ページ番号1004744 更新日 平成30年2月16日

ナイジェリア:OPEC協調減産参加へ~治安改善の兆し、増産基調~

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レポートID 1004744
作成日 2017-09-25 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報市場
著者 古川 ゆかり
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年度 2017
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2017/9/19 調査部:古川 ゆかり ナイジェリア:OPEC協調減産参加へ ~治安改善の兆し、増産基調~ (IEA報告書、各種報道など) ●7月、産油国会議において、ナイジェリアが180万b/dに到達次第生産量に上限を設けることに同意した。同国は政情不安等の理由により協調減産から除外されていたが、治安改善により生産量が回復傾向にあるためである。 ●ナイジェリアの2017年7月の原油生産量は前月比3万b/d増の160万b/dとなり、リビアの増産(同17万b/d増の101万b/d)とともに、OPECの生産量を押し上げる要因となった。両国は、9月22日ウィーンにて開かれる協調減産監視委員会に出席を求められている。 ●ナイジェリアでは、ニジェールデルタ地域を中心に、反政府武装勢力による攻撃や盗油によってしばしば原油生産が妨げられてきた。しかし、2016年6月頃より政府は交渉を開始。同地域が安定化の兆しを見せ始めたことから、2016年後半以降、原油生産量と輸出は増加に転じ始めた。現状では、ナイジェリアの増産が油価に下方圧力をかけ、OPECの減産目標到達における懸念材料となっている。今後、ナイジェリアの原油生産が、世界の原油需給バランスにどう影響を与えるかに注目が集まっている。 .生産量増加の動きから協調減産合意へ 1 図1 2017年7月24日、ナイジェリアが、ついにOPECの協調減産に加わる方針を示した。ロシアのサンクトペテルブルクにて開催された産油国会議におけることである。ナイジェリアといえば、リビアとともに、政情不安等から通常時に比べ事実上の減産状態となっていたため協調減産から除外されていた国である。しかし、同国の生産量は足元で回復傾向にあることから(図1)、この日、正常化の目安となる180万b/dに到達次第生産量に上限を設けることに合意した。 1 ナイジェリアでは、外貨収入の実におよそ90%、政府収入においてはおよそ80%を石油産業が占めている。そんな同国では、地上の不安定性と供給の混乱によって、しばしば原油生産が妨げられてきた。2016年5月以降、ニジェールデルタ地域にて、Niger Delta AvengersやNiger Delta Greenland Justice Mandateなどといった反政府武装勢力が石油関連施設への襲撃を繰り返した結果、同年7月のナイジェリアの原油生産量は139万b/dとなり、対前年同期比で38万b/d程度減少した。さらに、石油産業が打撃を受けたことで、2016年の第1四半期以降、経済の停滞をもたらしていた。 しかし、ニジェールデルタ地域が安定の兆しを見せ始めたことから、2016年後半以降、生産 量と輸出は増加に転じ始める。2016年第4四半期の原油生産量は前四半期より19万b/d増加し、144万b/dに到達した(IEA)。 IEA OMR 8月号の数字によると、2017年7月OPEC加盟14カ国の原油生産量は前月比で23万b/d強増え、3,284万b/dに到達している。これは、2017年1月に協調減産を実施して以来最高の水準である。このときのナイジェリアの原油生産量は前月比3万b/d増の160万b/d、リビアの原油生産量は同17万b/d増の101万b/dであり、他の加盟国の増減と比較して、この2国の増産の影響が大きかったことが見てとれる。 こうした流れを受けて、ナイジェリア及びリビアは、2017年9月22日ウィーンにて開かれる協調減産監視委員会に出席を求められている。両国の生産量回復から、協調減産実施国は両国を減産枠組みに組み入れるべきか検討しており、同会議において、両国の今後の意向確認を踏まえた話し合いが行われる。なお、同会議の詳細は未定であるが、実際に両国を協調減産枠組みに組み入れるか否かの決定は、減産実施期限である2018年3月以降になる見込みであるという。 2 .治安改善へ向けた動き 図2 ナイジェリア地図 ナイジェリアでは、1950年代に石油の埋蔵が豊富なBayelsa州(図2)で石油生産が開始され、その10数年後の1971年に石油輸出国機構OPECに加盟した。主な生産地域は南東部陸上~浅海ニジェールデルタ(深海油田は生産能力の約3割)であるが、石油のもたらす富の分配を求めて、反政府武装勢力がパイプラインなどのインフラを破壊し、また、油窃盗によるパイプラインの破損も発生している。これらは、生産減、油汚染の要因となり、最悪のケースでは、油田のシャットダウンにつながる。石油会社は、石油供給について不可抗力条項を発動ニジェールデルタ(Bayelsa州) 出典:IEA しており、地上の不安定性と供給の混乱によって、同地域の原油生産はしばしば妨げられてきた。最大で1日当たり50万バレル程度の無計画停止に至ることもあった。 2016年5月以降、ニジェールデルタ地域にて、Niger Delta AvengersやNiger Delta Greenland Justice Mandateなどといった反政府武装勢力が石油関連施設への襲撃を繰り返してきたことは冒頭にも述べたとおりであるが、こうした中ついに、2016年6月、ナイジェリアのカチク石油資源相はNiger Delta Avengersと交渉を開始する意向を示した。これを受けて同月末、Niger Delta Avengersは戦闘行為を停止したと発表。さらに、同年11月1日、ニジェール・デルタ市民グループからナイジェリア政府宛に「16条の要求」が提出された。石油収入の地元への還元、若年層の雇用創出等を求めた要求書である。こうした中、2017年1月初旬頃から武装勢力の攻撃は沈静化し、生産量は徐々に回復基調に向かっていった。 「16条の要求」提出からおよそ8ヶ月を経た2017年7月末、地域の平和実現のため、Edwin Clarkをリーダーとするニジェール・デルタ市民グループ連合により、「Pan Niger Delta Forum(PANDEF)」が開催された。本フォーラムは、「16条の要求」が提出された2016年11月1日より1年後を迎えるまでに同内容を実施してほしいという期待を込めて開催するもの(Edwin Clark発言)で、2017年11月1日まで継続される。これについて主にイェミ・オシバジョ副大統領がPANDEFリーダーらとの交渉にあたり、ニジェール・デルタ地域を訪問した。さらに、原油生産地域の舵をとり関連施設を早急に稼働させるため、政府は閣僚間会合も行っている。 こうした流れを受け、ニジェールデルタ地域は安定化の兆しを見せ始めている。それに伴い、原油生産量は増加に転じ、このたびのOPEC協調減産参加が検討されるに至った。足元の状況として3 ヘ、ナイジェリアの増産が油価に下方圧力をかけ、OPECの減産目標到達における懸念材料となっている。今後、ナイジェリアの原油生産が、世界の原油需給バランスにどう影響を与えるかに注目が集まっている。 4
地域1 アフリカ
国1 ナイジェリア
地域2
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地域9
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国10
国・地域 アフリカ,ナイジェリア
2017/09/25 古川 ゆかり
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