ページ番号1006640 更新日 平成30年2月16日

イラク:最近の石油開発を巡る動向 ―油田リハビリなど短期的課題に注力―

レポート属性
レポートID 1006640
作成日 2004-08-11 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 セミナー・報告会資料
分野 技術探鉱開発
著者 猪原 渉
著者直接入力
年度 2004
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ イラク:最近の石油開発を巡る動向~油田リハビリなど短期的課題に注力~2004/8/11石油・天然ガス調査グループ猪原 渉報告内容01最近のイラク石油開発動向について概括?石油生産と輸出の現状?最高石油・天然ガス評議会の設立と当面のイラク石油政策の課題?イラクが進める入札プロジェクト?クルドを巡る動き※ 前回報告(6月10日第1回ブリーフィング:以下参照)の続報石油・天然ガス調査グループHP(http://oilresearch.jogmec.go.jp/)→‘What’s New’「6月10日 第1回海外石油天然ガス動向対外ブリーフィングを開催」→「猪原 イラク:暫定政府石油大臣にガドバン氏」Cラクの月別生産・輸出量推移(2003年1月以降)図1 イラクの月別生産量と輸出量の推移(2003年1月以降)20020018018825023120518618630025020015516014814515914715015514010050023255243174173103833002502001501005001月年2003105115120100657050301505月06月20247月8月9月月10月112月3月4月2月3月4月5月6月1月年月122004生産量輸出量  (万b/d)出所:MEES、ロイター等イラク原油生産量の推移(1985年-2003年)図2 イラク原油生産量の推移(1985年-2003年)2782842392161901423002502001501005005346515358282542582372132031171341985198619871988198919901991199219931994199519961997199819992000200120022003平均生産量(万b/d)出所:BPカ産、輸出の現状4?2004年3月、生産250万b/d、輸出186万b/dと、イラク戦後の最高値を記録するが、4月以降減少に転じ、6月は今年最低を記録。4月以降は比較的治安の良かった南部ルートでも破壊行為が増加したの?が原因? 北部ルート(トルコ・ジェイハン向けP/L):度重なる破壊工作→大半の期間送油停止。稼動時でも送油量20-30万b/d程度(能力80万b/d)。? 南部ルート(バスラ及びコル・アル・アマヤ出荷ターミナル):通常操業時には170-180万b/dに回復も、4月以降、破壊行為頻発により積み出し量低下。→SOC関係者「テロではなく、闇商人による盗難ではないか?」?8月上旬南部出荷停止と報道も「8/11に通常レベルに復帰へ」(8/10SOC)? 目標の「数ヶ月以内に生産量280万b/d、輸出量200万b/dの達成」(6/2ガドバン石油相)は困難な見通し。最高石油・天然ガス評議会を設立?7月16日、最高石油・天然ガス評議会(Supreme Oil & Gas Council)設立を発表? 議長にアラウィ首相が就任。他にガドバン石油相始め財務相、国際協力相、中央5銀行総裁など閣僚クラス9名で構成。? 主な役割:「石油産業の発展と石油収入の最大化目指し、炭化水素資源の管理と最適利用に関する基本方針を検討すること」? 以下について、石油省提案方針について協議・承認を行う。? 中長期計画の策定と実行? 主要投資プロジェクトとそのファイナンス? 外国企業との契約? 原油販売計画? 国内向け製品の価格設定? 石油収入の財務省との配分方針? 石油省と関連組織の業務内容? 主権移譲(6/28)を受け、暫定政府主導で石油政策決定プロセスの整備図る? 首相が石油政策決定に直接関与→石油省権限低下の可能性?末ハのイラク石油政策の課題ガドバン石油相見解(6/2) <既報>6i.ii.iii.石油関連設備の安全確保・治安向上国内向燃料(ガソリン、発電燃料等)供給不足の解消上下流プロジェクト(地質スタディー、既存油田のリハビリ(修復)と増産プロジェクト、製油所やP/Lの新設等)の推進iv.石油省組織の見直し?石油省は短期的な懸案事項処理に注力する姿勢?(現在の治安情勢下では)新規油田開発の着手は困難と判断(参考)ウルーム前石油相見解(03年9月)「2010年頃までに600万b/dの生産目指す」→既存油田リハビリ・増産では300~350万b/dが限界。目標達成には、国際石油企業(IOC)が参加する新規油田開発が不可欠、という見方で専門家見解一致イラク石油生産・操業の実態7??石油省が、新規開発ではなく油田リハビリを重要課題とするのは、現状の劣悪な油田状況が背景に。South Oil Co.(SOC)の技術者が6月4日、ICEP主催セミナーで、SOC管轄油田の抱える問題点を報告。?油田関連施設(タンク、P/L等)の腐食が顕在化しているが、資材不足のため修復作業未実施。出荷ターミナル(バスラ、コル・アル・アマヤ)の損傷生産原油に含まれる水(ウオーターカット)の増加でフローが止まった生産井多数。検知装置の不足で適切な操業困難。機材・人員不足のため開発井(計画:4000坑以上)の掘削未実施。火薬不足のため坑井パーフォレーション実施できず。???9イラク石油上流関係図ハムリン油田スバ/ルハイス油田イラクが進める入札プロジェクト①?石油省及びSCOP(Iraq’s State Company for Oil Projects)が入札実施中のプロジェクトa.キルクーク、ルメイラ油田の詳細油層スタディb.c.d.e.f.北部フルマラ・ドーム(キルクーク油田内)、北部ハムリン油田、南部スバ/ルハイス油田の開発契約(*)南部の新規46井掘削、60井リハビリDaura(バグダッド郊外)に新規精製設備建設(20ー30万b/d)キルクーク油田から南部Diwaniya向け製品P/L建設Fao(バスラ・ターミナル近郊)に貯蔵タンク8基建設Cラクが進める入札プロジェクト②10?(*)3プロジェクト(前頁b)の概要?フルマラ・ドーム(8万b/d増産、1億ドル)、ハムリン(8万b/d増産、1億5千万ドル)、スバ/ルハイス(12万b/d増産、8千万ドル)、と報道Sonoron Energy(米)、Petrel(アイルランド)、Petron(ルーマニア)、Dome(UAE)等の無名・中小石油企業が応札(ハイリスク承知の応札?)。「9月中に契約先決定目指す」(SCOP)。メジャー各社は応札せず。?RD/Shell:フルマラ・ドームへの入札検討するも、治安面での懸念、採算性魅力なしとの判断から、応札見送り。BP:治安情勢と油田規模の小ささから不参加。油田開発以外の作業(土建工事、インフラ整備等)の比率が高すぎる点も問題にされた模様。??????クルドを巡る動き①11??イラク北部の油田の取り扱いで、暫定政府(石油省)とクルド地方政府との間で軋轢高まる。クルド側の動き?クルド政府が6月、ノルウェーの石油会社DNO ASAとクルド人居住地域での石油・ガス探鉱開発に関する合意書調印。クルドのリーダー(KDPバルザーニ党首、PUKタラバーニ議長)は、ブッシュ大統領宛共同書簡で、下記を主張。(cid:190) クルド地域の天然資源(特に新規開発されたもの)はクルド人に帰属する。(cid:190) フセイン時代にアラブ化が進められたキルクーク市のクルドへの「返還」を主張。国連安保理決議1546(2004/6/8)にクルド自治権言及されず、クルド人の不安、不満増大→中央政府と距離置く姿勢にNルドを巡る動き②12???石油省の反応?7月16日、IOC各社に、中央政府およびその関連組織以外との交渉・契約を行わないよう強く警告。?あわせて、「石油・ガス事業は国営会社により、あるいは外国企業との共同で実施。契約先はオープンで透明な入札により決定」と表明。仮に、将来、連邦制が採用された場合やイラク分裂という事態になった場合、北部油田の管轄権巡り、中央政府とクルド人(さらにはトルコの支援受けるトルクメン人)の間で紛争となる可能性。石油会社としても、クルド地域は、いわゆる地政学的リスクの非常に高い地域であることの認識必要。まとめ1.2.3.4.13イラクの石油生産と輸出は、南部での破壊活動増加の影響で、今年4月以降減少に転じる。7月、石油・ガス最高評議会を設置。政治的主導権確保を狙うアラウィ首相の強い意向を反映か?油田生産は、設備損傷・老朽化や、機材・要員不足による不十分な操業など、問題が山積。石油省は、当面、油田リハビリの推進など、短期的な懸案事項に注力。独自に外国石油企業との接触を行うクルド地方政府と暫定政府(石油省)の軋轢高まる。石油省はクルドとの交渉を止めるようIOC各社に警告。
地域1 中東
国1 イラク
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラク
2004/08/11 猪原 渉
Global Disclaimer(免責事項)

このウェブサイトに掲載されている情報はエネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。

※Copyright (C) Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。