ページ番号1007260 更新日 平成30年3月5日

パナマ運河拡張とニカラグア大運河計画

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レポートID 1007260
作成日 2014-09-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 セミナー・報告会資料
分野 天然ガス・LNG基礎情報
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2014
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ パナマ運河拡張とニカラグア大運河計画8月15日パナマ運河開通100周年パナマ運河拡張2015年末完工予定(通航期間短縮、輸送費圧縮)ニカラグア大運河やスエズ運河増設との競合2014年9月18日 調査部 伊原 賢米国から日本へのLNG輸出計画(2014年8月)パナマ運河の拡張により大型船の通航が可能となった際には、LNGのみならず米国メキシコ湾や中南米からの原油や石油製品の流入も期待され、アジアのエネルギー市場にも大きな変化の可能性12pナマ運河:通航路 ①パナマ地峡を掘削し大西洋と太平洋を結ぶ77kmの運河。通航には10時間(日中)、待ち時間を含めると24時間。2本の通航路からなり、大西洋側からガトゥン、ペドロ・ミゲル、ミラフローレスという3つの閘門(こうもん、ロック)。閘門とは、入口と出口にゲートが設けられた長さ304.8m、幅33.53mの大型のプール。ガトゥン湖はカリブ海に注ぐチャグレス川をせき止めて造られた世界最大級の人工湖。3出所:パナマ運河庁パナマ運河:通航路 ②現在通航できる最大の船の大きさは「パナマックス」サイズ(幅32m、全長294 m、喫水12m)と呼ばれ、航行する船舶の国際基準の一つ。運河の利用国として日本は、米国、中国、チリに続く第4位である(米国1億4357万ロング(英)トン、中国5272万ロングトン、チリ2805万ロングトン、日本2238万ロングトン【1ロングトン=1.016メトリックトン】発地と着地でカウントした量なので合計は実際の通航貨物量の2倍:2013年パナマ運河庁調べ)。重量ベースで世界の海上輸送貨物の4%がパナマ運河を経由。累計の通航船舶数は2010年9月に100万隻(約90億ロングトン)を突破。パナマ運河を通る海路は144、発着地は160ヶ国、1700港に上る。通航関連業務に約1万人が従事。4pナマ運河:通航量 ①2013年度(2012年10月1日~2013年9月30日)の船舶通航量は、船舶純トンベース(船舶の全容積から貨物・旅客の積載に利用できない部分の容積を減じた値、1トン=100立方フィート)で3億2060万PC/UMS (The Panama Canal / Universal Measurement System)トン。運河の持続可能な最大通航量は3億4000万PC/UMSトンであり、現状フル稼働。年間通航船舶数は1万3660隻と前年比6.08%の減少。「パナマックス」サイズの船は7035隻と2012年度の7241隻から2.8%減少し、外洋船の58.4%。5パナマ運河:通航量 ②通航料収入は18億4970万ドル、通航支援サービス等を含む海事事業収入は24億1130万ドル。パナマ国庫への歳入は9億8180万ドル。パナマ経済はパナマ運河通航に係る輸出額(コロン・フリーゾーン、いわゆる免税地帯からの再輸出を含む)に相関しており、過去10年間の輸出額の伸びが年10.8%に対して、経済成長率は年9.2%。輸出額は2012年度ベースで277.9億ドルとパナマのGDP(362.5億ドル)の77%に相当。6pナマ運河:通航量 ③船種別ではコンテナ船、ドライバルク船(撒積船)、タンカーの順。1日に通航可能な船舶数は40隻程度であることから、多くが太平洋側、大西洋側で1日以上の待機を余儀なくされる(運河拡張後は55隻程度に拡大予定)。顧客満足度は98.7%で、2012年度は96%。7パナマ運河:通航量 ④運河を経由する航路は、アジア~米国東岸を結ぶ航路が、通航船舶トン数、輸送トン数ともに第1位で39%のシェア。また、太平洋向け(西回り)の70%強、大西洋向け(東回り)の60%が利用。但し、同じアジア地域でもパナマ運河の利用によって航路を短縮し、航海日数、消費燃料を削減できる国は限られる(日本、中国、オーストラリア)。シンガポールやインドでは、パナマ運河はむしろ遠回りになる。パナマ運河ルートのスエズ運河ルートとの境界は香港あたりと推定。8pナマ運河:拡張工事 ①パナマ運河は通航量の増大と船舶の大型化という2つの課題に直面。2013年度の通航量は、運河の処理能力の許容上限3億4000万PC/UMSトンに近い水準で、更なる通航需要の増加に対応できない状況。通航量の35.9%を占めるコンテナ船を見ると、最大4500TEUの「パナマックス」サイズを超える積載能力1万TEU以上のオーバー・パナマックスと呼ばれる大型船が多数建造。国際海上輸送におけるパナマ運河の相対的地位の低下を危惧したパナマ政府は、2006年10月に国民投票による賛成を受け、2007年9月に運河の拡張工事に着手。パナマ運河:拡張工事 ②9総事業費52億5000万ドル①太平洋側と大西洋側に新閘門建設、②既存水路と新閘門のアクセス水路新設、③消費水量の調節水槽、④ガトゥン湖の水位引き上げ、⑤水路拡幅と水深増大ほか。出所:パナマ運河庁10pナマ運河:拡張工事 ③運河の太平洋側出口に近いパナマ市ミラフローレス地区は、大型クレーンが立ち並び、ブルドーザーやフォークリフトなどの重機が行き交う運河の拡張工事の現場出所:パナマ運河庁11パナマ運河:拡張工事 ④拡張工事が2015年末に完工すると、6.2kmの北水路により新閘門は、ミラフローレス湖を回避してゲイラード水路に連絡。1.8kmの南水路は新閘門と太平洋側の既存の運河入口をつなぐ。建設中の新しい閘門予想図(左)と現状のミラフローレス閘門(右手奥)出所:パナマ運河庁12pナマ運河:拡張工事 ⑤幅49m(現在32 m)、全長366m(現在294m)、喫水15m(現在12m)の「ポスト・パナマックス」サイズ。LNG船(標準船、船幅最大49?m)やLPG船(VLGC)が通航可。喜望峰ルート(45日)から20日間短縮。13出所:パナマ運河庁拡張後のパナマ運河の通航量見込みパナマ運河庁の計画では、2025年の運河通航量は現在の1.5倍となる5億1000万PC/UMSトンに、通航料収入は現在の3倍のレベルとなる61億ドルに増加することを見込む。前提として、毎年平均3.5%の割合で通航料の値上げを行うとしているが、これは20年間で通航料金が約2倍になる計算。計画通りに値上げが実施された場合には相対的にパナマ運河のコスト競争力が下がってスエズ運河経由での海上輸送が促進される可能性あり。14jカラグアの大運河計画 ①2019年の完成を目指し、全長約280kmの新運河の建設を中国系企業(香港ニカラグア運河開発投資公司HK Nicaragua Canal Development Investment Co Ltd:HKND-Group)に発注。完成すれば、パナマ運河のライバル。2014年7月7日、ニカラグア国会は、運河ルート(①Punta Gorda川のカリブ海側Bluefields湾の河口と、②Brito川の太平洋側河口を、中米最大の淡水湖Lake Nicaraguaを挟んで結ぶ)を可決・承認。15ニカラグアの大運河計画 ②2013年6月13日、HKND-Groupは、ニカラグア政府より、①設計、②開発、③エンジニアリング、④ファイナンス、⑤建設、⑥所有、⑦操業、⑧メンテナンス、⑨管理に関する50年間リース(期間更新可能)の利権を付与。HKND-GroupのCEOは、携帯電話等の情報通信企業Xinwei Telecom Enterprise Groupを経営する弁護士の富豪Wang(王)Jing氏(41歳)。HKND-Groupがニカラグア運河計画への参画を表明した直後、Xinweiがニカラグアにおける情報通信のフルサービス事業に関する利権を獲得。16jカラグアの大運河計画 ③サントス・コロンビア大統領は、ニカラグア運河計画を大言壮語と評する。シンクタンク米州協議会(COA)のEric Farnsworth副社長は、中米には既にパナマ運河が操業しており、建設費用は膨大な額に上り、プロジェクトの完成は全く保証されない、と極めて懐疑的な見方。去る5月15日に米州開発銀行アジア事務所が日本記者クラブで開催したセミナー「中米地峡地帯に第二の運河を-ニカラグアの挑戦-」に参加。通行船舶のサイズが大きく、夢をいだかせる計画だが、プロジェクトの完成に必要な情報に不明点が多いとの印象。17スエズ運河の増設エジプト政府は今年8月5日、スエズ運河の拡張を発表。既存の運河と並行して新たな運河を40億ドルかけて建設し通航可能な船舶数を増やす計画。スエズ運河は現在でも船幅77m、喫水19mまでの船舶の受け入れが可能。アジア-米国東岸間航路のスエズ運河とパナマ運河の将来のコスト比較では、新パナマックス型船(13000TEU)とスエズマックス型船(14000~15000TEU)について比較するのが適切。船舶最大許容サイズの差とスエズ運河拡張により、スエズ運河の経済性が向上する可能性がある。18Aジア石油市場への影響国際エネルギー機関IEAによると、アジア・太平洋域の石油需要は2013年以降2018年にかけて340万バレル/日の増加が見込まれている。我が国の石油産業は、国内需要の減少が続くなか、このアジア・太平洋域の石油需要の伸びを自らの成長戦略に取り入れていく必要があろう。但し、域内では需要の増加を上回る精製処理能力の増強が進められており、精製能力が余剰に向かうことから、輸出環境に厳しい状況は続くだろう。例えば、最も競合する韓国の製油所は15万DWTのタンカーでの出荷が可能な桟橋を有し、製品輸出の柔軟性が高い。一方、我が国の製油所の桟橋には、5万~10万DWTのタンカーまでに出荷制限がかかる。米国からは、シェール革命による精製コストの低減を背景に、パナマ運河拡張後は米国からの大型タンカーによるアジア石油製品市場への参入も予想される。19
地域1 中南米
国1 パナマ
地域2
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国・地域 中南米,パナマ
2014/09/19 伊原 賢
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