ページ番号1007414 更新日 平成30年3月5日

天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大

レポート属性
レポートID 1007414
作成日 2018-01-22 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 天然ガス・LNG基礎情報
著者 田村 康昌
著者直接入力
年度 2018
Vol 52
No 1
ページ数
抽出データ JOGMEC調査部田村 康昌天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大はじめに 環境性に優れ、産出地域の偏在も少ない天然ガスは大気汚染・地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、将来の低炭素社会を実現していくまでの移行期の燃料として、その利用拡大が見込まれている。また、エネルギー分野でのIoT活用、再生可能エネルギーや蓄電池、EV(Electric Vehicle:電気自動車)などの技術革新・コストダウンも急速に進展し、枯渇しない再エネの利用拡大で、環境負荷を考慮せず潤沢にエネルギー使用ができるような社会の実現も夢物語ではなくなってきている。 しかし、この実現のためには、技術革新と併せて、社会・インフラの大幅な変革が必要であり、その移行、実現までに数十年を要することも考えられる。特に、化石燃料資源の大半を輸入に頼る日本では、その移行段階で生じるさまざまな変化・不確実性にも対処できるよう、エネルギーの3E(Energy Security, Economic Efficiency, Environment)+S(Safety)のバランスを損なわないための、戦略的なエネルギー確保が必要であるし、上記3E+Sのバランスのとれた天然ガスを安定的・柔軟性を持って活用することは、今後とも非常に重要である。 足元の天然ガス・LNG市場では、米国のシェールガス革命による生産増、米国・豪州における大型LNGプロジェクトの稼働開始により、LNG供給は大幅拡大局面を迎えており、契約期間の短期化、仕向け地制限の撤廃等、市場の流動性も進みつつある。 LNGの買主としては、これまでの日本・韓国をはじめとした長期・安定した引き取り先だけではなく、アジアの新興国を中心に需要の増加が見込まれ、この需要増を早期、かつ確実に実現するための手段として、従来の陸上受入基地から、浮体式受入基地の導入拡大が進んでいる。 本稿では、中長期的な天然ガス・LNGの役割・課題、足元のLNG市場の変化、そして、将来の需要増を担う新興国を中心に導入が進む浮体式LNG受入基地(Floating Storage and Re-gasification Unit:浮体式貯蔵・再ガス化設備)の最新動向・課題等を述べる。1. 中長期的な天然ガス・LNGの役割 天然ガスは、石油・石炭など他の化石燃料に比べて、環境性(地球温暖化の原因物質であるCO?排出量をはじめ、大気汚染・健康被害の原因となる窒素酸化物〈NOx〉・硫黄酸化物〈SOx〉・粒子状物質〈PM〉の排出が少ない)に優れ、産出地域の偏在も少ないといった特徴がある。このため、大気汚染・地球温暖化対策と経済成長を両立させながら将来の低炭素社会を実現していくまでの間、地域にもよるが、この移行には数十年を要することもあり、今後とも、重要なエネルギー源として利用拡大が見込まれている。 一方、エネルギー分野でのIoT活用、再生可能エネルギーや蓄電池、EVなどの技術革新・コストダウンも急速に進展している。IoTの活用は、機器単位の熱効率の向上にとどまらず、社会全体のエネルギー利用効率を大幅に向上させ、枯渇しない再エネの利用拡大により、エネルギーの使用コスト(限界コスト)をゼロに近づけ、環境負荷を考慮せず潤沢にエネルギー使用ができるような社会も夢物語ではなくなってきた。これは、エネルギー・45石油・天然ガスレビューアナリシス302520151050%4540353025201500512,93820152,0712000天然ガス原子力他の再生可能エネルギー石炭水力3,0073,4363,7374,0684,356201620252030年20402035石油バイオマス・廃棄物天然ガス比率(右軸)出所: IEA, WEO2017 全発電量に占める再生可能エネルギー比率は、水力、バイオマス、風力、地熱、太陽光、太陽熱、潮力・波力の合計量から試算。図11次エネルギー需要見通し(新政策シナリオ)39,29036,09732,86429,657T(1012)Wh15,47724,24024,7705,51920152,7532000天然ガス原子力風力集光型太陽熱再エネ比率(右軸)5,8506,7307,581201620252030石炭水力地熱潮力・波力8,4439,181年20402035石油バイオマス・廃棄物太陽光天然ガス比率(右軸)出所: IEA, WEO2017 全発電量に占める再生可能エネルギー比率は、水力、バイオマス、風力、地熱、太陽光、太陽熱、潮力・波力の合計量から試算。図2燃料種別発電電力量見通し(新政策シナリオ)46気候変動に関する問題解決にとどまらず、貧困・紛争・人権侵害など地球規模の課題解決に資する可能性もある。 しかし、この実現のためには、技術革新と併せて、社会のあり方、インフラの大幅な変革が必要となり、実現までに数十年を要することも考えられる。特に、石油など化石燃料資源の多くを輸入に頼り、人口比で国土面積が狭い(=再生可能エネルギーの供給面でも一定の限界がある)日本では、その移行段階で生じるさまざまな変化・不確実性にも対処できるよう、エネルギーの3E(Energy Security, Economic Efficiency, Environment)+S(Safety)のバランスを損なわないための着実な取り組みが必須となる。本章では、世界のエネルギー・天然ガスを取り巻く中長期的な展望のなかで、日本の特性を踏まえた天然ガスの位置付け、課題について確認していきたい。MMtoe10,035上回る増加となる。2016年版の分析で天然ガス需要は、年率1.5%増加を見込んでいたが、2017年版では若干の上方修正となった。また、過去25年を見れば、年率2.3%増で、成長率は鈍化する見通しである。 なお、2016年版までは、気温上昇を2℃未満に抑える可能性が50%あるとする“450シナリオ”を公表していたが、2017年版からは、温室効果ガス排出削減だけではなく、新興国でのエネルギーアクセス、大気汚染の大幅削減等も包含した“持続可能な開発シナリオ13,63313,76015,18216,01116,80617,58420,00018,00016,00014,00012,00010,0008,0006,0004,0002,000040,00035,00030,00025,00020,00015,00010,0005,0000(1) IEA、世界エネルギー需給見通しにおける天然ガスの位置付け IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)は、2017年11月、2040年までの将来シナリオ、エネルギー需給に関するレポートWorld Energy Outlook 2017(WEO2017)を公表した。同レポートは、第1次オイルショック後の1977年から刊行され、当初石油市場を中心とした分析であったが、その後、天然ガス・石炭・再エネや、CO?排出等も網羅的に分析を行っている。 レポートの中心的なシナリオは、各国が将来導入を検討する政策を盛り込んだ「新政策シナリオ」(New Policies Scenarios)であり、これには、パリ協定に基づいて各国が提出した約束草案(NDC)をベースに温暖化対策等を盛り込んでいる。なお、2017年版のレポートでは、米国の2017年6月のパリ協定離脱表明を受けた見通しを前提としている。 2016~2040年にかけて、天然ガス需要は約45%(年率1.6%)の増加を見込み、これは、世界の1次エネルギー需要の伸び(28%増、年率1.0%増)を2018.1 Vol.52 No.1アナリシス301,7773,45814,084(2)他燃料との競合で見た天然ガス 天然ガスの用途は、地域により異なるが、世界全体では発電用が約4割を占め、当面は、需要増が見込まれる新興国での発電分野における石炭火力とは競合関係にある。 一方、昨今の再生可能エネルギー(特に、太陽光・風力)に関するコストダウン・政策的な支援により、日照条件・風況に恵まれた地域では、天然ガス火力の発電コストを下回る状況も生じている。長期的には、再エネのコストダウン・蓄電池技術(特にEVの蓄電池活用)等により、地域・時間帯によっては、再エネ由来の豊富な電力の活用では限界コストが限りなくゼロに近づく可能性もある。このような、再エネ由来の電力が潤沢な環境下では、コスト・環境・機器の制御等の面から、需要側機器の電化のメリットも大きい。また、将来的には、他の化石燃料に比べて環境性に優れる天然ガスも、既に欧州等では現実として進みつつあるが、再生可能エネルギー発電量に応じた需給調整、また、発電機としての周波数変動を吸収する火力発電の燃料としての役割や、輸送用燃料としての活用がより重要になると考えられる。①石炭との競合 世界の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)の気候変動財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、2017年6月に最終提言をとりまとめ、企業が気候変動の財務への影響を把握し、開示するための原則等を明らかにした。投資家・年金基金を中心に、株主として、気候変動リスクの開示を求める動きも進んでいる。特に、石炭開発・石炭発電への投資については、新興国の経済発展に伴う需要増が見込まれながらも、化石燃料投融資撤退(Divestment)の動きも出始めてきている。 一般に、天然ガスをLNGとして受け入れる場合、経済性だけでは、石炭火力に優位性があり、大気汚染・気候%70015050401030200602520155,5852040年35,981としている。(Sustainable Development Scenarios:SDS)”に統合された。これは、2015年に国連で採択された “持続可能な開発のための 2030 アジェンダ”のエネルギー関連項目(エネルギーアクセス、温室効果ガス、大気汚染等)を含むものである。SDSでは、エネルギー需要・CO?排出量は従来の450シナリオと大きな変更はないが、大気汚染物質の排出が多い石炭から、天然ガスの使用がより多くなる(2040年1次エネルギー需要 450シナリオ:石炭2,000MMtoe、天然ガス3,301MMtoe→持続可能な開発シナリオ:石炭1,777MMtoe、天然ガス3,458MMtoe)MMtoe10,03513,63313,76013,92113,83620,00018,00016,00014,00012,00010,0008,0006,0004,0002,000040,00035,00030,00025,00020,00015,00010,0005,00003,8373,7553,02320152,9382,3112,0712000天然ガス原子力他の再生可能エネルギー3,00720163,3972025石炭水力2,4573,510年20402030石油バイオマス・廃棄物天然ガス比率(右軸)出所: IEA, WEO 2017図31次エネルギー需要見通し(持続可能な開発シナリオ)TWh15,47732,86429,65724,24024,7705,51920152,7532000天然ガス原子力風力集光型太陽熱再エネ比率(右軸)5,8506,73020252016石炭水力地熱潮力・波力7,5812030石油バイオマス・廃棄物太陽光天然ガス比率(右軸)出所: IEA, WEO 2017図4燃料種別発電電力量見通し(持続可能な開発シナリオ)47石油・天然ガスレビュー天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大マ動対策の一環としての政策的な支援等も含めれば、天然ガス火力が導入される地域が多い。北米ではシェールガス開発に係る技術革新、コストダウンによる天然ガス価格の低下により、純粋に、価格面で石炭との競争力を有する状況ができており、短期的な価格動向で若干の変動はあっても、天然ガス火力の促進が進んでいる。政策によらず、天然ガスが経済的な優位性を持ち得る非常に限定的な地域とも言えるだろう。 アジアでは、従来、産ガス国であったインドネシア・パキスタン等で生産が減少しており、今後の人口増・エネルギー需要増に対応するためには、日本・韓国等と同様にLNGの形態での輸入が必要となる。ガス田から産出したガスを前処理しただけの気体としての天然ガスの活用ではなく液化・LNG船での輸送が必要となるため低価格での活用は難しく、また、LNG受入基地等インフラ整備も欠かせない。 図5に示すとおり、石炭火力と天然ガス火力が等価となる燃料価格は、石炭価格が約80ドル/tの場合、天然ガス約4.1ドル/MMBtu程度となるが、これは、油価が約50$/bbl前後の環境下でのLNG価格(約8$/MMBtu)の約1/2の水準である。一方で、石炭・LNG火力の建設・操業費、一定のCO?コストを含めれば、LNG火力が優位性を持つことも可能である。特に、大気汚染対策については、IEAのWEO2017でも、外気の大気汚染が原因の早期死亡者数は世界全体で約300万人/年に達すると報告されている。中国・インドの都市部では、大気汚染対策の遅れが経済成長の制約要因となる可能性もあり、経済成長優先を旗印にするとしても、地域環境の改善、天然ガス需要の増加が求められることとなろう。②EV普及拡大と輸送用燃料としての天然ガス自動車、LNG燃料車 欧州・中国を中心に、内燃機関自動車の将来の販売禁止、EV化の方針が相次いで打ち出されてきている。EVは、走行時の燃料燃焼に伴うCO?・NOx・SOx、PMの排出がなく、温暖化対策・大気汚染対策に有効と言われている。また、2010年頃には1kWhあたり10万円前後とされていた蓄電池コストが2016年には、約2万5,000円/kWh程度まで低下し、今後さらなる価格低減が見込まれる。また、将来の自動車産業の育成も視野に入れた、中国の戦略的な動きもEV化促進政策の要因として挙げられるだろう。 温室効果ガスの削減については、EVに給電する電源のCO?排出係数次第で大きく効果が変わってくる。熱効率が低い石炭火力発電の増設を前提とするならば、従来型の内燃機関の自動車の低燃費化のほうが、当面はより現実的な解決策となり得るだろう。また、EVの蓄電池の製造工程での電力・燃料使用等に伴う温室効果ガス排出も大きく、製造から廃棄までの走行距離の短いEV車なら、再生可能エネルギー由来の電源であっても、ライフサイクル全体での温室効果ガス排出量が大きくなる場合も想定される。 なお、EVについては、今後導入拡大が見込まれる再生可能エネルギーの発電量の変動を吸収する蓄電池としての役割も期待される。 自動車単体としての製造・走行・廃棄に関わる温室効500450400350300250200150100005発電コスト$/kWhLNG単価$/MMBtuLNG8$/MMBtu石炭単価$/t石炭80ドル/t02468101214161820LNG火力(燃料費)LNG火力(固定費・運転維持費、CO?費用含む)石炭火力(固定費・運転維持費含む)LNG火力(固定費・運転維持費含む)石炭火力(燃料費)石炭火力(固定費・運転維持費、CO?費用含む)20181614121002468450400350300250200150100500石炭単価$/tLNG8$/MMBtu等価①燃料のみ:156$/t②①+固定費:92$/t③②+CO?費:44$/t固定費・CO?費用込であれば、LNG火力優位石炭80ドル/t等価①燃料のみ:4.1$/MMBtu②①+固定費:8.1$/tMMBtu③②+CO?費:10.6$/MMBtu051015燃料費のみ燃料費+固定費・操業費燃料費+固定費・操業費+CO?対策費20LNG単価$/MMBtu出所: 長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告(平成27年4月、経済産業省)を参考にJOGMEC試算 発電効率(LNG50%、石炭40%)、資本費・運転維持費(LNG1.6円/kWh、石炭3.8円/kWh)、CO?対策費(LNG 1.3円/kWh、石炭 3.0円/kWh、約4,000円/t-CO?相当)、為替レート100円/USD、発熱量(LNG 54.6GJ/t、石炭25.7GJ/t)を基にJOGMEC作成図5LNG火力・石炭火力等価燃料費図6石炭火力・天然ガス火力 発電コスト比較482018.1 Vol.52 No.1アナリシスハガス排出削減だけではなく、再生可能エネルギーの導入拡大による社会全体の便益が今後より重要になると考えられる。 また、EVの航続距離も実使用に際して大きな制約となる。内燃機関を持たないEVは、現状実燃費(電費)7km/kWh程度、30kWh~100kWh程度の電池が搭載されるが、航続距離を伸ばそうとすれば、電池容量を増やす必要があり、電池コストとのトレードオフの関係となる。 現行のリチウムイオン電池の重量は約10kg/kWh程度だが、電池容量を増やせば車両重量の増加、貨物積載量の減少、燃費(電費)の低下、ブレーキ・タイヤの磨耗による粉塵拡散が大気汚染の原因ともなる。ガソリン等石油燃料のエネルギー密度は、0.08kg/kWh(約45MJ/kg)であり現行の電池と比較して約125倍程度となる。電動機の効率を90%、乗用車の内燃機関の効率を約20%(10~30%程度)としても30倍程度の差がある。今後、エネルギー密度の高い全固体型電池等への移行により、2020年代後半に2kg/kWh程度への軽量化が目標とされ、実現すれば、車両重量低減、燃費向上にも大きく寄与することとなろう。 なお、大気汚染対策、温室効果ガス削減の観点からは、EVだけでなく輸送用燃料としての天然ガス利用も重要になってくる。圧縮天然ガス、LNG燃料(トラック・船舶)等多様な利用が既に実用化・商業化されている。2016年時点の世界のEV普及台数は、バッテリー式電動車(Battery Electric Vehicle:BEV)と、内燃機関を有するが、外部電源から充電した電力で走行するプラグインハイブリッド車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:PHEV)の合計が、約200万台に対し、天然ガス自動車は、2,400万台に達している。特に、長距離輸送で課題になるEVの電池コスト・航続距離・充電時間等については、従来のガソリン・軽油と同様の運用が可能となる、天然ガス車に優位性があると言えよう。各国の政策立案に際し、EV・燃料電池車・圧縮天然ガス・LNG燃料等から、どの燃料供給インフラを整備すべきかなどの課題はあるが、EVの電池コスト・重量等の技術革新の動向が見えるまで、大気汚染対策の現実的な解決策として評価されていくべきであると思われる。③再生可能エネルギーの導入拡大による限界コストゼロ社会に向けて 中南米チリ・中東UAEでは太陽光発電の電力購入契約(PPA)価格が、3セント/kWhを下回るなど、風況・日照条件に恵まれた国で、再生可能エネルギーの発電コストの大幅な低下が進んでいる。日本でも、2017年11月に公表された、発電出力2MMW以上のメガソーラー売電に際しての入札価格は、17.2円/kWh~21円/kWhでの落札となり、FIT(Feed-in Tariff:固定価格買い取り制度)が始まった2012年の売電価格の40円/kWh、2016年度の24円/kWhから大幅に下落した。当初予定した500MWの入札枠に対し、141MW分が応札したのみであるが、今後もこのトレンドが継続すれば、地域により異なるものの、天然ガスは、再エネの負荷変動・系統の周波数変動を補うための役割にシフトし、稼働時間の減少、高効率化とも相まって天然ガス需要増を抑制する可能性がある。 独Siemens社は、2017年11月、再生可能エネルギーへの需要のシフトにより、これまで収益の柱であった火力発電事業(ガスタービン、蒸気タービン)の受注が減少し、市場規模に合った態勢に縮小(事業全体の13%に相当する6,900人の削減)方針を明らかにした。このように、将来の市場・投資環境の変化を先取りした変革に着手する企業も出てきている。 また、長期的には、再生可能エネルギー・蓄電技術の技術革新・コスト低減、EV等との連携・使用済み電池の活用により、再エネの大量導入・活用が可能になれば、枯渇しない、かつ限界コストがゼロに近い潤沢な電力が利用できるようになり、社会のあり方を大きく変える可能性も指摘されている。 日本においても、過度に国民負担を強いるのではなく、経済性と両立させながら再生可能エネルギーの導入が進めば、地球環境・地域環境の改善、他国からのエネルギー輸入依存の低下・長期的な安定供給といったさまざまな面からのメリットも大きい。しかし、日本の産業構造、限られた国土を考えると、無尽蔵にエネルギーを使える未来はそう簡単にやってきそうもない。 日本の部門別エネルギー需要の推移を図7に示す。産業部門でのエネルギー需要は全体の約4割を超え、とりわけ、鉄鋼、化学、窯業など素材系の産業のエネルギー使用量が約85%を占めている。中長期的に、発電部門における再生可能エネルギー比率の上昇があっても、素材系産業では、燃料転換・電化が困難な製造プロセスも多く、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:Co?の分離・回収・貯留)等により発生したCO?の処理・貯留が大幅削減には必要となる。 また、現在の日本の電力需要は、約1,000T(1012)Wh/年で、これをすべて再エネで賄うとすると、設備稼働率10%として、約1,000G(109)Wの設備導入が必要となり、太陽光発電設備であれば、日本全体の耕作面積(440万49石油・天然ガスレビュー天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大(1018)J(ジュール)181512963運輸部門家庭部門業務他部門産業部門0197319751980出所:エネルギー白書20171985199019952000200520102015年図7部門別最終エネルギー消費量推移熱・新エネルギー・地熱等12.5%石炭7.6%電力17.9%2015年度5,850×1015J石炭製品18.8%天然ガス・都市ガス6.7%石油36.5%非素材系・重複補正15.3%素材系84.7%鉄鋼30.4%紙・パルプ5.7%窯業土石8.1%2015年度5,850×1015J化学40.6%出所:エネルギー白書2017出所:エネルギー白書2017図8製造業エネルギー源別燃料消費図9製造業 業種別エネルギー消費ha)の約1/10以上を占めることになる。また、現状の日本の電化率が約28%であることを考えると、輸送・製造プロセス等も含めたすべてのエネルギー需要を賄うには、日本の耕作地のほとんどを太陽光発電に転換するような設備導入と、その変動を吸収するためインフラ整備等が必要となる。もちろん、海に囲まれた日本ならではの洋上風力、地熱、バイオマス利用等も組み合わせた利用拡大の検討も欠かせないが、現在の産業構造を維持したままで、潤沢なエネルギー源を活用可能な将来像には、一定の制約があろう。 長期の温暖化対策を考える場合、エネルギーの使用段階でCO?を発生しないか(再エネ・原子力、水素、宇宙発電等)、燃焼時に発生したCO?を地下等への貯留により処理する(火力発電・製造プロセスでのCCS、水素の製造段階でのCCS)か、またはその両方(CCS付きバイオマス Bio-Energy with Carbon dioxide Capture and Storage:BECCS)を備えることが要件となる。 再生可能エネルギーは、有望な対策手段として技術革新、コストダウン、急速な導入拡大が進んでいるが、現時点で世界のすべての地域で政治的、経済的、技術的にも適用可能な対策を採るまでには至っていないし、再生可能エネルギー以外の対策も、今後の技術革新が不可欠で、また、地域による適用可能性が大きく異なる。 特に、日本のゼロカーボン社会の実現には、国土の制約(再エネの資源量制約、耕作地との競合)、産業構造(CCSを含めた製造業・素材系産業のあり方)を含めた502018.1 Vol.52 No.1アナリシス沒「が不可欠で、単一の方策での低炭素社会の実現は困難であろう。 また、将来の低炭素社会の実現に向けても社会・インフラの変革には長期間を要するため、どのようなシナリオを経て実現する場合でも対応できるよう、多様性をもって着実に進めていくことが求められる。エネルギーの多くを輸入に頼る日本では、移行期においても、「3E+S」を維持・実現し続けなければならず、そのなかで、3E+Sのバランスに優れた天然ガスを安定的、かつ柔軟性をもって活用することは、将来シナリオが不確実な環境下で、引き続き重要になると展望される。6005004003002001000MMtoe51843043141440239238466200010010480848990201520162025203020352040年天然ガス原子力他の再生可能エネルギー石炭水力石油バイオマス・廃棄物天然ガス比率(右軸)%302520151050表1長期・大幅削減に資する対策例天然ガス原子力風力集光型太陽熱再エネ比率(右軸)石炭水力地熱潮力・波力石油バイオマス・廃棄物太陽光天然ガス比率(右軸)%454035302520150051出所: IEA, WEO 2017図10日本のエネルギー需要見通しTWh1,0881,2001,0001,0351,0431,0401,0521,0661,08080060040020004104182542722873043032000201520162025203020352040年出所: IEA, WEO 2017図11日本の電源別発電電力量見通し再生可能エネルギー原子力水素CCS付き -火力発電 -大規模製造業 (鉄鋼・セメント・化学・水素製造他)CCS付きバイオマス(BECCS)導入例・利点・環境負荷低い(NOx、SOx、PM、CO2削減)・枯渇しない・燃料費不要・エネルギー安全保障・安定、大量な電力供給が可能・既存設備の有効活用・ウランの地域偏在がない(調達・燃料の備蓄が可能・純国産エネルギーとしての自給安定性)率向上・発電、燃料電池車等での活用・輸入等により自国で再エネ ・CO2貯留層がなくとも利用可・資源量が豊富な石炭資源の有効活用・空気中のCO2の回収・貯蔵可能(ネガティブ・エミッション)出所:各種情報を基にJOGMEC作成51石油・天然ガスレビュー課題日本における課題・地域差(風況・日照条件)・負荷変動対応、バックアップ(火・コスト(工事費、系統対策費)・限られた国土面積、農地転用・力・蓄電池等)漁業権・操業リスク・コスト増(安全対策費)・事故リスク・放射性廃棄物の処理・核物質の兵器転用、テロへの悪用・エネルギー政策上の位置付け・立地自治体・住民からの理解・老朽化対策・津波対策・放射性廃棄物処理・インフラ、利用機器の整備、コスト・技術開発(製造・輸送)・コスト・長期安定貯蔵・地域によりCCS貯留可能適地が限られる・再生エネルギー、CO2貯留等の適地が少なく、大規模活用には輸入要・日本におけるCCS適地(枯渇ガス・油田、帯水層)が限られる・バイオマス資源量の制約、食料・日本におけるCCS適地が限られ・大規模利用による生物多様性へ・バイオマス資源量、森林保全と生産との競合の影響るの調和天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大. 天然ガス・LNG市場の変化 昨今の天然ガス・LNG市場を概観すると、需要面では、中国・東南アジアを中心とした需要増加、供給面では、米国のシェールガス革命による生産増、米国・豪州における大型LNGプロジェクトの稼働開始による需給緩和を背景に、特にLNG市場は従来の長期契約・油価連動を前提とした、限られた参加者による取引から、流動性の高い取引の実現が進みつつある。6,0005,0004,0003,0002,0001,0000Bcm/年3,6352,5195,3054,9504,5454,174200020162025203020352040年船舶燃料ユーラシア中東アフリカ欧州中南米北米アジア(中・印・日を除く)日本インド中国出所: IEA, WEO 2017図12地域別天然ガス需要見通し産生(1)天然ガス需給、埋蔵量 IEA, WEO 2017によれば、天然ガス需要は、2040年に向け約45%の増加となるが、需要増のうち、中東(2016年477Bcm→2040年795Bcm)、中国(2016年 210Bcm→2040年610Bcm)の伸びが顕著である。供給については、欧州(英・蘭・ノルウェー等)での減(2016年285Bcm→ 2040 年236Bcm)に対し、シェールガス等により北米(2016年960Bcm→ 2040 年1,338Bcm)、中国(2016年137Bcm→ 2040 年336Bcm)や、中東でも豊富な埋蔵量を背景にイラン(2016年190Bcm→2040年338Bcm)での増加が見込まれている。 また、資源量の合計は、797Tcmとなり、このうち、在来型が432Tcm、シェール・炭層メタン等非在来型6,0005,0004,0003,0002,0001,0000Bcm/年3,6202,5057807801961965,3054,9504,5464,1741,1801,1801,3201,3201,4861,4861,6541,654アジア太平洋ユーラシア中東アフリカ欧州中南米北米非在来型合計203020352040年20002025(注)非在来型はシェールガス、炭層メタン等。出所: IEA, WEO 20172016図13地域別天然ガス供給見通し200180160140120100806040200Tcm1308447172139ConventionalTight gasShale gasCoalbed methane(Coal Seam gas)123101北米中南米欧州アフリカ中東ユーラシアアジア太平洋出所: IEA, WEO 2017図14地域別天然ガス技術的可採資源量522018.1 Vol.52 No.1アナリシスフ資源量が365Tcmである。2040年時点では、生産量のうち非在来型(シェールガス・炭層メタン等)は、1,654Bcmと、全生産量のうち、約30%を占める見込み北米 126%アジア太平洋209%中南米 84%欧州 52%アフリカ 178%ユーラシアユーラシア747434%34%合計 216Tcm中東8037%出所: IEA, WEO 2017図15 地域別確認埋蔵量である。(2)LNG需給動向 世界のLNG生産能力は豪州・米国を中心に大幅拡大局面にあり、最終投資決定(FID)を経て、建設中の主なプロジェクトだけで約8,800万t/年となっている。一方、2014年以降続く低油価・低ガス価とその長期化により、2016年にFIDに至ったのは、インドネシアTangguh(拡張)、米国Elba Islandの2件、2017年はモザンビークCoral FLNGの1件にとどまっている。 下記建設中のLNGプロジェクトに加え、米国、東アフリカ(モザンビーク)、ロシア(サハリン拡張)等、需要の確保を前提にFIDに移行可能なプロジェクトも約2億t/年を超え、適切なタイミングでの投資がなされれば、世界の需要増にも対応は可能と考えられる。 なお、足元では、2011年頃にIEAが天然ガスの大幅表22017年に稼働を開始した主な建設中LNG液化プロジェクトプロジェクト名Gorgon(Train3)PetronasFloatingWheatstoneLNG(Train1)SabinePassLNG(Train3・4)YamalLNG合計出所:各種情報を基にJOGMEC作成国豪州マレーシア豪州米国ロシアFID20092012201120132013生産能力(万t/年)5201204459005502,535万t/年表32018年以降に稼働を開始する主な建設中LNG液化プロジェクトプロジェクト名CovePointLNGCameroonFLNGSenkangYamalLNG(Train2-3)IchthysLNGWheatstoneLNG(Train2)PreludeFLNGCameronLNGFreeportLNGCorpusChristiLNGSabinePassLNG(Train5)ElbaIslandPetronasFLNG2(Dua)Tangguh(拡張)CoralFLNG合計出所:各種情報を基にJOGMEC作成国米国カメルーンインドネシアロシア豪州豪州豪州米国米国米国米国米国マレーシアインドネシアモザンビーク53石油・天然ガスレビューFID201420152011201320122011201120142014201520152016201420162017生産開始生産能力(万t/年)2018201820182018201820182018201820182018201920192020202020225251202001,1008404453601,3501,3909004502501503803408,800万t/年天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大5,00020,00015,00010,0005,0000液化能力(万t/年)液化能力累計(万t/年)(右軸)米国カナダモザンビークその他Tanzania LNGQatar拡張Sakhalin 2拡張Papua LNGPNG LNG Train3Mauritania/Senegal LNGFortuna FLNGCongo B FLNGMozambique Area 1Mozambique Area 4LNG CanadaBear Head LNGWood?bre LNGGolden Pass LNGLake CharlesDel?n LNGGulf LNG EnergyCameron(拡張)Calcasieu Pass LNGRio Grande Train1, 2Magnolia LNGJordan Cove LNGCorpus Christi Train3Sabine Pass Train6Texas LNG2,0001,8001,6001,4001,2001,0008006004002000出所:各種情報を基にJOGMEC作成図16計画段階のLNG液化プロジェクト需給ギャップが6,000万t/年を超える可能性もある。 一方で、中期的には、新興国次第ではあるが、需要の増加も続いており、適切なタイミングでの投資がなされなければ、2023年以降は需要が供給を上回ることも想定される。ただし、LPG・コンデンセート等も生産するため低価格での供給が可能なカタールが、2017年4月にノース・フィールドガス田開発モラトリアムの解除を表明(LNG換算で、約1,500万~3,000万t/年の増産を検討)するなど、大規模プロジェクトの開発が進めば需給均衡は2020年代後半以降にずれ込むことも予想される。 また、LNG輸出国である豪州域内のガス需給逼迫、不穏な中東・カタール情勢等、想定外の供給障害、建設遅延等により、需給がバランスする時期の早期化も懸念される。この年54203020292028202720262025202420232022202120202019201820172016201520142013201220112010200920082007200620052004200320022001計画段階(FID前・未着工)液化能力建設中液化能力稼働済み液化能力供給量想定(稼働率90%想定)需要想定(中位ケース)需給ギャップ出所: IEA、Natural Gas Information、GIIGNL(国際LNG輸入者協会)、資源エネルギー庁委託調査「アジア・太平洋市場の天然ガス需給動向調査報告書(2014年3月)」等を基にJOGEMC作成 2024~2030年にかけては計画段階の2億t/年が投資決定後、順次稼働と仮定。図17LNG需給見通し増を想定した「天然ガスの黄金時代」の到来は、中国の需要増が当時の想定に比べて鈍化してきたこともあり、若干遅れている。足元では、同国の天然ガス転換政策により、特に冬場の季節的な需給逼迫・価格高騰が生じているが、現在建設段階のプロジェクトの多くが稼働を開始する2019年から2020年頃には、供給が需要を上回る万t/年60,00050,00040,00030,00020,00010,0000-10,0002018.1 Vol.52 No.1アナリシス鼾〟A特に、冬場の需要期にスポット価格の高騰が一定期間(投資決定~生産開始までは約4~5年間)続く可能性にも留意することが肝要であろう。(3)価格動向 天然ガス・LNGの価格決定メカニズムとしては、産ガス国である米国・英国と、天然ガス・LNGの輸入国から成る欧州大陸部、LNGの形態による輸入を行う北東アジアの三つに大別される。日本向けのLNGは依然、長期契約・石油価格連動による価格決定方式が大半を占め、JCC(全日本平均原油輸入価格)を指標とし、原油価格のレベルに応じた一定の調整要素を加味した上で算出される。これは、当初のWTI・ブレント原油価格から約4~5カ月、JCCと比較して約3~4カ月のタイムラグを経て、日本向け輸入価格に反映されることになる。2017年10月のJLC(全日本着平均LNG輸入価格)は7.9$/MMBtuとなり、指標となる原油価格が40~60$/bblで推移したこともあり、2017年4月以降、7.9~8.6$/MMBtuと、比較的狭い範囲での値動きとなっている。 一方、スポットLNG価格(経産省公表)は、冬季の需要期を終えた2017年4月以降は、5$/MMBtu台で推移したが、同年9月に入り、中国等を中心とした冬季需要の確保のため、油価連動のLNG価格を超える水準(9$/MMBtu台後半)まで上昇した。中期的には、新規LNGプロジェクトの稼働開始が続くこともあり、油価連動のLNG価格に対し、スポットLNG価格が安値で推移する可能性も高いと考えられる。 IEAのWEO2017では、油価とともにLNG価格の将$/MMBtu252015105200802007ドイツーロシア国境渡し(Gas)JLC(Japan LNG Cocktail)20092010201320122011NBP(UK-gas、ICE)JCC(Japan Crude Cocktail)2014201520162017年H/H(US-Gas、NYMEX)日本向けSPOT(入着ベース、METI)出所:IMF、ICE、NYMEX、経済産業省スポットLNG価格の動向、財務省貿易統計等より推計図18世界の天然ガス・原油価格推移表4IEA 油価・天然ガス・石炭 価格想定200020102016New Policies ScenariosCurrent Policies2025972040136SustainableDevelopment20402025726420258320309420351032040111388641原油($/bbl)天然ガス($/MMBtu)5.9米国3.8欧州3.5中国6.4日本一般炭($/ton)日本出所: IEA, WEO 2017 価格は、2016年実質価格。欧州・中国の価格はパイプライン・LNG輸入バランスを反映したもの。日本の天然ガス価格は、通4.48.69.710.55.09.110.010.65.69.610.210.64.38.210.410.86.510.511.111.54.88.27.412.13.77.99.410.32.54.95.87.0723.47.08.28.6713.97.98.59.068441188582868786101関時点でのLNG価格。55石油・天然ガスレビュー天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大/MMBtu14.812.17.07.315.014.314.510.39.67.37.010.314.711.910.57.814.812.410.61614121002468WEO 2016WEO 2012WEO 2007WEO 2017WEO 2016WEO 2012WEO 2007WEO 2017出所: IEA, WEO 実質価格(2016年、2015年、2011年、2006年価格)出所: IEA, WEO 実質価格(2016年、2015年、2011年、2006年価格)図19IEA 油価想定図20 IEA天然ガス(日本着LNG)価格想定来見通しが引き下げられた。なお、この価格についてはForecast(市場レポートでは今後の市場がどのように変化するのかについて各国の政策や外部環境などを基にアナリストが分析した予測値)ではなく、シナリオに含まれる政策が実行された場合のProjection(予測、計画、案に近い)によるものであることにも留意する必要がある。 また、米国の埋蔵量、生産の柔軟性から、H/H価格がLNGの価格指標となり、油価リンクも残るが、長期的にはアジア向け価格と米国価格の差は5$/MMBtu(液化コストと輸送費用に相当)になる可能性も指摘されている。 なお、日本着の天然ガス(LNG)価格は、油価(2016年41$/bbl→2040年111$/bbl)に比べて、緩やかな上昇(7.0$/MMBtu→10.6$/MMBtu)を想定している。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)のAnnual Energy Outlook(AEO)でも、米国H/H価格は、5$/MMBtu台前半としており、シェールガス開発の進展・コストダウンにより、過去に公表された見通しに比しても、安価なガス価格での推移を想定している。 LNG契約交渉に際しては、足元の供給過剰の市場環境下で、買主側から価格、契約期間の短期化、数量・仕向け地の柔軟性を求めることもあるので、信頼性・価格競争がこれまで以上に熾烈化することが予想される。し(4)天然ガス・LNG市場動向(まとめ) 繰り返し述べてきたように、環境性に優れ、産出地域の偏在も少ない天然ガス・LNGは中長期的にも需要拡大が見込まれている。一方で、足元では、2014年の油価下落前にFIDがなされた豪州・米国等の大型LNG液化プロジェクトの稼働が開始し、供給増が需要増を上回ることが想定され、2019年頃には、需給ギャップが約6,000万tに達する可能性がある。2020年代前半までは供給過剰の市場環境は継続すると見られ、今後も、カタール等での大規模開発が進めば、需給均衡する時期も2020年代後半、あるいはさらに後ろ倒しになる可能性もある。 逆に、新興国の需要増や、地政学的に不透明な中東・カタール情勢等、想定外の供給障害、建設遅延等が生じれば、需給がバランスする時期が早期化することも懸念される。 現在、需要の確保を前提に移行可能なプロジェクトが数多く存在するといっても、2017年にはFIDに至ったのは、モザンビークのCoral FLNGの1件のみである。従来の油価連動・長期契約を前提としたプロジェクト開発が難しくなるなか、契約の柔軟性、価格競争力がこれまで以上に求められており、後述する浮体式設備により、需要増への早期・確実に実現のための取り組みも進むと考えられる。3. 浮体式LNG受入基地(FSRU・FSU)による需要拡大(1)LNGバリューチェーンにおける浮体式設備 従来のLNGバリューチェーンでは、洋上もしくは陸上のガス田から産出された天然ガスは、随伴するコンデンセートの分離、CO?・硫化水素・水銀等の除去、脱水56年20392037203520332031202920272025202320212019201720152013201120092007200620042039203720352033203120292027202520232021201920172015201320112009200720062004$/bbl10886596214012010080604020011612012212412512479831119462575141111年2018.1 Vol.52 No.1アナリシス?搏凾フ前処理プロセスを経た後、冷却・液化・貯蔵され、LNGタンカーで輸送される。需要地では、LNGとして陸上設備で、受け入れ・貯蔵され、需要に応じ、(海)水・空気・蒸気等により加温、再ガス化され、パイプラインを通じて発電・家庭向け等に利用される。 一方、以下に示すとおり、バリューチェーンの一部を浮体式設備とする基地が増加してきている。広義のFLNG(Floating Liquefied Natural Gas)としては、天然ガスの液化(生産)・貯蔵・出荷を行うLNG-FPSO、需要地での受け入れ・再ガス化を担うFSRU等を包含するが、各プロジェクトにより浮体式設備の形態、呼称も多種多様であり、FLNG、FSRUの一部の機能だけを浮体式で担うもの(FPSO、FSU、FRU等)、LNG船としての輸送を担うもの(LNG RV、SRV)等がある。また、まだ、実績としてはないが、受入基地で浮体式の貯蔵・再ガス化設備の他、発電設備も船上に設けるFSPPUについても、計画・検討が進んでいる。 FLNG: Floating Liquefied Natural Gas(浮体式液化図21天然ガス) FPSO: Floating Production、Storage and Off-loading system、浮体式生産・貯蔵・出荷設備 FSRU: Floating Storage and Re-gasification Unit(浮体式貯蔵・再ガス化設備) FSU: Floating Storage Unit(浮体式貯蔵設備) FRU: Floating Re-gasification Unit(浮体式 再ガス化設備) LNG RV: LNG Re-gasification Vessel(船上再ガス化装置付きLNG船)。受け入れ地点でLNGの陸上基地への移送は行わず、液化基地からのLNG輸送と受け入れ地点となる船上で再ガス化・ガス送出まで一貫して行う。SRV(Shuttle and Re-gasification Vessel)とも言われる。57石油・天然ガスレビュー出所:各種情報を基にJOGMEC作成LNGバリューチェーンにおける浮体式設備の活用(概念図) FSPPU: Floating Storage and Power Plant Unit (浮体式貯蔵・発電設備)(2)浮体式 LNG受入基地の特徴・普及拡大 浮体式LNG受け入れ・再ガス化設備は、2005年、メキシコ湾(Gulf Gatewayプロジェクト)で初めて導入された。米国では、新規受入基地の許可・地元同意が困難、時間を要するといった事情もあり、液化基地で積載したLNGを、LNG RVで輸送し、沖合でタレット(回転構造を持つ、ベアリングを介した接続)により係留、船上で再ガス化し、海底ガスパイプラインによって陸上へガスの送出を行うものである。 なお、米国は、陸上の在来型ガス田の老朽化・生産減により、域外からの天然ガス供給を増やす必要に迫られ、2000年代に入り、多くのLNG受入基地の建設・検討が進められた。しかし、2000年代半ば以降の水圧破砕(Fracturing)・水平掘削などの技術進展に伴う「シェールガス革命」によってガス価格が低下したため、米国の浮体式受入基地は、相次いで操業を停止している。 一方、近年は、浮体式のLNG受入基地は、着工から稼働までの期間が短く、初期コストも抑えられること、移動・転用が容易であることから、エネルギー需要が急増する新興国を中心に導入が進んでいる。当初米国で導天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大o所:Excelerate社図22Submerged Turret Buoy による係留、ガス送出出所:各種情報を基にJOGMEC作成図23FSRU+York式係留設備(主に浅海)出所:各種情報を基にJOGMEC作成出所:各種情報を基にJOGMEC作成図24 FSRU+桟橋経由のLNG荷役図25FSRU+STS(Ship to Ship)での荷役入が進んだ沖合設置ではなく、FSRUを桟橋に係留し、桟橋を介しての安定したLNG移送や、LNG船とFSRUを連結しフレキシブルホースで、STS(Ship to Ship)での移送も行われている。 なお、新造船に比べて燃費効率が劣るなど、LNG船としての競争力が低下した経年船についても、タンク部分を有効活用するため、改造等によるFSRU・FSUとしての再活用も行われている。ただ、経年船のLNGタン582018.1 Vol.52 No.1アナリシスN容量が比較的小さい(13万m3以下が主流)こともあり、近年は、新造船かつ大型化する傾向にある。(3)浮体式LNG基地の特徴、陸上受入基地との比較 導入地域の気象・海象条件、保有エネルギー資源、エネルギーの需給動向・価格、経済発展の状況等により異なるが、LNG受入基地として浮体式を選択する要因は以下が想定される。①新規受入基地の許可・地元同意が困難な地域での導入 LNG基地は、需要地の近傍が候補地となるが、新たなLNG受入基地の建設に際しての土地取得、地元同意は困難が伴う。米国での導入では、沖合で係留する形態を採っており、周辺環境への影響も少なく、また、既存の桟橋等を活用する場合でも、貯蔵タンク・気化設備に必要な土地取得が不要となる。②初期費用が安価 従来の陸上LNG受入基地を建設する場合のコストは、建設地の港湾の状況、現地人件費等により大きく異なる。例えば、18万m3のタンク容量を持つ基地で、附帯設備等も含め、750億円程度と想定される。また、FSRUは、基本的に通常のLNG船と同様の形状・設計であり、新規建造の場合で240億~280億円程度、中古船の改造費用は80億円程度となる。 桟橋などの係留設備、附帯設備は必要となるが、造船所での作業が多いこともあり、完工遅延等に伴う追加費用・予備費等も低減可能で、陸上LNG受入基地に比べて初期費用が安価となる。 また、契約形態についても、FSRUについては、期間船契約)、再ガス化量に応じた支払いに応じた支払い(傭(トーリング契約)等もあり、初期コストのファイナンスが難しい新興国への導入に際してもメリットがあると言える。よう③建設期間(操業開始までのリードタイム)が短い FSRU・FSUの建造期間は、新造船で約3年程度(通常のLNG船とほぼ同じ)、既存船の改造の場合、約1年程度である。陸上LNG受入基地の建設期間4~5年(環境影響評価・設計期間等を除く)に対し、基地としての操業を開始できるまでのリードタイムは大幅に短縮することができる。 なお、2015年にエジプト Ain SokhnaでBW LNG社が導入したFSRUは、既存船・既存桟橋を活用し、入札後約5カ月でLNGの初受け入れを行った。④移動・転用が容易、季節需要への対応 船舶と同様の扱いであるので、当然移動は容易である。将来的にLNG気化基地が不要となった場合には速やかに撤去可能で、場合によっては別の場所での使用に転用することも可能である。2013年受け入れを開始した中国天津(Tianjin)LNG基地では、2016年に陸上LNGタンク・気化設備が完成するまでの間、FSRUによるLNG受け入れを行った。⑤LNGが他燃料(油等)に対し相対的に割安な場合、迅速な燃料転換 従来、初期投資の大きなLNG液化プロジェクトの開発は、長期の引き取りを前提に最終投資決定がなされてきた。近年の低油価、北米・豪州等大型プロジェクトの稼働開始による需給緩和を受け、短期・スポット契約の増加、北米LNGの開始により仕向け地制限も減少するなど、LNG市場の流動性の向上、特にスポットLNGは油等競合燃料に対して価格優位性が生じてきている。産油国では原油は輸出用とし、自国内のエネルギー・電力需要の増加にはFSRUによるLNGの輸入で賄うのも経済性・環境性の両面でメリットがある。 長期の安定操業、拡張・大規模需要への対応等については以下の点について留意が必要である。①安定した気象・海象条件 洋上設置であるため、気象・海象に大きく影響を受ける。特に係留索を用いての係留では、通常船舶が桟橋に係留される場合と同様、波高が高くなると安全性にも大きく影響してくる。特に、外洋に直接面した港湾では長周期波(周期が数十~数分の波で、ゆっくりと海面が上下する動き。しばしば係留索切断等の事故の原因となる)の影響があるため、注意が必要である。したがって、FSU・FSRUの設置場所としては、波浪の影響が少ない湾内とされることが多い。また、台風やハリケーンなどが接近する場合には、安全のために離岸、避難させることが必要になることもある。②貯槽容量の拡張柔軟性が低い 現在のFSRUで最大の貯槽容量は26万m3(世界最大のLNG船であるQ-Maxクラス)だが、FSRU・FSUではタンクの貯槽容量は設置される船体の大きさによって画一的に決定される。陸上では、順次タンクを増設する等の対応を行うのに対し、FSRU・FSUでは、ガス需要の増加に応じて隻数増加、その都度係留設備も増設していく59石油・天然ガスレビュー天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大アととなる。 なお、上記の特徴を踏まえ、浮体式の受入基地と陸上受入基地について、タンク容量18万m3を想定した場合の比較を表5に示す。(4)世界の浮体式受入基地 現在、アジア、中東、中南米等で23基地のFSRU/FSUが稼働しているが、さらに、アジア(インド・パキスタン・バングラデシュ)等を中心に、20基超のFSRU/FSUが建設・計画中段階にある。表5陸上LNG受入基地、浮体式LNG受入基地比較(参考)初期コスト①建設期間移転・転用拡張契約形態②契約期間その他陸上LNG受入基地浮体式LNG受入基地・約7億5,000万ドル(内訳)・桟橋:8,000万ドル・LNGタンク:1億8,000万ドル・プラント、再ガス化設備等:2億6,000万ドル・予備費等:2億3,000万ドル48~60カ月(現地作業の進捗によっては遅延)・不可(長期・永続的な使用を前提とする)・タンク増設、再ガス化設備増強による対応・EPC(EngineeringProcurementandConstruction)契約・約4億5,000万ドル(内訳)・桟橋:8,000万ドル・FSRU:2億5,000万ドル・附帯設備等:3,000万ドル・予備費等:9,000万ドル新造船:27~36カ月改 造:12~24カ月・LNG需要がなくなった場合、他地域への転用可能・季節需要に応じた対応も可能・船体の大きさにより決定。隻数増には、係留設備の増設が必要・リース契約(傭船契約13万ドル/d~205ドル/d)もしくは、トーリング契約(0.45~1$/MMBtu)・安定操業・大規模需要にも対応可・5~20年・気象、海象による稼働影響・必要な許認可が比較的少ない出所:① OIES“The Outlook for Floating Storage and Regasification Units(FSRUs)”。タンク容量18万m3の1例。現地人件費、港湾の状況等により変動。FSRU新造船:2億4,000万~2億8,000万ドル 改造:約2億3,000万ドル(改造8,000万ドル、中古船1億5,000万ドル)を想定。② OIES“The Outlook for Floating Storage and Re-gasification Units(FSRUs)”。リース契約:CAPEX 110万~16万ドル/d、OPEX20万~4万5,000ドル/d。Port MeridianPort MeridianTeessideTeessideKlaipeda,LithuaniaKlaipeda,LithuaniaKaliningrad,RussiaKaliningrad,RussiaToscanaToscanaKrk,CroatiaKrk,CroatiaEtki,TurkeyEtki,TurkeyMaltaMaltaHadera, Israel Hadera, Israel EgyptEgyptAquava,JordanAquava,JordanBahrainBahrainQuantum,GhanaQuantum,GhanaWAGL,GhanaWAGL,GhanaNeptuneNeptuneNortheast GatewayNortheast GatewayGulf GatewayGulf GatewayMontego,JamaicaMontego,JamaicaAguirre,Puerto RicoAguirre,Puerto RicoColombiaColombiaIvory Coast,Ivory Coast,Cote d’lvoireCote d’lvoirePecemPecemSergipeSergipeBahiaBahiaBaia de GuanabaraBaia de GuanabaraPenco-Lirquen,Penco-Lirquen,ChileChileGNL del Plata,UruguayGNL del Plata,UruguayGNL EscobarGNL EscobarBahia BlancaBahia BlancaMina Al Ahmadi,KuwaitMina Al Ahmadi,KuwaitDubaiDubaiQasim,PakistanQasim,Pakistan Tianjin TianjinAbuDhabiAbuDhabiSwan,Swan,IndiaIndiaMoheskhali,BangladeshMoheskhali,BangladeshJaigad,IndiaJaigad,IndiaBatangas,PhilippinesBatangas,PhilippinesMelaka MalaysiaMelaka MalaysiaBenoa,BaliBenoa,BaliLampungLampungCilayamaCilayamaNusantara,West JavaNusantara,West JavaCilacap,Central JavaCilacap,Central Java操業中建設・計画中操業停止AGLAGL出所:各種情報を基にJOGMEC作成図26世界の主な浮体式LNG受入基地602018.1 Vol.52 No.1アナリシス@2016年に稼働開始した11のLNG受け入れ・再ガス化基地のうち、5基地(コロンビア・インドネシア・ジャマイカ・トルコ・UAE)はFSRUによるものである。また、2017年にLNGの輸入を開始したマルタでも、改造FSUによる受け入れとなった。 今後も新興国需要増に対応し、FSRUによる受け入れ検討が進んでいるが、単なるFSRUの傭船(提供)だけでなく、附帯設備、LNGの調達・再ガス化・送出・ガス利用(発電)等も含めたパッケージでの提供に対するニーズも高まっている。また、LNG供給者(Total、ExxonMobil、Cheniere等)も、足元の供給過剰の状況下で、需要創出・FSRU・下流事業への関与を強めている。(5)FSRU提供事業者の取り組み FSRUによる受け入れには、船舶の建造・保有、船員の配乗、運航(LNGの受け入れ・再ガス化オペレーション)が必要となるため、LNG船の運航を担う船会社が事業実施主体としてサービスを提供している。Excelerate Energy、Golar LNG、Hoegh LNGの主要3社に加え、BW LNG、MOL(商船三井)等も参入してきている。 一方で、顧客側からの早期受け入れ開始・短期契約等の要望に即応するためには、新造船の先行発注や、戦略的な余剰船腹を保有することも場合によっては必要となるが、活用先・契約期間が不透明ななかでの投資については、将来の市場動向も踏まえた戦略的な検討も必須となる。陸上基地と異なり、他地域での転用は可能とはい表6世界の主な浮体式LNG受入基地一覧(FSU・FSRU)(稼働済み)地域アジア国名地域・プロジェクトPortQasim、Karachi/(EETPL)PortQasim、Karachi/PGPLパキスタンパキスタンインドネシア NusantaraRegasSatu/WestJavaインドネシア PGNLampungインドネシア Benoa、BaliTianjinLNG中国欧州中東北米中南米MelakaマレーシアMelakaマレーシアKlaipedaリトアニアEtkiLNGFSRUトルコOLTOffshoreLNGToscanaイタリアMaltaLNGマルタTeessideGasportイギリスJebelAli/DubaiUAERuwais/AbuDhabiFSRUUAEHaderaGatewayイスラエルAinSokhnaエジプトAinSokhnaエジプトMinaAl-AhmadiクェートAquava/Al-SheikhSabahLNGヨルダンNeptuneアメリカNortheastGatewayアメリカGulfGatewayアメリカアルゼンチン BahiaBlancaアルゼンチン GNLEscobarコロンビアジャマイカブラジルブラジルブラジルCartagenaMontegoBay/BogueLNGPecemBahia/TRBASalvadorBaiadeGuanabara操業開始201520172012201420162013201320132014201620132016200720102016201320152015200920152010200820052008201120162016200920142009出所:各種情報を基にJOGMEC作成61石油・天然ガスレビューFSRU事業者船名受け入れ能力百万t/年ExquisiteBWIntegrityNusantaraRegasSatuPGNLampungFRU+FSUTenagaSatuTenagaEmpatIndependenceGdFSuezNeptuneFSRUToscanaArmadaLNGMediterrana(FSU)ExcelerateEnergyBWOffshoreGolarLNGHoeghLNGPertamina当初FSRUでのLNG受入を開始。2016年に陸上タンク・再ガス化設備稼働開始し、その後も陸上タンク・設備を増設中で、需要に応じ適宜FSUとしてのLNG船を傭船。PetronasPetronasHoeghLNGHoeghLNGOLTBumiArmada操業停止ExcelerateEnergyExcelerateEnergyExcelerateEnergyHoeghLNGBWOffshoreGolarLNGGolarLNG操業停止操業停止操業停止ExcelerateEnergyExcelerateEnergyHoeghLNGGolarLNGExcelerateEnergyGolarLNGGolarLNGExemplarExpedientHoeghGraceGolarArctic(FSU)ExperienceGolarWinter当初、GolarSprit号で受け入れExplorerExcelerateExcellenceHoeghGallantBWSingaporeGolarIglooGolarEskimo5.76.23.730.4-2.62.62.95.64.40.44.14.1-4.15.65.55.54.14.14.10.56.63.81.9天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大\7世界の主な浮体式LNG受入基地一覧(FSU・FSRU)(建設中・計画中)地域名国名地域・プロジェクトアジアパキスタンPortQasim、Karachi/GeilバングラデシュバングラデシュバングラデシュインドインドインドネシアインドネシアフィリピンオーストラリアMoheskhaliMoheskhali/SummitPowerFSRUReliancePowerFSRU、MoheskhaliIslandJaigadJaigarhportJafrabadPort、Gujurat/SwanLNGFSRUCilacap、SouthcentralJavaCilayama、WestJavaBatangasLNGSouthEastAustraliaTema/LNG(WAGL)Tema/Quantum操業開始2018 HoeghLNG、Geil、Total、事業者・FSRU船社ExxonMobil、QatarPetroleum、Mitsubishi(三菱)CorporationExcelerateEnergyExcelerateEnergy20182018ReliancePower-2018 HoeghLNG2020 MOL(商船三井)PertaminaPertamina、丸紅・双日ShellAGL-----欧州アフリカ ガーナガーナコートジボワール IvoryCoastLNG(CI-GNL)2018ロシアクロアチアイギリスイギリスバーレーンウルグアイKaliningradFSRUKrkLNGTeessideTrafiguraPortMeridianKhalifabinSalmanPortGNLdelPlata中東中南米20202018 GolarLNG2018 HoeghLNGTotal、Golar他2018 Gazprom2020 CroatiaLNGTrafigura2021 HoeghLNG他2018MOL(商船三井)チリGNLPenco-Lirquen2019 HoeghLNG、EDF、Cheniere他ブラジルプエルトリコSergipeLNG/CelseAguirreGasPort2020 GolarLNG2018PREPA、ExcelerateEnergy出所:各種情報を基にJOGMEC作成船名/プロジェクト名 受け入れ能力百万t/年HHI29095.6未定(Excelsior)--GDFSuezCapeAnn未定(FSRU18万m3、FSU13.5万~14.5万m3)----GolarTundraHoeghGiant未定(Golar)HHI2854---DSME2461FSUMOLFSRUCHALLENGERFSRUEsperanza(HN2865)GolarNanook-4.14.1-5.65.0----5.55.65--5.6-4.15.65.5-事業者ExcelerateEnergyGolarLNGFSRU・FSU隻数7隻(就航済み7隻)FSU1隻FSRU8隻(建造中1隻)※FSRU4隻は改造船HoeghLNGBWLNGMOL(商船三井)10隻(就航済み7隻、建造中3隻)3隻(就航済み1隻、建造中2隻)1隻(就航済み1隻)出所:各種情報を基にJOGMEC作成表8主要FSRU事業者の動向備考・2003年米国で設立。世界初となる沖合LNG受入基地「GulfGatewayDeepwaterPort」を稼働。・1970年LNG輸送事業を開始。Gaslog、Dynagasとの間でLNG船の共同運航“CoolPool”・グループ企業では、FLNG(カメルーン・赤道ギニア)、発電事業(GolarPower、ブラジルを推進。向け)も手掛ける。・FLNG事業からは、2016年撤退。・市場投入までの時間短縮のため、未契約のFSRU1隻を戦略的に建造・保有。・LNG船全16隻運航中(うち、1隻がFSRU)、5隻建造中(うち2隻がFSRU)。・グループ企業では、FPSO・FSO計38プロジェクト実施。・当初ウルグアイ向けを予定していた世界最大(26.3万m3)のFSRU“MOLFSRUCHALLENGER”は、トルコ向けに活用予定。・インドGujurat州でFSU(13.5万~14万m3型)、FSRU(約18万m3型)を計画中。622018.1 Vol.52 No.1アナリシス\9事業者別 FSRU・FSU船社/事業者船名/プロジェクト名就航国名地域・プロジェクト・事業者名受け入れ能力百万t/年タンク容量m3138,000138,000138,000151,000150,900151,000150,900150,900173,000138,000129,000138,000125,000125,000170,000160,000170,000170,000145,000145,000170,000170,000170,000170,000170,000170,000170,000170,000137,500170,000173,400173,000130,000130,000125,000263,00018万m3+14万m3174,100173,0004.14.14.14.14.15.74.14.16.60.51.83.83.63.75.55.55.55.55.65.62.72.93.83.85.65.65.65.64.45.66.2n/a0.42.62.60.44.15.05.03.3n/aLNG輸送(今後、バングラデシュ他)HaderaGatewayRuwais/AbuDhabiFSRUJebelAli/DubaiLNG輸送(今後、バングラデシュ他)PortQasim、Karachi/EngroElengy(EETPL)UAEUAE20052005 イスラエル2006200820092009 パキスタン2010 アルゼンチン BahiaBlanca2010 アルゼンチン GNLEscobar2014 ブラジル2003 ジャマイカPecemMontegoBay/BogueLNGterminalLNG輸送/待機WestofIlhadosFrades、Bahia/TRBASalvadorLNG輸送/待機2012 インドネシア NusantaraRegasSatu/WestJavaMinaAl-AhmadiAquava/Al-SheikhSabahLNGGhanaLNG(WAGL)/TemaSergipeLNG/CelseEtkiLNGFSRUJaigadJaigarhport予定2014 クェート2014 ヨルダン2015 ガーナ2018 ブラジル2009 トルコ2009 インド2014 インドネシア PGNLampung2014 リトアニア2014 エジプト2015 コロンビア2017 ガーナKlaipedaAinSokhnaCartagenaLNG輸送(今後Tema/Quantum予定)GNLPenco-LirquenPortQasim、Karachi/Geil未定2018 パキスタン2019 未定OLTOffshoreLNGToscanaAinSokhnaPortQasim、Karachi/PGPLTBAインドネシア Benoa、BaliMelakaMelakaMaltaLNGトルコJafrabadPort、GujuratState/SwanLNGFSRUKaliningradFSRUKhalifabinSalmanPortExcelerateEnergyGolarLNGHoeghLNGOLTBWOffshorePertaminaPetronasBumiArmadaMOL(商船三井)Gazprom-2010ExcelsiorExcellenceExcelerateExplorerExpressExquisiteExemplarExpedientExperienceGolarArctic(FSU)GolarSpirit(1981年就航、改造2008)2008GolarWinter(2004年就航、改造2009)2009 ブラジルGolarFreeze-(1971就航、改造2010)NusantaraRegasSatu(1977就航、改造2012)GolarIglooGolarEskimoGolarTundraGolarNanookGdFSuezNeptuneGDFSuezCapeAnnPGNLampungIndependenceHoeghGallantHoeghGraceHoeghGiantFSRUEsperanza(HN2865)2018 チリHHI2909SHI2220FSRUToscana(GolarFrost号改造)BWSingaporeBWIntegrityDSME2489/TBAFRU+FSUTenagaSatu(FSU1982就航、2012改造)TenagaEmpat(FSU、1981就航、2012改造)ArmadaLNGMediterrana(改造FSU)MOLFSRUCHALLENGER未定(FSRU18万m3、FSU13.5万~14.5万m3)HHI2854DSME2461FSU2014 イタリア2016 マルタ2020 インド2015 エジプト2017 パキスタン20192012 マレーシア2012 マレーシア2017 ウルグアイ2017 ロシア2018 バーレーンMaranGasMaritime出所:各種情報を基にJOGMEC作成DSME24682020TBA63石油・天然ガスレビュー天然ガス・LNG市場の動向とFSRUによる需要拡大ヲ、必要とされるタンク容量、係留方式、気化能力等も多種多様である。転用に際して一定の改造が必要な場合もあり、汎用性のある最適な船型選択も容易ではない。また、造船所で建造・改造されるFSRUは、陸上基地に比して完工・遅延リスクは少ないが、陸上側設備の建設遅延(ガーナ)、計画変更(ウルグアイ)等、新興国特有の事業リスクへの対処も検討しておかなければならない。(6)FSRUの拡大(課題・まとめ) 2005年の米国「Gulf Gateway」での受け入れ開始以降、土地取得・地元合意、建設コスト・期間、初期コスト、移動・撤去の容易さといった面で陸上LNG受入基地に対して優位性がある浮体式LNG受入基地の普及が進んできた。2016年に新たに稼働した11のLNG受け入れ・再ガス化基地のうち、5基地(コロンビア・インドネシア・ジャマイカ・トルコ・UAE)はFSRUであり、今後も新興国需要増に対応し浮体式FSRUによる受け入れ検討が進むと予想される。 今後は、単なるFSRUの傭船(提供)だけでなく、LNGの供給、附帯設備、FSRUによる受け入れ・再ガス化、ガス利用(発電)等も含めたパッケージでの提供に対するニーズも高まっており、LNG供給者(メジャー等)も、需要創出のためFSRU・下流事業への関与を強めている。 一方で、陸上側設備等も含めたスケジュール遅延・変更等、新興国特有の事業リスクも顕在化してきている。陸上基地とは違い、FSRUは他地域での転用は可能とはいえ、必要とされるタンク容量、係留方式、気化能力等も多種多様で、転用に際して一定の改造が必要なケースもある。短期間・早期での事業開始を求める顧客ニーズに即応するための余剰船腹の保有、傭船期間終了後の活用等、拡大傾向にはあるが、長期的な事業環境については不確実性が残る。 また、2014年以降の低油価、米国・豪州をはじめとする供給増に伴う、流動性向上、油価連動のLNG価格に対するスポット価格の相対的に優位な価格の実現といった、LNG市場の環境変化も、新興国でのFSRUによる急速な需要拡大の一要因として考えられる。 今後、中長期的な需要を賄うための計画段階のLNGプロジェクトも数多くある。とはいえ、豪州域内のガス需給逼迫、不透明な中東・カタール情勢等、想定外の供給障害、建設遅延で需給均衡の早期化で一定期間のスポット価格高騰も懸念される。経済発展の途上にある新興国において、LNG価格の高騰時の需要減、また、再エネ等他燃料の価格競争力向上によるLNG需要増の鈍化等も、超長期的な懸念材料として留意することが必須要件となろう。執筆者紹介田村 康昌(たむら こうしょう)(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉 調査部 エネルギー資源調査課 主任研究員東京ガス株式会社入社後、工場向けの都市ガス営業、排出権取引、環境省出向、LNG船の契約・運航業務等に従事。2016年4月より現職。GlobalDisclaimer(免責事項)本稿は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本稿に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本稿は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本稿に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本稿の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。642018.1 Vol.52 No.1アナリシス
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2018/01/22 [ 2018年01月号 ] 田村 康昌
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。