ページ番号1000647 更新日 平成30年2月16日

原油げんゆ
英語表記
crude oil
分野
その他

油井から生産される天然のままの鉱油を原油という。
油層内では圧力、温度が高く、共存するメタンなどのガス状炭化水素が原油である液状炭化水素に溶け込んでいるので、「原油」としては、より具体的には油井の坑口から流出する流体をセパレーターに導き減圧して、天然ガスと水とを分離した後、油田元の貯蔵タンク内に大気圧・常温の条件下で静置されている状態での油というべきである。化学的には原油は沸点がそれぞれに異なる多種の液状炭化水素の連続的混合物を主成分とする、一般に黒褐色の粘稠{ねんちゅう}な液体であって、加熱・分留することにより、石油ガス、ナフサ、灯油、軽油、残査油、パラフィン、アスファルトなどのガス体、液体、固体の各種中間製品ないし石油製品に分かれる。なお原油には不純物として少量の硫黄、酸素、窒素、重金属類などの化合物が含まれている。原油の組成・品質は、厳密にはそれが産出される鉱床ごとに異なるというべきであるが、生成過程が共通と思われる一つの地域の同じ層準の地層中の鉱床から産出する原油の組成は極めて近似していることが多い。原油を商品として取り引きずる場合には、それぞれに一定の品質として明示される銘柄を付して、銘柄ごとに価格付けされて売り出される。1 銘柄の原油は、1 油田の原油であることもあり、または近在の品質の類似した幾つかの油田の原油をブレンドしたものであることもあり、また 1 油田の原油でも別の層準から別品質で別銘柄とした原油が出荷されることもある。多種多様の原油を明快に分類することは極めて困難で、学問的にも実用的にも便利で満足できる分類はないが、物理的性状による分類としては比重を基準とするものが最も一般的で、次のように特軽質原油から特重質原油までに区分されている。

  
特軽質原油~39.00
軽質原油38.99~34.00
中質原油33.99~30.00
重質原油29.99~26.00
特重質原油25.99~

化学的性状による分類としては、原油に含まれる硫黄分の多少によるものと、原油中の原油基によって分ける方法とがある。原油中に含まれる硫黄分の多い原油を HS 原油(高硫黄原油)、硫黄分の少ない原油を LS 原油(低硫黄原油)と総称している。原油基による分類方法は、原油中に存在する炭化水素の主成分により、パラフィン基原油、ナフテン基原油(アスファルト基原油)、中間基原油(混合基原油)、芳香族基原油(特殊原油)に分類するのが一般的である。その内容は次のとおりである。
(1) パラフィン基原油:蒸留に際して高沸点留分中に多量の固形パラフィンを含有するものであって、パラフィン系炭化水素に富むものをいう。ガソリンのオクタン価は比較的低く、軽油のセタン価は高い。また燃焼性の良い灯油が得られる。さらに潤滑油の粘度指数の安定性は良いが、蝋分{ろうぶん}が多く流動点が高い。ペンシルバニア原油(米国)、ミナス原油(インドネシア)、大慶原油(中国)、わが国では西山原油がこれに属する。
(2) ナフテン基原油(アスファルト基原油):蒸留に際して多量のアスファルトまたはピッチを残留するもので、ナフテン系炭化水素に富むものをいう。特にアスファルト分の多いものをアスファルト基原油という。ガソリンのオクタン価は比較的高く、軽油のセタン価は低く、潤滑油の粘度指数は低く、安定性は良くないが流動点は低く清浄性に優れている。カリフォルニア原油、テキサス原油(米国)、ベネズエラ原油、メキシコ原油、クラモノ原油(インドネシア)やわが国の新津、院内、頸城{くびき}原油などがこれに属する。
(3) 中間基原油(混合基原油):パラフィン系、ナフテン系炭化水素をほぼ等量ずつ含み、混合基原油ともいわれ、最も多く産出される原油である。灯油は良質であるが、ガソリンのオクタン価は必ずしも高くない。潤滑油、重油の製造に適している。中東原油(サウジアラビア、イラン、イラク、クウェートなど)、ミッドコンチネント原油(米国)やわが国の見附、八橋{やばせ}原油がこれに当たる。
(4) 芳香族基原油(特殊原油):パラフィン系、ナフテン系以外の炭化水素、すなわち芳香族炭化水素を比較的多量に含む原油で、特殊原油とも呼ばれ、これに属するものはごく少ない。この原油からはオクタン価の非常に高いガソリン、並びに溶解力の良い溶剤が得られる。しかし灯油は煙が出やすく、軽油のセタン価は低い。台湾原油がこれに当たる。"