ページ番号1000677 更新日 平成30年2月16日

鉱区放棄こうくほうき
英語表記
relinquishment / surrender
同義語
surrender 放棄義務 [ ほうきぎむ ]
分野
その他

石油・ガスの探鉱は、その権原を持つ政府または土地所有者と、それらから探鉱権を付与される鉱業権者との間で一定区域(鉱区)について排他的な権利を設定して行われるが、探鉱を行った結果、石油・ガス鉱床賦存の可能性が低いと判断するに至った地域を保持することは鉱業権者にとって意味がないし、権利保持にレンタル支払や探鉱投資などの義務が伴う場合はなおさらである。また権利を付与する側にとっては、鉱業権者が探鉱活動を行わずに権利だけ保持していることは無意味であり有害ですらある。ほかにその地区で探鉱を行う意志のある者があるかもしれないからである。「鉱区放棄」はほとんどの場合、後者の立場から、鉱業権付与に当たって鉱業権者に課する鉱区放棄義務とされている。
歴史的には、少数の国際石油会社が広大な地域を石油利権(コンセッション)地域として、生産物に対してロイヤルティを支払う以外はほとんど義務なしに半永久的に所有していた中東において、サウジアラビアが Aramco に対し、この地域の返還を「未開発鉱区の返還(relinquishment)」として迫り、1948 年の協定で初めてこれを実現したことが端緒となっている。この返還区域はその後新たなコンセッションとして独立系の石油会社に付与されたが、それ以来、このような鉱区返還原則は産油国の新規コンセッション協定や PS 契約などに必ず盛り込まれるようになった。
一般にその内容は、(1) 当初鉱区は一定期間後ごとにその一定割合の面積を放棄返還していき、最終的には開発対象とする油田地域のみを残す、または (2) 当初探鉱期間終了後、期間を延長して探鉱を継続するにあたっては、当初鉱区の一定割合を放棄する。開発鉱区として長期に保有できる面積は当初鉱区の一定割合以下とする、などの形をとる。鉱業法または石油法によって鉱業権を付与する国においても同様の規定を設ける例がある。例えば英国ではかつて当初期間(6 年)の経過後当初の鉱区の 1/2 を超えない面積についてさらに 40 年間のライセンスを与えていたが、後にこれを変更し、当初期間(4 年)[第 2 期間として 3 年間の延長が可能]のあとに当初の鉱区の一部(継続部分)についてさらに 30 年の第 3 期間を与えることとし、この場合ライセンスの取得者は、当初の鉱区に含まれていたセクション数の 2/3 を下回らない(それ以前に放棄した部分を含めて)面積を放棄しなければならないこととしている。鉱業権の権原が土地所有者にあり、探鉱開発者との間にリース契約という私契約の形をとる米国においては、鉱区放棄についてはリース契約の中の「ディレイ・レンタル条項」という形をとっている。同条項は、「リース権者(鉱業権者)が、坑井を掘削するか、その代わりに向こう 1 年間分のディレイ・レンタルを地主に支払うかしないかぎり(unless)、契約は終了する」と規定する。この条項は、リース権者に探鉱実施を強いるとともに、リース権者がリース対象地域の探鉱価値がなくなったと判断したときは、探鉱作業を行わず、かつディレイ・レンタルも支払わないことによって契約を終結せしめることができることとするものである。もっとも上記の書き方は広く採用されているアンレス型といわれるタイプで、これに対して、「リース権者は掘削するかまたはディレイ・レンタルを支払う」という書き方のオア型の契約の場合は別途、解約条項を設けるのが通常である。