ページ番号1000299 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- windfall profit
- 分野
- その他
第一次、第二次石油危機を通して国際石油価格は大幅に高騰し、その結果産油国政府の収入が大幅に増加したのは当然だが、そのうえに、原油の生産を行う石油会社の利益も大幅に増加した。こうして増加した石油会社の利益は石油会社自身の営業努力によるものではないという意味で、ウィンドフォール・プロフィット(たなぼた利益)と呼ばれるようになった。原油価格の大幅な上昇に伴い、産油国が税率や利権料を大幅に引き上げて、石油会社の過剰利益を吸収した例は多いが、ウィンドフォール・プロフィットが最も明確に問題として認識されたのはウィンドフォール・プロフィット税を生み出した米国においてである。米国では国際原油価格高騰に対して、当初は国産原油価格の規制による抑制で対処したが、これは国産原油増産促進に反するので、やがて石油価格規制の緩和、解除が検討された。しかしその際石油会社の利益の急激な増大が問題となり、石油価格規制の緩和はウィンドフォール・プロフィット税(超過利潤税)の新設と抱き合わせとされ、1980 年 4 月にウィンドフォール・プロフィット税(超過利潤税)が成立した。これは基本的には、区分原油ごとに基礎価格を設定し、これと市場価格との差に一定税率を課す仕組みになっている。国産原油は非課税原油と課税対象原油に二分されている。課税対象原油はティア 1、2 および 3 の 3 種類に分類されている。ティア 1 原油は、ティア 2 原油およびティア 3 原油として規定されるもの以外の課税対象原油とされているが、従来の価格規制で定義されていたオールド・オイルとニュー・オイルがこのカテゴリーに含まれる。基礎価格は、1 バーレルあたり 12.81 ドルで、課税率は 70 %とされている。ただし中小産油業者の場合、その生産の 1,000b/d 以下の部分については、課税率は 50 %に低められている。ティア 2 原油は、零細井原油および海軍鉱区から生産された原油の 2 種類である。基礎価格は 1 バーレルあたり 15.20 ドルで、課税率は 60 %である。ティア 3 原油は、新規発見原油(1978 年以降発見)、二・三次回収原油、重質原油の 3 種類である。基礎価格は 16.55 ドルで、課税率は 30 %である。なお 1984 年の税収予想は 2,277 億ドルで、その使途については、60 %(1,366 億ドル)が所得税の減税分、25 %(570 億ドル)が低所得層への補助、そして 15 %(341 億ドル)がエネルギー投資および大量輸送システムへの補助となっている。