ページ番号1001439 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- thermal cracking
- 分野
- その他
触媒を用いずに、高温条件下で炭化水素分子を分解する方法を熱分解法という。
石油産業では、熱分解技術を利用したプロセスとしては次のものがある。
(1) ガソリンの増産を図る混相あるいは気相のクラッキング法
(2) 残油の粘度を下げる目的のビスブレーキング法
(3) 残油を軽質炭化水素とコークスに転換するコーキング法
なお、ナフサを熱分解してエチレンなどの石油化学製品を製造するナフサ分解もあるが別項で解説する。
(1) クラッキング法:ナフサよりも重質な留分からガソリンを増産するために 1910 年代に開発されたプロセスであるが、その後開発された接触分解法に比べ、ガソリンのオクタン価や収率が低いこと、析出するコークスは少ないものの析出するコークスが装置内に蓄積し、運転の連続化が難しいなどの点から魅力的でなくなり、現在では一般的ではない。
(2) ビスブレーキング法:ビスブレーキングとは粘度低下を意味する viscosity breaking の略称で、減圧残油などの重質油を加熱炉チューブ内でコークスを生成しない程度の比較的緩やかな条件で液相熱分解し、ガス、ナフサ、軽油、分解残油を製造するプロセスである。
(3) コーキング法:減圧残油などの重質油を熱分解して、ガス、ナフサ、軽油およびコークスを製造するプロセスである。
ビスブレーキング法に比べ、反応条件は過酷で、そのため、軽質留分の収率は高いが、コークスを 15 ~ 25 %程度副生する。コークスはさらに精製されて電極用コークスとしたり、そのまま石油コークスとして燃料用途に利用される。
コーキング法には、ディレード・コーキング法、フルード・コーキング法(これにコークスのガス化プロセスを組み合わせたフレキシ・コーキング法)およびユリカ法などのプロセスがある。