ページ番号1001440 更新日 平成30年2月16日

熱量調整(カロリー調整)ねつりょうちょうせい(かろりーちょうせい)
英語表記
calorific value adjustment
分野
その他

ガスの供給にあたって行われる熱発生量の調整。
ガス事業者は供給ガスを、定められた測定頻度や測定方法に従い、供給規定に則った熱量および燃焼性に調整、管理する必要がある。ガスの熱量および燃焼性を調整するには、2 種類以上のガスを混合するのが一般的である。その方法としては LP ガス等による増熱と空気による希釈の方法がある。
(1) 増熱:低熱量の製造ガスに LP ガス等を混合させ、ガスの発熱量を調整する。この場合、混合ガスの熱量と燃焼性および LP ガス等の露点に注意が必要である。
(2) 希釈:製造ガスが高発熱量の場合、空気あるいは窒素を用いて希釈し熱量を調整する。この場合、燃焼速度は変化しないので、ウォッベ指数を管理すればよい。また、高圧ガス保安法では酸素濃度が 4 %以上とならないように定められており、ガスが燃焼範囲に入らないようにしなければならない。熱量を調整する方式には以下の 3 方式がある。
(1) ガス-ガス熱量調整方式:これは熱量調整するガスをガス状態で混合させる方式である。例として LNG を LP ガスで熱量調整する場合、LNG および LP ガスをそれぞれ気化させてから混合する方式である。この方式では LP ガス気化に気化設備と高温熱源が必要となる。
(2) 液-ガス熱量調整方式:これは熱量調整を行うガスに対して、液状 LP ガスを用いて熱量調整を行う場合に用いられる方式である。例として LNG を LP ガスで熱量調整する場合、LNG を気化させた天然ガス中に LP ガスをスプレーまたは滴下して LP ガスを混合気化させる方式である。この方式は、LP ガスを気化させるために天然ガスの顕熱を利用しているため、LP ガスの混合量を制限するか、天然ガスの予熱が必要となる。利点としてはガス-ガス熱量調整方式に比べて気化熱源および LP ガス気化器が不要であり、ランニングコストが低い。
(3) 液-液熱量調整方式:これは LNG と LP ガスを液体のまま混合し熱量調整したあと、気化させてガスを製造する方式である。熱量調整後の LNG 、LP ガス混合液はオープンラック式等の LNG 気化器を用いれば、ガス-ガス熱量調整方式に比べ LP ガスを気化するための設備が不要となり、ランニングコストを低減できる。ただし、- 162 ℃の LNG に LP ガスを混合するため、LP ガス中に含まれるメタノール成分等の凍結による閉塞対策等が必要となる。

(高津 宏和、2006 年 3 月)