ページ番号1000370 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- oil shale
- 分野
- その他
ケロジェンを多量に含むち密な堆積岩{たいせきがん}の総称。未熟成なケロジェンが主体となって頁岩中に集積したもので、回収には熱により油を蒸気にして流動させねばならない。
わが国および中国では油母頁岩{ゆぼけつがん}または油頁岩{ゆけつがん}ともいう。乾留によって液状またはガス状の炭化水素を生じる。オイル・シェールという語は岩石学の用語であると同時に、油が採取できる資源の一種として用いられる。後者の場合、どの程度以上の油が採れるものを指すかについてはっきりした定義があるわけではないが、通常 10 ガロン(約 40 L)/トン以上の油を生ずるものを対象として論じられるようである。オイル・シェールはシェール層自体が資源であるので広い面積にわたって存在し、米国、ソ連、ブラジル、中国、モロッコ、オーストラリアなどの各地で大規模なオイル・シェール層の存在が知られており、その原始埋蔵量(10 ガロン/トン以上のもの)は採れる油の量で約 3 兆バーレル以上とされている。オイル・シェールをそのまま炉で燃料として燃やすことは、ソ連(エストニア)などで行われ、また乾留して出てくるガスを発電燃料としていることも報じられている。乾留してシェール・オイルを得ることは、19 世紀前半に石油産業の先駆としてフランス、英国で行われたが、やがて米国で石油が採掘されるようになって、行われなくなった。20 世紀になってから工業的にけつ岩油の生産が行われたのは、中国東北地方の撫順で、1930 年代から第二次大戦にかけて、当時の満鉄が独自に開発した乾留炉によるものがあり、これはその後現在まで中国によって継続されているが、これは石炭層のオーバーバーデンとして掘り起こされたオイル・シェールを利用したもので、最近のエネルギー産業の規模からすれば小型の炉で回収率も低い。1970 年代のオイル・ショック後、米国を中心に、ようやく本格的なオイル・シェール乾留技術の開発が再開されている。これまで、加熱方式や乾留にかけるけつ岩の破砕粒度の違うさまざまな方式が開発中であるが、いずれもまだ本格的な操業実績を確立するには至っていない。