ページ番号1000451 更新日 平成30年2月16日

課税基準価格かぜいきじゅんかかく
英語表記
tax reference price
同義語
タックス・レファランス・プライス [ たっくす れふぁらんす ぷらいす ]
分野
その他

産油国が自国内の産油操業会社に対して利権料および所得税を課す際に、実際にその会社が実現した売上高によらず、原油または石油製品が、政府の決めた一定の価格で販売されたものとみなして、それに基づいて課税額を算定する場合に、このような価格を課税基準価格という。中東のペルシア湾岸産油諸国は 1950 ~ 54 年に石油利権保有会社と利益折半協定を締結したとき公示価格準拠の原則を確立した。リビアは、1961 年初出荷以来、実際販売価格に基づく利益折半方式を適用していたが、1965 年以降公示価格準拠に改められた。アルジェリアは独立前からのサハラ石油法(1958 年)によって実際販売価格に基づく利益折半方式を適用していたが、1965 年 7 月からは公示価格と独立精製業者向けの実勢価格との中間値を課税基準価格とした。フランス系石油会社はこれに抵抗したが、1971 年にはフランス系会社の 51 %強制接収が行われ、同年から公示価格準拠に移行した。ベネズエラは中東諸国に先駆け、1943 年以来利益折半方式を採用していたが、これは実際販売価格に基づいていた。しかし 1956 年のスエズ動乱による一時的な石油価格騰貴および石油価格低落以降、ベネズエラ政府と産油会社合意による課税基準価格が設定されたが、1970 年末には立法措置により、以後政府が一方的に設定することとなった。インドネシアは外国会社の石油操業を生産分与方式という独特の方式の下に認めており、石油操業会社に対し直接利権料や所得税が課されることはない。したがって課税基準価格は存在しないが、原油の販売価格は生産分与契約の権原保有者である国営石油会社 Pertamina による指し値方式が実行されている。非 OPEC 産油国の場合、例えばノルウェー、英国の場合、その公式販売価格が、課税基準価格として採用されていた。英国の場合 BNOC(英国石油公社、現在消滅)が四半期ごとに見直した公式販売価格が、北海原油の BNOC による購入価格であり、売り戻し価格であったが、同時に課税基準価格でもあった。ただし、1984 年 7 月以降の原油価格軟化のなかでこの体制に動揺が生じ、1985 年 12 月 1 日に BNOC は解体され、したがって公式販売価格は事実上消滅した。他方ノルウェーの場合、国際石油市場を反映した「ノルム・プライス」がノルウェー石油省によって設定され、それが課税基準価格でもある。現在でも、この制度は維持されている。