ページ番号1001312 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- natural gas
- 分野
- その他
天然に地下から産出し、地表条件では気状を成す物質。通常はメタンを主成分とする低級のパラフィン系炭化水素(CnH2n+2)から成る可燃性天然ガスを指す。
その地質学的産状によっておよそ次のように大別される。すなわち、油田において原油とともに産出するか、または油田地帯の含油地質系統中に遊離型鉱床を成して存在する油田系ガス、原油または石炭の鉱床を有しない地質系統中で主として地層水中に溶解状態を成して存在する水溶性天然ガス、および炭田地帯で炭層または炭層付近の地層から産出する炭田ガスである。
このうち世界的に商業的稼行の対象となるのは第一の油田系ガスであり、原油とともに生産されるガスを油井ガス(oil-well gas)またはケーシング・ヘッド・ガスといい、原油と別にガスだけ産出するものを non-associated gas またはガス井ガス(gas-well gas)という。前者は随伴ガス(associated gas)とも呼ばれ、油層中の原油に溶存している溶解ガス(solution gas もしくは dissolved gas)から成ることが多いが、貯留層で原油の上部にこれと接して存在しているガス・キャップ・ガスが同時に生産されてくることもある。後者のうちで地下の条件では全体がガス相であるが、地表の物理条件では液相(コンデンセート)を析出するものもある。天然ガスの主成分はパラフィン系炭化水素で C1 のメタンが最も多いが、油井ガス、コンデンセートを伴うガスあるいはガス井ガスのなかにも C の数の多いエタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどを含むガスもある。プロパン以上の高級炭化水素をある程度以上含むと常温常圧下で液体分を生じるが、このようなガスを湿性ガス(wet gas)といい、メタンが多く液体分を生じないガスを乾性ガスまたはドライ・ガス(dry gas)という。原油採収率増加のため、採取したガスを圧入ガス源として用いることがあるが、このとき C2(エタン)~ C6(ヘキサン)成分に富むガスをリッチ・ガス(rich gas)、少ないガスをリーン・ガス(lean gas)と呼ぶ用語もよく使われる。炭化水素以外の不純分としては窒素、炭酸ガス、硫化水素を含むことがあり、またアルゴン、ヘリウム、キセノンなどの希元素ガスをごく微量に含む場合もある。天然ガスは広く燃料として使用されるほか、水素、メタノール、アンモニアなどの製造の原料にもなる。1984 年の世界の天然ガス生産量は約 1 兆 7,000 億 m3 であり、そのうち 1,920 億 m3(12 %)が国を越えて輸出されている。このうち、低温で液化して LNG として取り引きされた量は 34 百万トンなので、天然ガス生産量に占める比率は 3 %弱ということになる。