ページ番号1000942 更新日 平成30年2月16日

ジュールトムソン膨張じゅーるとむそんぼうちょう
英語表記
Joule Thomson expansion
分野
その他

 流体の温度を降下する際に用いられる。高圧の流体をバルブ等の絞り機構を通じて膨張させると、分子同士の間に働く引力(分子間力)が弱まり、温度が変化する。後述するように、温度が降下する条件下で天然ガスそのものや冷媒をジュールトムソン膨張させることで、天然ガスの液化や蒸留に必要となる寒剤(冷熱源)を得る。
 ジュールトムソン膨張では外部との熱の出入りがなく、流体自身が持っている内部エネルギーが膨張エネルギーに変換される。内部エネルギーをU、流体の圧力をP、流体の体積をVとし、膨張前後の状態を添え字の1,2でそれぞれ表すと、次のような関係になる。

 U2 - U1 = P1V1 - P2V2 …(1)式
 エンタルピー(H)は次のように表される。
 H = U + PV …(2)式

 (2)式を(1)式にあてはめるとH1 = H2となるため、ジュールトムソン膨張は「等エンタルピー膨張」とも言われる。膨張の前後でエンタルピーが不変という条件下で、流体の圧力変化に対する温度変化の関係を表すものをジュールトムソン係数といい、これが正であれば膨張による温度変化もマイナスで、膨張によって流体の温度が下がる。理想気体ではジュールトムソン係数はゼロであり、膨張しても温度は変わらない。実在気体の場合、分子間力によってジュールトムソン係数がゼロでなくなり、体積膨張率が理想気体よりも大きい場合にはジュールトムソン係数が正となって、温度が下がる。


液化技術を知って北極圏LNG開発を展望する
(石油・天然ガスレビュー、2009.9 Vol.43 No.5)

(大野 泰伸、2010年2月)