－162 ℃という超低温の LNG がもつ冷熱エネルギーを利用してタービンを駆動し発電する方法。
多量の冷熱を回収できるプロセスとして、日本の主要な LNG 受入基地で実績がある。主な方式を以下に示す。これらは基本となるもので実際には回収効率を高めるため、いろいろ組み合わせて用いられる。
(1) 天然ガス直接膨張方式（図 (1) ）：LNG を海水などで加温し高圧のガスにし、そのガスを減圧膨張させタービンを駆動し発電する。単純で信頼性が高いが、回収効率は低い。
(2) ランキン・サイクル方式（図 (2) ）：タービンを出る駆動媒体を冷却して減圧凝縮させるのに LNG の冷熱を利用する方式で、媒体はプロパンなどの軽質炭化水素やフロンなどの単一成分を用いる場合と、混合冷媒を用いる場合がある。混合冷媒方式は設備が複雑になるが冷熱回収率が高い。
(3) ブレイトン・サイクル方式（図 (3) ）：媒体を循環するクローズド方式と空気を媒体とするオープン方式とがあり、図は前者で、媒体には窒素などが用いられる。この方式はタービンを駆動する媒体を LNG 気化器で冷却した後コンプレッサーで昇圧し、加熱炉で昇温して高温・高圧のガスとするもので、冷熱エネルギーは媒体を冷却することにより圧縮機の動力を節約するのに利用されている。オープン方式も回収原理は同じである。

（曹　裕隆、2006 年 3 月）