ページ番号1001518 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- partnership
- 分野
- その他
英米では 2 名以上の者が協力して事業を行うにあたって株式会社(corporation)を設立せず、個々のパートナーの権利と義務が株式会社の株主よりもより強い形のパートナーシップという形態をとることがよくある。これはわが国の民法の「組合」ないし商法の「合名会社」に近いものであるが、米国にはパートナーシップ内部および対外の法的関係の規定する Uniform Partnership Act 1920 があり、ほとんどの州で採用されている。パートナーシップのコーポレーション(株式会社)と異なる特色は次のとおりである。
(1) 事業に必要な資金・資産を出しあい、事業の成果である利益・損失を分けあうことは株式会社の株主間の関係と同様だが、株式会社の場合は資金的責任が出資金に限定されるが、パートナーシップにおいては各パートナーは連帯して、また個々に無限の責任を負う。
(2) 株式会社では株主は出資金に応じた株式を持ち、事業の遂行については定款で規定し、役員を選任し、また専属の従業員を雇用してそれぞれが規定された範囲の権限と責任を負って事業を遂行し、対外的には会社が一つの人格体として振る舞うが、パートナーシップにおいては各パートナーは事業について同等の経営権を持ち、個々に対外的に責任を負って行動ずる。
(3) パートナーシップの形成には会社のように明文化された形式を問われない。
(4) 株主は一般にその保有する株式を自由に処分できるが、パートナーシップのパートナーは、その権利義務の全部または一部の他人への譲渡に当たっては他のパートナーの合意が必要である。
(5) 会社はその全体の所得が所得税(法人税)課税の対象とされるが、パートナーシップはその全体が課税の対象とされず、各パートナーのシェアに応じた所得が課税の対象となる。
パートナーシップは、この (5) の特色のために、投資に関して減耗控除、無形掘削・開発費の経費化、投資税額控除など所得税上の恩典の多い石油・ガス探鉱開発事業に個人投資家が投資するのによく活用されている。なお、パートナーシップにはいろいろの形のものがある。そのうち石油・ガス探鉱開発事業に関係あるものの幾つかを挙げると次のようである。
(i) リミテッド・パートナーシップ:連帯責任を負い事業の執行にあたるゼネラル・パートナー(general partner)と一定金額を拠出してその範囲内で責任を負うリミテッド・パートナー(limited partner)から成るパートナーシップをいう。わが国の商法の匿名組合に近い。石油・ガスの探鉱開発プロジェクトにおいて、推進者がリミテッド・パートナーシップを設立しそのゼネラル・パートナーとなり、リミテッド・パートナーとなる個人投資家を募集して掘削資金を集める場合などに利用される。
(ii) マイニング・パートナーシップ:地下資源の探鉱・開発を目的とするもので、権益の譲渡が自由であることなどの点で一般のパートナーシップと異なる特色を持つ。