ページ番号1000426 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- ocean energy
- 分野
- その他
海洋エネルギーは、太陽のふく射エネルギーおよび月の位置エネルギーの変換された一形態である。
海洋エネルギーは大別すると、(1) 運動エネルギー(波力、海流、潮流)、(2) 熱エネルギー(海水温度差)、(3) 位置エネルギー(潮汐{ちょうせき}の干満差)、(4) 化学エネルギー(海水濃度差)がある。海洋エネルギー利用として現在検討されているものは発電であり、その方式としては、(1) 波力発電、(2) 海流発電、(3) 温度差発電、(4) 潮せき発電の四つが考えられる。波力発電は、海岸線に打ち寄せる波浪を利用する。わが国の 13 万 km に及ぶ全海岸線における総波浪エネルギーは、年間 4.35×1019J(海上保安庁試算)であり、将来の有力なエネルギー源の一つといわれる。波力発電は、1910 年ころから米国などで実験が試みられたが、わが国では、海上保安庁によって研究開発に着手され、その後新技術開発事業団の手によって開発が続けられ、1965 年(昭和 40 年)ころから航路標式用の小容量電源として利用され、現在約 400 機が稼働している。大規模なものについては、海洋科学技術センターの波力発電船「海明」による実験段階にある。波力発電には固定式、浮遊式の 2 方式があるが、原理は波浪の上下動により生ずる空気ピストン室の空気流により空気タービンを回すものである。海流発電は、海流を利用してプロペラ方式などにより発電するもので、わが国では黒潮の利用が考えられ、年間を通じて安定した稼働が期待される。温度差発電は、海洋の表層と深層の海水の温度差を利用するものである。熱帯地方ではこの温度差は 20 ℃前後である。日本近海では、15 ~ 20 ℃の温度差が得られるところは限定される。原理は、低沸点媒体を作動流体として高温部で得た蒸気によりタービンを回して発電し、低温部で冷却して液化する。わが国では、1972 年(昭和 47 年)から佐賀大学で研究開発が開始され、通商産業省のサンシャイン計画でも採り上げられている。潮汐発電は、潮位差を利用するものであるが、わが国では潮位差の大きいところが少なく、立地が難しい。外国では、1967 年にフランス北部のランスで出力 240MW のプラントが建設され、現在でも稼働しているが、わが国では、潮位差 4.9m の有明海住之江地区で基礎研究が続けられている。