発見埋蔵量、埋蔵発見量ともいう。
通常 1 年単位で表現される。狭義と広義とがあり、狭義ではその年に新たに発見された油（ガス）層の、その年間に確かめられた埋蔵量である。しかし一つの油（ガス）層の確認埋蔵量は、その油層に掘られる井戸数が増加するにつれて増えるので年々修正される。このため狭義による発見初年の発見量だけを取り上げてもあまり意味がなく、ある 1 年間に新たに獲得した埋蔵量を知るのはむしろ広義の発見量である。それは次のような数量である。発見量＝年末埋蔵量－年初埋蔵量＋年間生産量この広義の発見量は正確には埋蔵獲得量とでも表現すべきかもしれない。米国では新規発見量（狭義の発見量）と既発見油（ガス）層の埋蔵量の修正量とを明確にした統計が作られている。その実数は表 1 である。一つの地域の年々の発見量は、探鉱が開始された初期は小さく、ある期間の後に新規発見水準の高い期間が続き、やや年がずれて既発見油田の修正量の大きい期間が続き、地域の探鉱が進むと新規発見量は漸減する、というのが典型的な経過である。表 1 は米国という広い範囲が包括されているが、アラスカを除く 48 州の陸上地域の探鉱は既にかなり行われてきた時期の様相を示している。個々の油田の埋蔵量修正は、掘削の進展により油層の範囲が広がることのほかに、採油経過の実績および二次・三次回収の実施によって回収率の見方が変わることによっても行われる。世界の広義の発見量を上記の式から計算してみると、表 2 のとおりである。これによると、1930 年代、40 年代に比べて 50 年代、60 年代には中東・アフリカでの巨大油田の発見と、その確認埋蔵量の見直し修正によって、格段に大きくなっている。ただし、1960 年代発見量が最大の値を示しているのは、世界最大の埋蔵量を誇るサウジアラビア政府が 1969 年末の埋蔵量を、一挙に前年の倍とする修正を行ったこと、およびアルジェリアも同様の修正を行ったことが大きく影響している。また 70 年代には米国で、アラスカのプルードー・ベイ油田の確認埋蔵量（ 96 億バーレル）が 1970 年に初めて統計に掲げられたこと、および北海における相次ぐ発見が大きく寄与しており、さらにメキシコの登場も無視できない規模であった。しかし全般的にみると、世界の石油発見量は、かつての石油消費量のように年々等比級数的に増加する傾向は示していない。

表1　米国の原油埋蔵量の変化

	(1) 個別報告の訂正による	(2) プラスの修正見直し	(3) マイナスの修正見直し	(4) 既存構造の探掘による増量	(5) 新油田の発見	(6) 既存油田での新構造の発見	(7) 年間発見量(4)＋(5)＋(6)	(8) 年間生産量	(9) 各年末埋蔵量	(10) 前年末比増減
1976… 1977… 1978… 1979… 1980… 1981… 1982…	－ -40 366 337 219 138 -83	－ 1,503 2,799 2,438 2,883 2,151 2,245	－ 1,117 1,409 2,001 994 880 1,811	－ 496 444 424 572 750 634	－ 168 267 108 143 254 204	－ 130 116 104 147 157 193	－ 794 827 636 862 1,161 1,031	－ 2,862 3,008 2,955 2,975 2,949 2,950	33,502 31,780 31,355 29,810 29,805 29,426 27,858	－ -1,722 -425 -1,545 -5 -379 -1,568

出所：Energy Information Administration Report 1982


表2　世界の産油量と発見量の推移

	1930 年代	1940 年代	1950 年代	1960 年代	1970 年代
10 年間の産油量	24	39	79	161	286
10 年間の発見量	48	110	355	586	516
10 年間の発見量 / 産油量	2.0	2.8	4.5	3.6	1.8

出所：BP 統計各年版