ページ番号1000466 更新日 平成30年2月16日
為替リスクかわせりすく
- 英語表記
- foreign exchange risk
- 分野
- その他
貿易に従事するものにとって、多かれ少なかれ為替リスクが発生するが、わが国の石油精製・販売会社の場合特に問題となるのは、次の理由による。
(1) 原油輸入は原則としてすべてドル建てであり、かつ巨額で、わが国の輸入総金額の 1/3 程度に達すること。
(2) わが国の石油会社の場合、輸入為替のみの片為替の状況にあること。
(3) 製品原価の 85 %程度を原油代が占めていること。
石油会社の直面する為替リスクには二つの局面がある。一つはユーザンス差損益である。これは、ドル建ての原油を購入して日本へ輸送し、陸揚げ後精製処理を行って製品化し、これを販売して代金を回収するという過程の間に、石油会社がドル決済資金を借り入れることにより発生する。すなわち、ドル建て原油の購入時点での為替相場と、ドル資金返済時点での為替相場との差によるものである。理論的には、ユーザンス差損益は原油購入時点での為替予約や、ユーザンスの円建て化などによってある程度回避が可能といえる。為替リスクのもう一つの局面、すなわち、製品原価の大半を占める原油代が為替変動によって変動するという問題は依然として残る。基本的には、ドル建て原油代の変動などとともに、為替相場の変動に伴う製品原価の変化は、製品価格に適正に反映させるべく、抜本的な為替リスク対策が求められている。