ページ番号1001547 更新日 平成30年2月16日
表面波ひょうめんは
- 英語表記
- surface wave
- 分野
- その他
地震によって励起され、地球を伝わる弾性波である地震波は、地球内部を伝播する実体波(body wave)と地球表面を伝播する表面波(surface wave)の2つに大きくわけることができる。
実体波であるP波とS波は地中深くまで伝播することができるが、表面波は地表面からある程度の深さまでしか振動せず、地表面に沿ってしか伝播することができない。
表面波は波動の伝播方向と媒質粒子の振動方向の違いなどによって大きく2種類に分けることができ、それぞれレイリー波(Rayleigh wave)、ラブ波(Love wave)と呼ばれる。レイリー波は海の波に似ており、伝播方向を含む鉛直面内で変位し、媒質粒子の軌跡は円または楕円を描く。一方ラブ波は地表面に平行に振動する。表面波の大きな特徴として、波の速度が波長や周波数によって変化する現象が見られ、これを分散(dispersion)と呼ぶ。
震源が地表近くにある場合、表面波は常に卓越して発生し減衰せずに遠方まで伝播する。このため反射法地震探査において表面波は反射波を妨げるノイズと見なされ、これをデータ取得あるいはデータ処理の段階でできるだけ除去することが重要となっている。
一方では表面波を利用した探査・解析も行われており、観測された表面波の分散特性からインバージョンを用いたり、観測された表面波の分散特性と地下構造モデルから計算された理論的な分散特性とを試行錯誤的に比較することにより地下構造を推定することが可能である。
(西木 司、2008 年 5月)