ページ番号1000643 更新日 平成30年2月16日

原子力発電げんしりょくはつでん
英語表記
nuclear power generation / atomic power generation
同義語
atomic power generation
分野
その他

原子力発電は、原子炉内でウラン 235 などの核分裂性物質に制御下で連続的に核分裂反応を行わせ、その際生じる反応熱を利用して発電するもので、熱エネルギーを電気に変える方法は火力発電と同じである。
ウラン 235 の原子核が分裂することによって発生するエネルギーは、同じ質量の炭素原子が酸化するときに発生するエネルギーの 250 万倍に達するので、少量のウラン 235(燃料)の装荷によって燃料の補給なしに長期間エネルギーを出し続ける。制御下で連鎖的にウラン 235 の核分裂を起こさせる原子炉の仕組みは、第二次世界大戦中に米国で原子爆弾用のプルトニウム製造のために考案され、戦後動力炉として米国を中心に開発されてきたが、その主な構成要素は以下のとおりである。(1) ウラン燃料棒、(2) 中性子を吸収し、連鎖反応を調節する制御棒、(3) 中性子を減速し、連鎖反応を起こりやすくする減速材、(4) 発生する熱を取り出す冷却材、(5) 以上の一式を格納する圧力容器。
現在実用されている原子炉には減速材や冷却材の種類および燃料の仕様などによって次のような種類がある。(1) 軽水炉:軽水(通常の水)が減速材と冷却材に兼用されており、燃料には濃縮ウランを用いる。軽水炉は現在世界の原子力発電の主力になっているが、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の 2 種類がある。沸騰水型は、原子炉の中で蒸気を発生させ、それを直接タービンに送る方式であり、加圧水型は原子炉で発生した高温・高圧の熱湯を蒸気発生器(熱交換器)に送り、そこで蒸気を作ってタービンに送る方式である。(2) 重水炉:減速材に重水(重水素と酸素とから成る水)を用いたもので、冷却材には重水または軽水を用いる。カナダで開発された Candu 炉は重水冷却方式である。わが国では、冷却材に軽水を用いた炉を新型転換炉(ATR)として原型炉「ふげん」を運転中である。(3) ガス炉:冷却材として加圧ガスを用いるもので、減速材には黒鉛が使われる。英国が世界にさきがけて動力炉として実用化したコールダーホール型炉は CO2 を用いた。冷却材として加圧ヘリウム・ガスを用い出口温度を高温にする高温ガス炉は新たに多目的炉として検討の対象となっている。
原子炉を用いた商業発電は 1956 年から始まり、以後年々増えて 1984 年央には米国をトップに世界中で 311 基、2.1 億 KW 、その発電量は総発電量の 10 %を超えるに至った。わが国では、日本原子力研究所による数年間にわたる研究用原子炉の経験を経て、1963 年に発電試験炉、1966 年に商用発電炉の運転が始まり、それ以来、各電力会社による原子力発電所の建設が進み、1985 年末には 31 基、23.6 百万 KW に達し、1984 年度の発電量は総発電量の 22.9 %に達した。このシェアは今後も引き続いて増えていく見通しである。原子力発電を成り立たせるためには、核燃料サイクルが確立される必要がある。すなわち、天然ウラン(非分裂性のウラン 238 が 99.3 %)中のウラン 235 を約 3 %にまで含有率を高める「濃縮」、原子炉で約 1 年間使った燃料中で発生したプルトニウム 239 を分離し、燃え残りのウラン 235 を再濃縮する「再処理」のサイクルであるが、わが国はまだこれらを外国に依存しており、国内でこれらを完結させることが一つの課題である。またこれに関連して、将来の原子炉として高速増殖炉(FBR)を実用化することが大きな課題である。高速増殖炉は、プルトニウムと濃縮ウランとの混合物を燃料として使用し、減速材を用いず、高速中性子を燃料に当て、そのなかのウラン 238 をプルトニウムに転換することにより、消費されるプルトニウムよりも多くのプルトニウムが炉内で生産される。このためこの種の原子炉が導入されると、核燃料資源の利用効率が著しく増大することになる。この炉心部は高温になるので冷却材には液体ナトリウムを使用するなど、高度の技術が要求される。さらに将来の夢のエネルギーとして核融合原子力発電が考えられ、米国、ソ連、西欧、わが国でそれぞれ研究に取り組んでいる。これは海水から濃縮採取される重水素・三重水素の原子核が融合するときに放出するばく大なエネルギーを利用するものであるが、この核融合反応を起こさせるためにはばく大なエネルギーが必要で、現在はまだ各国とも、その条件となるプラズマの高エネルギー密度状態を作り出す研究に大きな資金を投入している段階である。