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新たな能力増強計画を打ち出した新たな能力増強計画を打ち出したサウジアラビアサウジアラビア2008/7/16調査部猪原 渉報告内容報告内容(cid:122)ジェッダ・エネルギーサミットでサウジが公表した原油生産能力増強計画について、概要(油田別現況と実施見通し等)及びその評価を整理する。12Tウジの能力増強方針表明とその評価サウジの能力増強方針表明とその評価(cid:122)ジェッダ・エネルギーサミット(6/22、産油国消費国会合)でサウジアラビアは当面の原油増産と生産能力増強方針を表明原油生産(分割地帯含む)?6月までの30万b/d増産に加え、7月に新たに20万b/d増産実施。7月の生産量は970万b/dへ。【→イランイラク戦争時の増産対応で過去最高レベルを記録した1980年前後に迫るレベル】生産能力増強計画余剰生産能力を常に150~200万b/d確保するため?現状生産能力(分割地帯含む)1,130万b/dを2009年末までに1,250万b/dまで引き上げ<フェーズ1>?市場での需要が確認されれば、その後さらに生産能力を1,500万b/dまで引き上げ<フェーズ2>3サウジの能力増強方針表明とその評価サウジの能力増強方針表明とその評価(cid:122) 能力増強計画(フェーズ1,2)はいずれも2005年以降度々表明されてきた既定方針通り。だが、今回始めてフェーズ2 (1,250万b/dから1,500万b/dへの増強)の油田別内訳(別紙)が公表された。(cid:122) 消費国から強い増産要求にさらされているサウジとしては、能力増強の具体的内訳を示すことで真剣な検討姿勢をアピールする狙い。(cid:122) 直近の原油増産及び中期的な能力増強計画の表明に追随する産油国はなく、サウジ単独での動き。原油価格安定化に向けてのOPEC盟主としての強い決意の現れとして一定の評価は与えられる。(cid:122) 余剰生産能力確保堅持が評価され、80年代にサウジが担っていたスイングプロデューサーの役割復活への期待も浮上。4Tウジの能力増強方針表明とその評価サウジの能力増強方針表明とその評価(cid:122)ただし、フェーズ2の実施はあくまで「需要があれば」の条件つきであり、サウジは依然として能力増強にコミットしていない。?本年4月にNaimi石油相はフェーズ2の必要性を否定する発言をしたが、ジェッダ会議(6月)でフェーズ2実施の可能性に言及。世界石油会議(7月)で「買い手がいない限り、売る(作る)必要なし」「サウジ原油の需要は長期的にも1,100~1,150万b/d程度ではないか(=能力1,500万b/dは必要なし)」と再びトーンダウン。?NasserAramco副社長「われわれは一旦増産すれば30年間の生産プラトーが可能だが、能力増強には需要の裏付けが必要」サウジの能力増強方針表明とその評価サウジの能力増強方針表明とその評価?フェーズ2の内訳にあげられる5プロジェクトは、サウジの2008年以降5年間の上流投資計画(石油部門投資総額1,290億ドルのうち上流600億ドル)に含まれていない。1,250万b/dを超える能力増強の実現性を疑問視する見方を払拭する狙いであることは明白。56Tウジアラビア月別原油生産量推移((03/1サウジアラビア月別原油生産量推移03/1月~月~08/608/6月)月)(千b/d)9,8009,6009,4009,2009,0008,8008,6008,4008,2008,0007,8007,6007,400Jan-03Apr-03Jul-03Oct-03Jan-04Apr-04Jul-04Oct-04Jan-05Apr-05Jul-05Oct-05Jan-06Apr-06Jul-06Oct-06Jan-07Apr-07Jul-07Oct-07Jan-08Apr-08生産実績OPEC生産枠出所:MEES他7サウジアラビア原油原油生産量推移(サウジアラビア生産量推移(19701970~~20072007年、年間平均)年、年間平均)(千b/d)11,00010,0009,0008,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,00001970197219741976197819801982198419861988199019921994199619982000200220042006出所:OPEC統計8Tウジ原油生産能力推移及び計画サウジ原油生産能力推移及び計画未定(必要に応じ)(万b/d)1,500(油田別内訳別紙)09年12月(予定)1,250(油田別内訳別紙)06年3月~1,130Haradh-3の増強04年9月~1,100Qatif油田、Abu Safah油田の増強~04年8月1,0500500100015002000(いずれも分割地帯分含む)9サウジ油ガス田位置図各種資料に基づきJOGMEC作成10Tウジ原油生産能力増強計画<フェーズ1>内訳計画<フェーズ1>内訳サウジ原油生産能力増強油田・プロジェクト名能力増強分(b/d)①Haradh-3(Ghawar油田、南端部)②Shaybah(UAE国境近く)③AFKプロジェクト・Abu Hadriyah、Fadhil、Khursaniyah(東部州ジュベイル近く)④Khurais(リヤドとGhawar油田の中間)+30万+20万+50万+120万完成時期2006/2月(完成)2009年2008/8月(当初予定2007/7月から遅れ)2009/6月+10万2009年油種Arab Light(AL)Arab Extra Light (AXL)Arab Light(AL)Arab Light(AL)Arab Super Light(ASL)⑤Nuayyim(リヤド南部)?1,100万b/d+(2005年末生産能力)230万b/d(増強分①~⑤計)(減退油田リプレース)- 80万b/d=1,250万b/d(新規生産能力)11フェーズ1:工期遅延の可能性もフェーズ1:工期遅延の可能性も(cid:122)AFKプロジェクト(Khursaniyah等3油田)?3油田とも1940、50年代に発見された古い陸上油田。93年以降生産停止。2004年10月投資決定し、開発が進行。3油田計50万b/dの生産目指す。?当初、完成予定は2007年7月だったが、建設マンパワー不足の影響で2007年末に延期され、さらに現時点で2008年8月完成予定に変更。当初生産量25万b/dの予定。(cid:122)Khurais油田?Ghawar(ガワール)油田西方に位置し、60年代後半からALの生産開始し、1981年に14万b/dを記録。1980年代と1990年代(現在まで)の2度生産停止。?Khurais油田(100万b/d)及び近接の休止油田Abu Jihan油田(11万b/d)、Mazalij油田(9万b/d)と合わせ120万b/dの能力増強を目指す。12tェーズ1:工期遅延の可能性もフェーズ1:工期遅延の可能性も(cid:122)Shaybah油田? ルブアルハリ砂漠、アブダビ国境近くの巨大油田。1968年発見の比較的新しい油田。1998年よりAXL生産開始(50万b/d)。20万b/dの増強を目指す。(cid:122)Nuayyim油田? リヤド南部Najd油田群の一部。少量生産中。10万b/d増強を目指す。(cid:122) 増強計画遅延の可能性??AFKプロジェクトの遅延を受け、フェーズ1の要となるKhurais油田の工期も大幅遅延しているとの見方について、Saudi AramcoのNasser副社長は強く否定。「Khurais油田の09/6月生産開始に100%自信あり」と強調。?Aramco幹部は、「Khuraisの主要設備である石油ガス中央処理設備の建設は55%進捗し、機器・部品の99%はサイト納入済み(問題なし)。」と発言。? 熟練工不足、資機材調達遅れの問題は今後もネックとなると見られ、120万b/d増強という大規模プロジェクト(Khurais)の難易度の高さもあり、計画通りの完成は困難との見方が専門家の間では強い。サウジ原油生産能力増強計画<フェーズ2>内訳(6/22Naimi石油相発言他)油田名能力増強分(b/d)完成時期①Zuluf沖合②Safaniyah沖合③Berri沖合④Khurais⑤Shaybahその他の増強計画+90万+70万+30万+30万+25万(計245万)NANANANANA油種Arab Medium /Arab HeavyArab HeavyArab Extra Light (AXL)Arab Light(AL)Arab Extra Light (AXL)油田名能力増強分(b/d)完成時期Manifa沖合Wafra(分割地帯)+90万+30万?2011NA油種Arab Heavy-1314tェーズ2:油田別内訳を公表(cid:122)Zuluf油田、Berri油田は成熟油田であり、大幅な能力増強Zuluf:1965年に発見され1973年より生産開始。は技術的に困難との見方あり。??Berri:1967年より生産開始。回収率85%超との見方も。? サウジアラムコは減退率の抑制(2%程度)が鍵と見ている。(cid:122)Khurais油田もフェーズ1での120万b/d生産に加えての30万b/d増強であり、難易度は高い。(cid:122) 一方、Safaniyah油田(世界最大の沖合油田)は現状生産量は能力(120万b/d)を大きく下回っており、増産は比較的容易とみられる。(cid:122)Shaybah油田は生産開始から10年しかたっておらず、十分な残存埋蔵量(Aramco関係者「180億bbl」)があることから、更なる能力増強(+25万b/d)の実現性は高い。15サウジ石油開発巡るその他の動向(cid:122)重質油開発?フェーズ2は、先行して進められているManifa沖合油田開発も含め、重質油主体(フェーズ1は中軽質油)。世界的な重質油処理能力不足への対応が課題となるが、サウサウジアラムコは2010年頃を目処にジュベール(Totalと共同)とヤンブー(ConocoPhillipsと共同)に重質油処理可能な大型製油所(能力40万b/d規模)を建設する予定。沖合重質油田の開発で実績豊富なPetrobrasと協力協定を締結(2007年)。??16Tウジ石油開発巡るその他の動向(cid:122)外資導入の可能性?フェーズ2に関しても、外資導入を示唆するような発言はなく、引き続きサウジアラムコによる独自開発を行う姿勢は変わらない見込み。ただし、分割地帯陸上Wafra油田で行われているChevronとの水蒸気圧入法による重質油回収共同テストの結果が良好であれば、他の重質油田へのChevron参入の可能性も想定される。?Chevronとの分割地帯陸域の利権契約(2009年までの60年契約)の延長をサウジが閣議決定(7/14)17サウジ石油開発巡るその他の動向(cid:122)生産コストの上昇(コンサルタント情報)?最近の井戸元コスト4ドル/bbl?最近の輸出出荷コスト6ドル/bbl(1997年 95セント/bbl)(1993年2.5ドル/bbl)⇒サウジといえども「イージーオイル」(コスト面での)の時代は過去のものに?(cid:122)サウジの原油供給能力の将来見通しを巡り、SaudiAramcoの二人の有力OBが異なる見方?Sadadal-Husseini氏(元副社長):悲観論、慎重論?NansenSaleri氏(元油層管理部門長):楽観論18ワとめ(cid:122)サウジは持続可能な原油生産能力を1,500万b/dに増強する計画を明らかにし、原油価格安定化への寄与姿勢を強調。(cid:122)ただし、1,500万b/d増強には一切のコミットも行っていない。中長期の確たる需要見通しがない限り実施しない方針。(cid:122)唯一最大の余剰生産能力を維持する産油国サウジに対する消費国の期待はますます増大。しかし、今後の能力増強は、サウジといえども、コスト上昇、重質油田の増加等、様々な課題の克服が必要となる。19 |