ページ番号1007359 更新日 平成30年2月16日

8年ぶりの減産合意に踏み切ったOPEC

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レポートID 1007359
作成日 2016-12-26 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 セミナー・報告会資料
分野 エネルギー一般市場
著者 増野 伊登
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年度 2016
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 8年ぶりの減産合意に踏み切ったOPEC2016年12月22日調査部増野 伊登1{日お話しすること?減産合意の背景?OPECにおける石油政策の変遷?増大するロシアの影響力?OPEC加盟国の財政状況?減産合意は本当に遵守されるのか?OPEC加盟各国の事情?サウジアラビアとイランを中心に?今後注目すべき点2PECにおける石油政策の変遷価格防衛とシェア防衛のバランス取り?1980年代の高価格戦略は失敗→価格の決定役は市場に?サウジアラビア:1980年1,000万b/d→1985年250万b/d?石油市場におけるOPEC占有率:50%→29%?非OPEC生産(北海など)の増加?市場シェアの維持・拡大を優先(2014年11月~)?2014年夏以降の油価急落、世界需要の減速?OPECは過去最高水準の生産?しかし米国シェールの耐久性や生産効率は向上、油価は50ドル/bbl程度で推移?OPEC減産合意(2016年11月30日)、OPEC・非OPEC減産合意(2016年12月10日)?目指すは60ドル/bbl付近か?3Tウジアラビアのトラウマ1980年代、サウジは価格防衛のため減産。他OPEC加盟国の分まで減産する羽目に。一度手放した輸出シェアは、減産放棄後もなかなか回復できず。BP統計を基に作成420152013201120092007200520032001199919971995199319911989198719851983198119791977197519731971196919671965サウジアラビアの原油生産量日量万バレル*NGL、コンデンセートを含む第1次石油危機OPECによる生産量調整イラクのクウェート侵攻湾岸戦争イラン・イラク戦争1400120010008006004002000Tウジアラビアのトラウマ(続き)減産しても油価上昇につながらず・・・ドル/バレル原油価格の推移(1976~2015年)OPECによる高価格戦略の失敗120100806040200BrentWTIDubaiBP統計を基に作成5ト国の原油生産量とシェールブーム米国の原油生産量は7年で日量440万バレル増加2008年:日量500万バレル2015年:日量943万バレル日量万バレル1,000米国の原油生産量(1985~2016年)9008007006005004003008586878889909192939495969798990001020304050607080910111213141516IEA統計を基に作成6PECの増産、市場シェアを優先日量万バレルOPECの原油生産量3,4003,3003,2003,1003,0002,9002,8009152005195152006 200792016年11月:3,397万b/d2008年6月:3,329万b/d5519152008 2009 2010 2011 20125919159199152013915201415201599152016IEA統計を基に作成7カ産量(左軸)前月比増加量(右軸)EIA統計を基に作成12月及び1月は見込み8前月比増加量20151050(5)(10)(15)(20)日量万バレル米国主要7鉱床の生産実績と見通し560540520500480460440420400生産量夏以降減産のペースが緩やかになった米国シェール456782132014年910111213242015年567891011121232016年45678910111212017年搗蛯キるロシアの影響力OPEC・非OPEC間合意から見るロシアの思惑?膨らむ財政赤字→財政収支の均衡には油価の上昇が必要?急激な減産は技術的に困難だが、RosneftとLukoilの生産量は減少傾向。北極海での定期検査や投資の手控え等で対応可能な範囲か?国際秩序の構築における主体的役割の確保?シリアやリビアへの積極的な介入、イラン・トルコとの関係強化?米の対ロ姿勢と対中東政策の行方次第では、更なる追い風にロシアの財政収支推移(2011~2017年,億ドル)4,0003,0002,0001,0000歳入(石油ガス収入)歳入(非石油ガス収入)歳出201120122013201420152016(予算)2016(補正予算)2017(予算)JCIF他に基づき作成(一部推定)16年補正予算の想定油価は40ドル/バレル943%44%PEC加盟国の財政問題?主要産油国は政府財政に占める石油収入の比率が高いため、油価の下落で財政収支は軒並み悪化。?シリアやイエメンでの戦費増大が財政を更に圧迫。サウジアラビアの財政収支推移(2011~2016年,億ドル)4,0003,0002,0001,0000歳入(石油ガス収入)歳入(非石油ガス収入)歳出73%201120122013201420152016(予算)JCIF他に基づき作成16年予算の想定油価は40ドル/バレル前後とされる10{当に合意は遵守されるのか?ロシア:政府には各石油会社に減産を命じる権限なし?2008年、セーチン副首相(当時)は30万b/dの減産を約束?結果は7万b/dの減産に止まる日量万バレルロシアの原油生産量1,1501,1001,0501,00095090014710147101471014710147101471014710147101471014710147101471020052007 2010200820092011201220132006201420152016IEA統計を基に作成11{当に合意は遵守されるのか?(続き)OPEC:そもそもこれまでの遵守率は高くない日量万バレルOPECの原油生産量3,4003,2003,0002,8002,6002,4002,2002,000実績国別生産枠(~2011年)、生産上限(2012年~)1959512000 20015912002 5912003 5912004 59120055195912006 200759195912008 2009 2010 2011 2012159159159512013591201459120159512016*イラクを除いた生産量。更に2006年11月~2007年12月はアンゴラとエクアドルも除く。OPEC統計とIEA統計を基に作成OPECが合意の遵守にどこまで真剣に取り組むかが注目点12PEC内の力関係、各国の事情?OPEC加盟国間の利益は必ずしも一致しない?最大公約数は出せても、加盟国間で温度差・優先順位の違い石油市場の安定(持続可能な開発・生産のための適切な油価の実現)?情勢の変化一つで事情が変わることは十分あり得る?OPECには二大勢力あり、加盟国間の発言力にも大きな差?サウジアラビア、UAE、クウェート?イラン、イラク?その他(ベネズエラなど)?合意の背景にある国別の事情、合意によって各国が何を得たか、それが今後どう変化していく可能性があるかが重要13Tウジアラビア 合意の背景と意義?軍事費増で拍車がかかる財政への圧迫?シリア、イエメンでの劣勢色は色濃くなってきた・・・?イエメンでの誤爆認める異例の謝罪(10月)?「ビジョン2030」に基づく新体制作りはまだスタートしたばかり(2016年4月発表)?サウジアラビアにとってのOPECの存在意義?石油取引市場への波及力?より広範囲で影響力を行使できる場→次頁?サウジ・アラムコの新規株式公開(IPO)14ホイラン勢力圏の構築サウジアラビアにとって重要なのは、イランに対抗できる勢力圏を形成すること?OPECはサウジが指導力を発揮することのできる格好の舞台→?OPECのとりまとめ役としての役割を果たし、一定の影響力を行使できることを世界に知らしめるサウジ周辺のOPEC加盟国2016年1月以降のイランと周辺諸国の外交関係出典:各種資料よりJOGMEC作成15Tウジアラビア 減産の影響?減産はサウジにとって大きな影響があるか?合意を見越した急ピッチの増産?、季節需要?もし100万b/d減産したとしても、市場シェア重視戦略にシフトした2014年末時点の生産量と同レベル日量万バレルサウジアラビアの原油生産量1100105010009509008508005312011 791113201257911132013579111320145791113201557911132016 57911IEA統計を基に作成16Tウジ石油産業の多様化?石油製品の生産量は2011~2015年の間に50万b/d以上増加→国内需要が優先だが、輸出量も今後拡大する見込み?「ビジョン2030」では国内製油所の原油処理能力を現在の290万b/dから330万b/dへ増加させる目標サウジアラビアの石油製品生産量と輸出量日量万バレル300250200150100500その他残渣油中間留分灯油ガソリン輸出量20112012201320142015OPEC統計を基に作成17Cラン 合意の背景と意義?イランのロジック:?「不当な制裁」→「増産は権利」?合意への参加は妥協か?実は特別待遇を受けたイラン?イランとサウジアラビア双方が面子を保てる仕掛け(次頁)?イラン・メディアは「イランの勝利」として報道?サウジアラビアが妥協した背景イラン封じ込めは長期的な課題→しかし現時点ではOPEC形骸化の食い止めを優先か出所:OPECのプレスリリース(2016年11月30日)18チ別待遇を受けたイランA基準原油生産量1091755520―398?(371)456284――651,0543012073,097アルジェリアアンゴラエクアドルガボンインドネシアイランイラククウェートリビアナイジェリアカタールサウジアラビアUAEベネズエラOPEC計2016年10月の生産量自己申告二次情報源B単位:日量万バレル2017年1月以降の原油生産水準増減量(A-B)増減率(%)117.1150.754.2NA73.6398477.6300NA13963.91062.5318.8231.6(3,387)109.1156.754.420.475370.9456.2283.852.8162.9651055.9301.5207.23,371.91041675219―380435271――621,0062871972,980―5―8―3―1―9―21―13―――3―49―14―10-117―4.6―4.5―4.7―4.5資格停止2.4―4.6―4.6減産免除減産免除―4.6―4.6―4.6―4.6―3.8190マイケル・フリン中将(陸軍)「Islamismは、Nazism、Fascism、Imperialismに並ぶ新たな-ism。17億人の体に巣食う癌のような存在」出所:Twitterジェイムズ・マティス大将(海兵隊)「イランは中東の安定と平和において、唯一の、そして最も永続的な脅威だ」出所:米国海兵隊公式HPマイク・ポンピオ下院議員(共和党)「世界最大のテロ支援国(イラン)との破滅的な合意を撤回するのが待ち遠しい」レックス・ティラーソンExxonMobilCEO「巨大な資源保有国なので、ExxonMobilとしてはもちろん投資の可能性に注意を向けている」(2016年3月時点)出所:ExxonMobil公式HP出所:Twitter・・・国家安全保障問題担当補佐官国防長官CIA長官国務長官・・・米国の対イラン政策の行方?次期米政権の出方が最大のポイント?トランプ・チームで多数を占める対イラン・タカ派?ロシア浮上、イランは?汪凬gランプ米政権 注目点?イランとの核合意(JCPOA)破棄の可能性「米国企業にとって利益にならない」との考え方?? 但し破棄せずともイランの影響力拡大を阻止する手立てはある?イランの体制転換キャンペーンを推進か?イスラエルとの関係? 最悪から改善の方向へ? 駐イスラエル大使に親イスラエルのDavidFriedman弁護士を任命? 大使館をエルサレムに移転するという発言も?外交の切り札としての「経済制裁」への考え方は変わる可能性? 安全保障とビジネスのバランス取り? 経済制裁は米国企業にとって事業展開の障害ともなり得る?イデオロギー政治から現実主義への転換か? 手の内が読めるような「公正さ」を排し、交渉を前提とした外交に?21サの他OPEC加盟国イラク 約18年ぶりの国別生産枠適用?イランの動き 油価の回復に対する期待?出荷能力の限界 どちらにせよ急ピッチの増産は困難?減産に応じたのと同時期にIMFが53.4億ドルの融資にゴーサインベネズエラ?チャべス前政権以降の経済失策のつけ⇒経済状況逼迫?原油生産量、2016年1月から10月は約10%と大きく減少?サービス会社の事業縮小や希釈剤不足からさらに減少する懸念も?生産量が減少し、結果的に、生産制限を守ることになるとの見方も減産免除あるいは特別待遇を受けた国?減産免除されたリビアとナイジェリア?特別待遇を受けたもう一つの国アンゴラ22。後注目すべき点?サウジアラビア以外のOPEC加盟国及び非OPEC産油国が合意を遵守せず、思うように油価が上がらない場合などは、サウジの増産という1980年代と同じ顛末を辿る可能性?2016年初のようなサウジアラビアとイランの衝突が起これば、OPECの減産合意が機能不全に陥る可能性?減産免除されたリビアとナイジェリア 今後の増産ポテンシャル?米国の動向?未だ不透明性が残る対中東・対イラン政策の行方2017年1月20日のトランプ政権発足を前に合意にこぎつけたOPECと非OPEC産油国23
地域1 グローバル
国1
地域2 中東
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル中東
2016/12/26 増野 伊登
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