ページ番号1000730 更新日 平成30年2月16日

コスト回収こすとかいしゅう
英語表記
cost recovery
分野
その他

(1) 一般的な会計上の意味:事業に投下した資金は、産品の売上げ収入のなかから減価償却費または経費として引き当てることによって回収されるという原則は石油鉱業においてもなんら変わることはない。特徴としては探鉱段階で投下された資金は必ずしも直接に生産・売り上げにつながるとは限らないという点であるが、これは一般の研究開発費と同じであり、年々の経費としてその年の収入から引き落とすか、一部を資産として計上して後日、特定の油田の生産・売上げに対応させて償却するかは、企業の会計方針と事情による。なお地下資源の採掘業に対しては税制上、各種の恩典的な措置を設けている国が多いが、特に減耗控除は探鉱・開発資金の回収促進を直接の目的とするものである。
(2) PS 契約などにおける「コスト回収」:自国内あるいは鉱業法・税法の完備している先進国内で操業する石油企業にとっては、投下資金の回収は事業経営の当然の過程であり、会計上も特に問題があるわけではない。「コスト回収」という語が特記されるのは、開発途上の産油国において、外国石油会社が国営石油会社との間で生産分与契約(PS 契約)またはサービス契約の下で操業する場合であって、年々の生産原油またはその売り上げ収入の分配に関係する条項に特記して定義され規定されている。インドネシアで PS 契約が創設されたとき、その分与の概念は、年々の生産原油のうち 40 %までは、まず操業会社がその既往支出金の回収に当てるために取得(cost recovery oil)し、残余を国営会社と操業会社とで規定の比率で分配する、というものであった。当年の回収額を差し引いた残りの未回収コストは次年度の生産原油の 40 %以内で引き当てるという形で順次繰り越す。この限度率が高いほど、操業会社としてはコスト回収のテンポが早まるが、一方、国営会社への分配が後回しになる。インドネシアにおいては 1976 年に PS 契約モデルの改訂が行われ、それ以降はコースト回収は倍額定率償却法によることとし、年々の上限率はなくなった。PS 契約は 1970 年代に多くの開発途上産油国が採用するところとなったが、それらのなかには「コスト回収」分がなく、全生産量を一定比率で配分し、外国操業会社のコスト回収は、その分配原油の中で勝手に行わせるという方式をとっている国もある。サービス契約においては、生産原油はすべて国営石油会社に引き渡されるが、操業会社は契約の規定に従い、年々、「減価償却費+金利+経費+報酬金」を受け取る。国営石油会社との契約に基づく探鉱投資は契約形態のいかんを問わず、探鉱が不成功に終わり、原油の生産があがらない場合はまったく回収できないのが通例である。コスト回収は契約ごとであって、一つの会社が一つの国内で二つ以上の契約地域で操業する場合も、成功鉱区の生産原油のなかから不成功鉱区の探鉱費を回収することは契約上認められていない。