ページ番号1000990 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- sweet oil
- 分野
- その他
スウィートオイル(スウィートクルード:「甘い原油」ともいう)とは、軽質(API比重30.42度)で、かつ低硫黄(Low Sulfur 1.43%)という環境的にも優れた特徴を持った原油である。コストパフォーマンスに優れ、企業にとって望ましい製品であるガソリンの精製得率が重質油(「酸っぱい原油」(Sour))に比べて、高いという特性ももっている。 世界的に原油の利用はガソリンを用いる輸送部門が主体となっており、例えば米国ではガソリンが輸送部門の96%を占め、他のエネルギーでは代替が効かないことが明白に示されている。一方、他の消費部門では占有率はすべて50%未満で、他のエネルギーによる代替も可能である。
「甘い原油」代表の双璧は、いずれも世界の基準油種(マーカー原油)で欧米の先物取引にも用いられている。ひとつは、米国のWTIでAPI比重(Gravity)39.6度、硫黄分(Sulfur)0.45%、もうひとつは英国のBrentでAPI比重38.3度、硫黄分0.45%の世界でもまれな高品質原油である。
世界的に権威のあるEIGの「The International Crude Oil Market Handbook 2007」に原油の種類は187記録されている。一方、この「甘い原油」は世界的に極めて種類が少ないこともそこからわかる。米国の著名なオイルエコノミストであるVerleger氏は、この種の原油は全世界の原油生産量87百万b/dのうち、10百万b/dに過ぎないとしている。BRIC'sを始めとする新興国の発展に伴う輸送部門での需要増大傾向が、さらにこの種の原油に稀少性を与え、投機筋による油価を高騰させる要因として用いられる素地を作っている。
米国の「甘い原油(Sweet)」にかかわる少しも甘くない話
(石油・天然ガスレビュー、2008.9 Vol.42 No.5)