ページ番号1001525 更新日 平成30年2月16日

パイロリシスぱいろりしす
英語表記
pyrolysis
分野
その他

石油根源岩評価のための有効な分析法の一つ。
岩石試料を 900 ℃で 1 時間半加熱し、その後の残存炭素量(CR)を測定するものと、岩石試料を不活性ガス(ヘリウムまたは窒素)中で約 20 ℃ / 分の割合で約 550 ℃まで徐々に加熱していき、その過程で放出されてくる炭化水素量を温度の関数として捕らえる方法がある。前者は石炭産業で利用されていた手法で、CR と岩石試料中の全有機炭素量(CT)の比で石油根源岩の熟成度を求める。後者はロック・エバル分析装置による熱分解法で、図のような記録が得られる。最初のピークは約 200 ℃前後に現れ、既に地下で生成され、岩石試料中に残っていた炭化水素によるものである(ピーク 1 )。ピーク 2 は 350 ~ 550 ℃間に現れ、パイロリシスの人工的な熱分解により生成された炭化水素によるものである。ピーク 3 は加熱中に生成された二酸化炭素によるものである。これらのピークに対応する部分の面積をそれぞれ S1、S2、S3 とし、かつ、ピーク 2 の温度を Tmax として石油根源岩評価の判定材料とする。石油根源岩の熟成度評価には以下の指標が用いられる。

(1) 生産性指数(production index):S1 / (S1+S2
(2) Tmax(℃)また、石油根源岩から生成された炭化水素の種類の推定、および、有機物のタイプの分類には、水素指数(hydrogen index:S2 / 全有機炭素量)と酸素指数(oxygen index:S3 / 全有機炭素量)のクロスプロットが利用されている。パイロリシスは他の石油根源岩評価法に比べ、以下の利点があるので簡便法として広く用いられるようになってきている。
(1) 石油根源岩の熟成度、有機物タイプを単一分析法で知ることができる。
(2) 岩石試料から有機物を分離する必要性がない。
(3) 短時間で分析できる。
(4) 岩石試料が少量でも分析可能(100mg)。

 図 パイロリシス