ページ番号1001970 更新日 平成30年2月16日

LNG 気化装置lng きかそうち
英語表記
LNG regasification
同義語
LNG 再ガス化 [ LNG さいがすか ]
分野
その他

 LNG を水・空気・水蒸気などにより加温し、再ガス化する設備。
 再ガス化方式は後述するように数多くあり、立地条件、使用目的などに基づいて選定される。大容量ベース・ロード用としては、特にランニングコストが重視されるので、設備費は多少高価でも熱源として安価な海水を使用するオープンラック方式が広く用いられており、わが国の LNG 受入れ基地の大部分がこの方式である。小容量のピークシェービング用や非常用としては、ランニングコストが多少高価でも、起動・停止が容易な方式が選ばれ、わが国の受入れ基地ではサブマージドコンバッション(水中燃焼)方式(SCV)が この目的に使用されている。ただし海外ではこの限りではない。
 気化器の種類を大別すると以下のとおりである。

(1) オープンラック方式:垂直方向の管を 1 列に並べたパネルを多数組み合わせ、管中を下から上に流れる LNG を、外側より海水を流下させ加温気化する方式。

(2) シェル&チューブ方式:化学プラントで一般に使用されている型式の熱交換器で、プロパンのような中間熱媒体や水を熱源として気化する方式。水を用いると、氷結の危険があるので、運転には注意を要する。中間熱媒を用いたものは、冷熱利用発電に組み込まれているものもある。

(3) サブマージドコンバッション方式:LNG を通すチューブバンドルを浸した水槽中に、下向きに開口しているガスバーナーを設け、このなかにガスと空気を送り込んでガスを燃焼させ、高温の燃焼ガスが水中にバブルとなって出て水を加温し、チューブ内を流れる LNG を気化する方式。

(4) エアフィン方式:フィン(放熱効果を高めるひれ)のついたチューブ内に LNG を通し、外側よりファンで吹きつけた空気により加温気化する方式。設備費は高価だがランニングコストが安価なので、小容量のピークシェービング用に用いられている。

(5) ダイレクトファイアリング方式:LNG を通したチューブを直接火で加熱し気化させる方式。ランニングコストが高価なので、ピークシェービング用に使用されている。

(6) ダブルチューブ方式:設備の構成はオープンラック方式と同様であるが、伝熱管を二重管構造とし、内管で LNG を気化させ、外管でガスを加熱させるものである。このようにすることによって、装置の小型化や、保全性・運転性の改善が計られている。


(高津 宏和、2006 年 3 月、2010年2月改訂)