英国オランダ系の世界最大規模のスーパーメジャー。
世界 145 を超える国、地域において、探鉱、掘削、石油製品、天然ガス、電力、石油化学、再生可能エネルギー等の事業を展開する石油スーパーメジャーの一社である。
組織形態は特殊であり、オランダ領ボルネオでの石油開発に伴って 1890 年に設立されたオランダのロイヤルダッチ（Royal Dutch Petroleum Co.,）と、1897 年に北ボルネオでの石油利権獲得を契機に発展した英国企業であるシェルトランスポートアンドトレーディング（Shell Transport & Trading plc）とが、1907 年以降長く、各々 60 ％、40 ％を出資する二つの持株会社の下、グループ企業を構成し、運営されてきた。
しかしながら、2004 年にロイヤルダッチシェルグループが原油・ガス埋蔵量を下方修正した結果、この特殊な企業統治形態が投資家からの批判にさらされた。発表された埋蔵量の修正は、米国証券取引委員会（SEC）基準では埋蔵量としては認められない推定埋蔵量の一部を含めて発表していたためであり、シェルグループ全体の資産ポートフォリオに影響を与えるものではなかったが、その修正が充分な説明のないまま数度にわたり行われ、またその合計減少量が、最終的には 2002 年末修正前埋蔵量 193 億 BOE（バレル石油換算）に対し 30 ％相当の、58 億 BOE と膨れ上がったことが、企業統治の観点から大きな問題とされたためである。
2005 年 6 月に、ロイヤルダッチとシェルは、「一つの会社、一つの取締役会、一人の経営者」をスローガンに新たに設立されたロイヤルダッチシェル（Royal Dutch Shell plc）のもとに統合された。ロイヤルダッチシェルは、会社組織は英国に、下流部門、およびトレーディング部門を除く本社機能、および税務上の居住地はオランダに置かれている。

（ICEP、2006 年 3 月）