ページ番号1000514 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- Ghawar oilfield
- 分野
- 油・ガス田
サウジアラビア東部、首都リヤドの東方約 200km 、アラビア湾(ペルシャ湾)岸から約 80km 内陸の砂漠に位置する世界最大の油田。
アラムコ社(サウジアラムコの前身)により 1948 年に発見され、1951 年に生産が開始された。生産された油は、北隣のアブカイク油田の集油基地に送られて処理され、「アラビアン・ライト原油」としてラスタヌラ港から出荷される。
地質区としてはアラビア卓状地に属し、集油形態は基盤岩の地塁上に形成された背斜構造。南北長 255km に及ぶ長大で緩やかな傾斜の背斜構造は、断層や沈降部によりブロック化されており、北からファズラン、アインダール、シェドグム、ウトマニヤ、ハウイヤ、ハラドの 6 地区に分かれる。全体の集油面積は約 2,000km2 。主油層はジュラ紀のアラブD層と名づけられた石灰岩で、深さは 2,000 ~ 2,500m 。究極可採埋蔵量は、油が約 1,200 億バレル、ガスが約 33 兆立方フィートと見積もられている。原油性状は、比重 32 ~ 36°API(地区により異なる)、イオウ分 1.7 %。油層の圧力維持のため、大規模な水圧入(水攻法)が行われている。近年原油に伴って生産される水の量比(ウォーターカット)が増加の傾向にあったが、 2003 年現在 33 %で安定していると報じられている。
本油田がこれまでに記録した最大の産油量(年平均)は 1981 年の約 570 万バレル/日である。従来、本油田は、戦略的に定められた目標生産量を余裕をもってクリアーしてきたが、生産能力が低下しつつあるとの見方がある(この点については様々な議論がある)。一方、油層より下位にある古生代二畳紀クフ層の石灰岩には膨大な量のガスが埋蔵されていることが知られており、本油田はガスの供給ソースとしての重要性も指摘されている。2003 年の産油量は 520 万バレル/日、同年末における累計生産量は約 550 億バレルと報じられている。
主文献『世界の大油田』(1984)、『石油地質・探鉱用語集』(1989)、石田聖(2004)、『石油の終焉』(2005)、AAPG Explorer(Jan. 2005)
(齊藤 隆、2006 年 3 月)