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サウジアラビアの中長期石油増産計画について2005/5/18調査部猪原 渉サウジの原油生産能力を巡る最近の動きサウジの原油生産能力を巡る最近の動き(cid:122) 原油高が続く中、鍵を握るサウジ生産能力増強の見通しは？(cid:122)2004年12月、Qatif陸上、Abu Safah沖合油田の能力増強完成? 当初、減退油田代替(能力維持)目的だったものを、能力拡張事業に変更? サウジ生産能力（分割地帯の1/2含む）1,050万b/d→1,100万b/dに? 現状余剰生産能力： 約150万b/d（2005年4月生産実績950万b/d）(cid:122)2005年4月21日、パリ石油セミナーでNaimi石油相が今後のサウジの生産能力増強計画を発表?2009年までに生産能力を1,250万b/dに増強する。長期的には1,500万b/dへの増強を計画。1,250万b/dへの増強は、具体的内訳（油田別）も提示。?(cid:122)4月25日、アブドラ皇太子がブッシュ米大統領との会談で中長期増産計画を説明。内容は上記Naimi見解と同様。サウジは今後数年間で油田開発に500億ドルの投資表明。? サウジ首脳として初めて中長期増産計画を表明。市場への安定供給継続姿勢を強くアピール。当面の増産への言及はなし。12Tウジアラビア月別原油生産量推移（千b/db/d））サウジアラビア月別原油生産量推移（千9,8009,6009,4009,2009,0008,8008,6008,4008,2008,0007,8007,6007,400Jul-04Jul-03Aug-03Aug-04Apr-03Jun-03Apr-04Jun-04Apr-05May-03Sep-03Oct-03Jan-04Sep-04Oct-04Jan-05Nov-04Jan-03May-04Nov-03Mar-03Mar-04Mar-05Feb-03Dec-03Feb-04Dec-04Feb-05生産実績生産枠9,8009,6009,4009,2009,0008,8008,6008,4008,2008,0007,8007,6007,400サウジ原油生産能力増強計画内訳内訳サウジ原油生産能力増強計画＜2009＜2009年までに完了、すべて軽質油＞年までに完了、すべて軽質油＞油田・プロジェクト名①Haradh-3（Ghawar油田、南端部）②Shaybah（UAE国境近く）能力増強分（b/d）+30万完成時期油種備考2006年Arab Light現状60万b/d→90万b/dに増強工事中。+30万2008年+50万2007年Arab Extra Light Arab Light③AFKプロジェクト・Abu Hadriyah、Fadhil、Khursaniyah（東部州ジュベイル近く）④Khurais（リヤドとGhawar油田の中間）?1,100万b/d（現行生産能力）?1,250万b/d→1,500万b/dへの増強計画の具体的内訳は明らかになっていない。=（減退油田リプレース）－ 80万b/d230万b/d+（増強分①～④計）+120万2009年Arab Light1,250万b/d（新規生産能力）→Manifa油田（重質)、Nuayyim油田（軽質)等が候補か？現状50万b/d→80万b/dへの増強を計画。93年から生産休止中。2005年3月、Snampregetti及びBechte/lTechnip連合とFEED及びEPC契約締結。投資額約30億ドル？現在10-15万b/d生産。2005年4月エンジ会社に入札意思確認実施。投資額約50億ドル？34Tウジアラビア東部主要油田分布図5サウジの油種別生産能力と増強計画サウジの油種別生産能力と増強計画（出所：IOD（出所：IOD、石油天然ガスレビュー等から作成）、石油天然ガスレビュー等から作成）生産原油API、硫黄分生産能力主要油田（万b/d）Arab Super Light50度0.04％、25Arab Extra Light37度、1.2%Arab Light33度、1.8%Arab Medium31度、2.5％140670145(＊)：沖合HawtahNuayyimHazmiyahGhinahUmm JurfBerri（＊）AbqaiqShaybahGhawarQatifKhuraisZuluf(*)Marjan(*)Arab Heavy27度、2.8%120Safania(*)Manifa(*)合計1,100油田別残存可採埋蔵量（億bbl）新規増強計画対象油田(～2009年)能力増強分(万b/d）15911301506607285122150168Shaybah+30Haradh-3AFKKhurais+30+50+120+2306Tウジの増産計画は予定通り実行されサウジの増産計画は予定通り実行されるのるのか？か？①①(cid:122)増産計画実現へ向けてサウジは「本気」であるとの見方1.米サ首脳会談で約束した「国際公約」である。メンツにかけて実行？Bayatアラムコ副社長が「500億ドル」投資計画の一部内訳を開示（5/11す。?IOD)。実行部隊として「実現に向け前向き」との姿勢示（アラムコ）資機材調達費 200億ドル、サービス費 230億ドル（いずれも2010年まで）（SABIC）（石油化学）総額 80億ドル（2005-2009年）?稼動リグ数が急増。積極的な掘削活動を実施中??2003年 44基 → 2004年 78基サービス会社（アラムコ外注先）は10基追加手配中2.3.サウジの増産計画は予定通り実行されるのか？サウジの増産計画は予定通り実行されるのか？②②(cid:122)一方で、相次ぐ増産計画の表明は、OPEC盟主として油価低減に努力しているという政治的ポーズとの見方も根強い。1.2.3.Jubair皇太子外交顧サウジ側の基本スタンス（4/21 Naimi石油相、4/25問）??世界で原油の供給不足は起きていない。需給をにらみ機動的に対応。要請があればいつでも能力増強するが、なければ実施しない。油価高騰は、米国の精製能力不足、投機資金の流入も原因。?⇒今回の計画：「需要がある限りにおいては」といった前提条件付きの可能性Khurais油田開発（120万b/d増強、2009年完成予定）は見送りの可能性も?Seifアラムコ上級副社長「竣工3年前（2006年）に最終判断。需要見込み次第では工事入札実施しない」（3/15 IOD）「500億ドル」内訳数字にギャップ。信憑性に問題あり？?2003-2007アラムコ投資計画 総額190億ドル（資機材93億ドル、サービス95億ドル）⇔2005/5 Bayatアラムコ副社長コメント（前頁）プロジェクト投資額?AFK 30億ドル⇔従来 「12億ドル」Khurais50億ドル⇔従来 「30億ドル」78Tウジの増産計画は予定通り実行されるのか？サウジの増産計画は予定通り実行されるのか？③③サウジは記録的な財政黒字（2004年、+261億ドル）の恩恵を享受。油価の高値安定を図りたいとの思惑あり（？）。 能力増強に慎重姿勢のコメントも。?4.5.2004年黒字分は追加支出に填補。今後も巨額債務の返済必要。??福祉・教育関連（皇太子提唱）：109億ドル政府債務返済：152億ドル ⇒返済後も債務残高は1,637億ドルと依然巨額?「新規開発及び能力維持は高コスト。サウジ1国での対応は困難」（Naimi石油相 4/22IOD)サウジは生産能力拡大には伝統的に慎重。能力拡大後に油価低迷期が到来する可能性があることをオイルショック後の経験から十分認識。9サウジアラビア財政収支実績サウジアラビア財政収支実績199519961997199819992000200120022003＜最近3年間実績＞歳入歳出20025446002003704641算20042005予2004 1,048787前年度比+49%（億ドル）10歳入歳出120010008006004002000億ドルTウジの余剰生産能力（増産余力）についての見方サウジの余剰生産能力（増産余力）についての見方現状の増産余力：150万b/d（＝現状生産能力1,100万－4月生産量950万b/d）大半が、Safania沖合油田等の重質油生産油田（休止坑井分）とみられており、市場のニーズに合致していない。事実上のデッドストック？Naimi石油相が常々強調する「増産余力は常時150万～200万b/dを維持（そのための能力増強を実施）する」とのサウジ方針は油価抑制に寄与しているか？現在の増産余力は過去に比べ極めて低いレベル→むしろ、市場には「供給余力は将来的にも150万～200万b/dしかない（しかも重質油主体！）」というネガティブなメッセージと受け取られ、油価高騰につながっている可能性。＜増産余力（万b/d）＞(cid:122)(cid:122)???OPEC内サウジ2001/44942642002/46473062005/4184155（出所：IEA他による）IEAのMandil事務局長「200万b/dの増産余力は短期的には意味があるが、長期的には明らかに少なく、市場安定への貢献は期待できない。混迷する中東情勢や中国の消費統計の不備といった不透明要因が存在する限り、増産余力は多ければ多いほうが良い」（4/22IOD）11 |
