ページ番号1001992 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- Mobil Corporation
- 分野
- 企業
1970 年代後半以降、米系石油企業の総資産・売上高ランキングで第 2 位の座にあるオイル・メジャーである。
第一次石油危機以前まで米系メジャーズ中最下位にあったが、70 年代に急浮上を遂げた。同社の前身は、1882 年にロックフェラーのスタンダード・オイル・トラストによって、金融・輸出業務担当企業として設立された Standard Oil of New York, SOCONY(ソコニー)と、 1866 年に設立され 1879 年にスタンダード傘下に入った潤滑油専門企業 Vacuum Oil Co. (バキューム・オイル)である。1931 年、両社は合併して Socony Vacuum となり、その後内外での原油生産部門を獲得して本格的な一貫操業体制を整えた。戦後、1948 年に Aramco への 10 %参加、1954 年にイラン・コンソーシアムへの 7 %参加を果たしてようやく原油基盤が強化された。1955 年に社名を Socony Mobil に変更、1966 年に現在の Mobil が正式社名となった。Mobil が真の意味で国際一貫操業体制を確立したのは 50 年代後半である。1970 年代に入り、他社が既存権益を失っていくなかで、サウジアラビアとの関係の強化、30 カ国近くの国々での探鉱開発、中小開発企業の買収を推進、原油調達力の強化を図る一方、創業以来の有力ブランドの高級潤滑油の拡販や、いち早く二次設備を導入しての製品の高付加価値化を追求するなど、積極的な経営戦略で他メジャーズを抜いた。1974 年、Marcor Inc. を買収して小売業、製紙・包装業へ進出したが、この部門の業績低迷に悩み、それ以外の多角化は石炭を除いて抑制されている。代替エネルギー分野も鉱区確保、計画段階にとどまる。経営の組織体制は、1976 年の改組以来、持株会社 Mobil Corp. が、石油・石油化学部門(Mobil Oil)、小売・サービス部門(Montgomery Ward)、包装部門(Container)の三大事業部門を統括する体制をとってきた。経営の重点は依然として上流部門の弱体(特に米国内)を克服することにおかれており、企業買収にも積極的である。Conoco、 Marathon への TOB 競争には敗れたが、1984 年、全米第 21 位の中堅石油開発企業 Superior Oil を 57 億ドルで買収、天然ガス埋蔵量を倍増させた。一方、70 年代の急成長の反動が現れており、1985 年 5 月には経営不振の続く Montgomery Ward 売却を決定するなど、今後投資効率がより厳しく問われることになろう。(→国際大手石油会社)