ページ番号1000354 更新日 平成30年2月16日

塩分検層えんぶんけんそう
英語表記
Chlorine Logging / salinity logging
分野
その他

放射能検層の一種であり、地層中の塩素の存在と量を決定することと、地層水の塩分と地層の孔隙率が既知である場合に水飽和率を決定するために使用される検層である。
中性子(neutron)が地層を構成する原子と反応する場合、元素によって異なった反応を起こす。塩素は熱中性子捕獲の大きな反応断面積(以下の表を参照)を持っており、またこれより放出されるガンマ線は高いエネルギーを持っている。一方、シンチレーション検出器は入射してくるガンマ線のエネルギー準位によってその反応の強弱が異なるので、波高弁別器(pulse-height discriminator)によりエネルギーの高いガンマ線を弁別して測定することができる。塩分検層はこのような性質を利用して中性子検層とは異なる反応曲線を記録する。普通の中性子検層で記録する地層の水素原子に関する反応曲線と、塩素反応曲線を同時に測定し、この二つの反応曲線の比較によって塩分層を判定するのである。測定する坑井において最も塩分含有度の少ない地層で水素曲線と塩素曲線が一致するようにキャリブレーション(calibration:感度調整)を行なっておくと、真水層や油層では塩素含有量が少ないために両曲線は一致するが、塩水層になるとこの両曲線の間に開きが生じるので、これにより塩水層を識別することができる。塩分検層はケーシング挿入井でも測定ができるので、改修井でも利用できる。本検層はサーマル・ディケイ・タイム検層に取って代わられている。
表にいろいろな元素の熱中性子(thermal neutron)捕獲の反応断面積を示す。

表:種々な元素の中性子捕獲断面積

元素中性子捕獲断面積
(バーン、Barn (10-24 cm2/nucleus))
水素0.30
炭素0.0047
酸素0.0012
珪素0.13
アルミニウム0.22
硫黄0.49
塩素32.4
カルシウム0.42
マグネシウム0.06















出所:Schlumberger Log Interpretation Principles
(齋藤 克栄、2008 年 2月)