ページ番号1000363 更新日 平成30年2月16日

オイル・ダラーおいる だらー
英語表記
oil dollar
分野
その他

中東産油国が原油を輸出して稼ぐ外貨(ドル)または産油国に蓄積される外貨の総額を指す。
原油購入の支払いは通常ドルによるのでこのような名称が生まれた。ヨーロッパでは、ペトロ・ダラーともいう。2 度にわたる原油価格の大幅な上昇により、消費国から産油国に流入するオイル・ダラーは巨額に上るものとなった。オイル・ダラーの総額については、銀行や国際機関などによるいろいろな推計があるが、第二次石油危機までの段階で累積経常収支黒字は OPEC 全体で約 1,800 億ドルに達しており、第二次石油危機によって毎年 600 億~ 1,000 億ずつ増えるという状況になったが、その後のオイル・グラットによりこの額は急速に縮小しつつある。産油国のなかには、イランのように人口規模も大きく、ある程度工業化の基盤もできていて外貨を国内で吸収できる経済構造をもつハイ・アブソーバー国と、逆にサウジアラビアやクウェートのように、産油収入に対して人口が少なく、工業化推進のための条件が不十分なロー・アブソーバー国があるが、特にロー・アブソーバー国の場合、国内に投資先を持たない資金が国外に流出し、欧州金融市場などに大量に流入することとなった。この資金は、額が大きいと同時に、金融環境の変化に対応して有利な投資先を求めて素早く移動するという特質を持つため、国際通貨情勢に対する大きな撹乱{かくらん}要因となる可能性を持っている。オイル・ダラーの蓄積額は一時期、一方的に増加し続けると考えられ、国際通貨体制をも揺るがす問題として重要視されたが、最近はオイル・グラットの定着と原油価格の低迷により、量的にも質的にも一時ほど問題ではなくなりつつある。