ページ番号1001463 更新日 平成30年2月16日
背斜説はいしゃせつ
- 英語表記
- anticlinal theory
- 分野
- その他
石油・天然ガスは、背斜構造の頂部に集積するという学説である。
1861 年に T. S. Hunt は Canada Naturalist 誌上に、「石油の歴史について」と題する論文を発表し、そのなかで、石油は水より軽く、多孔質の地層を通過してその地層の高所、すなわち背斜頂部に上昇し集積され、亀裂があれば地表に出て油泉になると述べた。T. S. Hunt に 3 カ月遅れて、E. B. Andrews は、石油は地層が褶曲{しゅうきょく}する際に形成された亀裂中に集積し、亀裂は背斜頂部に多く形成されるので、石油も背斜軸に集積することが多いという説を発表した。しかし、これらの学説は注目されるには至らず、忘れ去られた。石油鉱床に関して学術的基礎を持つ学説の確立が要求されて、1883 年に I. C. White の研究が始まった。研究結果を実証するため、3 カ所の背斜構造の適当な場所で試掘を開始し、1884 年に White の期待どおり、ガス層に到達した。1885 年、Science 誌に、「天然ガスの地質」と題して発表され、これが有名なホワイトの背斜説である。その後、向斜部にも石油・ガスが集積している事実が発見され、Z. H. Woolsey(1905)は、砂岩が水によって満たされている場合は、石油は背斜頂部に集まり、水が少量であれば背斜翼の下方に、まったく水がなければ向斜の底部にも集積が行われると説明した。背斜説は石油地質学の基礎となり、石油探鉱の指針として大きな役割を果たしてきた。