ページ番号1004344 更新日 平成30年2月16日

オーストラリアにおけるシェールガス&タイトガス探鉱、およびNSWにおけるCSG(炭層メタンガス)探鉱・開発の現況について(2013年4月トピックス)

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レポートID 1004344
作成日 2013-04-22 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 北村 龍太
年度 2013
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ページ数
抽出データ 更新日:2013/4/22 シドニー事務所/北村 龍太 オーストラリアにおけるシェールガス&タイトガス探鉱、 およびNSWにおけるCSG(炭層メタンガス)探鉱・開発の現況について (2013年4月トピックス) 要旨: ① 北米において活況を呈するシェールガス開発に続けと、オーストラリアにおいても中小の地元独立系探鉱・生産企業を中心にシェールガス&タイトガス探鉱が進められてきていたが、昨今Chevron、Totalといった大手国際企業の参入も決定している。特に南オーストラリア州 (SA)のCooper Basinにおいては、2012年10月より国内初のシェールガスの生産が始まっており、周辺鉱区においてもシェールガス・タイトガスを対象にした探鉱活動が活発に行われている。 ② 一方で、ニューサウスウェールズ州 (NSW)におけるCSG (炭層メタンガス、豪州以外では一般的にCBM(Coal Bed Methan))については、探鉱・開発に対する規制強化の動きもあり、大型CSG-LNGプロジェクトが進行中のクイーンズランド州 (QLD)とは対照的な状況となっている。NSW州政府、連邦政府の相次ぐ発表に対して、同州での活動から撤退、もしくは凍結するする動きが相次いでいる。 1. 豪州におけるシェールガス&タイトガス探鉱 ? 概要 米国、カナダを中心としたシェールガス開発ブームに続けと、オーストラリアにおいても中小規模の企業を中心にシェールガス&タイトガス探鉱が進められている。 米国エネルギー情報局 (EIA)の2011年の資料によると、オーストラリアにおけるシェールガスの技術的に採掘可能な資源量は396TCF (Trillion Cubic Feet)と推定されている。これは同EIA資料において対象とされた32カ国の中で中国(1,275TCF)、米国(862TCF)などに次いで6番目に大きい資源量となっており、カナダの資源量(388TCF)とほぼ同等と評価されている。(注:同資料はロシア、中東諸国などは対象とされていない。) 同資料において、オーストラリアに関しては4つの堆積盆地を対象に資源量が算出されているが、それらは西オーストラリア州 (WA) のCanning Basin、Perth Basin、QLDのMaryborough Basinに、SAのCooper Basinである。396TCFの可採資源量のうち約60%に当たる229TCFがCanning Basinにて計上されており、それに次ぐのが85TCFのCooper Basinとなっている。 Geoscience Australiaによると、オーストラリアにおけるシェールガス探鉱は未だ初期段階であり、シェールガスを対象とした探鉱井としては2011年にBeach EnergyによってCooper Basinにて掘削された2坑井(Encounter-1、Holdfast-1)が最初とされている。以降Cooper Basinの他、Canning Basin、北部準州 (NT)のGeorgina Basin、McArthur Basinなどにおいてもシェールガスの探鉱活動が活発化している。 またシェールガスに加えて、タイトガスについての探鉱も活発化している。Geoscience Australiaによると2012年時点におけるタイトガスの資源量 (inferred resource)としては20TCFとなっており、その内訳としてはPerth Basin:10TCF、Cooper Basin:8TCFとなっている。タイトガスの開発手法はシェールガス同様フラクチャリングによる坑井刺激が必要であり、Cooper Basinにおいてはシェールガスと合わせて探鉱作業が行われている。 Santosは2012年10月にCooper BasinのMoomba-191よりシェールガスの生産を開始したと発表し、これがオーストラリアにおける最初のシェールガス商業生産井となった。参考までに同坑井では、日産2.7MMCFにて生産中であると報道されている。これは在来型ガス坑井と比較すると小さな生産量ではあるが、既存インフラに極めて近い立地条件が奏功した例である。今後も立地条件において他地域よりも優位性を有するCooper Basinにおける探鉱が先行すると考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? 012年12月にはBeach Energyにより、シェールガスを対象とした国内初めての水平坑井Holdfast-2の掘削がCooper Basinにおいて開始されている。2013年4月頃には同坑井での生産試験の結果が公表される予定となっており、その結果が注目される。 Canning Basin Maryborough Basin Perth Basin Cooper Basin 図1 シェールガス、タイトガスのポテンシャルマップ (Australia Gas Resource Assessment 2012 (Geoscience Australia)より) ? 各社の参入状況 上述の通りオーストラリアのシェールガス&タイトガスに関しては、Beach Energyを初めとした地元独立系企業によって探鉱ライセンスの取得、探鉱初期段階の作業が行われてきていたが、多額の費用が必要となる探鉱井の掘削、生産試験の実施などを前に、資金力の豊富な大手国際企業の参入が相次いでいる。2013年4月現在において公表されている情報を下記にまとめる。 参入企業 時期 三菱商事㈱ 2010年12月 CNOOC 2011年2月 Hess 2011年2月 ? 譲渡企業 ? 鉱区概要 ? 取得権益比率 ? ? ? Buru Energy Canning Basin (WA) 計13鉱区 50% ? ? ? ? Exoma Energy Galilee Basin (QLD)5鉱区 (ATP991、996、999、1005、1008) 50% Falcon Oil & Gas 既に在来型資源については参入済みであった鉱区に対して、非在来型資源への探鉱についても参画を表明 その後、権益比率を各々60%まで増加させる計画を発表したが、中国政府の許可を取得できず計画は撤回 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? ooperation QGC (BGグループ傘下) 2011年7月 ConocoPhillips 2011年9月 Statoil 2012年7月 Santos 2012年10月 2012年12月 Total 2012年11月 Chevron 2013年2月 PetroChina 2013年2月 ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? Beetaloo Sub-Basin ( NT) 3鉱区 (EP 76、98、117) 62.5% (オペレータ) Drillsearch Energy Cooper Basin (QLD) 1鉱区 (ATP940P) 60% New Standard Energy Canning Basin (WA)にて保有の複数鉱区にて構成されるGoldwyerプロジェクト 75% PetroFrontier Georgina Basin (NT) 6鉱区 (EP103、104、127、128、A213、A252 (A213、A252は認可申請中)) 65% Central Petroleum Amadeus Basin、Pedirka Basin (NT) 計13鉱区 ? 段階的に最大70% (オペレータ就任予定) Tamboran Resources ? ? McArthur Basin (NT) 4鉱区 (EP161、162、189、A299 (A299は認可申請中)) ? 最大75% (オペレータ就任予定) Central Petroleum Georgina Basin (NT) 4鉱区 (EPA132、A909、A911、A912、いずれも認可申請中) 68% Beach Energy Cooper Basin 2鉱区 (PEL218 (SA)、ATP855 (QLD)) ? 最大60% ? ? 上記Goldwyerプロジェクト ConocoPhillips (WA) 29% ? オペレータは引き続きDrillsearch Energy オペレータは引き続きNew Standard Energy オペレータは引き続きPetroFrontier オペレータは引き続きCentral Petroleum オペレータは引き続きBeach Energy 引き替えにConocoPhillipsは中国Sichuan Basinにおける非在来型資源を対象とした共同スタディに参画予定 antosに関しては既にMoomba-191での経験もあり、参入と同時にオペレータに就任すると目されているが、その他の企業に関しては参入時点では当該地域での知見を有する既参画企業に引き続きオペレータを任せ、ある程度探鉱活動が進行した時点でオペレータに就任するオプションを有した契約としている例が多い。 またここで挙げた以外にも、主にCooper Basinにてタイトガスを中心に探鉱作業を継続しているSenex Energy、Perth Basinにて探鉱作業を行っているAWE Limitedなど、いくつかの鉱区では100%権益保有にGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? Sト操業している企業もあり、引き続き今後のファームアウト等の動向が注目される。 ? Cooper Basinにおける主なシェールガス&タイトガス探鉱計画 特にシェールガスを対象とした探鉱活動が進んでいるCooper Basinにおいて、今後の探鉱プログラムがいくつか公表されている。ここではSenex Energy、Beach Energy、Santosの3社が発表しているプログラムの概要を紹介する。 ①. Senex Energy Cooper Basin南部 (SA内鉱区)を中心に、12坑井からなるタイトサンドガス&シェールガス探鉱計画を発表し、2012年12月より開始している。そのうち5坑井に関しては多段式フラクチャリング作業について、大手サービス会社Halliburtonと契約を取り交わし、2013年2月より作業に入っている。 以下に、5坑井のうち現在までに作業結果が公表されているPEL115における2坑井について概要を記す。 ? Kingston Rule-1 2013年2月下旬、フラクチャリング作業を終了し、フローバックの段階で日産1.2百万CFを記録、同坑井では53mのネットペイが確認されている。 Hornet-1 2013年3月に多段式フラクチャリング作業を終了し、4月初旬に日産2.0百万CFを超えるレートにて生産を確認。190mにわたってフラクチャリングが施された。4月末まで試験生産を継続する予定。 ? この他、2013年3月にはPEL516においてSkipton-1に対するフラクチャリング作業が完了し、フローバック(圧入流体の回収)作業が行われているとの報道がなされていたが、その結果については現状では明らかにされていない。 今後同じくフラクチャリング作業&生産試験が、PEL516ではTalaq-1、およびPEL90ではPaning-2それぞれに対し予定されている。 2013年度 (2012年7月~2013年6月)にかけて、10-15坑井の作業を計画している。総投資額は135-145百万ドル程度。 2013年4月3日の発表によると、2013年度計画において8坑予定されている垂直井のうち、6坑目にあたるDashwood-1を掘削中。 上述の通り、シェールガスを対象にした国内最初の水平坑井であるHoldfast-2は掘削を完了しており、フラクチャリング作業のためサスペンド中。これに続き更に2坑の水平坑井が掘削される予定。 既に垂直坑井2坑 (Moonta-1、Streaky-1)に対してはフラクチャリング作業を完了、今後水平坑井2坑を含む計7坑に対してフラクチャリング作業を行う予定。 ②. Beach Energy ③. Santos 2012年内にシェールガスを対象とした5坑の垂直坑井を掘削済み。2013年央以降、垂直坑井掘削済みの複数エリアを対象に水平坑井の掘削を計画している。 その後2013年終盤から2014年序盤にかけて、水平坑井を含む複数の坑井に対してフラクチャリング作業を行う予定としている。 NSWにおけるCSG探鉱・開発 上述したCooper Basinを中心としたシェールガス&タイトガスの探鉱、および3つの大型LNGプロジェクトが進行中のQLDでのCSG開発とは対照的に、隣接するNSWにおいてはCSGの探鉱・開発に対する逆風が強まっている。以下に概要をまとめる。 2. ? NSWにおけるCSG探鉱・開発の経緯 NSWは州中部のハンター地域などを中心に古くから石炭を産出しており、QLD同様CSGのポテンシャルは高い。しかしながら2011年のAPPEA (Austlarian Petroleum Production and Exploration Association) 統計によると、NSW州内でのCSGの生産はエネルギー小売り大手AGLがシドニー南西60kmにて操業するGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? amdenフィールドにおける約50億CF/年のみで、これはQLDにおける生産量の2%にしか満たない。その結果NSWにおいては州内のガス消費量のうち95%をQLD、ビクトリア州などからの移送によって賄っている。 唯一の生産フィールドであるCamdenフィールドは2001年に生産を開始しており、現在89坑の生産井からのガス生産によりシドニー地域へ供給している。加えて現在操業中の地域周辺にもCSGの広がりが確認されており、同社はCamdenフィールドの拡張開発プロジェクトを計画していた。 その他ではSantos、Metgasco、Arrow Energy、Dart Energyといった企業が権益を保有しており、主に州北部内陸および海岸沿いにて探鉱活動を行っている。 Arrow Energy 保有鉱区(PEL445) Santos 保有鉱区 Metgasco保有鉱区 (Casinoフィールド含) その他企業 保有鉱区 AGL Camden フィールド その他企業 保有鉱区 AGL保有鉱区 (Gloucesterフィールド含) Dart Energy 保有鉱区 図2 NSWにおける主な活動状況イメージ (NSW州政府資料、各社HPを基に作成) ? CSG探鉱・開発に対する規制 2011年3月のNSW州議会選挙において、保守連合が労働党を破り16年ぶりに政権交代が行われた。それまでは環境団体および地元住民などを中心に、CSG探鉱・開発に対して環境汚染などの不安の声が高まっていたが、保守連合は政権に就くと同時に全てのCSGに関する申請中・計画中のプロジェクトの許認可、および探鉱ライセンスの更新を一定期間停止すると発表した。同時に、北米のシェールガス開発において地下水汚染などの懸念で注目を浴びていたフラクチャリング作業についても、適用指針を策定するまでの一定期間、適用の禁止が発表された。 また、州政府は続いて2012年6月には、これまで州内の石油・ガス生産企業に対して適用されていた「5年間のロイヤルティ免除」を撤廃することを発表した。これはNSW特有の制度であったが、他業界から不公平であるとの批判も多かった。 2012年9月に州政府はCSG開発に関する「戦略的土地利用に関する指針 (Strategic Regional Land Use Policy (SRLUP))」を発表した。これによりCSG探鉱・開発は従来よりもさらに厳しく管理されることとなった。なおこの時点では、同指針のドラフト段階で適用が示唆されていた「人口密集地、および2kmGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? oッファーゾーン設定(農業・酪農地域から2km以内での操業禁止)」条項については、パブリックコメントでの指摘を受けて採用は見送られていた。またSRLUPの発表と同時に、停止されていた探鉱ライセンスの更新、フラクチャリング作業の解禁も行われた。 この流れを受け、ライセンスが更新された鉱区において2012年末から探鉱作業が再開されたが、反対する住民団体と掘削作業を請け負う企業との間で衝突、および企業への脅迫も発生し、Metgascoの現場では作業を妨害しようとした住民団体から逮捕者が出る騒ぎにも発展している。 2013年2月になり州政府は、上述の通り一旦は導入が見送られていた「2kmバッファーゾーン設定」につき、一転して適用することを発表した。この適用は今後の新規プロジェクト全てに及ぶもので、これによりAGLが計画していたCamden拡張プロジェクトも影響を受けることとなった。 これに続き2013年3月には連邦政府の環境大臣より、CSG探鉱・開発および大規模な石炭鉱山開発において、水源汚染が懸念される場合、連邦政府の事前承認を必要とする法改正が発表された。 ? 州政府・連邦政府の規制強化の動きに対する各社の反応 NSWにて操業している各社はこれまでに以下の反応を示している。 ①. AGL 2013年2月、州政府に提出していた許認可申請に関し、同社はCamdenプロジェクトの北部への拡張計画を当面凍結するとして、審査プロセスの中断を要請したことを発表した。中止の判断は上記の2013年2月の州政府による「2kmバッファーゾーン設定」発表に先だって行われたもので、地元住民からの反対が多い現状を考慮して判断したとしている。凍結期間などについては明らかにされていない。 一方で同月には、Camdenと比較して人口密集地域から離れ北部PEL285にて申請中だったGloucesterプロジェクトについては、連邦政府環境省からの許認可を受けたことが発表されている。現在同プロジェクトは、2016年の生産開始予定に向け、引き続き必要な手続きがなされているようである。 ②. Arrow Energy QLDで大規模なCSGプロジェクトを計画中のArrow Energy (ShellとPetroChinaの共同出資会社)は、QLDでのCSG-LNGプロジェクトに注力するという理由で、NSWに保有していたPEL445の同社保有分権益をDart Energyへ売却することを2013年2月に発表した。同鉱区ではArrow Energyが既に15坑の探鉱井を掘削していたが、過去1年半探鉱井掘削は行われていなかった。 ③. Metgasco ④. Dart Energy ⑤. Santos 「2kmバッファーゾーン設定」、および連邦政府環境大臣の発表を受け、NSW北部で同社が計画していたCasinoガスフィールド周辺の全ての探鉱・開発計画を凍結することを、2013年3月に発表した。同社は同地域で既に52坑の探鉱井を掘削しており、昨年さらに40坑掘削の許認可を取得しているが、州政府などの方針が完全に定められるまで計画を凍結し、リストラなどによる企業規模縮小も合わせて発表した。 上述の通り同社は2013年2月にArrow Energyより鉱区権益を取得したが、2ヶ月後の2013年4月にはNSWにおける全ての活動を凍結すると発表した。その理由として同社は、州政府、および連邦政府による相次ぐ発表を受け事業リスクが高まったことを挙げており、企業規模を縮小した上で、非在来型資源探鉱は豪州に代わり英国に注力することを合わせて発表している。 上述の通り、NSWにおける事業の凍結や撤退を発表する企業が相次ぐ中、開発大手であるSantosは州内の事業継続を明言している。 同社は2011年に当時NSWで鉱区保有面積最大の企業Eastern Star Gasを7億2,200万ドルで買収し、州北部内陸地域で広大な鉱区を有する企業となっているが、同地域で2016年から17年にかけてガス生産を開始する計画を2013年4月に発表した。同計画では環境への影響を最小限にとどめた上で、今後20年にわたって400坑井を掘削することにより、NSW州内のガス需要量の1/4を賄うことができるとしている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? . 所感 NSWではガス消費量の95%を州外からの移送に頼っているが、2016年以降エネルギー供給会社への供給契約のいくつかについて期限満了を迎える状況であり、ガス不足およびガス価の値上がりが懸念されている。この状況において、州政府および連邦政府によるCSG探鉱・開発への投資抑制政策に対し、「選挙を見据えた政治的パフォーマンス」といった多くの批判が、開発企業のみならずガス供給企業、ガス消費企業(製造業、発電事業者)側からも挙がっている。 一方、国内供給と比較し高値で売れるLNG事業が国内供給に対し優先されていることへの不満も一部にあり、WA政府による「ガス生産量の一定割合につき国内供給の義務化 (Gas reservation Policy)」のNSWへの導入を望む声もあるが、石油・ガス開発企業は、市場原理の元で適正な競争を望むとして、その導入に反対の意志を明確にしている。 シェールガスをはじめとする非在来型資源探鉱・開発については、数年前の豪州におけるCSGブームの再来を期待する声も多く、大手企業が参入を始めている現状を当時のCSG業界の状況になぞらえる例が見受けられる。一方で、北米と豪州の違いを指摘する声も未だ根強く、掘削リグなどの開発に必要な各種機器の絶対数の差、およびインフラの整備状況の差に加え、地殻応力条件の違いにより豪州では「水平坑井+多段式フラクチャリング」が北米と同様には機能しない可能性を指摘する声もある。今後の探鉱活動の結果に加えて、影響の大きい州政府の方針ならびに地元住民の反応も合わせて注視する必要がある。 NSWにおけるCSG探鉱・開発に対する州政府・連邦政府の一連の動向については、既に指摘されているとおり政治的パフォーマンスの側面は否めない。国内企業からは、一連の流れは豪州に対する投資リスクを増加させるものであり、結果的に豪州経済に対して悪影響を与える可能性が高まることから、各政府には総合的な判断を期待する声が多く聞かれている。NSWで操業する有力企業の撤退、あるいは作業凍結の判断が相次ぐ一方、唯一SantosはNSWでの操業の継続を改めて発表しているが、プロジェクトの成功には地元住民、農業団体などとの協調が不可欠であり、引き続き今後の動向に注意が必要である。 以上 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ?
地域1 大洋州
国1 オーストラリア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 大洋州,オーストラリア
2013/04/22 北村 龍太
Global Disclaimer(免責事項)

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