JOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-
レポートID | 1006590 |
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作成日 | 2016-07-20 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガスレビュー 2 |
分野 | エネルギー一般市場 |
著者 | 舩木 弥和子 |
著者直接入力 | |
年度 | 2016 |
Vol | 50 |
No | 4 |
ページ数 | |
抽出データ | JOGMEC調査部舩木 弥和子(編者)JOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-はじめに 2016年3月16日、JOGMECは英国および米国から著名なエネルギー専門家を招へいし、国際セミナーを開催しました。本稿はその概要についての報告です。 近年、資源価格、特に天然ガス価格の下落により、発電事業においては石炭から天然ガスへの転換が進むと見込まれ、また、COP21(気候変動枠組み条約第21回締約国会議〈2015年11月30日~12月11日:パリ〉)の交渉の結果は、石炭の需給や価格に影響を与えるものと考えられます。このような状況に鑑み、最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後について、COP21の結果を踏まえたエネルギー市場における競争力の見通しという観点から、英オックスフォード・エネルギー研究所、天然ガス研究プログラム主任教授・シニアリサーチ・フェローのジョナサン・スターン(Jonathan Stern)氏、IHSEnergyグローバル・スティームコール・アドバイザリー・サービス代表のデイビッド・プライス(David Price)氏、米国の石油産業・政策等に精通するコンサルタントのルシアン・パリアレシ(Lucian Pugliaresi)氏にご講演いただきました。各界から約200名の方のご出席をいただき、講演は活況を呈し、セミナーの最後には活発な質疑応答も行われました。写1 会場入り口で(左からJonathanStern氏、LucianPugliaresi氏、DavidPrice氏)出所:JOGMEC撮影出所:JOGMEC撮影写2 会場の風景49石油・天然ガスレビューアナリシス.スターン氏「天然ガス価格の将来見通しと石炭の競争性」 天然ガスの価格水準は、北米でも、ヨーロッパでも、アジアでも変動しているが、価格形成の方法は地域によって異なっている。北米では、天然ガス価格は、確立されたハブ(hub)であるNYMEX(New York Mercantile Exchange:ニューヨーク商品先物取引所)で形成されている。ヨーロッパの天然ガス価格は、石油価格連動価格からハブで形成される価格へ移行しつつある。では、アジアにおいては、どうだろうか。天然ガス価格は伝統的なJCC(Japan Crude Cocktail:日本が輸入する原油の月間加重平均入着価格)から変わろうとしているのか。変わるとすればどのような価格形成方法に移行しようとしているのか。これが、今日、私が問いかけたい問題でかいりある。 図1に2007~2016年のガスおよびLNG価格のサイクルを示した。ガスは伝統的なコモディティであり、その価格はサイクルで変動する。2008年時点では、全ての地域のガス価格、すなわち、平均的な日本のLNG価格も、イギリスのスポット価格NBP(National Balancing Point)も、ヘンリーハブ(Henry Hub:NYMEX上場の天然ガス先物価格)も、全て、ほぼ同じ価格水準であった。それが、2010年頃から地域によって価格が乖離するようになり、2014年には大きな乖離が見られた。その後新たなサイクルに入り、2015年の第1四半期にガス価格が下落、ヘンリーハブだけが他のガス価格をかなり下回っているが、以前のような大きな乖離はなくなり、その他のガス価格は同程度の水準になった。 アジアのスポットLNG価格とNBPはブレント価格が下がる前に下がり始めているが、これは、石油とガスは別の市場であって、価格力学も違うことによるというわれわれの研究所の考え方を裏付けている。50US$/MMBtuBrentEurope Oil Indexed Contract estimate:Before concessionsWith 15% ReductionAsian LNG SpotAverage Japan LNG PriceEurope Oil Indexed Contract Pre 2009 formulaNBPGerman Border PriceAfter concessions (estimate)Henry Hub年/月Jul-2016Jan-2016Jul-2015Jan-2015Jul-2014Jan-2014Jul-2013Jan-2013Jul-2012Jan-2012Jul-2011Jan-2011Jul-2010Jan-2010Jul-2009Jan-2009Jul-2008Jan-2008Jul-2007Jan-20072520151050出所:Platts、EIA、Argus、CME、OIES図12007~2016年のガスとLNG価格のサイクル%9080706050403020100OPE GOG BIM NET RCS RSP RBC NP NK Oil Price EscalationGas-on-Gas CompetitionBilateral MonopolyNetback from Final ProductRegulation: Cost of ServiceRegulation: Social and PoliticalRegulation: Below CostNo PriceNot KnownOPEGOGBIMNETRCSRSPRBCNPNK2005200720092010201220132014出所:IGU Wholesale Gas Price Survey 2015, June 2015, Figure 4.8, p.27図2 ヨーロッパで販売されたガスの価格決定方式別割合の変化2016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-出所:JOGMEC撮影写3JonathanStern氏 まず、ヨーロッパについて見ていきたい。 図2は国際ガス連合の天然ガス価格に関する調査に基づき作成されたものだ。2005~2014年の間に、ヨーロッパで販売されたガスに占める石油価格連動型価格体系のガス(OPE)のシェアは80%弱から30%をやや上回るレベルまで落ちた。そして、ハブ価格と呼んでいる天然ガススポット価格連動型価格体系(ガス・オン・ガス〈GOG〉)により販売されるガスのシェアが15%から60%強に増加した。この比較的短い期間に、ハブ価格連動型価格体系が石油価格連動型価格体系に取って代わったということができる。 では、ヨーロッパのハブは、どこにあるのだろうか。図3を見ると、ハブがヨーロッパ大陸全域にあるように見えるが、実際に運営されている主要なハブは、イギリスのNBP、オランダのTTF、ドイツの二つのハブ、フランスの二つのハブ、オーストリアのVTP、イタリアのPSVである。この地図に記載されている他の場所は、取引が行われる場所であっても、ハブではない。ハブと呼ぶには取引以上のものが必要である。 先程、2014年までには、ヨーロッパで販売されたガスの60%がハブ価格で売られるようになったと説明したが、ヨーロッパには多くの国があり、状況は国ごとに異なっている。 表は、国際ガス連合の調査に基づいて2014年の状況を示したものである。ヨーロッパ全体のガス需要の50%を占める北西ヨーロッパでは、販売されるガスの88%がハブ価格、12%が石油連動価格で、それぞれ売られている。また、ヨーロッパのガス需要の10%を表51石油・天然ガスレビューThere are many locations which call themselves `hubs’ but only North 出所:Worldatlasbook.com; P. HeatherWest, Central Europe and Italy are significanttrading locations図3 ヨーロッパのガスのハブと中心となる市場ヨーロッパ市場におけるガスの価格決定方式別割合(2014年)地域およびヨーロッパの総需要に占める割合北西ヨーロッパ 50%中央ヨーロッパ 10%地中海ヨーロッパ 30%南東ヨーロッパ 10%OPE12326438GOG885330**04RCSBIMRSP%065215*04(注)北西ヨーロッパ:ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、オランダ、英国(注)中央ヨーロッパ:オーストリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、スイス(注)地中海ヨーロッパ:ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペイン、トルコ(注)南東ヨーロッパ: ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、ルーマニア、セルビア、スロベニア* :ハンガリーおよびポーランド**:主にイタリア出所:IGU Wholesale Gas Price Survey 2015, June 2015, pp.27-28閧゚るに過ぎない中央ヨーロッパではガスの半分強がハブ価格である。同じく30%を占める地中海ヨーロッパ(主2012 1H2012 2H2013 1H2013 2HNBP-GSLNBP-NCGPEGS-PEGNPEGS-NCGNBP-TTF100%90%80%70%60%50%40%30%20%PEGS-GSLPEGS-ZEEPEGS-TTFPSV-CEGHPSV-PEGNPSV-ZEEPSV-GSLPSV-NCGPSV-TTFCEGH-PEGNCEGH-ZEECEGH-GSLPEGN-GSLPEGN-ZEECEGH-NCGCEGH-TTFPrice correlation between NWE hubs is excellent出所:Petrovich/OIES based on Tankard data図4 ヨーロッパのハブ価格の相互関係16.0014.0012.0010.008.006.004.002.000.00US$/MMBtuJanAprJul OctJanAprJul OctJanAprJul OctJanApr20122011Oil PriceRussian Gas Price to Europe201320142015Jul OctJanAprJul OctOil-linked contracts (11% slope with 6-9mth lag)UK Spot Price出所:Henderson/OIES図5NBP、石油連動のガス契約のガス価格とロシアのヨーロッパに対するガス価格の比較NBP-PEGN2014 1H2014 2HZEE-TTFTTF-GSLZEE-GSLNBP-ZEETTF-NCGZEE-NCGGSL-NCGPEGN-TTFPEGN-NCGにイタリア)では30%がハブ価格で、また、10%を占めるに過ぎない南東ヨーロッパでは5%以下がハブ価格で販売されている。すなわち、南、そして、東に行けば行く程、石油連動価格が支配的である。アジアについても同様に、国によって非常に状況が異なっている。 ヨーロッパ各国のハブ価格に相関関係があることを示すことができれば、それが市場価格であるということができる。図4は、ハブ価格の相関関係を示したものだ。それぞれ任意の二つのハブ価格について、外側の円の近くに線分がある程、お互いの価格に相関関係があることを示している。そして、価格に相関関係があること、時間の経過とともに相関関係が強くなることが読み取れる。しかし、南ヨーロッパでは同じレベルのパイプラインが接続していないため、相関関係は弱い。他のヨーロッパではパイプラインに接続性があり、ハブ価格の相関関係が強いため、これを市場価格と言うことができる。 ロシアは、ヨーロッパにとって最も重要なガスの供給源である。図5の黄色いラインはイギリスのスポット価格、グレーのラインはロシアのヨーロッパに対する価格、オレンジのラインは伝統的な石油連動のガス契約の価格を示している。この図から、ロシアのガス価格は、伝統的な石油連動価格から離れて、スポット価格に近づいてきたことが分かる。2015年にはロシ806040200140120100US$/bbl522016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-て続くと考えられる。その期間はどのくらいになるか分からないが、少なくとも7年間は続くと見られている。 価格の形成メカニズムとしてJCCに取って代われるのは、ヘンリーハブ、NBP、TTF、アジアのスポット価格インデックスの指数、ハイブリッド価格等であると考えられる。このうちのどれが、アジアにおいてガスの需給を最も反映しているのだろうか。私は、価格が現在の需給を反映しているということが重要だと考えている。 LNGの輸出契約には、ヘンリーハブ価格にコストをプラスするというような契約がある。油価がバレルあたり100ドルだった当時、このような契約が多く締結された。油価が下がって計算をしてみると、油価がバレルあたり50ドル以下であると、コストを回収することが難しいことに気づく。現在、ヘンリーハブの価格は2ドル/MMBtu以下であるが、例えば、これが2ドル50セント/MMBtuまで上昇すると、油価がバレルあたり30ドルと仮定した場合、短期的な輸出の限界コスト、変動コストをカバーすることが難しい。ヘンリーハブはアメリカのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映していて、アジアのガスを含めたファンダメンタルズを反映しているわけではない。多くのバイヤーがこの罠にかかってしまった。ヘンリーハブに基づいた契約を締結する時、価格水準だけを見、価格形成については考えていなかったのだ。世界の状況は急速に変わり、締結した契約はあまりいい契約ではなかったことに気づくというわけだ。 アジアのLNG価格をスポット価格の指数に基づいて決めたらどうだろう。これは、いいアイデアだと思う。なぜなら、スポット価格の指数は需給による価格を反映しているからだ。しかし、スポット市場は流通性があるわけではなく、今後、数年間でトレードされるカーゴは増わなアのガス価格は、かなりスポット価格に近づいている。これを反映して、2013年および2015年には、ロシアはヨーロッパで最も多くガスを販売している。 図6では、ウクライナのガス購入価格とドイツのハブにおけるガス価格を比較している。直線で示されているのは、ウクライナがロシアのGazpromから購入するガスの価格である。石油連動価格でディスカウントが付いている。赤と茶色のラインはドイツの二つのハブのガス価格だ。2015年10月、ウクライナはガスを購入したが、その時点では、ロシアの価格はハブの価格より低かった。ウクライナは基本的にはガスをハブで購入しており、直接ロシアのガスは買っていない。しかし、このウクライナがロシア以外から購入したガスも、元をたどれば供給源はロシアである。2016年第1四半期を振り返ってみても、ウクライナはロシアからガスを買っていないとしているが、直接、Gazpromから買っていないだけで、実際には購入している。つまり、Gazpromはハブ価格で売ることに関して抵抗があり、その結果、ウクライナの市場をかなり失った経緯がある。 続いて、アジア、そして市場価格への移行について考えていきたい。 アジアの企業や政府は、JCCに取って代わるものとして市場価格を導入したいのだろうか。石油価格がバレルあたり100ドルであった時、すなわち、LNGがアジアにおいて世界で最も高い価格で販売されていた時には、これは非常に重要な問題であった。しかし、原油価格は大幅に下落した。アジアの企業は本当にJCCから移行する必要性を感じているのだろうか。単に価格が下がるだけではなく、電力会社に大きな影響を与えることを、政府は認識しているのだろうか。ヨーロッパでも、アメリカでも、独占時代を経た電力会社はほとんどなくなってしまった。しかし、アジア諸国が本当に市場価格に移行したいならば、そして、競争的市場に移行したいと考えるならば、タイミングとしては今が妥当だろう。現在、オーストラリア、アメリカ等で新たなLNGプロジェクトが立ち上がり、多くのLNGが市場に入ってくるため、LNGは世界規模でだぶついている。十分な供給と低価格は長期にわたっ1402015/10/2出所:PlattsUS$/Thousand?Purchase of 2 Bcm of Russian gas20026024022018016053石油・天然ガスレビューGaspool to Ukraine day aheadNCG to Ukraine day aheadEstimated Russian quarterly contract price2015/11/52015/12/92016/1/122016/2/15図6 ウクライナのガス購入価格(ロシアの価格とドイツの二つのハブ価格の比較)4スオイルであるとかLPGなどの価格を平均した価格だ。3カ月、6カ月と定期的で、価格の要素も変わる。ハブであるためには、毎日、そして、1日に1、2回以上、市場価格が変わる必要がある。したがって、上海はハブではない。上海ではLNGは少量取引されているのみで、アジア最大のLNG市場ではない。しかし、上海はアジア最大のガス市場で、規模は大きく、今後も大きくなる。問題は、上海の取引所が三つの中国の国営企業によって支配され中国政府が価格を決めており、自由市場ではないという点だ。また、通常、取引所は取引の推進者で、実際にそれに参加する人たちが所有しているわけではないが、上海取引所は、市場のプレーヤーが実質的に所有している。このような点から、上海は、いずれハブに成長する可能性はあるが、まだ先は長いと考える。 それでは、日本はどうか。日本は、少なくとも現状では、ハブとなるための条件が整っていない。日本は実際のハブを持つべきか、あるいは、バーチャルなハブを持つべきか、と尋ねられたら、いずれも可能だが、まずは最初に実際のハブからスタートしたほうが容易であろうと答える。ヘンリーハブなど米国には実際のハブがある。バーチャルなハブはヨーロッパにいくつかあるが、これは、国内にガスのネットワークがあって初めてできるものだ。日本にはパイプラインはあるが、私が見る限り、現在の段階では十分に接続していない。そのため、バーチャルなハブはできないと考える。しかし、将来、ハブができる可能性はある。日本がハブとなるには、再ガス化ターミナルとパイプラインへのアクセス、そして、“UIOLI”(Use it or lose it使わなければ失う=使わない場合には他の市場に提供する)という認識も必要だ。こういった環境が整わない限り、大手が参加するハブとなることは難しい。 とはいえ、日本でも自由化のプログラムが進んでいる。日本では電力については自由化が行われている。日本がどの程度自由化を進めることができるのかは、価格がどうなるかにもかかっている。少し時間がかかるかもしれないが、基本的にはスポット価格が契約価格以下である場合、顧客20122011年201520142013えてくるとは思うが、現在、多くのカーゴがトレードされているわけではない。現段階では、短期契約をスポット価格で結ぶことはあるが、その流動性に信頼が置けないため長期契約をスポット価格で結ぶことはない。 では、将来のアジアのハブはどこになるのか。シンガポールなのか、上海なのか、東京なのか。 しかし、その前に、何があれば、どのような条件が整えば、ハブになれるのかを考えてみたい。そのためには、第三者がパイプラインやガスターミナルにアクセスできることから始まり、さまざまな条件を満たすことが必要となる。米国やカナダでは、以前からこれらの条件が揃っていた。ヨーロッパでは、約10年をかけようやくこの条件が揃いつつある。しかし、アジアは、まだ最初の段階にさえ到達していない。 それでは、具体的なハブの場所はどこになるのか。 シンガポールは先行しており、自由化された市場であることから、メリットがある。しかし、大きな市場ではなく、残念ながら、これ以上大きくならない。また、日本、中国、韓国といった大きな市場から遠いので、代表的なハブには成り難い。しかし、LNGを取引しているので、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム等需要が急速に伸びている東南アジアのハブには成り得ると考えている。それ以上になり得るかに関しては、疑いの念を持っている。 上海はハブではなく、シティゲート価格のベンチマークとなっている。シティゲート価格とは国内のガス価格、輸入ガス価格、LNG価格、代替エネルギー、例えばガCoal201020092008200720062005Gas20042003200220012000199919981997US$/MMBtu5.004.504.003.503.002.502.001.501.000.500.00Gas cannotcompete with coal出所:Sen/OIES図7 インドにおけるガス価格と石炭価格の比較2016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-Gas cannot compete on price with coal or LPG, but may be necessary to improve air quality図8 中国の産業向け石炭、ガス、LPGの価格US$/ton出所:Chen/OIES2014/041,2001,0008006004002000がより安い価格で提供されているスポットカーゴにアクセスするよう求め、電力会社もそれに対応しなければならなくなる。既にトレンドが見えており、短期契約はハイブリッド価格で結ばれている。日本は基本的にまだ移行期の最初の段階にあり、この移行は速く進むかもしれないが、5年から10年はかかるのではないだろうか。 アジアの市場は欧米と同じ価格メカニズムをとる必要はないと考える。シンガポールは東南アジアのLNG取引の拠点、中国はシティゲートのベンチマーク、日本はハイブリッドのスポットマーケットだ。今後は混乱した移行期となり、いずれ、これらの価格は収斂していくだろう。一方、油価がスポット価格から離れると、JCCをベースとした長期契約に大きな圧力が加わることになる。 では、ガスは石炭と競争することができるのか。例えば、インドでは、石炭が安いため、ガスは石炭と競争することはできない。インドほど極端ではないが、中国でも同じような状況が見られる。 欧州連合域内排出量取引制度を主導しようとしているイギリスでは、二酸化炭素(CO2)排出許容量をヨーロッパで最も高い価格で購入する必要がある。2014年には、この購入価格を加えた石炭価格がガス価格を下回っていることが多かったが、2015年の中頃以降は、これがガス価格を上回るようになり、ガス火力発電所が石炭火力発電所よりも経済的になった。現在、ガス価格が下がってきており、イギリスではガスが石炭よりも競争力がある。また、ヨーロッパでガス対石炭ということを考える場合、個々の国を見ることに加え、個々の発電所を見なければれん2014/062014/082014/102014/122015/022015/042015/062015/082015/102015/12年/月Coal for industry useGas for industry useLPG for industry useならない。効率のよい石炭火力発電所は競争力を持っており、このような発電所があれば、その分だけガスの競争力が失われる。 美しい大気はどこの国にとっても重要であり、政府が大気を美しくしたいと考えれば、ガスをより多く使うような規制を導入する。したがって、規制によりガス利用を促し、価格に影響を与えることがあり得る。 本日のまとめ、結論として次の点を述べたい。天然ガスの価格は、混乱を経験してきた。しかし、より重要なのは価格形成のあり方である。北米やヨーロッパでは、ハブにおける市場価格が確立されているが、アジアのLNG価格はまだ主にJCCベースとなっており、そのため、市場の論理が失われている。これから10年の間にアジアのハブは進化していくと思う。2020年前後に向けLNGが過剰供給されれば、これが加速されることになるだろう。世界のほとんどの国で、ガスは石炭と価格で競争することは困難であるが、CO2排出許容量を高い価格で購入しなくてはならなくなったり、大気の質を維持する規制がある場合は、状況は異なってくるだろう。2.プライス氏「世界的な一般炭供給及びコスト動向」について 石炭の見通しはかなり暗いものである。世界的に予想以上の供給過剰となっており、価格は低迷している。一般炭の貿易量は2014年の9億7,000万トンから、2015年は9億500万トンあるいは9億1,000万トンとなり、私がこの仕事に就いてから初めて前年を下回った。貿易量はこれまで伸び続けていたが、昨年は今述べたように55石油・天然ガスレビューゥなり大きく落ち込んだ。価格は、北西ヨーロッパでトンあたり45ドルと、2003年以降の最安値で、非常に低い水準となっている。その結果、生産者は経費を削減したり、炭鉱を閉鎖したり、企業を売りに出したりと、非常に苦労している。 スターン氏は天然ガス価格が低迷していると述べられたが、石炭にとっても価格低迷は問題だ。石炭にもガスと同じように価格にサイクルがある。 石炭価格は2008年に急騰して、その後、暴落した。これは中国の影響で、中国が大量の石炭を輸入したために価格が急騰し、その後、輸入が減ったため、石炭の買い手がいなくなり、価格が暴落した。 記録上、石炭の価格が最も安値となったのは2002年8月で、北西ヨーロッパ渡しでトンあたり25.86ドルであった。現在は、そこから20ドル程高い価格水準だ。しばしば、ボトムはどこかと尋ねられるが、これについて語ることは避けたいと思う。 2011年以降、石炭が価格を下げた要因は、好景気の中国が石炭の輸入を増やし、2030年には10億トンの石炭を輸入するとの見通しが立ったことから、多くの企業が投資を行ったことにある。われわれは、中国の石炭輸入のピークは2015年になると考えており、その中国の需要見通しは間違っていると指摘した。われわれの見通しは1年誤ったが、その後、中国の石炭輸入量は減少している。多くの投資が行われた結果、中国でも、アメリカでも石炭は供給過剰となり、それを反映する形で国際的な石炭市場で価格が下落した。そのため、企業はコスト削減に必死になっている。 では、市場を再均衡させるためには何をすればよいのだろうか。 問題となるのは生産だ。供給は、より少なくあるべきだ。需要が伸びるまで待てない状況だ。中国がようやく生産を抑制するようになった。低コストの輸出国であり、供給を削減することはないと考えていたインドネシアも供給を削減した。 インド、ヨーロッパ、アメリカ等世界中でユーティリティ企業(電力、ガス会社等)の在庫が高すぎるので、これを引き下げなければならない。 最も重要な点は、価格は低く推移しなければならないということだ。低価格に対応する策は低価格である。低価格が続かないと、リバランスはできない。アメリカには石炭の価格は底値に近いと考えている人が多くいて、彼らは今が投資すべきタイミングだと思っている。しかし、まだ、予知できないさまざまな影響があると思われる。例えば、中国は2000年の初期には一般炭で世界第2位の輸出国であり、約6,000万トンを輸出していた。現在も中国は石炭輸出のポテンシャルを模索している。中国が輸出量を増やせば、石炭価格には非常に大きなダメージが生じる。また、現在、大規模企業が小規模企業に炭鉱を売りに出すケースが多く見られる。小規模企業は、既存の設備を使って大いに生20152016年出所:JOGMEC撮影写4DavidPrice氏US$/ton250200150100500200320042005200620072008200920102011201220132014Landed NW EuropeLoaded S. AfricaLoaded NSW出所:IHS Energy図9 一般炭の価格推移Landed S. China562016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-産すると考えられ、供給過剰の状態が続こう。したがって、石炭の低価格は続くと見る。 石炭の生産量は減少している。 中国の生産量は2015年に3.2%減少し、2016年には4~5%あるいはさらに減少すると考えている。中国政府は、最近、多様な対策を打ち出し、その生産能力を引き下げると発表している。 アメリカでは石炭の生産量が減少し始めて6年目に入っている。アメリカの石炭生産者はヘンリーハブの天然ガス価格が低いことに打撃を受けているが、この状況が継続しており、2016年もかなり生産量が減少すると予想している。 インドネシアは生産能力を約1億トン減らし、輸出能力の1/4~1/5を失った。 ウクライナもかなりの生産能力を失った。 しかし、オーストラリアやロシアでは2015年に、むしろ、生産量は増加している。したがって、道のりはまだ長いと考えられる。 では、需要の伸びはどこに見られるのか。中国は一時期、石炭市場拡張の推進力であったが、今は元成長市場と化してしまった。 しかし、一般炭市場については十分な成長が見込まれる。インドは今後、需要が伸びる見通しだ。インドの周辺のバングラデシュ、パキスタン、スリランカは、全て、石炭火力発電所を建設しており、特に2020年以降需要が伸びると見ている。東南アジ57石油・天然ガスレビュー30,00025,00020,00015,00010,0005,0000Thousand tonsJanFebMarMayApr201320152015 trendJunJulAugSepOctNovDec月20142014 trend出所:IHS Energy、EIA CCS Information Service Center図10中国の海上輸送による石炭輸入量推移20,00018,00016,00014,00012,00010,0008,0006,0004,000Thousand tonsJanMarFeb20132014 trendAprMayJunJulAug20142015 trendOctNovDec月Sep2015出所:IHS Energy図11インドの海上輸送による石炭輸入量推移Aでも石炭火力発電所の建設がブームとなっている。ベトナムも非常に素晴らしい市場だと考えられる。中東、東アフリカ、北アフリカ、そしてアフリカの他の地域でも、需要の伸びは期待される。新たな地域だけではなく、伝統的な石炭輸入国である韓国、日本、台湾も発電能力を拡大しており、より多くの石炭を消費するであろう。 主要な市場であった中国は、なぜそうではなくなってしまったのか。この問いに対する答えは、そのような事態は起きてはいない、中国はまだ主要な市場であるというものだ。中国は現在35億トンの石炭を消費しており、この状況は2030年代まで続く見通しで、まだ市場として終わったわけではないのだ。はじ では、なぜ、中国で石炭バブルはこのように激しく弾けてしまったのか。理由はいくつかある。生産増が止まるまでのここ数年の石炭生産量が多すぎたこと、電力部門で、風力や水力、原子力、ガス等との競争が生まれていることなどだ。環境面でも石炭に圧力がかかっている。ばい沿岸の発電所が煤煙の問題で閉鎖に追いこまれた。北京付近に新設された発電所はガスに転化しろと命じられた。環境面では進展も見られるが、中国は石炭を利用する設備を北西に移動させている。このように石炭火力発電所が沿岸部から北西部、内陸部へ移動していることで、産炭地によっては、影響が生じていると考えられる。2015年の石炭輸入量は月あたり1,000万~1,200万トンであったが、2016年はこのレベルが維持され、輸入は安定化するはずだ。 インドは「新たな中国」であると見なされている。インドこそ、今後の富の中心だと言う人がいる。私は必ずしも同意しているわけではないが、大きな成長市場であるということに変わりはない。2015年は年初に石炭輸入量が多かったが、次第に減少した。これには、国内の石炭生産量の増加、在庫が積み上がったこと等いくつかの理由が考えられる。 インドを石炭の輸入センターにしていくためには電力市場、石炭市場ともに改革が必要であるが、それが今、起こりつつある。ナレンドラ・モディ政権は石炭、電力、ガス、石油等あらゆる市場の改革を非常に積極的に進めている。これにより、活用されていない発電能力も動き始めると思う。また、鉄道網が整備されることで、輸入される石炭にとっても、国内で生産される石炭にとってもよい状況になると考える。 数年前と比較して現在、インドでは石炭の輸入価格58Rupees (INR)/tonUS$/ton7,0006,5006,0005,5005,0004,5004,000160150140130120110100908070603,50020112012Rupees/ton201320142015US$/ton502016年(注)1INR(インドルピー)=0.015US$/1.61円出所:IHS Energy図12南アフリカの石炭をインド西海岸で輸入する際の価格年2040203920382037203620352034203320322031203020292028202720262025202420232022202120202019201820172016201520142013201220112010AustraliaColombiaIndonesiaRussiaSouth Africa36031026021016011060出所:IHS Global Insight図132013年を100とした場合の各国為替レートの実績と見通し2016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-13012090807011060504030100US$/tonはどの程度、競争力があるのだろうか。南アフリカの石炭をインドの西海岸で輸入する際のルピー建て価格は、過去5年間に大幅に下がってきており、競争力はあるはずだ。 供給サイドではコストが非常に大きな課題となっている。ガスセクターでも、石炭セクターでも、ホワイトカラーの人員削減やメンテナンスのスケジュールの変更によって、皆がコスト削減を図っている。しかし、特にこの2、3年、石炭の生産者にとってプラスに働いたのは、為替レートの変動、対ドルで通貨が大幅に安くなったことだ。通貨安は、コストに大きな影響を与える。図13は為替レートの実績と見通しを示したものだ。ウクライナの危機の後、2014年にロシアの通貨ルーブルが大幅に下げ、ルーブルは競争力を持つことになった。同時期に、コロンビア政府がペソをドルに連動させることをやめ、その後、ペソが値を下げたことから、コロンビアのコストも大幅に下がった。南アフリカ・ランドは長期的に大幅に値を下げる見通しとなっている。 インドネシアの、特に小規模な生産者は苦境にある。図14は品位別石炭の価格を示している。上から、ブルーがニューカッスル(豪州)でトレードされている6,000kcal、グレーが同5,500kcal、黒がインドネシアの4,900kcalの石炭の価格となっている。質の高い石炭は価格差を維持している。しかし、低品位の石炭の差はなくなっている。これは、石炭価格をこれ以上下げることができないというインドネシアの石炭産業の状況を示している。 次に、短期的な不確実性について考えてみたい。ガスに関しては、スターン氏からも話があったが、価格が非常に低くなってきた。これは石炭にとっては脅威であり、Apr2011出所:IHS59石油・天然ガスレビューApr2012Apr2013Apr2014年/月Apr2015Newcastle 6,000kcal FOBNewcastle 5,500kcal FOBIndonesian Subbituminous 4,900kcal FOB図14品位別石炭価格推移為替市場も大きな不確実性を帯びることとなる。中国については、2017年、あるいは2018年に市場の均衡がとれるようになれば、価格が上昇し始めるだろう。インドについては、現在は緩やかな生産増が見られると考えているが、消費量が急増し、生産増が維持できない場合には、輸入に大きな影響が出ると考える。インドネシアに関しては、2015年に生産量が大幅に減少した。再びこれが繰り返されるか否か、多分そうなると考えているが、分からない。インドネシアの市場を理解するためには、もう少し慎重に検討しなければならない。 長期的には、石炭価格は再び上昇に転ずるのではないかと考えている。供給の伸びはほぼ止まっており、1年以上も投資が行われていない。この状況は今後も続くとvう。すなわち、供給側は需要の伸びに対応していない。東南アジアでも、北東アジアでも石炭需要は伸びてくる。市場がバランスするところにまで需要は戻ってくると思う。ところが、供給サイドはまだ準備ができていないので、それほど早く市場に石炭が入ってこない。そこで、ある段階では価格が上昇し始める。このようなコモディティ・サイクルは、スターン氏も言っていたが、上がることも、下がることも見えず、常にわれわれを驚かせる。しかし、価格が再び上昇する条件は整っていると思う。 さらに長期の展望として、パリで開催されたCOP21、気候変動について考えたい。私は常に環境を無視してきた。石炭産業にとっては、見るだけの価値がないと考えていたからだ。しかし、昨年のパリの会議で状況が変わった。185カ国以上がこの気候変動の目標に調印したが、目的はそれほど素晴らしいものではない。特に、中国は2030年まではこれまでどおり石炭を利用し、インドは今後も石炭を利用していく。注目すべき点、今後、ますます影響を与えることになると考えられる点は、5年ごとに目標を見直し、一体、どの国が目標を達成しているのか、そして、達成してない国はどこなのかをレビューすることになった点だ。現在、交渉しているのは、どのような機関が目標を監視すべきなのか、そして、目標を達成できない場合にはどのように罰するのかということだ。 2020年以降、目標は厳しくなり、石炭にとっては不利になると考える。しかし、物事は変わっていくと思う。 もう1点、覚えておかなければいけない最後のポイントは、COP21は、石炭に対する世界のムードを反映しているという点。石炭に対する人々の考え方は異なってきている。現在、「私は石炭の仕事をしている」と言うと、何か汚い物に入り込んでいるような印象を与える。しかし、10年前には、人によっては驚くかもしれないが、汚いという印象はなかった。さまざまな国際会議で、ガスに対し、より汚い石炭を置き換えることでクリーンにできるということが話題にされている。そのため、現在はガスが環境関係者の注目を浴びているのだ。3.パリアレシ氏「北米における天然ガスの今後の見通しについて」 世界を変えることができるコモディティ、ある政権を生かすか殺すかを決めるコモディティは、石油である。2014年に石油価格がバレルあたり50ドル下落したことで、1兆7,000億ドルが動いた。世界の全ての航空会社は2014年に2,080億ドルをジェット燃料に費やしたが、2015年にはこれが900億ドルに減少した。風力やソーラーもよいが、基本的に重要なのは石油だ。石油を正しく扱わなければ、経済成長、福祉、福利に影響が出る。市民、国民に影響が及ぶ。油価、ガス価格が低迷している今こそ、まさにこの点について考えていかなければならないと思う。 ただ、本日は、アメリカの天然ガスの埋蔵量の規模と堅固性、新たな環境規制がアメリカの天然ガス生産に与える影響、COP21による新たな環境規則が天然ガス需要に及ぼす影響、アメリカからの天然ガス輸出の意味合い、そしてコストについて考えてみたい。 アメリカのシェールガス開発は素晴らしい進展を遂げてきた。ニューヨーク州のクオモ知事やEPA(Environmental Protection Agency:米国連邦環境保護庁)が新たな規則を導入し、環境面でプレッシャーがあるが、アメリカのシェールガス開発の多くは私有地で行われており、また、大きな経済力を持っており、シェールガス開発をやめてしまうということはない。 アメリカはロシアよりもカタールよりも多く60出所:JOGMEC撮影写5LucianPugliaresi氏2016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-天然ガスを生産しており、世界最大の天然ガス生産国となっている。アメリカの天然ガス埋蔵量は減少し4~5年しかもたないと思われていたが、ここ数年の間にシェールガスの開発によって素晴らしい変化が見られた。 われわれは、原油価格が高くガス価格が低迷していた時、ガス価格が上昇し、経済が打撃を受けることを非常に心配していた。原油価格が下落する可能性があったわけだが、当時はこのような展開になるとは、すなわち、油価が下がるとは誰も考えてもみなかった。ガス価格が上昇すると考えていたのだ。原油価格が下がったことで経済のファンダメンタルズが影響を受け、プロジェクトのコスト面に変化が現れてきている。 アメリカの天然ガス資源のベースには非常に強固なものがある。 アメリカの主要な非在来型ガスプレイで稼働しているリグの数は、2011年には約400基であったが、2016年初めには70基程度に減少している。これまでの分析では、リグの数が減ると生産も減ると考えられていたが、現在、その逆の現象が起きている。図18は左図がアメリカの天然ガスの生産量、右図が天然ガスのリグ数を表している。天然ガスのリグ数は記録を取って以来、最も低い水準、約70基に下がっているが、天然ガスの生産量は日量740Bcf~750Bcfと最高水準になっている。アメリカの歴史上、類のない結果となっている。 図19と図20に、主要なガス生産盆地であるUticaシェールとMarcellusシェールの新しいガス井のリグあたり生産量とリグ数を示した。生産量を青い線、リグ数を黒い線で表している。Uticaシェールについても、Marcellusシェールについても、リグ数は激減したが、それ61石油・天然ガスレビュー9080706050403020100Bcf/dayShaleConventional199219962000200420082012年出所:EIAデータに基づきEPRINC作成図15米国の天然ガス生産量Bcmabout 25.5 Tcf8007006005004003002001000USRussiaQatarCanadaIranChinaNorway出所:BP180# of Rigs160140120100806040200HaynesvilleUtica出所:Baker Hughes図16主要国の天然ガス生産量(2014年)MarcellusFeb 2016Barnett年/月/日図17非在来型ガスプレイにおけるリグ操業状況ナも生産量は増加している。リグの効率が非常によくなり、生産性が高まっているので、リグが減っても生産量が増加している。このようなリグの改善は非常に注目すべき点だ。 シェールの開発には、科学的な側面と芸術的な側面がある。新しい技術と古い技術があり、技術自体は古くても応用、適用面で新しいものもある。これらの技術をシェール開発に使うことで、多くのことが学ばれた。過去約24カ月の間に、ChevronやExxonMobilのようなメジャーが真剣にR&Dに資金を投下するようになってきた。潜在的な新しい技術、効率の追求、効率の改善等まだまだポテンシャルがある。 Marcellus /Uticaの両シェールでは、2011年からの5年間で初期の生産量が約400%向上した。Haynesvilleでは5年間に22%の改善が見られた。その他Eagle Ford、Bakken、Permianいずれの盆地でも、継続的に初期生産の改善が見られる。そのため、ガス生産量が維持できているのだ。 原油価格が下がり、ガス価格もかなり低迷したことで、石油供給サイドのコストが急速に下がった。そればかりではなく、実際にクルーによりリグを展開し坑井を掘削するのに必要な労働コストも40~50%下がった。リグのコストが下がり、また、それと同時にリグの効率がよくなったからだ。この2点は重要だ。 このような状況を背景にして、EIA(Energy Information Administration:米国エネルギー省エネルギー情報局)によると、アメリカの天然ガス生産量は今後も拡大し続ける見通しとなっている。それも、非常に低いガス価で達成されるという。IHSの同僚が最近、調査をしたところ、アメリカには現在、約800Tcfの天然ガス埋蔵量があり、362Rig countrigs50454035302520151050Rig countrigs1501209060300年U.S. Natural Gas Production Bcf/dayRig Count, Natural Gas Rigs1,2501,050787674727068666462605856545285065045025050Jan ?Feb 2016JanFebMarAprMayJunJulAugSepOctNovDec201020132011201420122015出所:EIA、Baker Hughes、NavigantJanFebMarAprMayJunJulAugSepOctNovDec2009201220152010201320112014図18アメリカの天然ガス生産量とリグ数new-well gas production per rignew-well gas production per rigrig countrig countNew-well gas production per rigThousand cf/day8,4007,2006,0004,8003,6002,4001,200020072011出所:EIA drilling productivity report、Feb 201620082009201020122013201420152016年図19新しいガス井のリグあたり生産量とリグ数(Uticaシェール)new-well gas production per rignew-well gas production per rigrig countrig countNew-well gas production per rigThousand cf/day12,00010,0008,0006,0004,0002,000020072011出所:EIA drilling productivity report、Feb 201620082009201020122013201420152016図20新しいガス井のリグあたり生産量とリグ数(Marcellusシェール)2016.7 Vol.50 No.4アナリシス0090807060504030201002040年Bcf/day403020100-10-20Shale gas and tight oil playsOther lower 48 onshorelower 48 offshoreTight gasCoalbed methaneAlaska19951990出所:EIA20002005201020152020202520302035図22アメリカの天然ガス生産量 実績と見通しHistory20132013Projections2013Alasla LNG exportsLower 48 statesLower 48 statesLNG exportsLNG exportsPipeline exportsPipeline exportsto Mexicoto MexicoPipeline exports to CanadaPipeline exports to CanadaPipeline imports from CanadaPipeline imports from CanadaLNG importsLNG importsReferenceHigh Oil and GasResourceLow Oil Price-82000出所:EIA2010202020302040202020302040202020302040年図23アメリカの天然ガスの輸出・輸入シナリオJOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-20112012201320142015MMcf/day+395%7.07.01.41.4Marcellus/Utica76543210+22%5.55.54.54.5Haynesville2.52.01.51.00.50.076543210+84%2.12.11.11.12.52.01.51.00.50.0+282%0.80.80.20.22.52.01.51.00.50.0+178%0.60.60.20.2Eagle FordBakkenPermian出所:EIA drilling productivity report、RBN図21主要なガスプレイにおける初期生産の改善Tcf/YearHistory2013ProjectionsBcf/day403530252015105 0Tcf1612840-4ドル以下でこれを回収することができるという。 ここで、規制がアメリカの天然ガス需給にどのような影響を与えるのかを考えてみたい。 ヒラリー・クリントン氏は2016年3月6日、「さまざまな状況が終息する頃には、アメリカの多くの場所でフラッキング(フラクチャリング)が続けられることにはならないと思う」と語った。日本にいてこれを読むと、シェールの生産は全て中止されるのではないかと思うかもしれない。しかし、アメリカではどのようなことが起きるのかという経験を持ち、憲法等を理解し、議会がどう対応するか等が分かっていれば、このような発言にあまり注目しない。その証左には、3日後に、EIAは「Marcellusシェールの2016年3月の生産量は、生産性の向上と新たなパイプラインにより、われわれがわずか30日前に予測したよりも2Bcf/d多くなるだろう」と語っている。アメリカの政治的なコメントと現実の対比をまともに受けず、真に理解することが大切だ。 EPAは、2015年9月、メタンの管理に関する規制を提案した。EPAは、この規制によりコストが上がるかもしれないが、ガスを節約でき、その結果、規制もそれほど厳しいものにならないとしている。EPAはガス価格を4~4ドル50セント/MMBtuで試算したということだが、現在ガス価格は2ドル/MMBtu以下になっている。われわれは、規制によってはコストがかかるかもしれないが、膨大なコストにはならないと考えている。われわれが見る限り、この規制により天然ガス井のコストは5,000~2万ドルくらい上昇すると思われるが、もっと低い価格で妥協する可能性もあると思う。63石油・天然ガスレビュー@COP21以前から、供給側については多くの規制のプログラムがあった。それにより、新たに石炭火力発電所を建設することが難しくなっていった。建設された石炭火力発電所の容量と実際の発電量を見る必要もあると思うが、石炭による発電量の伸びは緩やかだ。ガス価格が下がったこともあって、市場はより多くガスを導入するという動きになっている。ただ、供給のトレンドから見て、ガス価格は今後も長期的に低いと考えられる。 天然ガス資源が非常に豊富であり、技術も進展していくとの考えから、クリーンパワープランの議論が生まれている。いろいろなシナリオが考えられているが、最もあり得そうなシナリオは、石油、ガスがともに多く供給され、経済成長が高くなく、そしてCOP21のコミットメントがオバマ大統領の発言どおりに追求され、その結果、発電部門では天然ガス火力の割合が高くなるというものだと考える。議論の余地はあるが、より多くのガスが使われる可能性が高いと見ている。 COP21の締約は、ガス産業にダメージをもたらすものではない。アメリカの環境グループは、発電は太陽光と風力で行われるべきであり、皆が電気自動車を運転すべきだとしている。もちろん、そういう夢を持つ人はいるだろうが、しかし、これは実現不可能だ。2020年、2030年には、アメリカの電力需要は日本のようにそれ程急速には伸びなくなる。経済的な現実として、資源量が豊富であるのでガス価格は下がり、実際に発電される電力のうち再生可能エネルギーや天然ガスの占める割合が増え、石炭の割合は減少することになるだろう。石炭火力発電所は造られず、また、原子力発電所も多分、2~3カ所建設される程度と考えている。 アメリカには7~8カ所のLNG受入基地がある。ところが、天然ガスのルネサンスが起こり、何十億ドルも投資をしたLNG受入基地の資産価値がほぼゼロになってしまった。そこで、受入基地だったものを、今度はLNG輸出基地にすることとなった。 2020年、2030年のガス需要は75Bcf/dとなると見ている。長期的なガスの供給過剰からガスの価格が下がり、消費者は安いガスをもっと使おうと考えるかもしれないが、まだどうなるか分からない。EIAのさまざまなガス輸出のシナリオを見て懸念するのは、供給が多い場合ではなく、油価が低い場合だ。油価が低いということは、ガス価格も下がるということで、アメリカはガス輸出に関し競争力を持たないということになる。メキシコへのガス輸出はパイプラインで行われ、増加するが、恵まれたLNG輸出業者は減っていくと考える。 議会や規制当局が設定した環境規制によって、義務が発生し、プロジェクトのコストが大幅に上がる可能性がある。われわれは、過去、目標の最後の部分を達成しようとして、一体どのくらいの金を使ってきたのだろうか。われわれは、最後の10ヤードに多くの金額を支払ってきた。本当にそれだけの金額を払う価値があるのだろうか。図24をご覧いただくとお分かりいただけるように、われわれはわずかなメリットのためにばく大な資金を投入している。非常に高価で、非効率な形で目標を達成することになっているのかもしれない。多くの規制から本当に価値を得ることができるのかという基本的な問題に関して、考えていかなければならないと思う。Grams of Greenhouse Gases vs Miles Per Gallon (MPG)Grams of GHGs per MileYou are here1015202530354045505560657075801,0008006004002000Miles per Gallon -Increasing Efficiency --->Annual fuel consumption per vehicle (assuming12,000 miles per year)1,2001,0008006004002000Annual fuel cost per vehicle (under two price scenarios)$4,000$3,000$2,000$1,000$0101520253035404550556065707580Miles per Gallon -Increasing Efficiency --->Analysis Based on EPA dataGHG/MileEPRINC@$3.50/galAnalysis Based on EIA data@$2.25/galEPRINC出所:Pugliaresi, L. and Max Pyziur、CAFE、Gasoline Prices and the Law of Diminishing Returns、March 2016、EPRINC図24環境規制達成のための投資額642016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-4.質疑応答【質問①】・ 第三者がパイプラインやガスターミナルにアクセスできることがハブとなるための必要条件だとの話があった。私は、エネルギーの役割、LNGの役割は、日本とヨーロッパで全く違うと思う。ヨーロッパでは、LNGはガス市場全体の10%程度しか占めていないが、日本の場合はLNGが全てであり、日本の電力会社はガスの供給という面では完全にLNGに依存している。何らかの規則、あるいは登録によって、電力会社が第三者のアクセスを受け入れるには、第三者に渡すための容量が必要になると思う。容量のどのくらいの割合を第三者に開放すれば、第三者アクセスが十分であるということになり、それによって、取引ハブとなれるのか。《回答》・ どのくらいの割合を第三者に提供すればよいかという点について、特に考えはない。ヨーロッパでは、利用可能な容量があるかどうかを見ている。われわれが知りたいのは、これらの設備が所有者によって完全に使われているかどうかということだ。われわれは、設備に対する需要があるのか、そして、どこからその需要を満たしていくのかという点を見ている。多くの場合はそうではないのだが、仮に、十分に容量がないということが分かり、これらの設備を使いたいという人がいれば、増設しなければならないことになる。これがヨーロッパのシステムだ。お客様にサービスを提供する電力会社の能力を奪うものではない。(Stern氏)【質問②】・ アメリカの大統領候補のうち民主党の2人の候補は、環境面からシェールガスの開発に関して否定的だと聞いている。しかし、アメリカがシェールガスを生産することには、雇用、エネルギー価格、安全保障等多くの点でメリットがあると思う。これらの候補者はシェールオイル・ガスを生産することで得られるメリットに関してどう考えているのか。《回答》・ 日本には、アメリカがシェールガスの生産をやめてしまうのではないかと疑いを持っている人がいる。議論があることは確かだが、特異な発言があったからといって、そのとおりになるわけではない。歴史的に見ると、多様な発言はあるが、ガスの生産は増えてきた。 シェールガスは、連邦政府所有地で生産されているわけではなく、民間、個人の所有地で生産されている。民間の土地、例えば、ペンシルベニア州、コロラド州、テキサス州等で生産されているわけで、州政府はここからメリットを享受している。これらの州からは議員が送られており、連邦政府がシェールガスの探鉱・開発をやめさせようとすれば、これらの議員が反対する。したがって、連邦政府がこれをやめようとしてもうまくいかない。 また、アメリカにはガスを生産するメリットがあり、それがあるということは周知されている。オバマ大統領の周囲はシェールの探鉱・開発を中止させたいと考えていたが、オバマ大統領はそうならないように動いた。責任ある規制も必要ではあるが、シェール革命に関して、破滅的な影響があるとは考えてはいない。(Pugliaresi氏)【質問③】・ ガス価格の低迷で、Gazpromはどの程度苦しんでいるのか。また、今後5年、10年の開発戦略をどのように調整していこうとしているのか。《回答》・ ロシアは、ガスに対する投資は既に行っているが、市場がないためにフル生産できない状況にある。Gazpromのガス生産の限界コストを、われわれは、輸送コスト、ロシアの税金等を全部足し、為替を考慮して計算している。ルーブルが対ドルで下げたという話があったが、為替は非常に重要である。このように計算すると、Gazpromのガス生産の限界コストは、ドイツ国境渡しで3ドル50セント/MMBtuをやや上回るくらいとなる。ロシアは価格に満足していないが、打撃を受けているわけでもない。 問題は、価格がさらに下がった場合にGazpromがどうするかということだ。私の感触では、彼らは市場シェア、すなわちヨーロッパ市場の30%を守ることになるだろう。Gazpromは長期を見据えて行動することを非常に明白にしている。また、彼らはいつもその時点の価格では見合わない非常に高価なパイプラインを造ろうとする。それは、Gazpromが、2020年、65石油・天然ガスレビュー030年を見据えているからなのだ。現在は在庫があるかもしれないが、2020年には在庫が減り、2011年のようにアジアがヨーロッパからLNGを全て奪ってしまう可能性があると彼らは考えている。ここ数年は厳しいかもしれないが、競争相手に比べれば基本的にロシアの立場は非常に良好だと考えている。 では、Gazpromはサウジアラビアがやったように競争相手を倒すために生産を調節するということはしないのだろうか。2014年9月から2015年3月までの間、彼らはまさにそれをやった。逆流しウクライナに入るガスをなくすため、また、ヨーロッパのハブ価格を支持するため、ヨーロッパへの供給を契約の最低限まで減らした。しかし、これは失敗に終わった。他国のガスが市場を奪い、ウクライナへの逆流が続き、価格は上昇しなかった。そして、Gazpromは、こんな事は二度と繰り返すまいと考えるようになった。(Stern氏)【質問④】・ 過去10年、そして、今後を考えた時、中国の石炭需要がどうなるのかという点が、世界のエネルギー需要に大変大きな影響を与えると考える。今後10年、あるいは15年を見た時、中国の石炭需要に影響を与える要素について、どのように考えているか。ポイントを教えてほしい。例えば、ロシアは中国にどのように対応していくのか。また、アメリカではシェール開発技術が進展しているという話があったが、水を使わなくてもシェール開発が可能な技術ができているとすると、中国が水のないところでも自前でシェール開発ができるよう技術移転が行われるのだろうか。《回答》・ 中国の石炭消費量は現段階では約35億トンで、今後、2030年になっても出所:JOGMEC撮影写6 質疑応答の様子出所:JOGMEC撮影写7 会場の風景出所:JOGMEC撮影写8講演後の講師(左からJonathanStern氏、LucianPugliaresi氏、DavidPrice氏)662016.7 Vol.50 No.4アナリシスOGMEC国際セミナー-最近のエネルギー情勢下における石炭と天然ガスの現状と今後の見通し(COP21の結果を踏まえた、世界の石炭と天然ガスのエネルギー市場での競争力の見通し)-それは変わらないと思う。将来、中国の石炭消費量が大幅に減少するとは考えていない。 中国の石炭セクターは、ガスの挑戦、すなわち、ガスが同じ市場に参入するということに関して、非常にオープンである。中国、そして、アジア市場においては、産業の成長に伴い石炭もガスも成長する余地が多くあると考える。中国については、産業の成長が徐々に東部から西部に移行している。すなわち、炭鉱の所在地に近づいている。石炭火力発電所の建設も、炭鉱に近い西部で増えており、この傾向は続くと思う。(Stern氏)・ Gazpromはガスをかなり安い価格、例えば、3ドル50セント/MMBtu程度でヨーロッパに輸出することができる。しかし、中国へのガス輸出は非常に建設コストの高い、新しいパイプラインを使って提供されるため、中国国境渡しで7ドル50セント~7ドル80セント/MMBtuというかなり高い価格になってしまう。われわれは、中国がロシアからの新たなガスの受け入れを遅らせようとしていると考えている。2019年あるいは2021年、2022年には、中国に輸入される全てのガスは、上海のシティゲート価格を受け入れなければならなくなっているかもしれない。実際にどうなるかは、まだ分からないが、中国が7~9ドル/MMBtuを輸入ガスに支払う用意があるということになると、さまざまな動きが起きるだろう。簡単に、一般論として述べることはできないが、中国は操作を行い、パイプラインガスやLNGの供給者に対して強い立場で交渉を行おうとしている。 中国国内のシェールガスの開発については、地質学的な課題や人口密度、所有権等非常に複雑な土地そのものの問題があるが、中国は進歩しており、緩やかなペースではあるが、シェールガスは開発されていくと考えている。(Pugliaresi氏)講演者紹介Jonathan Stern(ジョナサン・スターン)オックスフォード・エネルギー研究所(OIES)の天然ガス研究プログラム主任教授・シニアリサーチフェロー。主にヨーロッパにおける天然ガスの需給や価格動向について研究している天然ガスの専門家である。David Price(デイビッド・プライス)IHS Energyの一般炭アドバイサリーサービスの代表で、長年大学や研究機関で石炭市場の調査や分析に従事。石炭、特に一般炭の需給や市場動向分析等の第一人者である。Lucian Pugliaresi(ルシアン・ パリアレシ)Energy Policy Research Foundation, INC(EPRINC)代表。レーガン政権下のホワイトハウス国家安全保障委員会で国際問題を担当。FSU、中東に対する米国の事情に精通し、議会、政府関係者、エネルギー関連企業首脳等に幅広い人脈を有している。67石油・天然ガスレビュー |
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