ページ番号1006680 更新日 平成30年3月5日

LNG市場に影響? ―アラスカ等ガスパイプライン計画いよいよ進展か?―

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レポートID 1006680
作成日 2005-02-09 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 セミナー・報告会資料
分野 天然ガス・LNG
著者
著者直接入力 齊藤 晃
年度 2004
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ LNG市場に影響?~アラスカ等ガスパイプライン計画いよいよ進展か?~平成17年2月9日石油・天然ガス調査G齊藤 晃はじめに01■極北ガスパイプラインの概要(アラスカ/カナダMackenzie等)■極北ガスパイプラインの主な経緯■アラスカガスパイプラインの財政的支援■アラスカガス、カナダMackenzie等ガスの、北米市場へのインパクト■まとめAラスカガスパイプライン/Mackenzieパイプライン(地図、埋蔵量)2<極北地域のガス埋蔵量>North Slope確認埋蔵量35(LNG換算:約3,600万t/年×20年)Mackenzie Delta/Beaufort Sea9Yukon(LNG換算:約940万t/年×20年)< 1出所:Yukon準州エネルギー鉱物資源省(TCF)推定埋蔵量1265220主な、アラスカガスパイプライン/Mackenzieガスパイプラインプロジェクトの概要3完成予定時期建設コスト総延長区間口径輸送能力Alaska Highway Pipeline Project(AHPP)2012~2016Mackenzieガスパイプライン2009180億~200億ドル58億米ドル(70億加ドル)約5,600kmPrudhoe Bay~米国中西部口径42~52インチ45億cf/d(約465億m3/年)(LNG換算:約3,400万t)約1,200kmInuvik(Northwest Territories)~アルバータ州口径30インチ12億cf/d(約123億m3/年)(LNG換算:約900万t)供給元North Slope生産者グループBPConocoPhillipsExxonMobilTagluParsons LakeNiglintgakImperialConocoPhillipsShellExxonMobilAboriginal Pipeline Group(APG)出所:各種資料により筆者作成i参考)アラスカガスパイプライン/Mackenzieパイプラインの主な経緯4<アラスカガスパイプライン計画の主な経緯>1967年~68年頃1977年1980年代~90年代2001年・North Slopeでガス発見・連邦政府、ANGTS(Alaska Natural Gas Transportation System)認可・ガス価格低迷・カナダからの輸入増加等の理由により、計画中止 (当初、1983年頃完成を目標にしていた)・ブッシュ大統領、アラスカパイプラインを包括エネルギー戦略に・North Slope生産者(BP/ConocoPhillips/ExxonMobil)、FS再開 (4.5bcf/d・52インチ想定)<Mackenzie ガスパイプライン計画の主な経緯>2000年2001年2002年2003年2009年頃・生産者グループ、FSを開始・Northwest Territoriesの地元住民、パイプライン権益取得のための グループAPG(Aboriginal Pipeline Group)を結成・生産者グループとAPG権益取得で基本合意・TransCanada P/LがAPGへのファイナンスを表明・PIP(基本概念)合意・パイプライン稼動予定アラスカガスパイプラインの財政的支援(1)5<主な経緯>2001年2001年~04年2004年10月ブッシュ大統領、アラスカガスパイプラインを包括エネルギー戦略に・North Slope生産者(BP/ConocoPhillips/ExxonMobil)、FS再開 (4.5bcf/d・52インチ想定)第107議会(2001~02)、第108議会(2003~04) →アラスカガスパイプラインに関して、規制緩和や財政的支援について議論  (債務保証等)※包括エネルギー法案において →不成立新たな法案(HR6の思想を継承)HR4837①180億ドルの連邦政府債務保証(30年間保証) (パイプライン建設コストの80%を上限)②許認可プロセスの効率化③北ルート明確に否定→南ルートHR4520①減価償却期間の短縮(15年→7年)②税額控除(oilの増進回収設備と同様に)等Aラスカガスパイプラインの財政的支援(2)<フロアプライス>産業界BP/ConocoPhillips⇒フロアプライス(一定の市場ガス価格を下回った場合に、井戸元生産 に対し、税額控除を与える)を強く主張(3.5ドル/MMBtu)ChevronTexaco等他のガス生産者⇒フロアプライスは、市場価格メカニズムをゆがめるものとして反対⇔ExxonMobil議会上院:フロアプライスに好意的下院、ブッシュ政権:債務保証に好意的財政的支援は、債務保証等が中心となる見込み(×フロアプライス)今後・パイプライン権益の州政府参加も検討(多額のパイプライン投資 を背景に、12.5%参加という説も。ファイナンスリスク等が課題)・建設まで、9年~10年かかる⇒2014年~15年頃完成?アラスカ産ガスの見通し2016年2020年2025年米国国内生産①純輸入カナダメキシコLNG②総供給③20.937.432.97-0.324.7828.3521.977.892.69-0.355.5429.8521.91(単位:TCF)8.662.55-0.256.3730.56 EIA予測前提 :2016年、アラスカガスパイプライン稼動67アラスカ生産④1.892.23(LNG換算) (2,200万t)(3,900万t)(4,600万t)1.08④÷①④÷③②÷③5.2%8.6%10.2%国内生産に占めるアラスカ産ガスの割合3.8%6.3%7.3%総供給に占めるアラスカ産ガスの割合16.8%18.6%20.8%総供給に占めるLNG輸入の割合(出所)EIA(米国エネルギー情報管理局)のAEO(米国エネルギー見通し)速報版より、筆者作成総供給に占めるアラスカ産ガスの割合:4%~7%(総供給に占めるLNGの割合:17%~20%)⇒市場に対するインパクト、比較的少 アラスカパイプライン稼動後も、むしろ価格は上昇するとの予測(天然ガス需給逼迫)LNG受入基地がいくつできるかもポイントackezie等産ガスの見通しMackenzie等生産分オイルサンド消費分20100.5320150.770.4~0.5(1.2~1.4bcf/d)1.8bcf/d)0.5~0.6(1.4~20200.74n.a.20250.72n.a.(出所)カナダ国家エネルギー委員会(NEB)資料より筆者作成8(単位:TCF)⇒オイルサンド:今後SAGD法(※1)が主流となる見込み。VAPEX法(※2)の開発 状況にもよるが、Mackenzie産ガスは、オイルサンド用等カナダ国内消費向け が中心となる可能性が高い(※1)SAGD法(Steam-assisted gravity drainage) オイルサンドからビチューメンを回収するプロセスの1つ。通常は水平坑井2つが並行して敷かれ、上位の坑井から流動性を高めるためにスチームを圧入し、下位の坑井から回収する。(※2)VAPEX法:蒸気を使用せず、希釈剤をしようすることで、粘性を和らげるまとめ(1)9●極北ガスパイプライン計画は、Mackenzieガスパイプライン計画が先行していたが、アラスカガスパイプライン計画についても、懸案の財政的支援に解決の目処がついたこと、天然ガス需給の逼迫化、高ガス価格維持等の理由により、進展する可能性がでてきた(Mackenzieガスパイプラインが2009年頃、アラスカガスパイプラインが2015年~16年頃に稼動の見込み)。過去数十年間検討が重ねられてきたが、ようやく実現に向かう可能性がある。●極北地域のガス推定埋蔵量は、約200TCFと言われており、ポテンシャルは高い(確認埋蔵量が約45TCF[North Slope:35TCF(LNG換算:約3,600万t×20年)、Mackenzie等:9TCF(約940万t/年×20年)])。●建設コストは、アラスカガスパイプライン計画で約180~200億ドル、Mackenzieガスパイプライン計画が約58億ドルと言われる。アラスカガスパイプラインでは、採算性の問題等を背景に、BP/ConocoPhillps等の生産者側は、債務保証やフロアプライス(一定のガス価格を下回った場合に税額控除を行なう)等の財政的支援を要求していた(BP/ConocoPhillipsは具体的に3.5ドル/MMBtuを超えないと、採算性がないと述べていた)。アラスカガスパイプライン計画が、ブッシュ政権の包括的エネルギー戦略の1つになったこともあって、2001年~2004年の議会で、財政的支援が議論されたが、結局立法化に至らなかった。しかし、財政的支援の法案が包括的エネルギー法案と分離されたこと等により、アラスカガスパイプライン実現の気運が高まってきている。パイプラインコストの約8割を上限とする、債務保証(また、減価償却期間の短縮化等も)が実現する可能性がある(フロアプライスについては、市場価格メカニズムを歪めるものとして批判が強く、実現性は低いものと思われる)。ワとめ(2)10●今後の北米ガス市場に与える影響:EIA(米国エネルギー情報管理局)の2005年米国エネルギー見通し(速報版)によると、2016年頃にアラスカガスパイプラインが稼動した後も、米国の総供給に占めるアラスカ産ガスの割合は、約4%~7%前後であり、米国市場に与える影響はそれほど大きくないものと思われる。EIAは、アラスカ産のガスや非在来型ガスの増加分も、ガス需要の増大により天然ガス需給逼迫を緩和するものではないと見ている。EIAの予測では、アラスカガスパイプライン稼動後も、むしろガス価格は上昇するとしている。需給ギャップ解消分は、LNG輸入ガスが大勢を占めると予測されており(LNG輸入ガスの総供給に占める割合は、約17%~20%)、アラスカ産ガスの米国市場への影響は比較的少ないものと思われる。ただし、今後のLNG受入基地の進捗状況がポイントの1つである。●今後の北米ガス市場に与える影響:Mackenzieガスパイプラインについては、0.7TCF(LNG換算:約1,400万t/年)前後供給される予定であるが、①カナダ国内生産が成熟化していること、②今後生産が増加するオイルサンドの燃料用に消費されること(0.4~0.6TCF/年が予測されている)等により、カナダ国内消費が中心で、対米輸出余力は低いものと思われる。
地域1 北米
国1 米国
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 北米,米国
2005/02/09 齊藤 晃
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