ページ番号1001486 更新日 平成30年2月16日

発熱量はつねつりょう
英語表記
分野
その他

 ガスの燃焼は発熱反応であり、混合ガスではその組成に応じた燃焼熱が発生する。このとき、炭化水素の水素分の燃焼により水蒸気が生じるが、その水蒸気の持っている熱量(潜熱)を考慮するか否かで発熱量は2タイプに種別される。
 1つは、水蒸気の有している熱量(蒸発潜熱)を無視して算出する熱量で、真発熱量(net heating value)という。もう1つは、水蒸気の有している熱量(蒸発潜熱)は、凝縮して水に戻るが、使い方次第では熱エネルギーとして活用できることを考慮し、加えたもので、総発熱量(gross heating value)という。したがって、総発熱量が水蒸気潜熱の分大きくなる。

総発熱量 = 真発熱量 + 水蒸気潜熱

 前者の例としては国内産業用ボイラーや内燃機関が、後者の例としては国内の「総合エネルギー統計」のエネルギーバランス表をはじめ家庭用のガス器具や発電所の効率があげられる。また、真発熱量を低位発熱量(low heating value, LHV)、総発熱量を高位発熱量(high heating value, HHV)という場合もある。総発熱量は、石炭、石油で約5%、天然ガスで約10%、真発熱量より高くなる。
 また、国や設備によって、真発熱量か総発熱量かというベースが異なるだけでなく、温度・圧力条件も異なることがある。例えば、米国のエネルギー統計でも熱量は総発熱量ベースであるが、華氏60度(=15.56℃)、14.73psiA(1.016気圧)をベースとしている。日本では0℃、1気圧を標準状態としているため、米国ベースでは、温度が高い分、ガスの体積が増加して、単位体積あたりの熱量は低下することになる。総発熱量ベースで比較して約5%程度、米国の総発熱量値は小さくなる。したがって、国、あるいは設備に関する熱量データを比較評価する場合には注意が必要である。

“熱”能く、LNG市場を制す~グローバル化へのボトルネック、LNG発熱量問題~
(石油・天然ガスレビュー、2009.5 Vol.43 No.3、宮崎信一)


(大野 泰伸、2010年2月)