ページ番号1001555 更新日 平成30年2月16日

ビトリナイト反射率びとりないとはんしゃりつ
英語表記
vitrinite reflectance
分野
その他

泥質岩に含まれるケロジェンを酸処理、重液分離によって分離し、それを合成樹脂で封入、研磨して鏡面に仕上げ、顕微鏡分光光度計を用いて油浸法でそれらのうち、コリナイト(ビトリナイト・グループに含まれる石炭質ケロジェンの一つ)を対象に、標準反射板との比較で反射率を測定したもの。
コリナイト粒子を鏡下で一回転させたときの最大反射率を、その粒子の反射率とする。また、同一試料について 100 個の異なるコリナイト粒子の測定値の平均値をもって、その試料のビトリナイト反射率(R0)とする。ビトリナイト反射率の測定は、地化学分析の一つとして、現在ではほとんどルーチン化された作業になっている。ビトリナイト反射率は、根源岩評価において、有機物が地下で受けた温度と時間の相乗効果の積分値を表す熟成度の標準的な指標として広く用いられている。一般に、埋没深度が深くなって地温が上昇するのに伴い、あるいは地質時代が古くなるほど、ビトリナイト反射率は増加する。有機物の熟成に伴い、油が生成される段階を熟成帯(mature zone)といい、その上位、下位をそれぞれ未熟成帯(immature zone)、過熟成帯(overmature zone)という。熟成帯の上限、すなわち油の生成が始まる段階のビトリナイト反射率は、ケロジェン・タイプによって異なるが、大体 0.5 ~ 0.6 %で、油生成ピークが 0.9 ~ 1.0 %である。反射率が 1.2 %以上は過熟成帯となり、熱分解性のコンデンセートあるいはガスが、また、反射率が 2.0 %以上では熱分解性の(メタン)ガスがそれぞれ生成される。ビトリナイト反射率は、通常縦軸に深度、横軸(対数目盛り)に反射率をとってプロットされ、埋没過程で地温勾配{ちおんこうばい}に大きな変化や隆起、侵食などがなければ、ほぼ直線上にプロットされることから、反射率トレンドのギャップから不整合の確認、削剥{さくはく}量の推定を行ったり、トレンドの変化を基に、過去から現在までの地温こう配の変化を検討することも行われている。