原油市場他:米国での原油在庫増加と対OPEC産油国原油需要減少見通し、そして欧州での利下げで下方圧力を受ける原油価格
レポートID | 1004401 |
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作成日 | 2013-11-18 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 市場 |
著者 | 野神 隆之 |
著者直接入力 | |
年度 | 2013 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | 更新日:2013/11/17 調査部:野神 隆之 原油市場他:米国での原油在庫増加と対OPEC産油国原油需要減少見通し、そして欧州での利下げで下方圧力を受ける原油価格 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国では冬場の暖房シーズン突入に伴う燃料需要期到来により、製油所での秋場のメンテナンス作業が終了し原油精製処理量を増加させる時期に来ているが、製油所での装置の不具合等の発生から、当該処理量が伸び悩んでいることもあり、原油在庫は増加傾向を示し、量としても平年幅を超過する状態が続いている。反面、製油所での精製活動の低迷により、石油製品在庫は減少傾向となった。それでもガソリン在庫は量としては平年幅の上限付近に位置しているが、留出油については平年幅の下限付近に位置する量となっている。 ② 2013年10月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、米国では製油所での装置の不具合で、また、欧州では製油所メンテナンス作業の他精製利幅が確保できないことから、さらに日本でも秋場の製油所メンテナンス作業に加え操業上の支障により、それぞれ、製油所での原油精製処理量が低迷したことが影響し、各地域で原油在庫が増加した結果、OECD諸国全体でも原油在庫は増加となり、量としても平年幅を超過する状況が続いている。他方、石油製品については、米国、欧州及び日本で原油精製処理量が低迷したこともあり、各地域で石油製品在庫が減少した結果、OECD諸国全体としても当該在庫は低下、この時期としては平年幅下限付近に位置する量となっている。ただ、10月末時点での在庫日数は2013年を含めここ数年間30日程度で安定しており、2000年代に比べればむしろ多いくらいであることから、必ずしも当該需給が逼迫していることを示しているわけではない。 ③ 2013年10月中旬から11月中旬にかけての原油市場においては、米国での原油在庫の増加傾向による市場での石油需給緩和感の醸成に加え、石油輸出国機構(OPEC)事務局による対OPEC産油国石油需要減少見通しの発表、11月7日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会を前にした当該理事会での政策金利引き下げ観測や実際の金利引き下げ決定に伴うユーロ下落と米ドル上昇の影響を受け、原油価格(WTI)は概ね下落傾向となり、10月21日には終値ベースで1バレル当たり100ドルを割り込んだ他、11月14日には6月4日以来の安値である92.51ドルに到達する場面も見られた。 ④ 今後はイランのウラン濃縮問題を巡る西側諸国等との協議の結果とその後の展開、リビア情勢と同国からの石油生産及び輸出の推移、労働市場を含めた米国での経済情勢などを織り込みつつ、原油価格が変動していくと見られる。また、冬場の暖房シーズンに伴う暖房用燃料需要の増加、もしくはその見通しから、暖房油価格、そして原油価格が季節的に上昇しやすくなると思われるが、その兆候を見極めるべく米国石油統計が重視されると考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 2013年8月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比0.7%程度の減少の日量909万バレルと速報値(同910万バレル)から若干ではあるが下方修正された(図1参照)。当該需要は2011年8月の日量893万バレルは超過しているものの、それ以外に8月として本年の水準を下回るのは、2001年(この時は895万バレル)となるなど引き続き8月時点ではガソリン需要は低迷していることが窺われる。他方2013年10月の同国ガソリン需要(速報値)は前年同月比3.8%程度増加の日量904万バレルとなっている。これについては、ガソリン小売価格が下落してきた(2013年10月の全米平均ガソリン小売価格は10月としては2010年以来の低水準であった)ことから消費が刺激されていることに伴うものとの指摘もあるものの、速報値の段階では米国外への輸出量が暫定数値になっており、この輸出が実際には暫定数値以上に増加している可能性があり、その結果暫定数値を上回る部分については需要に含まれてしまうことにより、速報値では需要がその分だけ大きく見えている恐れがあると見る向きもある。そしてその場合、確定値に移行する際には需要量から輸出量へと振り替えられることから、確定値でのガソリン需要は速報値から下方修正される可能性がある。他方、米国では通常製油所の秋場のメンテナンス作業を終え稼働を上昇させるとともに原油精製処理量を増加させる時期に来ているが、2013年は製油所での装置の不具合が発生するなどしていることから、原油精製処理量は増加はしているものの、その規模が限定的であること(図2参照)により、ガソリン生産ももたついている(図3参照)こともあり、当該製品在庫は減少傾向になり、量としては平年幅の上限付近に位置している(図4参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 013年8月の米国留出油需要(確定値)は前年同月比0.4%程度減少の日量373万バレルと速報値 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? ナある同371万バレル(前年同月比0.9%程度の減少)から若干ながら上方修正された(図5参照)。しかしながら前年同月比で減少を示している状況に変わりはない。他方、10月の当該製品需要(速報値)は前年同月比で1.8%程度増加の日量392万バレルとなっているが、ここにおいても国外への輸出分(暫定とした輸出数値を超過する部分)が含まれている可能性があり、それが確定値に移行する際に除去されることもありうるため、注意が必要であろう。他方、製油所での原油精製処理量の低迷は留出油生産にも影響を及ぼしており(図6参照)、米国での留出油在庫も減少傾向となった結果、量としては平年幅の下限付近に位置するようになっている(図7参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 米国でのガソリンと留出油の需要増減もあり、2013年8月の同国石油需要(確定値)は日量1,909万バレルと前年同月比で0.3%程度の減少、同年10月のそれ(速報値)は日量1,937万バレルと前年同月比3.6%程度の増加となっている(図8参照)。また、製油所での稼働上昇がもたついた結果米国原油在庫は増加傾向になり平年幅を超過する量が続いている(図9参照)。なお、原油在庫が平年幅を相当程度超過、ガソリン在庫が平年幅上限付近、留出油在庫が平年幅下限付近に、それぞれ位置していることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅を超過している(図10及び11参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? 2013年10月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、米国では製油所での装置の不具合で、また、欧州では製油所メンテナンス作業の他精製利幅が確保できないことから、さらに日本でも秋場の製油所メンテナンス作業に加え操業上の支障により、それぞれ、製油所での原油精製処理量が低迷したことが影響し、各地域で原油在庫が増加した結果、OECD諸国全体でGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? 煬エ油在庫は増加となり、量としても平年幅を超過する状況が続いている(図12参照)。他方、石油製品については、米国、欧州及び日本で原油精製処理量が低迷したこともあり、各地域で石油製品在庫が減少した結果、OECD諸国全体としても当該在庫は低下、この時期としては平年幅下限付近に位置する量となった(図13参照)。ただ、OECD諸国の石油需要は近年減少傾向にあることから、在庫量としては平年幅下限に位置していても、例えば10月末時点での在庫日数(月末の在庫量をその直後の3ヶ月間の1日当たり需要で除したもの)は2013年を含めここ数年間30日程度で安定しており(図14参照)、2000年代に比べればむしろ多いくらいであることから、必ずしも当該需給が逼迫しているわけではないことに留意する必要があろう。なお、原油在庫が平年幅を超過する一方で石油製品在庫が平年幅の下限付近となっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年並みとなっている(図15参照)。また、10月末時点でのOECD諸国推定石油在庫日数は58.9日と9月末の推定在庫日数である58.5日から上昇している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? シンガポールでのガソリン等の軽質製品在庫は、10月9日から11月13日にかけて、インドネシアや豪州、ベトナム等への輸出の増減の影響を受けつつ上下変動したが、概ね1,000~1,100万バレル台後半で推移したおり、この時期としては、少なくとも平年並みかむしろ多いぐらいであり、このため、アジア市場でのガソリン価格は原油価格と概ね連動する形で変動していたが、両者の価格差は軒並み前年同期を下回る水準で推移した。他方、アジア地域でのナフサ分解装置が秋場のメンテナンス作業を終了しクリスマス向けの玩具製造活動活発化に伴うプラスチック等石油化学製品需要増加を控えて操業を再開したことからナフサ需要が増加していることに加え、ナフサと同様に石油化学原料に用いられる液化石油ガス(LPG)価格が冬場の接近に伴う暖房用需要増加により上昇、そして石油化学部門でのLPGの代替原料として相対的に割安感の強まったナフサ需要を押し上げる格好となっている。他方、インドでは製油所のメンテナンスが実施されていること(9月末から12月半ばにかけIndian OilのMathura製油所(原油精製処理能力日量17万バレル)及びBaharat PetroleumのKochi Kerara製油所(同21万バレル)が製油所のメンテナンス作業を実施していると伝えられる)により、ナフサの供給が低下したことから、結果としてナフサの需給に引き締まり感が発生していることもあり、ナフサの価格は原油価格に比べて上昇傾Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? Vンガポールでの中間留分在庫については、10月9日時点では910万バレル程度であったが、その後は日本や韓国からシンガポールへの輸出やシンガポールから豪州への輸出等の影響を受けつつ概ね850~980万バレル程度の水準と比較的限られた範囲で推移した。このようなこともあり、例えばアジア市場における軽油価格も概ね原油価格と歩調を合わす形で変動している。 シンガポールの重油在庫については、10月9日の2,200万バレル弱が11月6日には1,700万バレルを割り込む水準へと低下した。これは、ロシアやオランダといった諸国で製油所のメンテナンス作業が実施されたり冬場の暖房需要が増加したりしていることにより、シンガポールへの輸出が低下したことが一因とされる(製油所のメンテナンス作業に伴い低動粘度重油のアジア地域向け供給が低下したと見る向きもある)。ただ、その後10月に活発に取引された重油がシンガポールで貯蔵されるようになったと見られ、11月13日には2,100万バレル弱の水準を回復した。そして、重油価格は10月中旬から11月上旬にかけ引き締まり感から同時期に発生した原油価格の下落傾向に比べて相対的に価格を維持する場面も見られたが、その後は原油価格に比べて下落幅が拡大することになった。また、一時は低動粘度の重油価格が高動粘度の重油に比べて割高の度合いが高まるといった現象も見られた。 2013年10月中旬から11月中旬にかけての原油市場においては、米国での原油在庫の増加傾向による市場での石油需給緩和感の醸成に加え、石油輸出国機構(OPEC)事務局による対OPEC産油国石油需要減少の見通しの発表、11月7日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会を前にした当該理事会での政策金利引き下げ観測や実際の金利引き下げ決定に伴うユーロ下落と米ドル上昇の影響を受け、原油価格(WTI)は概ね下落傾向となり、10月21日には終値ベースで1バレル当たり100ドルを割り込んだ他、11月14日には6月4日以来の安値である92.51ドルに到達する場面も見られた(図16参照)。 2013年10月中旬から11月中旬にかけての原油市場等の状況 . 2向となっている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? 10月14日には、この日の午後に米国のオバマ大統領とバイデン副大統領が議会指導者と同国債務上限引き上げ及び政府機関閉鎖解除について協議する旨オバマ政権側が明らかにしたことで、当該問題解決に向け事態が前進するとの期待感が市場で増大したことにより、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.39ドル上昇、終値は102.41ドルとなった。ただ、翌15日には、この日においても、米国債務上限引き上げ及び政府機関の閉鎖解除に関して議会上院及び下院で検討が行われているものの、依然オバマ大統領及び上院と、下院との間での歩み寄りが見られないことから、同国の債務不履行に対する懸念が市場で増大したことに加え、10月15~16日の予定で開催されている、ウラン濃縮問題に関するイラン、及び国連安全保障理事会常任理事国5ヶ国にドイツを加えた6ヶ国による協議で、当該問題に関して事態が前進するのではないかとの観測が市場で発生したことから、 この日の原油価格の終値は1バレル当たり101.21ドルと前日終値比で1.20ドル下落した。10月16日には、この日米国議会上院の民主党及び共和党が2014年2月7日までの同国連邦債務上限の引き上げと同年1月15日までの政府予算措置を実施する旨合意、この案で下院も通過すると予想されたこともあり、同国の連邦債務引き上げ及び予算措置に関して楽観的な見方が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.08ドル上昇し、終値は102.29ドルとなったものの、10月16日夕方に米国石油協会(API: American Petroleum Institute)から発表された同国石油統計で原油在庫が前週比594万バレルの増加と市場の事前予想(220~255万バレル程度の増加)を上回った他、クッシングでの原油在庫も29万バレル増加していた旨判明したことに加え、10月17日に米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(10月12日の週分)が35.8万件と前週比で1.5万件減少したものの市場の事前予想(33.5万件)を上回っていたことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり100.67ドルと前日終値比で1.62ドル下落した。10月18日には、この日中国国家統計局から発表された2013年7~9月の同国Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? 蒼熨告カ産(GDP)が前年同期比7.8%の増加と2013年4~6月の同7.5%の増加から加速したことに加え、10月1~16日の米国政府予算措置を巡る混乱で同国経済が減速することに伴い金融緩和策が2014年初まで継続するとの観測が市場で発生した(当初の市場の観測は2013年内に金融緩和策縮小開始というものであった))ことにより、米ドルが下落したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.14ドル上昇、終値は100.81ドルとなった。 10月21日には、この日米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)から発表された同国石油統計(10月11日の週分)(当初は10月16日に発表される予定であったが米国政府機関の閉鎖により延期されていた)で原油在庫が市場の事前予想(前週比220~300万バレル程度の増加)を上回る、同400万バレルの増加となっている旨判明したこと、翌22日には、10月23日に発表される予定のEIAによる同国石油統計(10月18日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で増大したことにより、原油価格は10月21~22日合計で併せて1バレル当たり3.01ドル下落、10月22日の終値は1バレル当たり97.80ドルとなった他、10月21日には終値ベースでは7月2日(この時の終値は1バレル当たり99.60ドル)以来の100ドル割れとなった(なお、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の2013年11月渡しWTI原油先物取引はこの日を以て終了したが、12月渡し契約のこの日の終値は1バレル当たり98.30ドル(前日終値比1.38ドル下落)であった))。10月23日には、この日EIAから発表された同国石油統計で原油在庫が前週比525万バレルの増加と、市場の事前予想(同290~300万バレル程度の増加)を上回って増加している旨判明したことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり96.86ドルと前日終値比で0.94ドル下落した。ただ、翌24日には、この日英大手金融機関HSBC及び英金融情報サービス会社マークイットから発表された10月の中国製造業購買担当者指数(PMI)(速報値)(50が当部門拡大と縮小の分岐点)が50.9と市場の事前予想(50.4)を上回ったことに加え、10月24日に発表された米自動車大手フォード・モーターズ及び米住宅建設大手パルト・グループ(PulteGroup)等の2013年7~9月期業績が市場の事前予想を上回ったことから米国株式相場が上昇したこと、前日(10月23日)夜にCitgoのLemont製油所(イリノイ州、原油精製処理能力日量17.45万バレル)の原油蒸留装置が火災で停止したことでガソリン供給低下懸念が市場で発生したことから10月24日の米国ガソリン先物相場が上昇したこと、また、10月25日には米国商務省から発表された9月の同国耐久財受注額が前月比3.7%増加と市場の事前予想(同2.0~2.3%増加)を上回ったことに加え、10月24日夕方に発表された米マイクロソフトの2013年7~9月期業績が市場の事前予想を上回った他米インターネット小売り最大手アマゾン・ドット・コムの2013年7~9月期売上高が市場の事前予想を上回ったことから10月25日の米国株式相場が上昇したこと、10月25日にIneosがGrangemouth製油所の即時操業再開を発表したことで当該製油所から電力等の供給を受けているFortiesパイプラインの操業停止の可能性に関する市場の懸念が後退したことかGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? 轣AブレントとWTIの価格差を巡る取引で利益確定(ブレント先物契約を売却する一方でWTI先物契約を購入)が発生したことにより、原油価格は10月24~25日の2日間で併せて0.99ドル上昇、10月25日の終値は1バレル当たり97.85ドルとなった。 また、10月27~28日にかけ、リビアのZawiyaや及びMellitahの石油ターミナル、そしてEl Sharara油田において抗議活動により石油の輸出や生産が影響を受け、同国の輸出量が日量9万バレル程度にまで低下した(同国の輸出能力は日量125万バレルと言われている)と報じられたことで、同国を巡る石油供給途絶懸念が市場で増大したことに加え、10月29~30日に開催される予定の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で金融緩和策縮小が見送られるとの観測が10月28日の市場で増大したことから、10月28日の原油価格の終値は1バレル当たり98.68ドルと前日終値比で0.83ドル上昇したものの、10月29日には、翌30日にEIAから発表される予定の同国石油統計(10月25日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したこと、果たして10月30日には、この日EIAから発表された同国石油統計で原油在庫が前週比409万バレルの増加と市場の事前予想(同220~350万バレル程度の増加)を上回って増加していた旨判明したこと、翌31日にも、前日にEIAから発表された同国石油統計で原油在庫が市場の事前予想以上に増加していたことに伴う、市場での石油需給緩和感醸成の流れを引き継いだうえ、10月31日に欧州連合統計局(ユーロスタット)から発表された10月のユーロ圏消費者物価指数(速報値)が前年同月比0.7%の上昇と市場の事前予想(同1.1%上昇)を下回ったことで、11月7日に開催される予定であるECB理事会で追加金融緩和策が決定されるのではないかとの観測が市場で発生したことにより、ユーロが下落した反面米ドルが上昇したこと、11月1日にも、10月30日にEIAから発表された同国石油統計で原油在庫が市場の事前予想を上回って増加していたことによる、市場での石油需給緩和感醸成の流れを引き継いだうえ、ECB理事会における追加金融緩和策実施観測の流れがこの日に引き継がれたことから米ドルが上昇したことにより、原油価格は10月29日~11月1日の4日間併せて1バレル当たり4.07ドル下落し、11月1日の終値は94.61ドルとなった。 11月4日には、 この日、リビアのMellitah及びHalligaの石油ターミナルが操業再開に向け準備中である旨のリビア国営石油会社NOC関係者による談話が報じられたことで、同国を巡る石油供給途絶懸念が市場で後退したことが、原油相場に下方圧力を加えた一方で、11月4日にマークイットから発表された10月のユーロ圏製造業PMI(改定値)(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が51.3と10月24日に発表された速報値と一致し、9月の51.1から上昇したことにより、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したことが、原油相場に上方圧力を加えたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり94.62ドルと前週末終値比で0.01ドルの上昇にとどまった。11月5日には、翌6日にEIAから発表される予定の同国石油統計(11月1日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で増大したことに加え、ECB理事Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? ?ナ主要政策金利の引き下げが決定されるとの観測でユーロが下落したうえ同日米国供給管理協会(ISM)から発表された10月の同国非製造業景況感指数(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が55.4と9月の54.4から上昇した他市場の事前予想(54.0)を上回ったことにより米ドルが上昇したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.25ドル下落し、終値は93.37ドルとなった。ただ、11月6日には、この日EIAから発表された同国石油統計でガソリン及び留出油在庫がそれぞれ前週比376万バレル、同490万バレルの減少と市場の事前予想(ガソリン前週比30~100万バレル程度、留出油同130~150万バレル程度の、それぞれ減少)以上に減少している旨判明したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり94.80ドルと前日終値比で1.43ドル上昇した。しかしながら、11月7日には、この日開催されたECB理事会で主要政策金利を0.25%引き下げ過去最低の0.25%とする旨決定したことによりユーロが下落した一方で、11月7日に米国商務省から発表された2013年7~9月(第三四半期)の同国GDPが前期比で年率2.8%の増加となり同年4~6月期(同2.5%増加)から経済成長が加速した他市場の事前予想(同2.0%増加)を上回ったことから、米ドルが上昇したこと、11月7日に発表されたOPEC事務局による「世界石油展望」(World Oil Outlook)で非OPEC産油国での石油生産の増加により、対OPEC産油国原油需要が2013年の日量3,030万バレルから2018年には日量2,920万バレルへと減少する旨の見通しを明らかにしたこと、さらに、11月7~8日の予定で開催されているイランのウラン濃縮問題を巡る国連安全保障理事会常任理事国5ヶ国及びドイツとの協議(於ジュネーブ)の進展に関する期待が市場で増大したことで、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.60ドル下落し終値は94.20ドルとなった。ただ、11月8日には、開催中のイランのウラン濃縮問題を巡る国連安全保障理事会常任理事国5ヶ国及びドイツとの協議に関し、ケリー米国務長官が両者間には依然相当な意見の相違がある旨明らかにしたことで、当該協議での合意到達に対する市場の期待が後退したこと、11月8日にリビアのHalliga石油ターミナルにおいて60万バレルのイタリア向け原油の船積みが抗議行動により阻止されたことで、同国を巡る石油供給に対する懸念が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.40ドル上昇、94.60ドルでこの週の取引を終了した。 11月11日には、11月7~9日に開催された(当初予定よりも1日延長された)イランのウラン濃縮問題を巡る国連安全保障理事会常任理事国5ヶ国及びドイツとの協議で合意に至らなかったことを市場が織り込んだことに加え、これまで米ドルが上昇してきたことに対する利益確定の動きが発生し米ドルが下落したことにより、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.54ドル上昇し、終値は95.14ドルとなった。翌12日には、11月14日にEIAから発表される予定の同国石油統計(11月8日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したことに加え、11月12日にロックハート米国アトランタ連邦準備銀行総裁が12月17~18日開催予定のFOMCにおいて金融緩和策縮小に関する議論が行わGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? 黷驩ツ能性がある旨示唆したことで、米国金融当局による当該緩和策縮小開始に関する懸念が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり93.04ドルと前日終値比で2.10ドル下落した。11月13日には、翌14日にEIAから発表される予定の同国石油統計でガソリン在庫が減少しているとの観測が市場で発生したことにより米国ガソリン先物相場が上昇したことに加え、リビアでの石油生産量低迷を巡る市場の根強い懸念を織り込んだことで、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.84ドル上昇、終値は93.88ドルとなった。11月14日には、この日EIAから発表された同国石油統計で原油在庫が市場の事前予想(前週比80~180万バレル程度の増加)を上回る、同264万バレルの増加となっていた他、クッシングでの原油在庫も前週比で169万バレル増加していた旨判明したことで、この日の原油価格は一時1バレル当たり92.51ドルと、6月4日(この時の安値は92.38ドル)以来の安値に到達する場面も見られたが、同日実施された米国議会上院銀行委員会の米国連邦準備制度理事会(FRB)次期議長指名承認公聴会で、イエレンFRB副議長が、早急な金融緩和策の縮小は行わない旨示唆したことで、原油価格は下落幅を縮小し、終値は1バレル当たり93.76ドルと前日終値比で0.12ドルの下落となった。また、11月15日においても、前日に実施された米国議会上院銀行委員会の指名承認公聴会で、イエレンFRB副議長が、早急な金融緩和策の縮小は行わない旨示唆したことで、当面の米国金融当局による金融緩和策継続に対する観測が市場で増大した流れを引き継いだことが、原油相場に上方圧力を加えた一方で、11月14日にEIAから発表された同国石油統計で原油在庫が市場の事前予想を上回って増加していた他クッシングでの原油在庫も増加していた旨判明した流れを引き継いだことに加え、米国政府高官が、11月20日に開催される予定のイランのウラン濃縮問題を巡る国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6ヶ国との交渉において第一段階の合意に到達する可能性は十分ある旨発言したと11月15日に複数報道機関で報じられたことが、原油相場に下方圧力を加えた結果、この日の原油価格の終値は1バレル当たり93.84ドルと前日終値比で0.08ドルの上昇にとどまった。 . 今後の見通し等 イランについては、ロウハニ政権になってから3回目のウラン濃縮問題に関する協議が11月20日に 3西側諸国等(国連安保理常任理事国5ヶ国にドイツを加えた6ヶ国)との間で開催される。欧米側はイラン側が譲歩しないことが11月7~9日の協議時において合意に至らなかった原因である旨11月11日にケリー米国務長官が明らかにしている一方で、イラン側では同日ザリフ外相がこのような欧米の姿勢について信頼を損ねるものとして批判するなど、双方で多少の不信感が持たれていることを示唆している。ただ、引き続き外交的解決を目指す方向性には変わりはなく、次回協議においても交渉が大きく後退する可能性は低い(最悪でも次回日程を設定のうえ引き続き協議を継続する)ものと考えられる。その意味Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? ナは、原油相場は11月20日の協議前には交渉の行方に関する不透明感から神経質な展開、そして協議において「第一段階の合意」が得られれば下落、得られなければ上昇、ということになろうが、合意が得られた場合でも、本件は直接の交渉者以外にもイランへの制裁緩和に反対するイスラエルや米国議会といった関係者も存在することから、この先の交渉は紆余曲折を経る可能性もあると考えられ、このため、イランへの制裁が解除され、同国が石油を増産できるようになるまでにはなお相当な時間を要すると思われる一方で、以前に比べて西側諸国等によるイランに対する制裁強化やそれに伴うイラン側の姿勢の硬化、そしてホルムズ海峡封鎖と米国によるイランに対する軍事介入の可能性に対する市場の懸念は低下してきていると考えられるため、11月20日からの協議の結果で相場が上昇もしくは下落両面で変動したとしてもその幅は限定的なものとなると思われる。 また、リビア情勢は、原油相場を下支えする要因として作用することになろう。10月の同国の原油生産量は日量45万バレルと9月の日量30万バレルからは増加してはいるものの、最近でもHalliga石油ターミナルでイタリア向けの原油の船積みが抗議行動で防止される(前述)など、同国の石油生産状態は不安定なままである。このようなこともあり、リビアでの石油生産の増加は、もしそうなったとしてもある程度の期間持続し、同国の石油生産に関する障害がもはやこれ以上悪化しない、と市場が確信を持てるようになるまでは原油相場に下方圧力を加えるようにはならず、むしろ今後北半球が冬場の暖房シーズンに突入し暖房油需要が増加することに伴う市場での需給引き締まり感から、欧州での原油相場に上方圧力を加える格好となりやすいものと考えられる。 エジプトについては、11月13日に、翌14日を以て同国で発令されていた非常事態宣言を解除する旨発表した。ただ、これまでも同国を巡っては軍の警備によりスエズ運河及びスメドパイプラインの操業には影響が生じていなかったことから、この件に関する原油相場への影響は軽微であろう。シリアについても、国内の化学兵器廃棄に関する作業が継続しており、これもこれまでの流れの延長線上にあることから、原油相場への影響は限定的であると考えられる。 11月14日午前(米国東部時間)に行われたイエレンFRB副議長による米議会上院銀行委員会での公聴会での発言については、バーナンキFRB現議長の後任である同氏がバーナンキ議長よりも金融緩和策に積極的であるとされ、また、同氏が公聴会で金融緩和策の早急な縮小開始には否定である旨示唆したことから、金融緩和策が長期化するとの観測も市場で発生しているようであるが、他方、金融緩和を恒久的には継続できない旨の発言も行っていることから、引き続き米国金融緩和策の動向については、雇用に関する統計次第ということになろう。ただ、11月8日に発表された10月の米国非農業部門雇用者数は、この月に政府機関閉鎖が発生したにもかかわらず、市場の事前予想(前月比12.0~12.5万人増加)を上回る、同20.4万人の増加となっているなど改善を示していることから、縮小開始時期に関して多Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 15 ? ュの前後はあろうが金融緩和策縮小観測自体が大きく変更するとは考えにくく、従ってこの面で原油価格の上昇傾向が継続する可能性は低いのではないかと考えられる。そして、原油相場は特に労働市場の動向を中心として他の経済指標類の結果とその金融緩和策への影響を織り込みつつ上下変動していくと考えられる。なお、10月8日夕方のアルコアから開始された2013年7~9月期の米国等企業決算については最盛期は過ぎつつあり発表数も減少しつつあるので、この面では原油相場への影響は限定的になるのではないかと考えられる。 一方で、石油需給面については、当面EIAによる米国石油統計が注目点となろう。既に11月に入り、米国等の北半球は冬場の暖房シーズンに伴う燃料需要期に突入している。ただ、11月14日に発表された同国石油統計では原油精製処理量はそれなりに増加しているものの原油在庫は市場の事前予想以上に増加、他方、製品在庫は市場の事前予想通りか予想以下の減少となっており、現時点では、原油需給が引き締まってきているとの印象を市場に与えることができず、原油市場関係者が冬場の暖房シーズンと燃料需要期到来に伴う原油相場上昇の展望を描き切れないことから、原油相場に下方圧力を加える結果となっている。この面においては、今後発表される米国石油統計発表で冬場の暖房需要期に向け製油所での原油購入活発化の兆候が見られるかどうかが重要になってくると考えられる。そして、ここでは原油精製処理量、原油在庫、製品在庫、需要について市場関係者が注視することになろう。つまり、原油精製処理量が増加するとともに、原油在庫の増加幅が鈍化、または減少に転ずる、もしくは、原油精製処理量が増加しなくても、留出油需要が堅調になるとともに当該在庫が大きく減少するようだと、冬場の暖房需要期が市場で意識されるとともに原油相場に対して上方圧力を加えてくることもありえる。なお、11月16日時点の米国海洋大気庁(NOAA)による気象予報では11月末にかけ米国北東部では一部例外もあるものの概ね平年を下回る気温になると予想されている。このため、間もなく暖房油(や軽油)及び原油相場に対して上方圧力が加わってくる可能性がある。そして今後も米国北東部における実際の気温及び気温予報については十分注意する必要があろう。 また、11月後半~12月末にかけては米国メキシコ湾岸の主要製油所に通じるヒューストン運河(Houston Ship Channel)等において濃霧の影響で原油輸送タンカーの航行にしばしば支障が生じることにより当該製油所での原油在庫の積み上げが鈍化することがありうる他、年末の課税対策から精製業者等が原油在庫等を減少させる(米国の一部の州では年末の石油在庫評価額に対して固定資産税等が課税されることから、原油価格等が高水準であると課税額が膨大になるため精製業者等は必要以上の在庫を保有することを敬遠するとされる)可能性がある(但し1月以降は製油所等での原油等の受入が再開されることから在庫が増加する光景がしばしば見られる)。このようなことから、年末にかけて発表される米国石油統計では原油在庫等が減少傾向を示す場面が発生することが考えられ、これが市場で石油Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 16 ? 汲フ引き締まりの兆候と受け取られ、原油価格に上方圧力が加えられる、といったことも想定される。 OPEC加盟産油国は12月4日にオーストリアのウィーンで通常総会を開催する予定である。米国でのシェールオイル増産を中心とする非OPEC産油国での堅調な石油供給による在庫の積み上がりと市場における需給緩和感の醸成から原油相場へ下方圧力が加わる可能性をOPEC産油国も意識し始めていると考えられることから、次回総会では、現在加盟13ヶ国で日量3,000万バレルの原油生産上限を引き下げるかどうかが焦点となろう。ただ、現時点で原油価格はサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が理想な価格とするブレントで1バレル当たり100ドルを超過しているうえ、OPEC事務局が発行している11月の月刊オイル・マーケット・レポートでは、OPEC加盟13ヶ国による10月の原油生産量が日量2,989万バレル、2013年の対OPEC産油国原油需要が日量2,990万バレル、2014年のそれが日量2,960万バレルと、現行の原油生産上限である日量3,000万バレルからそうかけ離れていない水準であることから、今後総会までに原油相場が大幅に下落するといった事態に陥らない限り、総会においては、原油生産上限は据え置きにする一方で、世界石油需給状況の不透明性に鑑み、市場の動向を緊密に監視するとともに、需給状況や価格に変化が生じた場合には、加盟国による原油生産量の調整や加盟国間での電話会議、もしくは臨時総会の開催、といった対応を考える旨決定される可能性が高いと考えられる。 . 米国でのシェールオイル等が世界石油市場に及ぼす影響 米国でシェールオイルが増産され始めて以来、米国石油市場においては勿論変化が発生しているが、 4軽質であるシェールオイルと類似する原油を米国に向け輸出していたアルジェリアやナイジェリア等の産油国産の原油の米国への輸入量が減少するとともに大西洋圏を中心として石油需給が緩和する一方で、これまで見られた株式相場と原油相場との相関が崩れてきているなど、米国でのシェールオイル増産は世界石油市場にも影響を及ぼし始めている。さらに最近ではそれ以上の変化も見られるようになっている。ここでは、そのような最近の変化について見ていくことにしたい。 米国では堅調にシェールオイル生産が増加していると推定される。2013年1~8月の同国の原油生産量は日量729万バレルと前年同期比日量101万バレルの増加となっている。同国陸上やアラスカでの在来型原油生産量は近年伸び悩むどころかむしろ減退傾向にあった他、米国メキシコ湾沖合での原油生産量も近年殆ど増加していないところからすると、少なくとも同国での原油生産量の増加分の殆どはシェールオイルのよるものと考えられる。2011年の米国でのシェールオイルの生産量は日量122万バレルであった(EIA「Annual Energy Outlook 2013」による)。米国での2012年の原油生産量は日量650万バレルと前年比94万バレルの増加となっており、やはりこの増加分の殆どがシェールオイルであると推定されGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 17 ? 驕Bこのようなことから、2012年の米国シェールオイル生産量は日量200万バレル超となり、2013年は同300万バレル超にまで到達する可能性があると推定される(図17参照)。 ただ、例えばノースダコタ州のバッケンシェール等米国中西部で産出されるシェールオイルはそれを輸送するパイプラインの建設が追い付かず、鉄道で輸送される状況であった。そして、鉄道輸送は費用がかさむ(輸送距離等にもよるが1バレル当たり10ドル程度と言われる)こともあり、これが米国内陸部(オクラホマ州クッシング)で引き渡されるWTIとブレントや米国メキシコ湾沖合で生産される原油(ライト・ルイジアナ・スイート(Light Louisina Sweet:LLS)及びマーズ(Mars))との間での価格差を生じさせていた。しかしながら、最近では状況が変化しつつある。まず、パイプライン網が整備され始めると同時にパイプラインによる中西部からメキシコ湾岸地域への原油輸送が活発化し始めた(図18参照)。またそれのみならず中西部からメキシコ湾岸地域へはタンカーや艀による原油輸送も行われるようになっている(図19参照)。そしてこれまで米国メキシコ湾沖合で産出される原油に比べて割安であった内陸産のシェールオイルが米国メキシコ湾岸地域に到達する量が増加するに従って、米国メキシコ湾沖合で産出される原油の価格を押し下げるようになってきている。その結果、かつては当該地域で生産される原油価格はブレントとほぼ同水準であったものが、ブレント価格から乖離し始め、むしろWTIのそれに接近するようになってきている(図20参照)。もともとWTIとブレントの価格差はしばしば1バレル当たり10ドルを超過していたことから、鉄道輸送であっても、例えば、米国メキシコ湾岸地域の製油所は割安な原油を購入できる機会には恵まれていたが、パイプライン網の整備により割安な内陸産原油をなお一層入手しやすくなったメキシコ湾岸地域の製油所を中心として、米国では石油製品の生産と輸出をさらに活発化させてきているように見受けられる。そして特にその傾向が顕著なのは留出油であろう。2010年以降同国かGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 18 ? 轤フ留出油輸出は増加傾向ではあったが、2011年後半には日量100万バレルを突破、さらに2013年には日量138万バレル程度にまで到達するなどしている(図21参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 19 ? また、これはシェールオイルそのものではないが、シェールガス生産に伴い産出される天然ガス液(NGL:Natural Gas Liguids)の生産も増加傾向にあり(図22参照)(これは天然ガス価格の低迷していることから、シェールガスしか生産できないような採算性の悪い鉱床で開発を進めるよりも、NGLの生産を伴うシェールガス鉱床(NGLはLPGやガソリン成分を含むので石油製品に準じた価格で販売することが可能である)での開発が指向されていることによるものと考えられる)。これにより、NGLから抽出されるLPGの輸出も増加する傾向にある(図23参照)。生産された石油製品は、中南米の他、LPGは日本やオランダ、留出油もオランダの他フランスなどに輸出されている。なお日本のLPGは従来サウジアラビア(同国国営石油会社サウジアラムコが提示する通告価格(CP:Contract Price)が日本の輸入LPG価格の決定に大きな役割を果たしている)やカタール、UAEであったが、米国からのLPG輸入が行われるのとほぼ同時期にサウジアラビアなどからの輸入が減少傾向を示すなど変化の兆しが見られる(図24参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 20 ? 一方米国からの留出油等の石油製品輸入を増加させる傾向のある欧州は、それ以外にもインドからも輸入を増加させる傾向がある(図25参照)。そして米国では割安な自国産原油を入手して精製する機会が増大していることで、輸出競争力が増大しているが、インドでもRelianceの所有する最新鋭かつ世界最大級の規模を誇るジャムナガール(Jamnagar)製油所(原油精製能力日量60万バレル)で石油製品を生産しており、こちらも国際競争上有利な立場にある。一方で、欧州では、ブレントやドバイといった原油価格がリビアやイラン等の地政学的リスク要因の影響を受けWTIに比べ割高な水準で推移しており、また、域内の製油所が比較的小規模でありかつ高度化されていないことにより、国際競争上不利な状況となり精製利幅が確保できない(図26参照)ことから、最近では欧州の製油所は稼働を抑制する、といった事態に陥っている(図27参照)。このように、米国でのシェールガス増産が同国石油精製産業の競争力強化をもたらす一方で、他の地域では石油精製産業の競争力が脅かされる一因となりうる点に注意する必要があろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 21 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 22 ? |
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