ページ番号1002033 更新日 平成30年2月16日
- 英語表記
- vertical seismic profiling
- 分野
- その他
地表震源による弾性波をボーリング坑内のハイドロホンやジオホン等の受振器で一定間隔の深度レベルで受振し、下方からの反射波に着目した解析を行う手法の総称。
古くは坑井内速度測定(ウェル・シューティング)として、初動走時から深度~時間関数を得る目的で非常に粗い深度間隔でデータ取得を行っていた。
VSPは、ボーリング坑内に観測点があるため、反射法地震探査に比べて高い分解能が維持され、かつ、地下を伝播する種々の弾性波の分離が容易であることから、反射法地震探査結果のコントロールデータとして1980年代より(旧ソ連ではこれ以前に用いられていた)盛んに適用され始めた。
坑口付近に地表震源を設置するものをゼロオフセットVSP、震源が一定距離離れているものをオフセットVSP、坑口から複数のオフセット距離に震源を配置したものをウォークアウェイVSPまたはマルチオフセットVSPと呼ぶ。
さらに、坑内に震源を、地表に受振器を配置したVSPを逆VSPと呼ぶ。逆VSPのうち、掘削中のドリルビットによる振動を震源とするものをSWD(Seismic While Drilling)と呼び、掘削時にリアルタイムでビット先を予測するツールとして注目されているが、震源波形の正確な取得が難しいという技術的問題も抱えている。
ゼロオフセットVSPは、以下の目的に使われている。
(1)初動走時による時間~深度関数の推定。
(2)VSP合成地震記録の作成。VSP合成地震記録は周波数的には検層記録から作成される合成地震記録と反射法地震探査記録の中間に位置しており、これらをもとに反射法地震探査記録と坑井地質との正確な比較対応付けを行うことができる。
(3)初動部分の波形から地層の減衰率を推定。
(4)チューブ波(坑壁により発生する境界波でVSPでは一般にはノイズとみなされる)を利用した透水性亀裂評価。
オフセットVSPやウォークアウェイVSPは、主として坑井近傍(最大で、坑井からオフセット距離の半分の範囲まで)の反射記録断面を得ることを目的に実施される。これらの反射記録では、地表反射記録に比較して反射波の経路がほぼ半分程度であるため、地表付近の高減衰域の影響も半分になり、高い分解能を得ることができる。最近では震源を地表で面的に配置した3次元VSPの実施例も多くなってきている。
(川中 卓、2008 年 5月)