バレルにまで落ち込み、2014年には同243万バレル(図2、図3)、2015年11月は同228万バレルとなり、以降下げ止まっている。主力カンタレル油田の減退が主因である(2004年平均日量210万バレル→2013年同44万バレル→2014182016.3 Vol.50 No.2アナリシスemexは2P埋蔵量の83%(217億バレル)と想定資源量の31%(355億バレル)をラウンドゼロの対象としてエネルギー省SENERに申請(2014年3月21日)原油換算 億バレル埋蔵量想定資源量在来型非在来型201252916426655463481506986023P(確認+推定+予想)2511778207累計生産量1P(確認)2P(確認+推定)1827062021221042014546523710550139262445堆積盆地スレステタンピコミサントラブルゴスベラクルスサビナス大水深ユカタン台地計開発・生産探鉱*2014年1月1日時点サビナスサビナス米国 大水深米国 大水深ブルゴスブルゴスメキシコ ペルディト褶曲帯の発見メキシコ ペルディト褶曲帯の発見Trion,Supremus,Maximino,Vespa,ExploratusTrion,Supremus,Maximino,Vespa,Exploratusメキシコ大水深大水深タンピコタンピコミサントラミサントラチコンテペックチコンテペックガス田油田非在来型(シェールガス)堆積盆地ユカタン台地ユカタン台地ガス発見ガス発見LakachLakachベラクルスベラクルススレステスレステカンタレルカンタレルク・マロブ・サップク・マロブ・サップ出所:Pemex資料より作成図1メキシコの石油天然ガス資源と埋蔵量の分布千バレル/日1930年代から1970年代までの原油生産は陸上油田が主。1980年代から現在までの原油生産は洋上油田が主。3,5003,0002,5002,0001,5001,0005000196019621977出所:PEP(Pemexの石油開発部門)197019721965196719751980198219851987199019921995199720002002200520072010年図2メキシコの原油生産プロファイル(1960~2011年)Pemex百万バレル/日出所:Pemex図3メキシコの原油生産プロファイル(2000~2014年)洋上油田陸上油田%年年同37万バレル(付録参照)。 SENERが2015年初に公表した原油の生産予測からは、既存油田からの生産量は2020年までに13%減少する見通しとなっている(原油生産量〈NGL/天然ガス液を除く〉は2015年日量240万バレル→2020年同210万バレル)。日量240万バレルを維持するとしても、僅か5年で、新規油田開発の成果を上げる必要がある。2028年の生産目標を同350万バレルとすれば、既存油田からの生産とのギャップは同200万バレルにもなる(図4)。 減退を続けてきた確認可採埋蔵量もようやく2011年から100%(1年間に追加された確認可採埋蔵量=1年間の生産量)を上回る回復を見せてきたが、新規の油田発見よりも既発見の3P埋蔵量(確認+推定+予想)から1P埋蔵量(確認)への組み換えに過ぎないとの厳しい指摘もある。 2015年1~10月の石油販売による国家歳入は、2014年の同時期と比べて38%減の394億6,900万ドルになった、と2015年12月1日にSHCPは発表した。その主因は、2014年に比べ石油生産量が7.6%、天然ガス価格が33.6%それぞれ低下したことにある。しかし、2015年メキシコ政府は、油価を76.40ドル/バレルにセットした石油ヘッジプログラム(2014年に7億7,300万ドルを支払い、2014年12月1日~2015年11月30日までの原油取引のうち2億2,800万バレルが対象)により、2015年12月に19石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響S万バレル/日出所:SENER年図4メキシコの原油生産予測(2015~2028年)・ 石油・ガスの探査・採掘において国が民間企業と契約を締結する際は、地域住民との協議・監査の下で実施。石油基金の創設とPemex取締役会からの石油労組排除も特筆。 エネルギー改革法は2次法制の整備が必要となり、国会審議を経て、2014年8月11日に成立した。その後、法整備や外国企業の体制準備を経て、2015年に外国企業がメキシコのエネルギー分野に参62億8,400万ドルを受け取った。また、メキシコ原油が27ドル/バレルで取引される現状では、2015年の在外労働者の送金は石油収入を上回る見込みである。 一方で、非石油製品の税収は伸び、全体で28.1%増えた。特に大きな増加を示したのは、生産・サービス特別税(241%)、関税(27.6%)、所得税(23.8%)であった。結果として2015年の歳入は、1~10月の期間については2014年比で2%増加したが、財政収支を見ると、2014年の赤字は261億3,200万ドルよりも多く296億200万ドルとなった(付録「●メキシコの石油・天然ガス概況」参照)。(2)エネルギー改革への道 メキシコは1938年の油田国有化宣言以降、Pemexが国内で民間企業と共同で事業を行うことを禁じてきた。採掘技術や資金の流動メカニズムを向上させるために民間企業と手を組むことは世界的に行われており、Pemexはそれができない数少ない石油公社であった。 2013年12月に公布されたエネルギー改革法のポイントは次の4点である。・ エネルギー改革により、Pemex単独では採算が見込めず、これまで行われてこなかった大水深油田やシェールオイル・ガスの開発が進むと期待。・ 国家債務を増加させることなく投資資金や最先端技術を調達することで、埋蔵量の増加や、国際的経済競争力の引き上げに貢献。・ 大統領は地下に埋蔵する炭化水素の所有権は国有のまま維持し、国家主権を強化すること、透明性を保証することを強調。ライセンス契約やPSCが想定(付録参照)。ひ入できることとなった。 原油生産の減退やPemexの責任の大きさ、また、その財政的・技術的な課題に対処するためには外国企業の技きつ術導入やリスクの共有が必要であり、外国企業を惹けるPSCの導入が期待されたのである。石油契約上の経済条件(原油価格リンクの期待報酬)や埋蔵量の財務諸表への資産計上が可能となるからだ。また、Pemexの操業や財務能力の向上を前提とした一層の独立性を確保するための措置が採られたものの、Pemexの生産減少に伴い政府収入(政府歳入の30%程度)も減少している(図5)。 Pemexの投資の判断も政府の意向に左右されるような構造であったが、改革によりPemexは海外の国営石油会社と同様な会社(例えばブラジルのPetrobras、コロンビアのEcopetrol)への移行が期待される。新しい体制の下ではPemexは政府から独立した形となり、必要に応じて子会社を設立し、民間の石油会社とパートナーを組む形になる。その場合、政府との契約主体にはPemexがなることもあれば、民間石油会社がなることもある。 生産原油の所有権については、サービス・利益分配契(付録参照)が国家に帰属、生産物分与・ライセンス契約約においては、契約の内容により石油会社への帰属となるが、地下に埋蔵された石油の所有権については国家に帰属することは変わらない。新しい組織体制の下では、新しい組織の設立、新しい役割の付与が行われる。ここで、「原油」とは人為的に地下から取り出され、精製される以前の油を指す。 SENERは、案件ごとにサービス契約やPSCといった外資導入形態のデザインを担う。CNHは地質情報等の技術情報の取りまとめ、入札の実施や契約の署名、契約の管理を担当する。また、SHCPは会計条件を設計し、202016.3 Vol.50 No.2アナリシス寃yソ兆ペソサービス契約や利益分配契約の際には国が市場のマーケティングをサポートする。石油開発による政府の歳入、契約への対価支払い等は石油基金が執り行う。 この改革で重要な点は、今後、Pemexはメキシコ政府の収入源の確保に責任を負わなくなることにある。政府が必要とする財源は、政府自らが契約を締結、管理、運営して確保する。短期的には政府の財源は引き続きPemexの石油生産分からの収入に依存することになるが、長期的には他の石油会社による生産からの財源が増えていくことを期待している。(注)1ペソ≒6円出所:SHCP(3)油田の探鉱開発の5カ年計画(2015~2019年)・ 2015年10月22日公表。・ 5カ年計画は、毎年第3四半期中に翌年の入札情報の変更・調整・追加等の評価がなされ、遅くとも9月30日までにSHCPに提出。・ 5カ年計画の評価のツールとして、SENERは各企業から業界と州政府に対するアンケートを活用。・ ラウンドゼロ:Pemex単独での実施が承認(Pemexへの割り当て)、およびPemexのファームアウト(民間企業へのファームアウトを義務付け)。非石油関連収入石油関連収入うちPemex全体の約3割年図5メキシコの歳入内訳・ ラウンドワン~ラウンドフォーは、国が管理し、入札を実施。・ 想定資源量(Potential Resources)1,050億Boe(石油換算バレル)、23万5,070 ?、計333鉱区。・ 237カ所の開発鉱区の入札を検討(陸上169、浅海39、超重質油13、チコンテペック12、〈水深500~1,500mの〉深海4)。・ 72カ所の在来型の探鉱鉱区(陸上26、浅海17、深海29)。深海29鉱区の内訳は、ラウンドワン6、ラウンドツー9、ラウンドスリー6、ラウンドフォー8。・ 24カ所の非在来型の探鉱鉱区(内訳は未定)。2. ラウンドゼロの進捗(1)Pemexへの鉱区割り当て 2014年8月13日、Pena Nieto大統領の2次法制の署名式での演説のとおり、SENER、CNHおよびPemexは、ラウンドゼロの結果とラウンドワンの対象予定鉱区を公表した(図6)。 2014年8月、Pemexはメキシコ全体の2P(確認+推定)埋蔵量の83%(申請の100%)、想定資源量の20.4%(申請31%、結果として申請の66%が認められた)の保持を認められ、面積9万?、石油換算で2P埋蔵量206億バレル、想定資源量234億バレルを保持することになった(表1、図7)。ラウンドゼロではPemexが今後15年以上、石油換算で日量250万バレル程度を維持するために、保持したい鉱区はほとんど認められた形である。(2)Pemexの鉱区ファームアウト ラウンドゼロによってPemexによる保持が認められた資産のうち12プロジェクトについては、Pemexがファームアウトすることによって民間企業とのパートナーシップを結成して開発する。このファームアウトによって推進する12プロジェクトは、成熟油田、洋上超21石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響o所:SPE(The Society of Petroleum Engineers:世界石油工学者協会)図6SENER公表のラウンドゼロとラウンドワン鉱区重質油田、大水深ガス田、大水深油田(ペルディードエリア)の新規発見の4種類に大別される(表2)。これらの鉱区は早期に成果が現れるよう特に重視されており、ラウンドワンのなかでファームアウト案件として取り扱われることが明らかになった。(3)既存契約の新規契約への移行 表3に示す南部地域Poza Rica Altamiraや北部地域Burgosをカバーする22の既存契約(CIEP: Integrated Exploration and Production Contract〈統合探鉱開発契約〉とCOPF: Financed Public Works Contract〈財政公222016.3 Vol.50 No.2アナリシス\1認可された2P(確認+推定)埋蔵量と想定資源量の内訳認可量(石油換算百万バレル)認可/申請(%)面積(?)埋蔵量/生産量(年)20,58923,447(18,222)(5,225)1006770.951.617,01072,897(64,489)(8,408)15.5タイプ/エリア2P埋蔵量(石油換算百万バレル)想定資源量(石油換算百万バレル)20,58911,37411,2381368,8194,3793,556425459397-397-18,2227,4727,472-5,9135,371--5424,8373,0131,8245,22520,59023,4472P埋蔵量想定資源量 在来型 非在来型在来型浅海南東部北部陸上南部チコンテペック(Chicontepec)ブルゴス(Burgos)北部大水深ペルディード(Perdido)ホロックハン(Holok-Han)非在来型計出所:CNH, SENER出所:SENER図7SENER公表のラウンドゼロ鉱区23石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響\2Pemexの鉱区ファームアウト区分鉱区2P埋蔵量(石油換算百万バレル)投資額(十億米ドル)成熟油田(陸上)Rodador, Ogarrio, Cardenas-Mora, Samaria成熟油田(洋上)Bolontiku, Sinan, Ek-Balam超重質油(洋上)Ayatsil-Tekel-Utsil(API度10未満)大水深(ガス)Kunah-Piklis大水深(油)ペルディードTrion, Exploratus, Maximino出所:Pemex、2015年10月6917707502961,0074.09.210.98.127.0表3新契約に変更される既存契約(CIEP、COPF) 上:第1弾/下:第2弾Boe(石油換算バレル)、M(千)、MM(百万)、BD(バレル/日)、CFD(立方フィート/日)、USD(米ドル)AssetArea#ContractOperatingYearsArea?P2ReservesMMBoeP3ReservesMMBoeResourcesMMBoe 1Cinco Pres Magallanes2Bellota JujoSantuarioAltamira3APRAArenque4APRAPanuco5APRA6APRASan AndresTierra Blanca7APRANejo8BurgosOlmos9BurgosMision10Burgos11APRAEbanoTOTALAssetArea#1Burgos2Burgos3Burgos4Burgos5ATG6ATG7ATG8ATG9ATG10ATG11SamariaPirineo*Cuervito*Fronterizo*Monclova*AmatitlanMiahuapanMiquetlaPitepecHumapaSoledadCarrizo**TOTAL2.72.71.81.61.81.81.87.310.510.610.91691301,6252,0351,8392093581,1653581,9721,58411,444364166629202363213684056993-41-1382375316044-45-81-56-1,08313994132100371,276ProductionTo May 2014OilGasMBDMMCFD10400800210311003457.48.02.15.41.63.21.49.90.00.00.339InvestmentMMUSD20132014?2015133133722153311771036021081795752,6281382005024115586137450201102491,836ContractOperatingYearsArea?P2ReservesMMBoeP3ReservesMMBoeResourcesMMBoe9.310.610.67.3000.70.100.72.43,8402312313,358230128112230128125138,62611583133688819544026017961,63916-68-35-4-9292792241,04950329151-3,44925210186252157128976-ProductionTo May 2014OilGasMBDInvestmentHistoryMMUSDMMCFD24.330.626.617.90.1-0.4-2.5-0.1-2.1-8.1--11300.650.4100.10.30.90.11.13.4-7525.5311.1270.4490.61,598*Oil production is referred to the production of condensed**Suspended 出所:CNH, SENER共事業契約〉)について改革を反映した内容の新契約へと変更される。これら新契約への移行は、入札には付されない。 移行の意義は、石油天然ガス法と石油天然ガス歳入法が定める新しい規定のメリットを、Pemexの契約相手方が享受できるようにすることである。SENERが新契約締結のための実用ガイドラインを承認し、SHCPが経済的諸条件を承認することになっている。242016.3 Vol.50 No.2アナリシス. ラウンドワンの進捗 ラウンドワンには、短期の石油・天然ガス生産量の増加、新規埋蔵量の追加が期待されている。SENERの当初案(2014年8月)では169鉱区が入札の対象となった。うち109鉱区が探鉱、60鉱区が生産段階にある。対象鉱区には浅海、重質油、チコンテペック/非在来型資源、陸上成熟油田、大水深を含む。SENERはそのホームページに特設サイトを創設し、対象となる169鉱区を発表している(表4-1、表4-2、図8)。 2016年1月末時点でのラウンドワンの結果と予定の概要を表5に示す。 入札公開後にデータルームがオープンされ、同時にデータパッケージも販売される。Pemexの手元にあるデータは、全てCNHに移管された。入札とその評価はCNHが実施する。民間は、相対交渉によりPemexとのパートナリングは可能となるが、その権益取得には入札プロセスを経る必要がある。なお、PemexとのMOU(Memorandum of Understanding)による便宜は図られない。(1)浅海探鉱入札説明会 2014年12月11日、ラウンドワンの浅海域(探鉱)入札に関する説明会がSENERの主催で実施。概要は以下のとおり(図9)。①浅海域(探鉱)入札全体に関する概要・ 大水深、非在来、超重質油、成熟油田、浅海域等それぞれの入札をまとめて「ラウンドワン」と称するため、今回の浅海域の入札はラウンドワンの最初の入札(Primera licitacion de Ronda Uno)と呼称する。・ 入札のベース(Base de licitacion)とは、「必要条件・プロセス・期間」を調整するもの。・ オペレーター会社としての入札参加条件: ⅰ.2010~2014年の間に少なくとも3件の探鉱開発プロジェクトへの参加実績、または、1~2件の10億米ドル規模の大型プロジェクトに参加経験を有する。 ⅱ.浅海に関する具体的な知識の提示。 ⅲ.10年以上の専門知識のある従業員を雇用。 ⅳ.5年以上の安全・環境保護に関する知識を有する。25石油・天然ガスレビュー表4-1ラウンドワン対象鉱区の2P(確認+推定)埋蔵量と想定資源量の内訳 想定資源量想定資源量2P埋蔵量想定資源量2P埋蔵量想定資源量想定資源量大水深ペルディード大水深南部チコンテペック、非在来型陸上、浅海、重質油非在来型出所:CNH, SENER石油換算百万バレル鉱区数169の内訳1,5913,2222,6718,9271,1117241421117286232118表4-2ラウンドワン対象鉱区の2P埋蔵量と想定資源量の内訳:探鉱/開発、在来型/非在来型鉱区のタイプ在来型 陸上 チコンテペック 浅海 重質油 大水深非在来型TOTAL鉱区数出所:CNH, SENER開発2P埋蔵量探鉱想定資源量石油換算 百万バレル石油換算 百万バレル3,782612,671293757--3,782605,537--724-4,8139,06914,606109 ⅴ.経済面では2オプションを提示。  1) 1社につき最低10億米ドルの資金を有する。また、コンソーシアムを組む場合、各社合計で当該金額に達し、かつ、3社を超えない。  2) もしくは、6億米ドルの資金を有するオペレーターが参加実績を有する。また、100億米ドルを上回る全活動が実績を有する。 ⅵ.オペレーター会社は、コンソーシアム内に3社のうち1社は経済的参加の会社を含めなければならない。 ⅶ.14ブロックのうち、入札できるのは5ブロックまで。・ コンソーシアム ⅰ. 1社で、二つ以上のコンソーシアムに参加することはできない。 ⅱ.大規模企業(日量石油換算160万バレルを生産)に関する規定として、浅海域の入札にはコンソーシアムを組んでの参加は不可。1社として入札で競合メキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響o所:SENER図8SENER公表のラウンドワン鉱区表5ラウンドワンの結果と予定の概要(2016年2月末)①浅海域(探鉱)の入札2014年12月11日(情報公開)~2015年7月15日(入札日)Veracruz, Tabasco, Campecheの各州沿岸の浅海域14鉱区、生産物分与(PS)契約(付録参照)PQ完了企業25社(7グループ/18社)が入札の参加資格、14鉱区の内2鉱区のみ落札、27億ドルの投資が期待②浅海域(生産)の入札2015年2月27日(情報公開)~9月30日(入札日)Tabasco, Campeche両州沖浅海の9フィールド(5契約)、PS契約、5エリアのなか2エリアが落札、30億ドルの投資と日量9万バレルが期待③陸上油田の入札2015年5月12日(情報公開)~12月15日(入札日)北部のNuevo Leon、Tamaulipas、東部のVeracruz、南西部のTabasco、南部のChiapasの5州の25鉱区、9社がデータルームにアクセス、ライセンス契約(付録に用語説明)、25鉱区全てが落札、11億ドルの投資と日量7.7万バレルが期待④大水深(探鉱)の入札2015年12月17日(情報公開)~2016年12月5日(入札日)Perdido地域の4鉱区とメキシコ湾南部(Cuenca Salina)の6鉱区、ライセンス契約、PQ手続き開始9社(Chevron、Shell、Total、Hess、Statoil、Atlantic Rim、ExxonMobil、BP、BHP Billiton)⑤重質油と非在来型資源スケジュールは未定詳細不明⑥Pemexの鉱区ファームアウトスケジュールは未定ラウンドゼロによって、Pemexによる保持が認められた12プロジェクト(成熟油田、洋上超重質油田、大水深油ガス田)出所:CNH, SENER〈第1回目〉2014年12月15日~2015年2月25日。データ室に関する明確化。 データ室の開設:2015年1月15日~7月14日の6カ月(アクセス申請は2014年12月15日~2015年2月25日)間。〈第2回目〉2014年12月15日~2015年3月15日。PQに関する明確化。 PQ書類の受け付け期間は2014年12月15日~2015年3月31日。内容の確認は2014年12月15日~2015年4月23日。〈第3回目〉2015年1月15日~6月15日。提出・入札・落札と契約に関する明確化。すること。ただし、浅海域以外での入札ではこの限りではない。・ スケジュール 3回の明確化ステップを挟み、その間、PQや契約書に関するさまざまな調整等を実施。 入札に関する情報(必要条件、スケジュール、PQ、契約書等)は、全てwww.ronda1.gob.mxで公示され、今後、CNHのコミッショナーは、企業との直接の連絡、面談等を一切禁止とする。262016.3 Vol.50 No.2アナリシスC生産浅海探鉱2015年7月15日のラウンドワンの浅海探鉱入札で落札されたエリア出所:CNH図9CNH公表のラウンドゼロとラウンドワンのエリア②浅海域ブロックに関する概要 ⅰ.浅海の14ブロック、116~500?(合計4,222?) ・ PQプロセスを開始した会社:34社 ・ PQプロセスを通過した入札資格者:18社と7コンを入札。ソーシアム ⅱ.ナショナルコンテンツの割合は図13参照。 ⅲ.契約期間は25年、認められた場合にのみ5年+5年、最大で10年の延長が可能。  ・ 探鉱段階:初期段階で3年、2年延長して最大で5年。  ・ 開発段階:22年まで。探鉱段階で商業レベルの発見があった場合、開発プランを提出。その際、EOR(Enhanced Oil Recovery:採油増進法)の必要が認められれば最大で10年の延長が可能。 ⅳ.14ブロックで36カ月以内に26探査井の掘削を約束。 ⅴ.最低作業計画(Minimum Work Program: MWP):2,760万~6,980万ドル2015年7月15日のラウンドワンの浅海探鉱入札で落札されたエリア 2014年12月11日の入札説明会から入札日までのCNHへのコンタクト状況 ・ 関心を示した会社:49社 ・ データルームへのアクセスを申請した会社:41社 ・ データルームへのアクセスが認められた会社:39社    18社(Atlantic Rim, BHP Billiton, Chevron, Cobalt Energia, CEPSA, ExxonMobil, Hess, Hunt, Lukoil, Maersk, Marathon, Nexen, ONGC, Pacific Rubiales, Pemex, Plains Acquisition, Statoil, Total)    7コンソーシアム(①BG Group Mexico, Galp Energia; ②Eni, Casa Exploration; ③Murphy Oil, Petronas; ④Pan American Energy LLC, E&P Hidrocarburos y Servicios; ⑤Talos Energy LLC, Sierra Oil & Gas, Premier Oil; ⑥Tullow, Petrobal; ⑦Diavaz Offshore, Woodside Energy Mediterranean, Pluspetrol) CNHは2015年6月9日、浅海域PSCの最終モデルを発表(付録参照)。入札結果 2015年7月15日(メキシコ時間午前8時から)浅海域(探鉱)の入札状況が、CNHのホームページにおいて生中継された。27石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響\6浅海域(探鉱)の入札結果1400NONONONONO2400NONONO55.991054.555NONONONO3400440054006400NONONONONONONONONONONO20.005NONONONONONONONONONO35.00535.005NONONONONONONONONONONONO落札者なし落札者なし入札者なし落札者なし740082509400104001125012250132501425065.0086(加重値:63.136)57.0020(加重値:53.536)NO68.9910(加重値:63.672)65.1115(加重値:60.535)NO27.266NONOGas1  Sierra Oil &   Premier Oil   Talos Energy2 Statoil E&PNONONONONONONONONONONONONONONONO20.005NONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONONO入札者なし入札者なし入札者なし入札者なし落札者なし入札者なし入札者なしエリア番号Minimum value of the participation of State in operating profit (%)Increase percentage in the minimum work program established (%)Statoil E&P Mexico, S.A. de C.V.(ノルウェー)Eni International B.V.(イタリア)CASA Exploration, L.P.(米)ONGC Videsh Limited(インド)Sierra Oil & Gas, S. de R.L. de C.V.(メキシコ)Talos Energy LLC(米)Premier Oil PLC(英)Hunt Overseas Oil Company(米)Atlantic Rim Mexico, S. de R.L. de C.V.(米)NOE&P Hidrocarburos y Servicios, S.A. de C.V.(アルゼンチン)Pan American Energy LLC(アルゼンチン)Murphy Worldwide, Inc.(米)Petronas Carigali International E&P B.V.(マレーシア)Cobalt Energia de Mexico, S. de R.L. de C.V.(米)NONONO123456789結果Gas1  Sierra Oil &   Premier Oil   Talos Energy入札者なし2 Hunt出所:JOGMECメキシコ事務所・ PQ取得会社25社、入札への参加は9社。・ 最終的にプロポーザルを提出したのは、コンソーシアムを1社として以下の7社。  ?Hunt  ?ONGC  ?Statoil  ?コンソーシアム②(Eni, Casa Exploration)  ?コンソーシアム③(Murphy Oil, Petronas)   ? コンソーシアム④(Pan American Energy LLC, E&P Hidrocarburos y Servicios)   ? コンソーシアム⑤(Talos Energy LLC, Sierra Oil 場合、国は、より高い割合で受け取ることになる。・ 契約期間30年、5年延長可のPSC。CNHの承認が得られれば、開発計画、年間作業計画、予算に変更を加えることができる。契約期間に埋蔵量や地質構造の評価期間2年を含む。・ エリア3、4、6、12は、SHCPの設定した最低価値(Minimum Value。付録に詳細説明)を下回ったためオファーは棄却。入札者なし8エリア。結果12エリアで落札者なし。・ 今回の2件の落札案件で27億ドルの投資が見込まれる。・ CNHのZepeda委員長が「期待よりも低い」との趣旨を& Gas, Premier Oil)表明。・ 14エリア(鉱区)中、落札:2エリア(エリアの位置は図9に記載)、詳細は表6。落札されたエリア2とエリア7の落札者は、ともにコンソーシアム⑤Talos Energy LLC(米), Sierra Oil & Gas(メキシコ), Premier Oil(英)であった。・ 落札案件における国家の取り分は、エリア2が55.99%、エリア7が68.99%。ロイヤルティ、炭化水素の探鉱・採掘の税金などを付加すると74%と83%が国家の収益。・ 契約は累進課税方式を採用しているため、原油価格が高騰したり、予想よりも多い石油やガスが発見された入札結果の考察 国内外の7社から合計11件のプロポーザルがあった。これよりも多くの参加者、それも参加だけではなくプロポーザルまでの提出があればよかったが、原油価格下落が各企業のキャッシュフローに影響を与えてしまった。 PQ取得会社が25社あったにもかかわらず、入札への参加は9社のみであった(表6)。Cobalt Energia(米)とAtlantic Rim(米)に至っては、全てのブロックについて入札辞退のレターを提出するためだけにイベントに参加したと言える。エリア3、4、6、12は、SHCPの設定し282016.3 Vol.50 No.2アナリシスス最低価値を下回ったためオファーは棄却、最終的に12ブロックが落札者なしという結果に終わった。落札されていないブロックに関しては、将来のラウンドで再び入札を行う可能性がある。 メキシコ政府は、今後を見据え改善点を特定するために、今回の入札の条件とその結果について詳細な分析を行う予定とした。改善点としては、落札案件における国家の取り分などの契約条件の見直し、輸送インフラの利用条件の整備が挙げられた。〈参考〉入札結果を踏まえたZepeda委員長による記者会見概要流れ ラウンドワンの五つの入札のうち、一つ目が終わった。14エリアのうち2エリアが落札、4エリアは落札該当者なしという結果は、ラウンドワンのスタートとして期待していたような大きな推進力、ダイナミックなものではなかったが、透明性は完璧なものである。フェーズ(データ室、PQ、提出/入札/落札/契約)に分けた手続き、データ室の開設、CNHのホームページを通したクラリフィケーション(Clarification:透明性)などの面において着実な一歩であったことは確かである。ラウンドワンは今後、まだ四つの入札が控えているので、ラウンドワンの最終的な評価を下すのは尚早であると言える。今回落札されたエリア2、エリア7に関して、それぞれ55.99%、68.99%のオファーで落札された。これは課税する前の率であり、炭化水素収入法に基づいた諸々の税金契約料(探鉱および採掘の操業税、ロイヤルティ)などが加味されて、74%(エリア2)、83%(エリア7)が国家の利益となる計算である。Q1:14エリアのうち2エリアしか落札がなかったのは何が悪かったのか?A1:さまざまな側面が影響している。その一つに、現在の石油価格の低迷も原因に挙げられる(今回のラウンドは、石油価格を基に大蔵公債省〈SHCP〉において最低価値を設定したのではない)。Q2:今後の入札の調整、最低パーセンテージ等の変更、検討はあるのか?A2:9月30日に入札予定のラウンドワン-2(浅海生産)に関しては、現在のところ変更はない。ラウンドワン-3(12月15日入札)以降につい   ては、内容の検討が必要かどうか、今後判断するつもりである。Q3:政府(国家)の取り分が74~83%という数字は大き過ぎないか?A4:世界水準で見ると高すぎる数字ではない。(2)浅海域(生産)入札説明会 2015年2月27日、メキシコ政府は浅海域(生産)に関する新たな入札を実施すると発表した。全部で169区画を対象とするいわゆる「ラウンドワン」の第2フェーズの枠組みにおけるもので、石油採掘に関する5件の入札が行われる。2014年12月11日に続くこの入札を通じて、今後3年間に44億7,800万ドルの投資が実行されると見込まれる。今回の入札対象は、メキシコ南東部Tabasco, Campeche両州沖浅海の281?の鉱区で、原油換算6億7,100万バレル相当の炭化水素資源が埋蔵されていると試算される(表7)。鉱区位置は図9参照。1社あたりの最大入札鉱区数5の制限は外された。PQプロセスを通過した入札資格者は14社であった。 Coldwellエネルギー大臣名義のコミュニケによると、入札が行われる5件が全て落札されると、メキシコにおける原油生産量は日量平均12万4,000バレル増大するとしている。また、5件全ての鉱区について、埋蔵量に関する認証が済んでいる上に、既に「開発段階にあって予備探鉱が必要ない」ことから、地質的リスクが低いとされる。なお、これらの新鉱区全てが極めて魅力的である。メキシコで最も豊かな南東部の海底盆地にあるからである。 国際原油価格は2014年にバレルあたり100ドルから50ドルに下落したが、そのような環境下でも、石油産出にかかるブレークイーブンコストはバレルあたり約20ドルと想定しているので、メキシコのエネルギー改革は勢いを失わない、とColdwellエネルギー大臣は力説した。だが改革が始まると同時に、メキシコ財政は国際価格の劇的下落という波にさらされた。そのためメキシコ政府は2015年1月にGDPの0.7%に相当する85億7,200万ドルの歳出削減を実施した。このなかにはPemex向けの予算41億5,300万ドルも含まれていることから、まだ始動していない複数のプロジェクトが影響を受けると予想された。特にリスク度が高い大深海鉱床の開発が遅れると言われた。29石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響\7ラウンドワンの浅海生産鉱区の埋蔵量MMB(百万バレル)、BCF(十億立方フィート)(注)上の5フィードには生産履歴なし。ラウンドゼロでPemexが保持しなかった2P埋蔵量の17%のカテゴリーに入る。出所:CNH表8浅海域(生産)の入札結果235.90NO61.000(加重値:54.900)70.00100(加重値:68.000)NONO65.0010(加重値:60.081)エリア番号Minimum value of the participation of State in operating profit(%)Increase percentage in the minimum work program established(%)1DEA Deutsche Erdoel AG(ドイツ)2Statoil E&P Mexico, S.A. de C.V.(ノルウェー)3Pan American Energy LLC(アルゼンチン)E&P Hidrocarburos y Servicios, S.A de C.V.(アルゼンチン)4Eni International B.V.(イタリア)567Petronas Carigali International E&P B.V.(マレーシア)Galp Energia E&P B.V.(ポルトガル)Fieldwood Energy LLC(米)Petrobal S.A.P.I de C.V.(メキシコ)Talos Energy LLC(米)Sierra Oil & Gas, S. de R.L. de C.V.(メキシコ)Carso Oil & Gas, S.A. de C.V.(メキシコ)Carso Energy, S.A. de C.V.(メキシコ)8Lukoil Overseas Netherlands B.V.(ロシア)9CNOOC International Limited(中)(加重値:55.629)(加重値:59.40)68.2334(加重値:64.322)83.7533(加重値:78.247)(加重値:52.714)(加重値:43.200)134.8061.8166.0000800057.0048.0075.1054.6046.7311(加重値:43.715)63.8411(加重値:59.114)(加重値:67.590)NO50.150(加重値:49.140)(加重値:45.135)330.20NONONONONONONONONO433.70NONONONONO74.000(加重値:66.600)NONONO535.20NONONONONONONONONO結果1 Eni International2 Lukoil1  Pan American   E&P Hidrocarburos Energyy Servicios2  Fieldwood Energy  Petrobal S.A.P.I入札者なし1  Fieldwood Energy  Petrobal S.A.P.I入札者なし出所:JOGMECメキシコ事務所入札結果(表8)・ 5エリア(9フィールド)が入札対象で、最低価値は事前に公表。・ PQ取得会社14社。9月30日にプロポーザルを提出したのは9社(個別5社、コンソーシアム4グループ)。エリア1,2,4は落札者あり(計3エリア、5フィールド)。エリア3,5は落札者なし。 エリア1: Eni International B.V. エリア2: Pan American Energy LLC, E&P Hidrocarburos y Servicios, S.A de C.V. エリア4:Fieldwood Energy LLC, Petrobal S.A.P.I de C.V.302016.3 Vol.50 No.2アナリシス@ エリア1はAmoca, Mizton, Tecoalliという3ブロックから構成される地区で、総面積は68?。エリア2はHockiブロックの42?。エリア4はPokochとIchalkilの両ブロックから成る区域で、広さは58?。  エリア1は11月30日にメキシコ政府とEni International B.V.との契約が成立した。10億米ドルの投資が期待される。・ 落札案件における国家の取り分は、エリア1が83.75%、エリア2が70%、エリア4が74%。ロイヤルティ、炭化水素の探鉱・採掘の税金などを付加すると、エリア1:90%、エリア2:82%、エリア4:84%が国家の取り分となる。・ 契約期間25年、5年の延長可のPSC。CNHの承認が得られれば、開発計画、年間作業計画、予算に変更を加えることができる。契約期間に埋蔵量や地質構造の評価期間2年を含む。最低作業計画は4,990万~9,970万ドル。・ 「浅海域(探鉱)の入札」からの変更点は次の2点。・ コンソーシアムによる応札ルールの柔軟性向上:応札した民間企業のなかでオペレーターを務める民間企業は、単独応札者の資格で、当該鉱区とは別の鉱区についても応札が認められるようになった。・ 仮に応札したコンソーシアムからオペレーター企業が脱退した場合に、残ったメンバーがPQをパスした他の応札者に参画するか、または同じくPQをパスした新しいオペレーターの加入を要求できる余地を残した。入札結果の考察 ラウンドワンの浅海域(生産)の入札結果を受け、メキシコ政府は同日、今回の入札は「成功」であり、またPena Nieto大統領が推進してきたエネルギー改革が世界的にも認知され前進している証しであるとの見解を示した。入札後の記者会見で、Zepeda委員長は、「第2次入札の成功は、エネルギー改革そのものの成功である」と表現し、また同席したエネルギー省のMelgar炭化水素担当次官は「原油価格が下落している国際的状況のなかでも、メキシコの資源が投資家たちにとって強い関心を引き付けていることが証明された」と述べている。 メキシコ政府は、現政権の任期が満了する2018年には今回落札された鉱区での生産が開始できると見込んでいる。これら3鉱区への総投資額は30億ドルに及び、また全体の炭化水素資源生産量は、ピーク時に日量およそ9万バレルに達すると予想される。〈参考〉入札結果を踏まえた記者概要Zepeda委員長: 今回の入札の結果はとてもよかった。とても満足している。われわれが第1の公約としているプロセスの透明性は絶対的なものであった。今回の入札には個別、コンソーシアムを含め9社の参加があり、15の有効なオファー、そのうち3エリア(入札の60%)=6油田(入札の67%)が落札された。9油田の3P埋蔵量の70%、2P埋蔵量の77%にあたる。MelgarCNH担当次官: 今回の入札プロセスも完全な透明性のなかで行われ、結果に大満足である。これにより、2018年には生産を開始することができる。メキシコにとってよいニュースと言える。落札された3エリアの油田の生産は、ピーク時で9万バレル/日を見込んでいる。今回の入札で重要な点は、次第に国際的になってきており(伊、米+メキシコ、アルゼンチン)、外国資本がメキシコ投資に興味を持っていることを示している。現在の低油価の状況に鑑みるとよいニュースである。SHCP: インターナショナルスタンダードにのっとって入札プロセスが進められた。前回同様、各社が提示した国家へのプロフィットに諸々の税金等が加味されて、エリア1:90%、エリア2:82%エリア4:84%が国家の取り分となる計算である。この数値は、国際的な油価低下の状況にあってよい傾向であると言える。Q1:今回の入札の結果は期待していたものか?A1:5エリア中3エリアの落札は素晴らしい結果、成功であったと思っている。Q2:落札された油田での生産コスト幅はどのくらいか?A2:20米ドル/バレル以下だと予測している。エリア1:3万5,000バレル/日、エリア2:3万バレル/日、エリア4:2万5,000バレル/日、合計9万バレル/日の生産量、2018年の第2四半期に生産開始を予定している。生産のピークは、生産を開始してから3~4年で達すると見られ、今回の場合は3年後程度と見積もっている。31石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響3:R1-4(ラウンドワンの4次入札)、R1-5(ラウンドワンの5次入札)の入札発表はいつか?A3:現在発表に向けて調整を行っており、R1-4は秋(言葉を濁して10月~遅くても11月初旬)に発表できればと思っている。さらに、Pemexのファームアウト案件(2.(2)「Pemexの鉱区ファームアウト」参照)も並行して準備中である。Q4:既に発表されている5カ年計画の変更はあるのか?A4:アナウンスしたとおり、フィードバックなどを考慮して調整し、本日9月30日に最終版が公表される(1.(3)「油田の探鉱開発の5カ年計画(2015~2019年)」参照)。Q5:今回の入札を踏まえて、R1-3(ラウンドワンの3次入札)の契約書の変更や調整はあるのか?A5:公表されているとおりR1-3の入札は12月15日に行われ、ライセンス契約の変更はない。Q6:今回の入札は2エリアで入札者なし、1エリアはほぼなしになる寸前であったが?A6:この手の入札は、世界中どこでも100%落札ということは起こり得ない。結果には満足している。Q7:今後R1-3、R1-4を控えているが、現政権中にどの位の生産増が見込まれるのか?A7:詳細な数字は控えたいが、少なくとも今回の9万バレル/日は2018年に見込まれている(現政権内)。また、R1-3は成熟油田で早期の生産が期待でき、ファームアウト案件も控えている。どれだけの生産増とは言えないが、生産減にブレーキをかけることができる。(3)陸上油田(生産)入札説明会 SENERは2015年5月12日、ライセンス契約(付録参照)によって資源開発を民間資本に開放する方式の初の取り組みであるラウンドワンの、第3次募集となる26鉱区の入札について公示した。総投資額が最初の5年間で6億2,000万ドルに及ぶ同プロジェクトは、メキシコの石油産業振興に資するものである、とColdwellエネルギー大臣はその意義を語った。これら26鉱区は、北部のNuevo Leon(ガス8鉱区)、Tamaulipas(石油1、ガス1)、東部のVeracruz(石油6)、南西部のTabasco(石油5)そして南東部のChiapas(石油5)の5州に位置する(図10)。堆積盆地としては、ブルゴス、タンピコ-ミサントラ、スレステに位置する。これら26鉱区のうち、17は石油とその随伴ガスを産出する油田、9は非随伴ガス鉱床であり、総埋蔵量は、1億8,175万バレル(原油換算)と見られる。また生産量は、石油が3万6,000バレル/日以上、出所:CNH図10ラウンドワンの陸上(生産)入札のエリア322016.3 Vol.50 No.2アナリシスAごとに入札⇒落札者を発表するという流れだったが、その都度、各社の封筒を開封して数字を読み上げるのではなく、スクリーンに一度で結果が掲示され、その間に各担当者が提出された書類が正しいかどうかを確認するという方法をとっていた。・ 表9において、Type 1は3P資源量が1億バレル未満、Type 2は3P資源量が1億バレル以上を指す。Type 1の最低作業計画は350万~670万ドル、Type 2は360万~380万ドル。・ 全25鉱区の生産量は現在2,000バレル/日(コンサルタントErnst & Youngによる)。追加投資により3万5,000バレル/日まで増加可能。なお21鉱区は資源量1億バレル以下。落札者の多くが、憲法改正後に新設されたメキシコ法人(Mexican juniors)。・ 経験や資金などの諸条件をクリアし当日の入札に参加した企業は全部で40社であり、ほとんどの鉱区が5~10社が参加して競われた。その結果、25鉱区のうち15鉱区をメキシコ企業、5鉱区を国内企業のみで構成されたコンソーシアム、5鉱区を外国企業とそのコンソーシアムが落札した。主な落札企業はメキシコ企業とカナダ企業で石油メジャーは落札なし。最も注目を受けたのはTopenで22の入札があった。・ 外国企業では、カナダRenaissance社が5鉱区中の3鉱区、オランダCanamex Dutch社が率いるコンソーシアム(いずれもメキシコ企業のPerfolat de Mexico社とAmerican Oil Tools社が参加)が1鉱区、米国Roma Energy社率いるコンソーシアム(米国GX Geoscience Corporation社とメキシコTubular Technology社が参加)が1鉱区の権利を獲得した。・ Zepeda委員長は今回の結果について「非常に満足」と評価し、これら鉱区における生産量は、ピークを迎える2018年には原油換算で日量7万7,000バレルとなる見通しだと述べた。また25鉱区全体で最初の5年間に6億2,000万ドルの投資を要し、総投資額は11億ドルに達する見込みである。入札結果の考察 第3次にあたる今回と、2015年7月15日と9月30日に実施された2回の入札との違いは、前回までが契約事業者がメキシコ政府の関与を受けながら請負人として開発に参画する「生産物分与契約」であったのに対し、今回は「ライセンス契約」となる点である。「ライセンス契約」は探査・採掘等の権利を契約者が付与されるもので、その期間は25年、状況に応じて5年ずつ2回まで延長が可能。契約者は、採掘した炭化水素資源の所有権を得る条ガスが2億2,300万立方フィート/日以上に及ぶと推計される。 コントラクターが請負人としての立場で開発に参画し、政府の関与を比較的強く受ける契約形態であるPSCであった前回までの二つの入札に対し、今回の第3次募集は、特定の鉱区において探鉱・採掘等の権利を付与されるライセンス契約である。この契約方式は、80年にわたって国家が独占してきたエネルギー部門の開放をたって2013年12月に公布されたエネルギー関連の憲法改正に基づく、同分野で初めて実施される契約形態である。契約期間は25年で、状況により5年ずつ2回までの延長が認められる。 コントラクターは、国家に対価、すなわち、ロイヤルティ、所得税等を支払うことで、採掘した炭化水素資源の所有権を得る。また、採掘した炭化水素資源を売却する機会を得る。これまでラウンドワンの2回の入札でも提示された鉱区開発権に加え、この第3次では販売権が付与される。販売する石油の価格は国際市場価格に基づき、品質やロジスティック費用、また販売時の需要と供給のバランスを考慮して決定される。 コントラクターは、開発に要する敷地の占有のために適用法令に基づき、探鉱または採掘作業を開始する前に、あらかじめ土地所有者との間で私人間における合意を取り付け、かつ、地域環境への影響調査も行った上で、これらについて関係当局の承認を得なければならない(地域コミュニティーとのコミュニケーション、および当局に対する効果的な働きかけ)。他に土地所有者への利益配分、農地法の遵 今回の入札に関わるプロジェクトによって、将来的には直接間接合わせて6,000件の雇用が創出される見込みである。 2015年6月末に北部のNuevo Leon州のガス8鉱区のうち、Anahuacが除外され、対象鉱区数は25となった。が重要となる。謳うゅ守しじゅん入札結果(表9) Coldwellエネルギー大臣は、12月7日、Mexican Council of Energy(COMENER)に出席し、同月15日に開かれるラウンドワンの陸上(生産)入札に52社の応札(36の会社と16のコンソーシアム)があると見られる、と発言したが、最終的に入札に参加したのは40社(個別26社、14のコンソーシアム)であった。・ 12月15日の入札会では、25エリア全てが落札された。・ その様子はCNHのホームページにおいて生中継された。大筋では第1次、第2次と同じように、入札エリ33石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響<Lシコ12.3660.8815.1960.8256.5485.6950.9964.548.180.6978.935.9912.3663.959.3678.7976.360.3635.8957.3957.8150.8649.540.0729.4136.8812.9741.534.2533.4750.8630.1161.521.3968.431.2260.7459.0920.089.2810.561141.7712.0766.329.6952.551101011010452.5134111131315110009910001001007025100100008925100010010036100075100100100100151007610010010050100010025888080101003510011813040000000000000000000000000314101117211235798547753725525234121212121212121212121212121212121212121212121212345678923TAJON7CUICHAPA-PTE14MOLOACAN1BARCODON15MUNDO NUEVO16PARAISO6CATEDRAL25TOPEN13MAYACASTE1011MALVA1118PENA BLANCA122BENAVIDES-PRIMAVERA139FORTUNA NACIONAL1420RICOS1512MAREOGRAFO165CARRETAS1719PONTON1824TECOLUTLA1922SECADERO208DUNA2121SAN BERNARDO223CALIBRADOR2310LA LAJA244CALICANTO2517PASO DE OROTYPE2TYPE1出所:JOGMECメキシコ事務所入札順エリア番号/エリア名落札会社Additional Value(%)royalty最低値Increase percentage in program established(%)the minimum work最低値入札数表9陸上(生産)の入札結果COMPANIA PETROLERA PERSEUS, S.A. de C.V.PERFOLAT de MEXICO, S.A. de C.V.CANAMEX DUTCH B.V. AMERICAN OIL TOOLS S. de R.L. de C.V.Servicios de Extraccion Petrolera Lifting de Mexico, S.A. de C.V.Sanchez-Olium, S. de R.L. de C.V.PERFOLAT de MEXICO, S.A. de C.V.CANAMEX DUTCH B.V. AMERICAN OIL TOOLS S. de R.L. de C.V.TUBULAR TECHNOLOGY, S.A. de C.V.GX GEOSCIENCE CORPORATION, S. de R.L. de C.V.ROMA ENERGY HOLDINGS, LLCDiavaz Offshore, S.A.P.I. de C.V.Generadora y Abastecedora de Energia de Mexico, S.A. de C.V.RENAISSANCE OIL CORP. S.A. de C.V.Diavaz Offshore, S.A.P.I. de C.V.TUBULAR TECHNOLOGY, S.A. de C.V.GX GEOSCIENCE CORPORATION, S. de R.L. de C.V.ROMA ENERGY HOLDINGS, LLCGRUPO DIARQCO, S.A. de C.V.Diavaz Offshore, S.A.P.I. de C.V.GRUPO DIARQCO, S.A. de C.V.RENAISSANCE OIL CORP. S.A. de C.V.Diavaz Offshore, S.A.P.I. de C.V.GRUPO DIARQCO, S.A. de C.V.TUBULAR TECHNOLOGY, S.A. de C.V.GX GEOSCIENCE CORPORATION, S. de R.L. de C.V.ROMA ENERGY HOLDINGS, LLCRENAISSANCE OIL CORP. S.A. de C.V.Servicios de Extraccion Petrolera Lifting de Mexico, S.A. de C.V.Strata Campos Maduros, S.A.P.I. de C.V.Diavaz Offshore, S.A.P.I. de C.V.Sistemas Integrales de Compresion, S.A. de C.V.Nuvoil, S.A. de C.V.Constructora Marusa, S.A. de C.V.Servicios PJP4 de Mexico, S.A. de C.V.COMPANIA PETROLERA PERSEUS, S.A. de C.V.TUBULAR TECHNOLOGY, S.A. de C.V.GX GEOSCIENCE CORPORATION, S. de R.L. de C.V.ROMA ENERGY HOLDINGS, LLCStrata Campos Maduros, S.A.P.I. de C.V.STEEL SERV S.A. de C.V.Constructora Hostotipaquillo, S.A. de C.V.Desarrollo de Tecnologia y Servicios Integrales, S.A. de C.V.Mercado de Arenas Silicas S.A. de C.V. Consorcio Manufacturero Mexicano, S.A. de C.V.NUVOIL, S.A. de C.V.Sistemas Integrales de Compresion, S.A. de C.V.Constructora Marusa, S.A. de C.V.Strata Campos Maduros, S.A.P.I. de C.V. Iberoamericana de Hidrocarburos, S.A. de C.V.GEO ESTRATOS MXOIL EXPLORACION Y PRODUCCION, S.A.P.I. de C.V.Geo Estratos, S.A. de C.V.RENAISSANCE OIL CORP. S.A. de C.V.GEO ESTRATOS MXOIL EXPLORACION Y PRODUCCION, S.A.P.I. de C.V.Geo Estratos, S.A. de C.V.TONALLI ENERGIA S.A.P.I. de C.V.Grupo R Exploracion y Produccion, S.A. de C.V.Constructora y Arrendadora Mexico, S.A. de C.V. RENAISSANCE OIL CORP. S.A. de C.V.国メキシコメキシコオランダメキシコメキシコアメリカメキシコオランダメキシコメキシコアメリカアメリカメキシコメキシコカナダメキシコメキシコアメリカアメリカメキシコメキシコメキシコカナダメキシコメキシコメキシコアメリカアメリカカナダメキシコメキシコメキシコメキシコメキシコメキシコメキシコアメリカアメリカメキシコメキシコメキシコメキシコメキシコメキシコカナダメキシコメキシコメキシコカナダCONSTRUCCIONES Y SERVICIOS INDUSTRIALES GLOBALES, S.A. de C.V.メキシコSARREAL, S.A. de C.V.SARREAL, S.A. de C.V.GEO ESTRATOS MXOIL EXPLORACION Y PRODUCCION, S.A.P.I. de C.V.Geo Estratos, S.A. de C.V.Consorcio Manufacturero Mexicano, S.A. de C.V.GPA ENERGY, S.A. de C.V.GEO ESTRATOS MXOIL EXPLORACION Y PRODUCCION, S.A.P.I. de C.V.Geo Estratos, S.A. de C.V.メキシコメキシコメキシコメキシコメキシコメキシコDesarrolladora Oleum, S.A. de C.V.INGENIERIA, CONSTRUCCIONES Y EQUIPOS CONEQUIPOS ING. LTDA.INDUSTRIAL CONSULTING S.A.S.MARAT INTERNATIONAL S.A. de C.V.CONSTRUCTORA TZAULAN, S.A. de C.V. メキシココロンビアコロンビアメキシコ1GRUPO DIARQCO, S.A. de C.V.メキシコ81.36Desarrolladora Oleum, S.A. de C.V.INGENIERIA, CONSTRUCCIONES Y EQUIPOS CONEQUIPOS ING. LTDA.INDUSTRIAL CONSULTING S.A.S.MARAT INTERNATIONAL S.A. de C.V.CONSTRUCTORA TZAULAN, S.A. de C.V. GEO ESTRATOS MXOIL EXPLORACION Y PRODUCCION, S.A.P.I. de C.V.Geo Estratos, S.A. de C.V.Servicios de Extraccion Petrolera Lifting de Mexico, S.A. de C.V.212メキシココロンビアコロンビアメキシコメキシコメキシコ32.767.6110.22016.3 Vol.50 No.2アナリシスZンス契約 ? 入札ガイドラインの吟味(入札条件、技術・財務的要件)。アンケート調査や専門家への意見聴取。 ? 最低価値の適正化・ 2018年に50万バレル/日、2025年に100万バレル/日の増産目標。入札説明会 2015年12月16日に放送されたCNHのセッションのなかで、大水深(CNH-R-L04/2015)の入札を承認。12月17日の官報で公示され、入札ベースはその後に公表されるとのことだが、Zepeda委員長の会話から拾えた情報は下記のとおり。・ これまでどおり3フェーズ(1.データ室アクセス⇒2.PQ⇒3.プレゼンテーション&入札)で行われる。・ そのなかには以下の7ステップが含まれる。 1. 官報で公示、入札ベース公表 2. データ室へのアクセス、支払い 3. PQに向けた入札登録 4. PQ 5. プレゼンテーション、入札 6. 落札 7. 契約登録・ 10エリア:4エリアはPerdido地域(軽質油)、6エリアはメキシコ湾南部(Cuenca de Salina:5軽質油、1ガス)(図12)。件として、総収入の1~10%に相当するロイヤルティや所得税等を対価として国家に支払う。 また、今回は100%落札された点で前2回とは大きな差がある。浅海域(探査)の採掘権に関する入札となった第1次では落札希望者がなかったか金額面での調整が付かなかったため、募集された全14鉱区のうち契約が成立したのは僅か2鉱区であった。さらに、政府が「成功」と評した第2次でも落札されたのは全5鉱区中3鉱区であり、これら2回の平均落札率は26%となる。このような前例を踏まえ入札前日の2015年12月14日、Coldwellエネルギー大臣は、第3次は全体の20~25%、すなわち5件程度の契約が成立すれば「素晴らしい」との認識を示していた。そのためPena Nieto大統領は、最終結果が出るや「専門家らの予想を上回る成功」であり、「国際的な石油価格下落という状況下にありながら、わが国とその将来のエネルギー産業に対し、企業が信頼を示す結果となった」というコメントをツイッター上で発表した。 しかし、表5に示したとおり、ここまでの落札によって期待される増油量は日量17万バレル弱で、図4に示した、SENERが2015年初に公表した原油の生産予測の実現は難しいと言わざるを得ない状況にある。(4)大水深(探鉱) 石油会社の関心はメキシコ湾の大水深に向きそうである。油埋蔵の可能性はかなりの有望性を持つが、メキシコ側は(米国側に比べ)未探鉱に近い。2010年以降、試掘 井Labay-1、Trion-1、Kunah-1とMaximino-1において、油やガスが発見された(表2)。Perdidoエリア、メキシコ隆起部(Mexican Ridge)、カンペチェ深海盆地に広がる28の大水深のブロックでは、石油換算で計48億バレルの推定資源量の可能性が指摘されている。・ SENERとCNHは、高額、高リスクの民間企業負担に係る以下の課題を検討中。 ? 経済的にメリットの大きい鉱区の設定出所:CNH ? 鉱区の特性にとって最適な契約形態の選択:ライ35石油・天然ガスレビュー図11大水深(探鉱)入札のスケジュールメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響E データ室アクセス料は3,850万ペソ(約2億3,000万円)・ノンオペレーター:  少なくとも2億5,000万ドルの資本金を有すること。〈スケジュール〉(図11)・ データ室アクセス申請:2016年1月6日~4月15日・ データ室アクセス期間:2016年1月6日~12月2日・ PQ受付期間:2016年6月14日~7月1日・ PQリストの発表:2016年8月24日・ 入札日:2016年12月5日〈入札参加の条件〉・オペレーター: 1. 2011~2015年の間に、最低1件のプロジェクト(水深1,000m以上)のオペレーター経験を有すること。 2. 少なくとも、合計で20億ドルの投資経験を有すること。 3. 過去5年間における産業安全と環境保護の経験を証明すること。 4. a.少なくとも20億ドルの資本金を有する、もしくは、b.少なくとも100億ドルの総資産を有し、なおかつ、Fitch、Moody’s、Standard & Poorsの格付け機関からの格付けを受けていること。〈入札エリア〉http://ronda1.gob.mx/?page_id=15894 ・Perdido:4カ所・CuencadeSalina:6カ所(サイスミックは、エリア6以外100%取得済み)〈契約〉・ 契約期間は、35~50年(フェーズは表10のとおり)。〈Coldwellエネルギー大臣〉・ 油価が大幅に低下している現状で、先日行われたR1-03の入札が25カ所全て落札され、大成功であった。・ R1-03の入札でも見られたように、国内企業の後押しの役割を果たし、投資増大、生産量向上が期待される。・ 芽が出るのは、Pena Nieto政権のその後になるが、わまれわれは今その種を蒔いている。・ 入札プロセスは、透明性、確実性、公平性を守っている。出所:CNH図12ラウンドワンの大水深(探鉱)入札エリア362016.3 Vol.50 No.2アナリシスqMelgarCNH担当次官〉・ R1-01発表時と油価の状況が大きく変わっている。・ 大水深のエリア選定においては、業界からの強いフィードバック(当初の区画が興味のあるブロックから外れている)があった結果、現在のようになった。・ 地下に埋蔵する炭化水素は、国の所有物である。・ 最低作業計画(MWP:Minimum Work Program)は未定。入札申請状況 2016年2月26日時点・ データ室へのアクセス許可:10社(Chevron、Shell、Total、Hess、NBL、Statoil、Atlantic Rim、ExxonMobil、BHP Billiton、BP)・ PQ手続き開始:9社(Chevron、Shell、Total、Hess、Statoil、Atlantic Rim、ExxonMobil、BP、BHP Billiton)表10大水深探鉱の段階別期間とナショナルコンテンツ(注)探鉱4~10年最初は4年・延長(1回目):3年・延長(2回目):3年↓3% 初期6% 1回目の延長8% 2回目の延長評価~3年最大で3年開発22年~承認から22年・5年、もしくは10年の延長可ナショナルコンテンツ(図13)↓↓発見があった場合、開発フェーズの段階で決定する4% 生産開始時10% 生産開始後(注)ナショナルコンテンツ:メキシコ企業の活用およびメキシコ産物資の調達出所:CNH(注)SW:Shallow Water(浅海域)出所:CNH図13ナショナルコンテンツ(%)と契約期間(年)の関係年(5)重質油と非在来型資源 2015年12月16日に、Coldwellエネルギー大臣のラウンドワンの第5次入札(非在来、超重質油)についての発言あり。第5次入札のガイドラインは2016年3月にも出され、2016年8~9月に結果がでるだろう、とのこと。2017年第1四半期まで結果が出ない4次入札(3.(4)「大水深〈探鉱〉」)より早いと予想される。4. 油価下落下のメキシコの石油開発活動の行方①メキシコは現在世界の石油生産国のベストテンに入っている。しかし、原油生産は2005年以降減退傾向にあり、2014年平均では日量240万バレルにまで下がった。ネットでは原油輸出国であるとはいえ、石油製品では輸入国であり、そのほとんどは米国から輸入されている(付録参照)。メキシコのSENERによると、2014年12月末時点の石油・天然ガスの残存確認可採埋蔵量は石油換算で132億バレルとなり、前年比3%減であった。その73%である96億バレルは重質油を中心とする原油で、NGL(天然ガス液)とコンデンセートは11億バレル、天然ガスは12兆3,000億立方フィート(石油換算で20億5,000万バレル)だった。   原油生産の23%が陸上から生産され、残りが浅海域から生産されている。現在の生産量の約3分の2は、ベラクルス、タバスコとカンペチェ州沖合のカンペチェ湾の油田群から産出されている。主な生産は、湾37石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響フ北東部に位置するCantarell油田群とKu-Maloob-Zaap(KMZ)油田群という、二つの隣接した油田群である。Cantarell油田群が減退するなかで、KMZ油田群からの油生産は2015年4月に日量85万5,000バレルに達した。Pemexは産出量を増やすべく、採油増進の対策を採っている。②SENER発表の探鉱・採掘の5カ年計画:2015~2019年(2015年10月22日)に定められた探鉱採掘事業の入札ラウンドを行い、可能な限り多くの潜在的な投資家を誘致し、原油生産の増量とそれに連動した雇用の創出がメキシコ政府の目標である。SENER、SHCP、CNHの主導により、入札手続きは進められている。メキシコのエネルギー改革は、石油・天然ガスの探鉱・採掘事業といった上流プロジェクトの民間企業への開放にとどまらず、中下流のプロジェクトおよび電力事業を含むエネルギー産業全般の民間セクターへの開放を意味する。③ ラウンドゼロ(Pemexへの、メキシコの確認および推定〈2P〉埋蔵量の83%の割り当て)の後、メキシコ政府はラウンドワンにその注力をシフトした。 最高169鉱区(探鉱のための109鉱区と生産のための60鉱区)が対象になる。浅海探鉱入札ラウンドはラウンドワンの第1段階であった。第2段階のラウンドの浅海生産入札はSureste盆地の九つの生産ブロックを五つの契約エリアに分類した。第3段階のラウンドは陸上成熟油田の入札となり、ブルゴス、タンピコ-ミサントラ、スレステ盆地の25鉱区が対象となった。ラウンドワンは第3次入札(陸上成熟油田)まで終了した。   第3次入札までの結果を見ると、2016年1月末時点での増油量は日量17万バレル弱である。図4に示したSENERによる原油の生産予測の実現は難しいと言わざるを得ない。原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響は大きい。④今後の入札を通じて、メキシコの石油・天然ガス開発プロジェクトに投資する機会が創出される見込みである。2015年10月に公表された5カ年計画では、さらに、ラウンドツー、ラウンドスリー、ラウンドフォーと三件の入札ラウンドが計画されている。とりわけ、非在来型資源に関して、2011年4月に米国エネルギー省(DOE)エネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)はメキシコのシェールガスとシェールオイルの技術的回収可能量をそれぞれ545兆立方フィートと130億バレルと推定したので、期待が高まる。賦存エリアはブルゴスとタンピコ-ミサントラ盆地となる。主な対象層は、上部白亜紀のイーグル・フォード-アグアヌエバ層と上部ジュラ紀のピミエンタ-ラカシタ層となる。しかし、非在来型資源の探鉱(最初の井戸は2010年後半に掘削)は、これまでの米国におけるシェール開発ブームの成功に倣ったものまでに至っていない。加えて、掘削許可、契約、環境、地権者に係る問題が、シェール層開発活動の妨げとなろう。⑤ Pena Nieto大統領の任命を受けて、2016年2月第1週にPemexの新総裁に就任したばかりのJose Antonio Gonzalez Anaya氏が2月9日、ラジオ局 Radio Formulaの取材に応じ、Pemexの経費削減の必要性に言及した。このなかで新総裁は、Pemexの経憺たる状態」という程で営状態は「非常に厳しい」が「惨はなく、必ずしも人員削減という方法を選択しなければならないわけではない、と強調した。また2月17日、メキシコ政府は同国GDPの0.7%に相当する1,323億ペソ(約79億ドル、1ペソ=0.06ドルで換算)の歳出削減案を打ち出した。内訳は、政府支出を323億ペソ(約19億ドル)、Pemexの支出を1,000億ペソ(約60億ドル)、それぞれ削減する。2015年1~9月に、Pemexの純損失は、世界的な原油価格下落の影響もあり、2014年同期比で138.4%増えて207億4,500万ドルを記録した。また、資金力や技術力の限界から新規油田を発見できず、原油産出量は2004年以降減少を続けている。さんたん⑥総じて、超重質油、大水深、チコンテペックエリア、非在来型資源が眠るエリアは、 2014年半ばからの原油価格下落傾向のなかで苦戦を強いられよう。しかし、2015年メキシコ政府は、油価を76.40ドル/バレルにセットした石油ヘッジプログラム(2014年に7億7,300万ドル支払い、2014年12月1日~2015年11月30日までの原油取引のうち2億2,800万バレルが対象)により、2015年12月に62億8,400万ドル受け取った。また、メキシコ原油が27ドル/バレルで取引される現状では、2015年の在外労働者の送金は石油収入を上回る見込みである。⑦また、国立統計地理情報院(INEGI)が2015年12月23日付コミュニケで報告したところによると、同年10月のメキシコ経済活動指数は前2014年同月比で2.7%上昇した。第3次産業が3.8%、第1次が3.6%、第2次が1%という伸びである。メキシコのGDP成長率は2010年以降4~5%台で推移してきたが、2013年には1.4%と大きく落ち込んだ。翌2014年には2.1%と再び上昇、2015年は2~2.8%程度になると政府は予測している。また、SHCPによれば、2013年のGDP成長率は2.5~3%で、2018年のGDP成長率は4.4382016.3 Vol.50 No.2アナリシス`4.9%と予測している。その上昇の内訳は労働改革+0.1%、通信改革+0.5%、エネルギー改革+1%、財政改革+0.3%であり、経済成長をエネルギー改革だけに頼っていない。自動車産業の好調もその牽引役であろう。経済(油価下落)・治安(麻薬取引)に不安を抱えつつも、経済全体の調子は良好そうである。⑧よって、エネルギー革命の成功を目指し、メキシコ政府とPemexの石油開発活動への取り組みは慎重に進行中と見る。【参考資料】1. JOGMEC石油・天然ガス資源情報「メキシコ:原油価格下落の既存油田の生産、鉱区公開方針等の石油政策に対する影響」、2015年3月16日、伊原賢JOGMEC石油・天然ガス資源情報「メキシコ:原油価格の下落下における鉱区公開ラウンドワンの進捗」、2015年7月23日、伊原賢2015年度第5回JOGMEC海外石油天然ガス動向ブリーフィング「メキシコ:原油価格の下落下における鉱区公開ラウンドワンの進捗」、2015年8月20日、伊原賢2. 3. 4. 石油開発時報 No. 187「メキシコの石油天然ガスプロジェクトの最近の動向について」、2015年11月号、Juan 5. Carlos Serraほか2015年度第8回JOGMEC海外石油天然ガス動向ブリーフィング「メキシコにおけるエネルギー改革の進展 ?Round Oneの進捗状況」、2015年11月19日、縄田俊之《付録》:用語説明ほか●メキシコの石油・天然ガス概況(表11)〈石油〉・ 生産量:日量278万4,000バレル(天然ガス液を含む)(世界第10位)。残存確認可採埋蔵量:111億バレル(世界第18位)。消費量:同194万1,000バレル(世界第11位)(2014年末、BP統計2015年6月)。千バレル/日・ 日量129万バレルを輸出(原油113万5,000、製品15万5,000)。そのうち同84万2,000バレルが米国向け。日本への輸出はイスムス原油がスポットとして同7,000バレル(2014年)。2003~2006年は同約210万バレルの輸出量があったが、その後、減少傾向にある。メキシコの原油生産日量236万バレル@2014年10月、2万7,000バレル/日の減退。同月輸出量日量140万バレル(図14)。最大の輸出先であった米国でシェール革命が起こり、同国向け原油輸出量は2007年比で4割減。米国市場の喪失で総輸出量も同年比32%減(原油生産量は同年比17%減)。アジア市場の開拓が急務。・ 投資の失敗:カンタレルを含む生産回復に2008~2012年に700億ドル、チコンテペック130億ドル、大水深での油発見には23回目で成功。2004年がピーク・ 2016年からPemex以外の石油製品販売開始、2018年までにガソリン・軽油価格のメキシコ政府統制は終了予定。・ 2016年2月Pena Nieto大統領は、出所:Pemex資料より作成図14原油生産量と輸出量の推移年39石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響Kソリン・ディーゼルの輸出は、同年4月1日より解禁すると発言。〈天然ガス〉・ 生産量:年581億?(2兆518億立方フィート、世界第13位)。残存確認可採埋蔵量:3,483億?(12兆3,000億立方フィート、世界第33位)。消費量:年858億?(3兆300億立方フィート、世界第9位)(2014年末、BP統計2015年6月)(図15)。・ 米国から年205億?(7,240億立方フィート)をパイプラインで輸入している。LNGでも年93億?(3,280億立方フィート)をペルー、カタール、ナイジェリア、インドネシア、トリニダード・トバゴ、ノルウェーから輸入(2014年)。・ パイプライン網を拡充中(メキシコ国内で天然ガス需給のミスマッチ解消、メキシコ電力公社CFEとの関係)。・ シェール革命による北米の供給過剰感からアジアへの輸出解禁が進む。メキシコも地理的優位性を生かし、LNG/LPG輸出計画あり(2014年11月10日のPemex DAYでPemexのLozoya総裁〈当時〉発言)。十億立方フィート/日〈新規油ガス田の発見〉・ Pemexが新規鉱床の発見を公表(Pemex、2015年12月14日)。Pemexが2015年第2四半期に浅海域で新たに二つの鉱床を発見していたことを8日、同社CEOのEmilio Lozoya(当時)が明らかにした。これは、中部Hidalgo州Tula市のMiguel Hidalgo製油所で開催された式典で公表された。浅海域で発見されたのはTeocalliとJapsolと呼ばれる2鉱床で、これらにおける3P(確認、推定、予想の各埋蔵量の合計)は原油に換算して1億8,000万バレル相当。日量約4万バレルの石油と2,500万立方フィート(71万?)の天然ガス生産が見込まれる。また、深海域のPerdido鉱区とメキシコ湾のHem-1鉱区で、いずれも原油換算で、1億5,000万~1億7,000万バレル相当、1億5,400万バレル相当の埋蔵資源発見も発表された。天然ガス生産量と国内販売量の推移出所:Pemex資料より作成図15年表11メキシコエネルギー産業の変遷データ 同生産量(百万立方フィート/日)同輸入量(百万立方フィート/日)同生産量(万バレル/日)同輸入量(万バレル/日、米国から)石油化学製品消費量(億ドル/年)同生産量(億ドル/年)同輸入量(億ドル/年)4,5764,4675,6674,5241,143(20.2%)7,9055,7622,143(20.2%)(注)原油生産量の減少、天然ガスの輸入量増大の他、ガソリンや石油化学製品の輸入量増大という課題も抱える。出所:CNH, SENER402016.3 Vol.50 No.2アナリシス@Pemexは2015年6月にも浅海域で合わせて原油3億5,000万バレル相当を埋蔵する四つの鉱床発見について発表している。これらの発見により、2015年にPemexは原油10億バレル相当以上の炭化水素資源を新たに保有することとなった。このうち60%は浅海域、35%は深海域、残りの5%は陸上油田に埋蔵されている。世界的な石油価格低迷により炭化水素資源関連の企業が困難な状況にあるなか、Pemexは今後も投資力を高めることを目的に、2016年にはこれまで以上に生産性を高め、さらなる埋蔵量の獲得、生産コストの削減に向け取り組んでいくと語った。・ PemexはSureste盆地オフショアReforma-Akal Fold Belt、AE-0021鉱区において試掘井 Jaatsul 1 ST2によりUpper Jurassic Kimmeridgian Formation油ガス貯留層を発見したと発表した。流量1,000 バレル/日と200万立方フィート/日がIPテストで得られ、3P埋蔵量は石油換算で1億2,000万バレル程度と推定された。同試掘井はAE-0021 鉱区の中心部、Uech、Ichalkil油ガス田の中間に位置する(Pemex、2015年12月21日)。〈主管省庁〉・ Pemexは、どう変貌を遂げるか? 2014年11月に組織変更を発表:4部門(上流/PEP、精製/Refining、石化/Petrochemicals、ガス/PGBP:図16)から2部門(上流、下流/Industrial Transformation)へ。5ビジネスユニット:掘削、輸送、コージェネレーション、肥料、エチレン。これまでの「公僕」から成果至上主義へ。調達システムの簡素化、税負担の軽減。〈石油開発政策〉・ 憲法には1938年から石油・天然ガス資源の国有化が明記されていた。Pemexとその子会社が炭化水素資源産業を独占し、石油・天然ガス等の探鉱・開発、精製、販売を行う権利を有している(石油利権を与えられた見返りに、Pemexは政府に対し、その利権収益の10~35%をロイヤルティとして支払う)。・ しかし、Pemex自身の技術力・操業能力・財務力の不足等が課題であったため、生産拡大を目指し、Pemexは非随伴天然ガスの生産事業に限って、民間企業が既発見ガス田の生産事業を請け負い、Pemexが対価を支払うというMSC(Multiple Service Contract)を2003年に導入した(これはサービス契約のパッケージ化であり、上流権益自体は付与されない)。・ 2014年から始まったエネルギー改革では、石油開発の会計制度も変更になる予定で、これまで政府が石油収入の約70%を徴収していたのに対して、新制度の下では、ロイヤルティや法人税といった費目で国際的な慣習に沿った、政府への税納付が行われる見込みである。生産原油の所有については、サービス・利益分与契約が国家に帰属。生産分与・ライセンス契約においては、契約の内容により石油会社への帰属となるが、埋蔵原油の所有については国家への帰属は変わらない。新しい組織体制の下では、新しい組織の設立と新しい役割が出所:JOGMEC資料より作成図16SENERとその傘下の委員会および公社41石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響t与される。・ SENERは、案件ごとにサービス契約やPSCなど外資導入形態のデザインを行う。CNHは地質情報等の技術情報の取りまとめ、入札の実施や契約の署名、契約の管理を行う。SHCPは会計条件を設計し、サービス契約や利益分与契約の場合には国が市場のマーケティングをサポートする。石油開発による政府の収入、契約への対価支払い等は石油基金が執り行う。・ エネルギー改革の最大の障害とされた資源ナショナリズムは、2014年に既に克服(2014年8月6日に21の関連法成立)。Pena Nieto現政権は国民の支持を得ながら、段階的にこの改革を前進させた。上下両院で過半数の議席を下回る与党制度的革命党(PRI)は、2015年6月の中間選挙(下院全議席:与党PRIが安定多数を獲得)、2018年夏の大統領・上下両院選挙に向け、国民にエネルギー改革による経済効果を示すための財源確保に課題あり。 ●Pemex会社概要①概要1938年 設立年月日  本社 メキシコ合衆国 メキシコ・シティ 最高経営責任者(CEO) Jose Antonio Gonzalez Anaya総裁 メキシコの国営石油会社②沿革/経営   メキシコは1938年の油田国有化宣言以降、国営石油会社Pemexが国内で民間企業と共同で事業を行うことを禁じてきた。しかし、採掘技術や資金の流動メカニズムを向上させるために民間企業と手を組むことは世界的に行われており、Pemexはそれができない唯一の石油会社であった。42   近年のメキシコにとって最大の課題であったエネルギー改革に向けた憲法の部分改正(エネルギー改革法)は、2013年12月20日にPena Nieto大統領によって公布され、メキシコでの石油開発事業への外資の参入機会が開かれることになった。   エネルギー改革法には潜在的なリスクもあろう。例えば、Pemexの下流部門とメキシコ電力公社(CFE)とのみ分けがはっきりしない。どちらも発電に前向きだからだ。また、国営会社に対するメキシコ政府の関与が薄まり過ぎるのではないかとの懸念がある。各社の格付けは、キャッシュを政府に吸い上げられている代わりに政府の後楯がある、という見立てで付けられているものだ。国内の燃料価格政策(例えば、資源への競争が働かなければ、ガソリン価格への補助金削除はメキシコ国民にとってガソリン価格の上昇となる)、PSC、ほかの国の契約条件との比較、政府の意向(PemexとCFEのトップは政府が任命)にリスクがあろう。Pemexの役員会議長はエネルギー大臣が務める。人材の不足もあろう。棲す③投資戦略/活動   外資を導入するための具体策としての石油法やPemex法を含む2次法制は、2014年8月11日にほぼ原案どおり成立。同年8月13日には、Pemexが引き続き開発を行う鉱区(ラウンドゼロ)と一般競争入札(ラウンドワン)の対象鉱区が明らかになった。ラウンドワンの第1弾となった「浅海探鉱」は2015年7月15日に入札となり、外資の参入機会が具体化した。   2016年からPemex以外の石油製品販売開始、2018年までにガソリン・軽油価格の政府統制は終了予定。④埋蔵量・生産量と目標・見通し   SENERが2015年初に公表した原油の生産予測からは、既存油田からの生産量は2020年までに13%減少する見通し(原油生産量〈NGL/天然ガス液を除く〉:2015年日量240万バレル → 2020年同210万バレル)。日量240万バレルを現状維持するとしても、僅か5年で、新規油田開発の成果を上げる必要がある。2028年の生産目標を同350万バレルとすれば、既存油田からの生産とのギャップは同200万バレルにもなる。ラウンドゼロとラウンドワンの進捗状況に鑑みれば、目標達成には黄色信号がともる。2016.3 Vol.50 No.2アナリシスDわが国企業との共同プロジェクト   2003年7月に実施されたMSCの第1次ラウンド入札において、帝国石油(現・INPEX)がPetrobras等とブルゴス地域の2鉱区(クエルビト、フロンテリソの2鉱区)を落札した。現在もINPEXが開発・生産操業事業に参画。   三井物産は、2013年7月に米国アリゾナ州において、米国の天然ガスをメキシコへ輸出するためのパイプライン事業に出資参画することで、米国パイプライン運営最大手Kinder MorganおよびPemexと合意。本事業は、米国アリゾナ州ツーソンの既存の基幹パイプラインからメキシコ国境のササベまで約100㎞の天然ガスパイプラインを新規に敷設し運営するもの。2013年4月にPemexとの間でエネルギー関連事業の協調に関するMOUを締結していたが、エネルギー改革に関する憲法改正を機に、2014年5月にPemexと同国での石油・ガスの上流開発、石油・ガスのマーケティング・関連インフラ事業等での共同プロジェクトを検討していくことに合意しMOUを締結。2012年9月に投資子会社を通じ、スペインのIberdrola社の子会社から、Gas Natural Mexico社の株式を取得し、メキシコでのガス配給事業に資本参加。2008年にLNG輸入基地であるマンサニージョLNGターミナルの事業権を、韓国ガス公社、三星物産とともに入札で獲得。本事業はLNGを受け入れ、貯蔵、再ガス化する設備を建設・運営し、メキシコ電力公社CFEに対し20年間にわたりガスを供給する予定。⑥将来日本に影響しそうな動き   パイプライン網を拡充中(メキシコ国内で天然ガス需給のミスマッチ解消。メキシコ電力公社CFEとの関係)。   アジア市場の開拓が急務(シェール革命による北米の供給過剰感からアジアへの輸出解禁が進む。メキシコも地理的優位性を生かし、LNG/LPG輸出計画あり)。●生産物分与契約(PSC)   国家が原油・天然ガスの所有権と管理権を保有することを前提に、コントラクターである石油・ガス会社に、原油・天然ガスを探鉱開発させ、採掘された原油・天然ガスの一部を、コントラクターのコスト回収と利益のためにこれら石油・ガス会社に分与する契約である。採掘された原油・天然ガスの所有権もまず国家に帰属する。コントラクターは採掘事業に関連する全ての費用とリスクを負担する。コスト回収を上回る原油・天然ガスが採掘された場合には、その一部がコントラクターである石油・ガス会社にシェアされる。   すなわち、ホスト国はコントラクターに対し、「採掘された原油・天然ガスの一部の分与」を提供し、その見返りに、コントラクターはホスト国に対し、「原油・天然ガスの探鉱採掘役務の履行」を行う。メキシコの場合、CNHと、入札で選ばれたコントラクターとの間で締結される契約。●最低価値最低価値(MinimumValue)   SHCPが定める。最低限メキシコ国家にもたらされるべき価値。①開発された石油・天然ガスからもたらされる操業による利益のうち、国が受け取る対価(Minimum value of the participation of State in operating profit)と②最低義務作業計画を超える部分の上乗せの作業量(Increase percentage in the minimum work program established)。鉱区ごとに最低価値を設定。入札ガイドラインに定められた数式を適用して算出。最低価値を下回る入札提案は採用されない。   例えば、「浅海生産の入札」の対象エリア1では、①を34.8%に設定していたのに対し、ある応札者(Eni International B.V.)は83.75%という非常に高い比率を提案。②は0%と定めていたが、この応札者は33%の上乗せの作業量を提案。入札ガイドラインに定められた数式から加重した値は78.247%で、応札者のうち最も高い数値になった結果、落札者となった。●浅海PSCの最終モデルを発表(CNH, 2015年6月9日)   2015年6月9日にCNHは、メキシコ湾の浅海にある14鉱区に対する入札プロセス(ラウンドワンの第1段階)で適用されるPSCの最新版を公開した。PSCは、特定の契約鉱区で、契約コントラクターがリスクと費用を取43石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響驍アとで、炭化水素を探査して生産する専有権を契約コントラクターに許諾するもの。契約フェーズと期間   PSCの期間は30年であるが、CNHの承認を前提として、25年の期間延長が可能。PSCのフェーズは四つに分かれる。探査、評価、商業化宣言、生産の4段階。探査フェーズ   PSCの発効日から120日以内に、契約コントラクターは承認を得るために、探査計画をCNHに提出しなければならない。PSCでは契約の発効日から最大4年の探査期間が設定されている。そして、その間、契約コントラクターは少なくとも契約に定められた最小限の作業プログラムを完了する義務がある。契約コントラクターが最小限の仕事義務を負って、最初の探査フェーズの間に実行されなかった最小限の作業プログラムの内容を完工すると約束すれば、2年の期間延長も認められるかもしれない。契約者は、追加井に相当する「仕事単位」も実行しなければならない。また、最小限の作業プログラムを遵守しなければ金銭的処罰の対象となる。評価フェーズ   探査フェーズの間に、契約コントラクターは、ある発見が「商業発見」であるかどうかを評価する目的で、CNHに作業プログラムと予算の承認を求めるかもしれない。この評価フェーズの期間は12カ月である。しかし、CNHの承認が得られるならば、この期間はさらに12カ月延長される。商業化宣言   発見が評価フェーズの終わりの60日以内に「商業的である」と確定するならば、契約コントラクターはCNHに知らせなければならない。商業的発見と考えられれば、契約コントラクターは商業化宣言後1年以内にCNHの承認を得るべく、開発計画を提出しなければならない。生産フェーズ   商業生産が始まる年から、契約コントラクターは、作業プログラムのなかにフィールドごと、井戸ごとに生産予測を含めなければならない。契約コントラクターは、生産活動のために作業プログラムおよび危機管理プログラムに従って、井戸、集油ガス設備と必要な他施設の全ての建設、設置、修繕、調整を行わなければならない。縮小と放棄   契約コントラクターが最初の探査フェーズの終わりにさらなる探査期間を与えられないならば、契約者はCNHに対して、承認される開発計画の影響を受けない、または、評価エリアに指定されなかった契約エリアの100%を放棄して、返すことを要求される。評価フェーズの終わりに、契約コントラクターが商業発見を宣言しなければ、契約者は評価エリアの100%を放棄して、返すことを要求される。商業発見を宣言しても開発計画を提出しない、あるいは開発計画に対してCNHの承認を得ることができなかった場合も同様である。以上にもかかわらず、契約コントラクターがさらなる探査期間を与えられるなら、最初の探査期間の終わりに、契約者は承認された開発計画の影響を受けない契約エリアの50%を放棄、ないしは返却しなければならない。さらなる探査期間の終わりには、契約コントラクターは、承認開発計画の影響を受けない、または、評価エリアに指定されなかった契約エリアの100%を放棄して、返さなければならない。   評価フェーズの終わりに、契約コントラクターが商業発見を宣言しないならば、契約コントラクターは評価エリアの100%を放棄して、返すことを要求される。商業化発見を宣言しても開発計画を提出しない、または、開発計画に対してCNHの承認を得ることができない場合も、また同様である。支払いと配分(表12)   メキシコ国への毎月の支払いは、(i)現金による探査フェーズの契約代金、(ii)PSCに規定されたロイヤルティに相当する産出された炭化水素量、(iii)コントラクターによってあらかじめ設定された営業利益のメキシコ国側のシェアに応じた炭化水素の量、となる。   他方、契約コントラクターへの毎月の支払いは、(i)コスト回収のための炭化水素の量と、(ii)営業利益のメキシコ国側のシェアを減じた炭化水素の量から成る。   生産されたネットの炭化水素量と品質(生産された炭化水素量から、フィールド操業での自己消費のために442016.3 Vol.50 No.2アナリシスgわれる炭化水素を除いたもの)は、指定されたメーターと地点で測られることとなる。契約コントラクターは、自己の取り分となる炭化水素を、自ら、または、マーケティング会社を通して、市場に出すことができる。また、CNHに承認された開発計画の範囲内で、生産された炭化水素を、フィールド操業のための燃料(採油増進法に使われるものを含む)として、対価なしで使用することができる。表12生産物分与契約における対価の算定方式法人所得税探鉱契約料探鉱および採掘の操業税ロイヤルティ30%最初の5年間は1?あたり1,150メキシコペソ。その後契約期間が終了するまで2,750メキシコペソ。探鉱操業税は1?あたり1,500メキシコペソ。採掘操業税は1?あたり6,000メキシコペソ。石油・天然ガスのスポット価格を考慮した算定式を適用して算出。出所:メキシコ石油天然ガス歳入法より作成年次の作業プログラム   契約コントラクターは、契約に規定された油ガスの採掘作業に関して、CNHから承認を得るために年次の作業プログラムを提出しなければならない。また、油ガスの採掘操業の進捗に関して、四半期報告をCNHに提出しなければならない。法律によって規定される場合を除いて、特定の油とガスの操業活動が年次の作業プログラムの範囲内でCNHに承認されれば、個別の施設の設計・エンジニアリング・建設について、さらなるCNHの承認は必要とされない。予算と経費   契約コントラクターは、年次の作業プログラム遂行する予算についても、CNHの承認を得なければならない。財務長官によって出されるガイドラインと関連の会計手順に従えば、契約に基づき油ガス採掘活動に要する経費は回収可能となる。プロジェクト資産の所有   PSCの期間中、契約コントラクターはプロジェクトとインフラ資産の全ての所有権を維持する。いずれにせよ契約が打ち切りになると、資産の所有権は、無償でメキシコ国に移る。契約が初期に終了した場合、賃貸契約がCNHに指名された第三者による操業オプションを含むならば、契約コントラクターは、その第三者の使用のために資産を賃貸するかもしれない。結合(他鉱区との一体化)   PSCは、結合メカニズムを含む。発見が契約エリア外に広がる構造、層または賦存の一部であるなら、契約コントラクターはSENERとCNHに知らせなければならない。この通知の後、契約コントラクターは、SENERによって結合の決定を受ける。契約保証   最初の探査フェーズとさらなる探査期間の間、契約コントラクターはCNHのために無条件で取り消せない信用状の形で、作業の性能保証を提出しなければならない。また、契約の実行と同時に、契約者または契約コンソーシアムの各社は、会社保証をCNHに提出しなければならない。環境義務   契約者は、契約エリアの放棄に関連した全ての活動を行わなければならない。契約者が商業的発見をした場合、契約者は契約エリアの放棄活動への蓄えとして、CNHと契約者が共同で投資信託を設立することを要求される。契約者は、油とガスの採掘活動によって環境に引き起こされる損害賠償のためだけにでなく、ベストプラクティスと環境許可に準拠して、全ての環境保護義務を負う責務がある。下請けとメキシコ国の商品・サービスの使用(ローカルコンテンツ)   契約コントラクターは、操業者の作業代替とは見なされない専門器材とサービスの供給を下請けに出すかもしれない。契約コントラクターは、油とガス採掘活動のための専門器材とサービスの供給について、契約中で規定された割合をメキシコ国の商品・サービスとして使用しなければならず、これに従わない場合、金融処罰の対象となる。さらに契約者は等しい価格、品質と納期状況の下では、メキシコ国家の商品とサービスを優先45石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響オなければならない。その他の準備   PSCは、いくつかの標準的な契約(規定する法律条項はメキシコの法律で定める)を含む。不可抗力条項(活動が連続2年以上の間中断されるならば、当事者には契約を解除する権利がある)、割り当て条項(事前のCNHによる同意)と免責条項が含まれる。免責条項はCNHと他のどの政府機関も保障して、保護することを契約者に要求する。そのなかには、契約と損害賠償に従わない行動、主張、損害賠償、経費、税、費用と、損失を被らないための従業員、代表、アドバイザー、ディレクター、譲り受け人、後継者の保護が含まれる。その上、CNHは、PSCに含まれる特定の事案の発生によって、管理の撤回または契約の撤回によってPSCを終了するかもしれない。   係争の場合、調停は最大3カ月とする第一歩として規定される。メキシコの連邦裁判所は契約の管理の撤回に関連したあらゆる問題を解決することになる。他の係争事案はスペイン語で、ハーグ(オランダ)の国際司法裁判所において、3人の仲裁人の決定を前提として、UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)規則の下で仲裁によって解決される。●ライセンス契約(表13)   地下に賦存する原油・天然ガスの所有権は国家に帰属しており、国家が許諾あるいは許可しない限り、それらを探鉱、採掘することは認められないという前提に基づくが、ホスト国政府から行政的な許諾または許可を取得した石油・ガス会社は採掘した全ての原油・天然ガスの処分権を取得できる。ホスト国は、ライセンシーである石油・ガス会社からロイヤルティあるいは租税の形で金銭あるいは採掘された原油・天然ガスの一部を徴収することにより、利益を得る。   すなわち、ホスト国は石油・ガス会社に、「原油・天然ガスの探鉱、採掘の許可」と「採掘された原油・ガスの取得権」を提供し、その見返りに、石油・ガス会社はホスト国に、「最低探鉱事務の履行」と「一時金、ロイヤルティの支払い」を行う。   メキシコでは、CNHから石油・ガス会社が採掘権のライセンスを受けて、自己のリスクと費用の負担において開発を行う。●利益分配契約(表13)   CNHと、入札で選ばれたコントラクターとの間で締結される契約。民間企業、民間企業連合(コンソーシアム)、Pemexはコントラクターの入札に参加可能。生産された石油・天然ガスは、市場で販売する販売業者に全量引き渡され、その販売益をメキシコ政府とコントラクターの間で分配。●サービス契約   事業主であるPemexによる石油・天然ガス開発プロジェクトに必要な役務をコントラクターが提供する契約。コントラクターはプロジェクトの収益に直接依存しない。役務(サービス)提供の対価は現金でコントラクターに支表13契約形態に応じた支払い義務サインボーナス探鉱契約料利益分配契約PSCライセンス契約なし○なし○○○国が受け取る対価(最低価値の構成要素)○(現金)○(現金)○(生産物)探鉱および採掘の操業税ロイヤルティ環境保護税契約の監督と管理手数料調整メカニズム※1による調整法人所得税国税と地方自治体税○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○従業員への利益分配※2※1: 調整メカニズムとは、特別な利益が発生した場合に、その一部が国に分配されるように、国およびコントラクターが受け取る対価を決定するパラメーターをコントラクターの操業結果に基づき、修正する仕組み。○※2:雇用主は、利益の一部を従業員に分配することを義務付けられている。出所:メキシコ石油天然ガス歳入法より作成○○462016.3 Vol.50 No.2アナリシス・われる。●カンタレル油田の盛衰   減退したカンタレル油田に、メキシコの石油産業を牽引するだけの力は残っていない(2004年日量210万バレル、2014年同37万バレル)。2017年から油生産を安定させるために60億ドルの投資計画あり。   カンタレル油田は、1961年、漁師Rudesindo Cantarell Jimenezが海から引き上げた網に油が頻繁につくこと(海底からの油の染み出し)をきっかけに発見された。   1976年の探鉱井の成功を経て、1979年より商業生産が始まり、1981年までに日量116万バレルに達した。1976年メキシコは経済危機に直面していた(天井知らずの失業率、通貨ペソの暴落)。当時の大統領Jose Lopez Portilloは経済危機からの立ち直りを、カンタレル油田からの原油輸出による外貨獲得に期待し、それは実現された。   カンタレル油田群:Mesozoic炭酸塩岩。Akal, Nohoch, Chac, Kutzの他に10ほどの小規模油田から成る。1979年にNohoch油田から生産が始まり、2年後に主力の(可採埋蔵量の90%を占める)Akal油田から生産が始まった。Akal油田は40?の広さながらも層厚1,200mを誇る巨大な油層構造(アラスカ州プルドーベイ油田の1.5倍)。1984年原始埋蔵量350億バレルのうち170億~200億バレルが回収可能と推定された(後に180億バレルと修正)。   1987年油層圧の減退を克服すべく、生産井にガスリフトが適用された。1991年にChac油田からの生産が始まり、1994年まで日量110万バレルで推移してきた。その後、生産井に占めるガスリフトの割合は90%に達した。1999年にKutz油田が生産に加わり、同140万バレル態勢に入った。2000年6月には本格的な油層圧回復のため、油層頂部からの窒素圧入プロジェクトが始まった。4年後に同200万バレルを目指すことになった。窒素圧入(Lindeグループ/BOC)は、ほかに水圧入、ガス圧入、CO2圧入のなかから、増油効果と操業面を考慮して選ばれた。増油効果は即座に現れ、2004年には同210万バレルのピークに達したが、その後減退が始まった(2006年13.1%減)。   2007年7月に日量153万バレル、2008年7月には同97万4,000バレルまで減退した。Pemexは2012年に同50万バレルで落ち着くと予想した。しかし、2009年9月には同50万バレルに下がり、その後、2012年4月に同40万8,000バレル、2013年6月に同38万8,000バレルと低下を続け、2014年6月には同34万バレルとなった。2014年平均では同37万バレルであった。   2014年7月にPemexは日量37万バレルを守るべく(主力Akal油田の生産レートを同18万~20万バレルに保つ)、2017年からの60億ドルの追加投資を発表した。例えば界面活性剤を含むフォーム(泡)の圧入。また、現在の回収率42%から60%を目指す。水の使用量22万5,000バレル、ガス生産は日量11億立方フィート。油は、同37万バレルを5年ほど微減を続け、将来は同20万バレルで安定すると見る。執筆者紹介伊原 賢(いはら まさる)1983年、東京大学工学部資源開発工学科卒業。同年、石油公団(当時)入団。1991年、タルサ大(米国オクラホマ州)大学院石油工学修士課程修了。1994年、東京大学博士号(工学)取得。石油学会奨励賞受賞。アラブ首長国連邦(UAE)ザクム油田操業、生産技術研究室長、JOGMECヒューストン事務所長ほかの勤務を経て、2008年7月より石油・天然ガスの上流技術の調査・分析業務に従事する上席研究員。専門は石油工学とC1化学。東京大学、東京工業大学、九州大学 非常勤講師。石油学会論文誌編集委員。主な著書:『シェールガス争奪戦』日刊工業新聞社 2011年9月     『シェールガス革命とは何か』東洋経済新報社 2012年7月     『天然ガスシフトの時代』(共著)日刊工業新聞社 2012年12月趣味はへぼゴルフ、グルメ(和食中心)、アニメ、デザイン。47石油・天然ガスレビューメキシコ:原油価格の下落が鉱区公開ラウンドワンの進捗に与える影響
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2016/03/22 [ 2016年03月号 ] 伊原 賢
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