ページ番号1001916 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- Cooperation Council for the Arab States of the Gulf
- 略語
- GCC
- 分野
- その他
通称 Gulf Cooperation Council(GCC)。
君主制下にあるアラブ湾岸 6 カ国がメンバー諸国である。集団安全保障と危機管理能力の整備を最大の目標として 1981 年 5 月 25 日に創設した協力機構。
加盟国は、主唱者であるサウジアラビアを筆頭に、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、アラブ首長国連邦となっている。組織としては、最高意思決定機関である最高評議会(Supreme Council)を始め、閣僚評議会(Ministerial Council)、事務局などが設置されている。最高評議会は加盟国政府の最高首脳によって構成され、年 2 回開催されるが、2 カ国以上の要求があれば、臨時会議を持つこともできる。その主宰はアルファベット順による各国の交替制である。閣僚評議会は加盟国の外務大臣をもって構成され、3 カ月ごとに開催される。同じく 2 カ国以上の要請で臨時会議を持つことができる。またこれとは別に各担当分野ごとに閣僚委員会も開催されている。ともに最高評議会の事前準備がその役目である。事務局は最高評議会の諸決定を実施に移すほか、研究、報告の作成、予算の執行、会計事務などを行う。本部はサウジアラビアのリヤドに置かれ、事務局長は最高評議会の指名により、任期は 3 年(更新可)となっている。なお事務局費は加盟各国による平等分担である。
GCC は、サウジアラビアが主導する湾岸の君主制 6 カ国が、一連の会合の後、1981 年 3 月に基本憲章草案に合意、その創設が決まったものであるが、もともとアラブ連盟のメンバーでもあるこれら 6 カ国が同連盟の枠外に別組織を作ることに対しては、イラクなど他のアラブ諸国からも批判があるところであった。にもかかわらず、これら諸国が GCC の結成に踏み切った背景としては、イランのホメイニ革命を契機に湾岸諸国をめぐる政治・社会情勢が極度に緊迫してきたことが指摘されよう。
憲章でみるかぎり、GCC は「経済、社会、文化面での調整、統合、協力を実現するための手段を提供する」機構とされており、域内の集団安全保障や治安対策問題については一部の国の反対で明示されていないが、GCC 創設の最大の意義は後者にあるとの解説もされている。GCC のこれまでの活動をみてみると、まず経済・産業政策の部門で、域内関税の撤廃、域外産品に対する共通関税の設定、域内労働力移動の自由承認、共通通貨の創出、湾岸投資公社(GIC)の創設 (事務所はクウェート)、工業規格の標準化、情報の交換などの協力が進展している。さらにエネルギーの分野では石油政策や価格についての調整を目的とする閣僚委員会の創設、技術の習得や資源の開発などの面での協力、情報の交換、あるいは湾岸からオマーンに至るパイプラインの建設、石油生産が停止するなど緊急時における相互支援体制の確立を目指した「石油セキュリティ・プラン」の策定、電力網の統合に関する研究など、各レベルの協力が推進されている。
一方、防衛面や治安対策面での協力については、イランおよびイラクという周辺大国の反発に対する加盟諸国の思惑もあって当初は活動の対象としていなかったが、イラン・イラク戦争の激化に伴い、湾岸共同防衛構想は次第に具体化する方向にあり、合同軍事演習も既に 2 回実施されたほか、6 カ国の防衛予算も合計 280 億ドル(1983 年)に達している。またサウジアラビアに供与された米国製空中警戒管制機(AWACS)を中心とし、各国のレーダー、ミサイルを連動させた合同防空システムの構築や、合同海上パトロール、兵器の標準化などの協力も進展している。