ページ番号1001791 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- reservoir simulation
- 同義語
- ヒストリー・マッチ法 [ ひすとりーまっちほう ]
- 分野
- その他
油層・ガス層をモデル化し、その生産挙動および生産・圧入に伴う貯留層内の圧力、飽和率などの変化の様子を、実験あるいは計算によって解析し予測する手法をいう。油層シミュレーションを行うには、実際の油層・ガス層と近似した油層モデルが用いられる。当初の油層モデルは、多孔質媒体内の流体現象を別の物理現象で近似する物理モデル(電気回路模型など)が中心であった。現在では、ディジタル・コンピューターの発達に伴い、現象を数式化しその数値解を計算機により求める数値モデルが主流となっている。すなわち、地質データ、コア試験データ、坑底試料分析データ(PVT データ)など必要なデータを入力することにより、油層をモデル化できるさまざまな汎用プログラム(シミュレーター)が開発されており、次のような種類がある。(1) タンク・モデル(tank model):貯留層を一つの均質な容器と見なし、貯留層内の物質移動現象を考慮せずに、外部との物質収支のみにより油層の挙動計算を行うものである。(2) ブラック・オイル・モデル(black oil model):タンク・モデルと異なり、油層空間を有限個の部分(セル)に分割し、各セル間の物質移動を油、ガス、水の各相につきダルシーの法則によって解くことにより、油層各部の挙動を予測するものである。目的に応じ、油層を3次元的に分割する3次元モデルのほか、二次元平面モデル(areal model)、二次元断面モデル(cross sectional model)などの油層モデルが作られる。次に述べるコンポジショナル・モデルと異なるのは、気液平衡をガスの油に対する溶解曲線で表す点である。(3) コンポジショナル・モデル(compositional model):原油が軽質分に富み、生産過程においてガスとの間の成分移動が重要な要素となる油層や、ミシブル・ガス圧入法の適用を評価するには、セル間の油・ガス相の流れを計算することに加え、各セル内の油・ガス成分組成および物性を決定する必要がある。コンポジショナル・モデルは、各セル内の油・ガス成分および物性を状態方程式などから求める点でブラック・オイル・モデルと異なり、コンピューターによる計算時間も多く要する。(4) コーニング・モデル(coning model):コーニング現象を主に解析するためのモデルで、油層挙動を詳細に把握するため、坑井を中心として同心円上に細かくセルを分割するのが特徴である。他のモデルに比べ、坑井近傍の油・ガス界面、油・水界面の位置が詳細に求められる。シミュレーションによる予測計算を行うにあたっては、作成した油層モデルが実際の油層をよく表現していることが必要で、生産段階にある油層ではヒストリー・マッチングが挙動予測計算の前に行われる。これは、対象油層の過去の生産実績および観測データを基に、浸透率、相対浸透率、流体性状などのパラメーターについて油層モデルを修正する作業である。探鉱・開発段階にある油層では油層データに限りがあるため、油層シミュレーションを行っても可採埋蔵量の予測幅が大きくならざるを得ず、その不確定な油層パラメーター(例えば相対浸透率)の感度分析にシミュレーション計算を用いることもある。最近の油層シミュレーションの動向としては、コンピューターの著しい高速・大容量化に伴い、大規模かつ詳細なスタディが行われる一方、マイクロコンピューターなどを利用した簡便な予備シミュレーション・スタディが行われる傾向にある。また、より複雑な現象を扱う各種 EOR シミュレーターの開発も、今後活発に行われていくものと予想される。


